古村治彦です。

 

 今回は、2017年11月2日に発売となります副島隆彦先生の最新刊『銀行消滅 新たな世界通貨(ワールド・カレンシー)体制へ』(祥伝社刊)をご紹介いたします。関東圏の大書店であれば11月3日(金)からの週末、その他の地域の大書店でも11月5日(日)くらいまでには店頭に並ぶものと考えられます。


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銀行消滅 新たな世界通貨(ワールド・カレンシー)体制へ


 今回の最新刊は、世界規模のテーマとしてビットコイン、日本のテーマとしては銀行消滅が柱となっています。家電量販店ビックカメラでは、ビットコインによる決済が可能となっており、ビットコインについて、知識を得るようにしなければならない状況になっています。また、地方銀行の合同も進んでいます。私の生まれ故郷の第一地銀である鹿児島銀行は、隣県の肥後銀行とグループを形成することになりました。これが何を意味するのか、ということは生活者として興味があります。

 

 今回の最新刊『銀行消滅 新たな世界通貨(ワールド・カレンシー)体制へ』は大変興味深い内容になっていると思います。ぜひ手に取ってお読みください。よろしくお願い申し上げます。

 

(貼り付けはじめ)

 

まえがき

 

 最近、私たちの周(まわ)りから銀行の支店(店舗)がどんどん消えている。この本『銀行消滅』は、この事実を追跡することから始まる。

 

皆が、コンビニで公共料金やコンサート・チケットの振り込みをするようになった。「コンビニ決済」である。その次が「スマホ決済(モバイル決済)」で、やがて「ビットコイン決済(支払い)」の時代になっていくだろう。ビットコイン Bitcoin なる、奇妙奇天烈(きみょうきてれつ)な暗号通貨(あんごうつうか)(クリプト・カレンシー crypto currency )という、お金なのか、貨幣(コイン)なのか、通貨になれるのか分からない「インターネット上のお金」が出現しつつある。それで投資家たちが大騒ぎしている。仮想通貨(かそうつうか)は、政府や官僚の統制を受けない、新しい金融市場のフロンティア(辺境の地)で蠢(うごめ)いている。 

 

地方銀行の大合併がますます進んでいる。この「銀行消滅」の課題以外に、北朝鮮の核ミサイルの脅威に対する、日本国としての対応が目の前の緊急の問題である。私は、国際政治(外交。安全保障=軍事)の問題の最先端の情報、知識をこの本に書いた。すでに私は、今年(2017年)4月に予言して、「米軍による北朝鮮爆撃は、来年(2018年)の4月である。直後に中国軍が平壌(ピョンヤン)に侵攻(進撃)して金正恩(キムジョンウン)体制を崩壊させるだろう」と書いて公表している。私のこの近(きん)未来予測にまったく変わりはない。さあ、私の予言は当たるか、外(はず)れるか。

 

 私は質問を受けた。「副島先生。それでは、その〝第2次朝鮮戦争〟へ向かっての戦争銘柄や復興需要(〝朝鮮戦争特需(とくじゆ)〟)で儲(もう)かる日本の企業はどれですか」という質問だった。私は、呆(あき)れたが己(おのれ)の不明を恥じた。それで極力それらの戦争需要、復興特需から生まれる株高への投資期待に応(こた)えようと思う。だが、私の視線はすでにさらにその先の先に向かう。私の中では、迫り来る〝第2次朝鮮戦争〟さえも過ぎ去りつつある。

 

 これからの世界の金融・経済は、どうなるか。ドナルド・トランプはおそろしく獰猛(どうもう)な企業経営者あがりである。米トランプ政権は、QE(キユーイー) じゃぶじゃぶマネー(=金融緩和(かんわ)マネー)を、このあともやっていくしかないのだ、と腹の底から分かっている。金融引き締め(=金融タカ派(ホーク))に転換したフリも一方でするだろうが。

 

だから今のまま、低金利(日本とヨーロッパはゼロ金利)を続け、株をニューヨークの「大親分たちの談合(だんごう)」で吊り上げ続ける。それしか他にやりようはない。ドル札と米国債(トレジャリー・ビル Treasury Bill 米財務省(ざいむしょう)証券)をさらに大量に刷り続けて、国家財政(ファイナンス)と米国経済(ナシヨナル・エコノミー)を成り立たせるしかない。日本の株価もズルズルと、この先もニューヨーク相場に〝連れ高〟する。そうやって先進国(米、欧、日)の退職老人たちの年金を賄(まかな)い続ける。これが何よりも国家運営の基本だからだ。老人たちを怒らせたら政権はもたない。トランプは、アメリカの国内産業を建て直して輸出振興を目指す。だから、「ドル安路線、低金利路線」なのである。だが〝ちょっとだけ〟利上げのポーズはする。若い元気なFRB議長にやらせるだろう。

 

 私は、この本では、気合いを入れて、どうしても人類に出現しなければ済まず、新しい世界通貨(ニュー・ワールド・カレンシー new world currency )になってゆく仮想通貨(サイバー・マネー)の運命を予測する。

 

