古村治彦です。

 

 総選挙が終わって、野党側のごたごたが続いている感じです。民進党はどうなるのか、ということが大きな問題です。無所属で戦った党籍を持つ衆議院議員と参院議員を合わせれば50名上の政党ですし、政党助成金を含めたお金も100億円以上残っているということでもあり、その行く末が気になります。前原誠司代表は代表を辞任し、希望の党へ参加することになるそうです。次の代表をどうするか、党の存続をどうするか、お金をどうするかということがこれからの焦点となります。

 

 2019年の参議院議員選挙の投開票と共に改憲の国民投票が行われるのではないかというのが現在の見通しです。安倍晋三首相の下、改憲が実現する可能性が出てきました。

 

 しかし、国民投票の実現はなかなかに大変なことです。まず、国民の考えと現在の政治状況が必ずしも一致していません。今回の総選挙では与党が3分の2の議席を占めましたが、得票率は4割台です。それで獲得議席数は7割台です。これが有権者の意図を正確に反映しているとは言いづらいです。これについて、与党で3分の2を占めるのは「多すぎる」、安倍首相について「不安を持っている」と考えているのが過半数という状況です。

 

 下の新聞記事にありますが、麻生太郎副総理は議席数から、「左翼が3割を切った」と述べましたが、得票数で言えば、麻生氏の発言は当てはまらないことになります。小選挙区制につきまとう死に票の多さということを無視した発言ということになります。

 

 改憲については、18歳から29歳までの年代では改憲に賛成の人が多く、その他の年代(有権者における年上の年代)は反対が多いという世論調査の結果が出ています。

 

 こうしたことから考えると、人々は与野党が伯仲している国会で厳しい審議が行われている状況が良いと考えていることが分かります。与野党伯仲状況になれば、改憲の発議はできないことになります。しかし、こうした人々の考えは国会の議席数に反映されていないことになります。

 

 選挙は小選挙区比例代表並立制というルールの下で行われていますから、このルールで最大の成果を得るように行動しなければなりません。しかし、野党側は共闘で一対一の勝負ができず、分立のために、敗北を喫しました。ルールの特性を活かした戦い方ができなかったのは野党全体の責任ですが、やはり、希望の党に大きな責任があったと言わざるを得ません。下の新聞記事でもありますように、安倍首相の側近である萩生田光一代議士が日本会議主催の会議に出席し、希望の党の政策協定書によって、野党側が分立したということを述べています。

 

 改憲に関して、行動を注視したいのは希望の党です。希望の党では立候補者に課した政策協定書の第4条で、「改憲を支持し」という文言が入っています。ですから、希望の党は改憲を前提にして国会論戦を行うことになります。しかも、党の創設者であり代表である小池百合子東京都知事は安倍首相とほぼ同じ考えを持っています。彼女はつい最近まで自民党所属の国会議員であり、自民党の幹部や大臣を務めました。安保法制成立時も自民党の国会議員です。こうなると、希望の党は改憲勢力に分類となります。ですが、国民の多くが改憲に反対、慎重な中で、結党からすぐに統制が振るわなくなってしまっている希望の党が自公と同調する動きをすることが果たして党のために良い事なのかという主張も出てくるでしょう。

 

 安倍首相としては、広範な支持によって改憲を発議し国民投票で多くの賛成を持って、改憲を成し遂げたいと考えているでしょう。この途中で大きな騒動が起きたり、国民投票で反対多数で否決されてしまったりといったことは望んでいないでしょう。そうなれば、どうしても微温的な内容の改憲となってしまうでしょう。そうなれば、改憲推進の日本会議としては不満な内容になるでしょう。しかし、改憲の国民投票を行っていくためにも、最初の改憲はその程度で良いと許容することになるでしょう。

 

 しかし、国民の側の現在の状況を考えると、改憲には困難なハードルが待っていることが予想されます。改憲に反対、慎重な考えを国民の多くが持っているということが最大のハードルになります。これに対して、どのようなアプローチ、切り崩しが行われるのか、ということですが、既に野党側にくさびを打ち込んでありますから、これをこれからぎりぎりと打ち込んで、分断を深めようとすることでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「与党で3分の2「多すぎる」51% 朝日新聞世論調査」

 

朝日新聞 201710242239

http://www.asahi.com/articles/ASKBS3PWGKBSUZPS001.html

 

 衆院選の結果を受け、朝日新聞社は23、24日、全国世論調査(電話)を実施した。自民党と公明党合わせて定数の3分の2を超える議席を得たことについて尋ねると、「多すぎる」が51%で、「ちょうどよい」32%を上回った。

 

 自民大勝の理由については「安倍首相の政策が評価されたから」は26%で、「そうは思わない」の65%を下回った。自民支持層でも「評価」45%、「そうは思わない」48%だった。立憲支持層では「評価」9%に対し、「そうは思わない」が89%に達した。

 

 自公で「3分の2」については、比例区で自民、公明に投じた人も、それぞれ3割が「多すぎる」と答えた。年代別では、18~29歳で「ちょうどよい」56%が「多すぎる」23%を上回ったが、他の年代は、いずれも「多すぎる」の方が多かった。60代は、69%が「多すぎる」と答えた。

 

 今後、安倍晋三首相の進める政策に対しては「期待の方が大きい」29%に対し、「不安の方が大きい」は54%にのぼった。自民支持層は「期待」58%、「不安」24%だったが、無党派層では「期待」11%、「不安」69%と逆の傾向になった。安倍首相に今後も首相を「続けてほしい」は全体で37%で、「そうは思わない」47%の方が多かった。

 

