古村治彦です。

 

 今回は、眞子内親王の結婚を巡り、日本と欧米では受け取り方が違うのだということが分かる記事をご紹介します。まず、記事を読んでいただくと、あれ、なんだか私(たち)が持つ者と違う感覚で書いているなということが分かります。

 

この記事の内容で、著者が誤解していると思われるのは、眞子内親王が今上天皇の孫の中で最年長なので、眞子内親王が皇族の地位を続けることが出来たら、年長であるので皇位継承できると考えている点です。私たちの感覚では、今上天皇、現在の皇太子と続いたら、孫の世代では、皇室典範が改正されて女性も天皇になれるとなったら、皇太子の娘である愛子内親王、開成がなければ、秋篠宮の息子である悠仁親王が天皇になることになり、秋篠宮の娘である眞子内親王、佳子内親王はそうではないということになります。記事の著者は、眞子内親王と愛子内親王を取り違えて考えているのかもしれません。もしくは、日本では年長者が優遇されるということを知っていて、最年長の孫だから、この人も皇室典範が改正されたら天皇になれると考えたのかもしれません。

 

皇室典範の現在の規定では、男性だけが天皇になりますので、今上天皇の次は皇太子、もし存命であれば、弟の秋篠宮、そして、悠仁親王ということになります。他にも男性皇族は存命ですが、年齢などを考えるとこれが現実的な将来図だと思います。記事の著者はアメリカ人で、ヨーロッパ諸国の王位継承の歴史や王族の地位についての知識に基づいて考えていて、ヨーロッパと日本の違いを感じて記事にしているのでしょう。

 

 今回の記事は、「天皇の孫で最年長である眞子内親王が一般人である男性と結婚することで皇族としての地位を失う。彼女は天皇になれるかもしれないのに一般人との結婚を選んだ。ある意味では世紀の恋、ということになる。また、女性が天皇になれないという規定については賛成、反対両方がある」ということを書いています。

 

 皇室典範が改正されて、女性が結婚後も皇族の地位を維持できるということになると、女性皇族にも皇位継承権が与えられることになります。そうなると、もし、現在未婚の内親王が結婚する前に改正されると、皇族の数は維持され、皇位の継承についてはより安定するでしょう。欧米から見れば、女性皇族だけが結婚で皇族の地位を失うということは不平等だということになるでしょう。

 

 今回の記事は日頃、あまり考えない天皇や皇族、皇位継承について考えるきっかけになりました。「女性皇族の結婚後の地位の維持」「女性天皇の容認」はこれからも議論が続いていくでしょうが、私としては、天皇の生前退位とともに、改正していくべきだと考えます。

 

(貼り付けはじめ)

 

お姫様の結婚:日本の内親王が一般人と結婚(The Princess Bride: Japanese Princess to Marry a Commoner

 

エミリー・タムキン筆

2017年5月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/05/17/the-princess-bride-japanese-princess-to-marry-a-commoner/?utm_content=buffer907fa&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

 

日本の今上天皇の孫である25歳の眞子内親王が一般人男性と結婚することになった。AP通信や他の全てのインターネットのニュースサイトは、一般人男性が「海を愛する、法律事務所勤務の男性で、スキーとヴァイオリン、料理を得意としている」と報じた。

 

眞子内親王が法律事務所勤務の小室圭氏と結婚すると、眞子内親王は一般人となる。日本では、女性皇族は結婚した後、皇族ではなくなる。保守派の人々は、女性皇族が結婚後も皇族の地位を保つとする法律改正を行うと、それがそのまま進んでしまい、女性が皇位を継ぐことが許容されることになるのではないかという恐怖感を持っている。日本の歴史では、女性天皇が数人存在したが、保守派の人々は、女性天皇は一時的なもので、1889年に制定された皇室典範では女性が皇位を継ぐことを許容する理由を挙げていない、と主張している。

 

しかし、日本は皇位継承についての頭痛をこれからも抱えることになる。

 

2017年1月、政府の審議会は、眞子内親王の祖父である83歳になる今上天皇が退位することを認めるように国会に答申を出した。内閣は今週金曜日、今上天皇が退位することを認める法案を認めると考えられている。今上天皇は即位以後、第二次世界大戦における日本の行為について憎しみを和らげようと努力してきた。今上天皇は激戦地や記念碑を訪問し、アジアにおける戦争の惨禍を目撃し続けてきた。今上天皇の後継者となるのは、今上天皇の息子であり、眞子内親王の伯父である皇太子(徳仁親王)である。

 

皇太子と皇太子妃は現在50代となっている。皇族の数は少なくなっていく。皇太子の弟で眞子内親王の父である秋篠宮は皇位継承権第2位であるが、内親王妃と共にこちらも50代となっている。今上天皇には弟がいるが、こちらは既に80代となっている。眞子内親王には弟がおり、皇位継承権を持っているが、まだわずか10歳だ。今上天皇にはこの男子以外に3名の孫がおり、それに眞子内親王も含まれるが、全員が女性であるので、皇位継承権を持っていない。

 

今上天皇の最年長の孫が結婚後も皇族の地位を保ち、将来、皇位を継ぐことができるようにすることで、将来も皇族を維持し、1500年続く皇位の継続性を確かなものとすることが当然の動きである。

 

しかし、日本国民は女性天皇という考えについて考慮していない。

 

水曜日、菅義偉官房長官は記者団に対して、「皇位継承が安定して続くために更なる方策を考慮していくという私たちの考えは変わっていない」と語った。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)





アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22