森羅万象(しんらばんしょう)の中に生起し有象無象(うぞうむぞう)のひとつ、であるビットコインは、各国の権力者(官僚たち)に叩き潰されるだろう。だがこれから何度でも復活する。仮想通貨には「中心がない(ノン・セントラル)」のだ。だから、世界を操(あやつ)る権力者たちや支配層の言いなりにならない。このサイバー・マネーが、やがて実体を持つ実物資産(タンジブル・アセット tangible assets )である金(きん)や銀、銅などの金属資源と、エネルギー(石油と天然ガス)と、小麦や豚肉などの食糧品目などの基本物資(コモディティ commodity 商品)のすべてを大きな籠(かご)(バスケット)に入れて総量を金額換算した「コモディティ・バスケット」commodity baskets によって裏打ち(担保、保証)される。そのとき、この地上に新しい世界通貨体制(秩序)ができてゆく。この世界通貨は、大(だい)経済学者ジョン・メイナード・ケインズが、第2次大戦末期にアメリカ政府と激論したときに唱えた、まさしく bankall「バンクオール」通貨の実現である。もう米ドル体制の時代ではない。

 

世界の中心は、やがてニューヨークとワシントンから、ユーラシア大陸(ユーロッパとアジア)に移ってゆく。そのとき、新しい世界の中心都市は、中央アジア5国のひとつであるカザフスタン国の都市アルマトゥ(アルマティ)であろう。私は、すでに2010年に拙著でこの予言もしている。

 

 今の北朝鮮危機はどうせ過ぎ去っていく。このあと、日本に年間1億人の外国人旅行者がやってくる時代(現在の3倍の数)が来る。だから外国人向け旅行客ビジネスで活躍しているネット企業の推奨銘柄一覧を巻末に載せた。

 

 いわゆるIT(アイティ)企業を、私たちは、大きく二つに分けて考えるべきだ。私の中で閃(ひらめ)いた。

 

      EV(イーヴイ)(電気自動車)や自動運転、そして生活のインターネットとロボット

化(IoT(アイオウテイ) )、コンビニ・スーパーの完全無人化などは、総じてAI(エイアイ)(人工知能)の開発として考えるべきだ。

 

もう一つは、前述した、

 

  ビットコインなどの、奇妙きわまりない新しいサイバー(ウェブ)マネーたちだ。この新しい世界通貨の発達を、これからの人類のあるべき世界秩序の問題として大きく考えるべきである。ビットコインは政治問題なのである。ビットコインは、国家(官僚たち)の支配を打ち破って国境線を超えてゆくからだ。

 

私は、① のAI(サイバー・ショップから実(リアル)(てん)()へ)よりも、の仮想通貨(サイバー・マネー)のほうを、より重要だと考える。

 

副島隆彦

 

=====

 

目次

 

 

まえがき

 

1 消える銀行

●今、銀行で何が起きているのか

●破綻処理と国有化

●アメリカでも日本でも進む「銀行消滅」

●三菱東京UFJも、みずほも店舗閉鎖

●地方銀行は「2県で1行」の時代に

●コンビニが銀行になっている

●〝手数料競争〟が始まった

●ポイントカードがクレジットカードに

●「非接触型」(コンタクトレス)の決済とは何か

●銀行どころか証券会社も不要になる

 

2 朝鮮半島有事と

  これからの個人資産の守り方

●〝第2次朝鮮戦争〟は2018年4月に起きる。1カ月で終了する

●「副島先生。戦争銘柄を教えてください」の質問に答えよう

●一挙公開! 日本の軍需銘柄

●「日本は1万円札を廃止せよ」という米経済学者の主張

●インフレ・ターゲティング理論の大失敗

●仮想通貨と金(きん)

●税金官僚から資産を守る。金はどう保管すべきか

●海外へ資産を「逃がせ隠せ」した人は、日本に持ち帰らないように

●税務署に〝本当のこと〟を言うべきではない

●事業所得の目安「5棟10室」ルールとは何か

●法律は上級公務員の理屈からできている

 

3 仮想通貨は

  新たな世界通貨(ワールド・カレンシー)となるか

●誰が「コイン」を発行するのか

●ビットコインは「現金」に戻せない。おそらく損をするだろう

●1BTC(ビツトコイン)=110万円の夢を見るのもいいけれど

●仮想通貨の取引所が倒産して28億円が消えた事件

●ビットコインは「通貨」(カレンシー)になれるか

●リバータリアンの思想からビットコインは生まれた

●仮想通貨市場の時価総額は15兆円

●ブロックチェーンとは何か

●なぜ金融工学は滅んだのか

●国家体制の外側へ逃げてゆく

●2万台以上のコンピュータで「マイニング」(採掘)する中国の会社

●「ビットコインは10万ドル(1100万円)になる」

●なぜ中国でビットコイン取引の規制が強化されたのか

●巨大銀行連合が仮想通貨を乗っ取ろうとしている

●仮想通貨と実物資産が結びついて、新たな世界通貨体制ができる

 