 野党第1党になった立憲民主党には49%が「期待する」と答え、「期待しない」41%を上回った。「期待する」は内閣支持層でも44%、内閣不支持層では63%に達した。年代別では、60代の期待が高く、62%が「期待する」と答えた。

 

 政党支持率は自民39%に次いで立憲17%。ほかは公明4%、希望3%、共産3%、維新2%、社民1%などだった。調査方法などが異なるため、単純に比較できないが、前回14年の衆院選直後の調査で、野党第1党の民主の支持率は7%だった。

 

 内閣支持率は42%(17、18日実施の前回調査は38%)、不支持率は39%(同40%)だった。

 

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●「安倍政権のもとで憲法9条改正に賛成?反対?多かったのは……(世論調査)

1829歳と他の年代で、違いが現れた。」

 

ハフィントンポスト(朝日新聞提供)20171025 0832

 

http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/24/abe-ninth-article_a_23254665/?ncid=fcbklnkjphpmg00000001

 

 衆院選の結果を受けて、朝日新聞社が23、24日実施した全国世論調査(電話)では、安倍晋三首相が意欲を見せる憲法9条改正についても聞いた。「自衛隊明記」について、安倍政権での改正の賛否を聞くと、「反対」45%が、「賛成」36%を上回った。

 

 年代別では、18~29歳は「賛成」49%が「反対」34%を上回った。他の年代では反対の方が多かった。特に60代では反対54%に対し、賛成27%だった。男女別では、男性は45%が賛成だったが、女性の賛成は28%にとどまった。

 

 支持政党別にみると、自民支持層では賛成63%に対し、反対は22%だった。一方、立憲支持層では反対が88%にのぼり、賛成は8%。無党派層では反対44%、賛成21%だった。

 

 改憲の賛否別に、今回の衆院選の比例区投票先をみると、「賛成」の51%が比例区で自民に入れたと答えた。一方、「反対」は34%が立憲に入れ、12%は自民に投じた。

 

 安倍内閣の支持、不支持の理由を4択で聞くと、支持の理由は「他よりよさそうだから」が最も多く44%、続いて「政策の面から」が24%。不支持の理由は、最多が「政策の面から」の36%で、「首相が安倍さんだから」の27%が続いた。

 

(朝日新聞デジタル 20171024 2300)

 

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衆院選当選者、改憲「賛成」84%…読売アンケ

10/26() 7:19配信 読売新聞

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171025-00050196-yom-pol

 

 衆院選で、与党の自民、公明両党と、憲法改正に前向きな希望の党、日本維新の会の獲得議席が、改憲の国会発議に必要な3分の2(310議席)を大きく上回り、改憲論議に弾みがつきそうだ。

 

 読売新聞の立候補者アンケートで、当選した431人(当選者全体の93%)の回答を分析したところ、84%が改憲に賛成だった。ただ、改憲項目は、所属政党によってばらつきが目立っている。

 

 政党別では、維新の100%を筆頭に、自民は97%、公明は92%、希望は87%が改憲に賛成だった。野党第1党の立憲民主党は61%が反対した。安倍首相は立民にも協議を呼びかける考えで、与野党を通じた幅広い合意形成ができるかが注目される。

 

 改憲に賛成した当選者が挙げた改憲項目で最も多かったのは、「緊急事態条項の創設」の69%。以下、「環境権」(50%)、「自衛のための軍隊保持」「参院選の合区解消」がともに49%で続いた。政党別で最も多かった項目を見ると、自公が「緊急事態条項の創設」だったのに対し、立民は「首相の解散権の制約」、希望は「国と地方の役割」、維新は「教育無償化」と「憲法裁判所の設置」だった。

 

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●「憲法改正「天の時を得た」と改憲派 「日本会議」主導の集会で訴える」

「小池百合子さんのおかげで、(民進党が)真っ二つになった。こういう状況をつくってもらった」

 

20171026 0747 JST | 更新 22時間前

朝日新聞社

http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/25/story_a_23256162/?ncid=fcbklnkjphpmg00000001

 

 憲法改正を掲げる運動団体「日本会議」が主導する集会が25日、東京都内であり、衆院選で大勝した自民党の国会議員が来賓として出席し、改憲発議に向けた取り組みを急ぐ必要性を訴えた。

 

 安倍晋三首相に近い衛藤晟一首相補佐官は、与党で国会発議に必要な「3分の2」を得たことを挙げ、「天の時を得た。発議ができるまで頑張っていきたい」と宣言。自民、公明両党に、日本維新の会と希望の党を加えると衆院で8割の議席を占める状況になったことを念頭に、「小池百合子さんのおかげで、(民進党が)真っ二つになった。(希望の党から立候補するための政策協定書に)憲法改正を認めるというハードルをつくり、こういう状況をつくってもらった」と述べた。

 

(朝日新聞デジタル 20171025 2124)

 

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●「麻生副総理「左翼が3割切った歴史ない。北朝鮮のお陰」」

 

201710262028

http://www.asahi.com/articles/ASKBV6JDNKBVUTFK014.html?ref=tw_asahi

 

 衆院選で、自民党は引き続き284議席をいただいた。衆議院(議員の定数)は(今回から)10議席減っており、占有率だと前よりはるかに良くなった。

 

 いわゆる左翼勢力が3割を切った歴史はこれまで1回もない。今回は共産党と立憲だか護憲だか知らないが、あの政党が左翼との前提で計算して、社民党が2議席で(立憲民主党と共産、社民の合計で)69(議席)。(定数)465分の69。2割切った。明らかに北朝鮮のお陰もある。特に日本海側で遊説をしていると、つくづくそう思った。(東京都内での講演で)

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)