4 フィンテックから民泊まで

  副島隆彦が見通す未来

●インターネット決済を始めたピーター・ティールという男

●仮想通貨は金融市場のフロンティア(最前線)か

●アマゾンとトランプの激しい対立

●I(アイ)(オウ)(テイ)で無人化が進むと、どうなるか

●自動運転(運転の無人化)と電気自動車の時代は、まだまだ遠い

●訪日外国人は年間で1億人になる。これがビジネスチャンスだ

●「富士山ビジネス」に投資せよ

 

5 日米〝連動〟経済は続く。そして……

●〝トランプ暴騰〟は、なぜ起きたか

●証拠を残さない相場操縦が行なわれていた

●ドル円の為替相場も操作(マニピュレイシヨン)されている

●トランプは国家借金の「上限」を引き上げた

●アメリカの「歴史的な減税」とは

●緩和マネー問題で、次期FRB議長の人事も決まる

94歳のキッシンジャー博士が、トランプ、プーチン、習近平の先生

●世界の3巨頭による「第2次ヤルタ会談」が開かれる

 

あとがき

 

(巻末付録)

外国人旅行者で成長する企業たち推奨銘柄27

 

=====

 

あとがき

 

 本書で「エコノグローバリスト・シリーズ」は、ついに20冊目となった。

 

私は金融本としてこのシリーズを書き続けた。毎年1冊ずつ出し続けて、本書で20周年となった。シリーズ1冊目は、『悪(あく)の経済学』(1998年刊)である。

 

我ながらよくもこんな本を、倦()まず弛(たゆ)まず20年も書き続けたものだ、と感慨深い。このシリーズ本の出版を支えてくれた編集者二人が、著者である私よりももっとこのことを喜んでくれた。最初の担当編集者は、一昨年、祥伝社社長に就任した辻浩明氏である。

 たしかあのとき、私は「本を1冊書け、書け、と言われても、何をどう書いてよいか分からないんだ」と喚(わめ)いた。そしたら辻氏は、「まあまあ、そう怒鳴らないで。あれこれ応援しますから書いてくださいよ」と言った。私は拍子(ひょうし)抜けして、なんとか書く気になった。優れた編集者との出会いが、人々が求めている良い本を世の中に送り出す。著者(書き手、演技者、芸術家も同じ)は、一人で勝手にもがき苦しんでいるから周(まわ)りが見えない。すべての演戯者(パフオーマー)は、「本当に、私のこんな踊りや歌でいいんだろうか」と何歳(いくつ)になっても自問している。スポーツ選手と違って1等賞、2等賞がない。有能な編集者と組まないと良い本はできない。作家生活35年にして、私はようやくこういうことが分かる。

 

シリーズ1冊目の『悪の経済学』を出した、前年の1997年に、私は『属国(ぞっこく)・日本論』(五月書房刊)を出版している。「日本はアメリカの属国(ぞつこく)(朝貢国(トリビユータリイ・ステイト))である」という理論を敢然(かんぜん)とこのとき提起した。今では多くの国民がこのコトバをつぶやくようになった。

 

その2年前の1995年(42歳)に、私は、現代アメリカの政治思想の諸流派12派からなる全体像を描いた本を出した。のちのち私の最大業績だと評価されるだろう。だが政治思想の研究の出版では、ご飯は食べられない。私は、金融本を次々と書くことで、いつの間にか金融評論家になっていた。予期してやったことではない。4冊目から担当編集者は岡部康彦氏に代わった。

 

シリーズ11冊目である『恐慌前夜』は、〝リーマン・ショック〟(2008年9月15日勃発)を予言(プレデイクト)した。予言は預言(プロウフエシー)とは違う。この本の「第4章 恐慌への道のり」に「リーマン・ブラザーズは破綻する」と書いた。この本が出版された2週間後にリーマン・ブラザーズ社は本当に潰(つぶ)れたのである。これも私の勲章のひとつだ。

 

以後ずっと岡部氏と二人でこのシリーズ本をつくってきた。こうやって20年が経()った。

 

私が、物書き業(評論家)を、1982年(28歳)から始めてから35年が過ぎた。これまでに220冊の本を書いた。もう他の職業に転じることができる歳ではない。このまま死ぬまで書くしかない。「お前の本はもういいよ」と飽()きられても私は書く。職業とはそういうものだ。

 

インターネット時代(さらにスマホ時代)になって、本を買って読む人々が大きく減った。本が売れなくなって出版業界はヒドく追い詰められている。出版業は世の中にある800ぐらいの業種のうちのひとつである。どこの(産)業界も自分たちが生き延びることで厳しい試練に耐えている。私も出版業界で禄(ろく)を食()む者のひとりとして、この業界が生き延びるための、新たな知恵と方策を絞り出さなければならない。これは残りの人生で自分に与えられた使命である、と思っている。

 

この本も、前述した祥伝社書籍出版部の岡部康彦部長とつくった。毎度のことだが、私が暗中模索(あんちゅうもさく)でへばりそうになるのを助けてくれて、なんとか完成した。記して感謝します。

 

副島隆彦

 

(貼り付け終わり)

 

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