古村治彦です。

 

 3月にいろいろなことが起きた北朝鮮情勢ですが、ここのところ少し落ち着きを見せていましたが、5月末に開催とされている米朝首脳会談ですが、6月初旬にずれ込むとトランプ大統領が明言しました。

 

 ここのところ、米朝首脳会談に向けてアメリカ、北朝鮮両政府の間で秘密交渉が行われているということが報じられています。先週末の各種報道では、「北朝鮮政府は非核化について交渉する用意がある」「北朝鮮は平壌での開催を求めているが場所はまだ決定していない」「モンゴルの首都ウランバートルも候補地」「マイク・ポンぺオCIA長官(次期国務長官)が秘密交渉の指揮を執っている」ということが報じられています。

 

 米朝首脳会談に向けて秘密交渉が行われており、北朝鮮側は、米朝首脳会談での「朝鮮半島の非核化」交渉を行う用意があると表明しているということです。「朝鮮半島の非核化」は、アメリカ軍の朝鮮半島(韓国)からの撤退を含んでおり、北朝鮮としては、自国の核兵器放棄の代償として、体制保障と在韓米軍の撤退を要求しているものと思われます。

 

 アメリカ側からの条件提示がなされているのかどうかはっきりしません。米朝首脳会談に応じるということは発表されていますが、日時も場所も形式もまだ決まっていません。北朝鮮からの話し合う議題についての提案があって、そのような提案があったことを確認しているということを明らかにしているだけです。

 

 トランプ大統領に平壌に来て欲しいという北朝鮮の要請ですが、北朝鮮はトランプ大統領が平壌訪問に同意したら、どのようなことをしても、トランプ大統領の身の安全を保障しなければなりません。しかし、アメリカとしてもただエアフォースワン(大統領専用機)だけで平壌を訪問することには難色を示すでしょう。アメリカ軍機のエスコートを要求すれば、北朝鮮はこれを受け入れがたいということになるでしょうから、そこでまずハードルとなります。

 

 米朝首脳会談まで漕ぎつけるためには、下交渉である程度の合意を形成しておかねばなりません。現在のところ、合意形成まで進んでいないのが現状なのだろうと思います。秘密交渉の指揮をマイク・ポンぺオが執っているとなると、北朝鮮側に甘い条件を出す訳もなく、「いざとなればこちらはいつでも交渉を打ち切ってもいいんだ」という態度でしょうから、交渉がポンポン進むことはないでしょう。

 

 アメリカ側からすれば、北朝鮮の「朝鮮半島の非核化」、北朝鮮の核兵器放棄の代償としての在韓米軍撤退と体制保障という条件闘争を許容しないのではないかと思います。「まずお前らがホールドアップしろ、話はそれからだ」「何を偉そうに俺たちに何かをするように言うのか、ふざけるな」となるでしょう。北朝鮮としては最低限のラインとして体制保障の言質が取れなければ核兵器の放棄はできないとなります。しかもアメリカは体制保障の約束をしても、裏で手をまわして、「民主化」運動を作り出して、金正恩体制を北朝鮮国民が打倒したという形をとって、体制保障の約束を反故にしてしまう可能性が高いのです。アラブの春やリビアのカダフィの例を見れば明らかです。

 

 米朝首脳会談は北朝鮮がまず無条件で核兵器を放棄するところからしか準備はスタートできないと思いますが、金正恩はそれをできるのかどうか、無条件降伏のようなことが出来るのかどうか、ということになります。アメリカ側にはいろいろなオプションが存在しますが、北朝鮮には全面降伏か、拒絶かしかありません。

 

 現在の北朝鮮の置かれている立場は戦争直前の日本にそっくりです。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「6月初旬までに米朝会談=トランプ氏、「非核化合意」を期待」

 

4/10() 1:00配信 時事通信

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180410-00000003-jij-n_ame

 

 【ワシントン時事】トランプ米大統領は9日、ホワイトハウスで開かれた閣議の冒頭、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談について、「5月か6月初旬」になると述べた。

 

 その上で「北朝鮮の非核化で合意できることを期待する」と語り、会談の成功に意欲を示した。

 

 トランプ氏は316日に韓国の文在寅大統領と電話会談した際、米朝首脳会談を5月末までに開催する意向を明らかにしていたが、6月にずれ込む可能性を示した形だ。

 

 トランプ氏は「われわれは北朝鮮と接触している」と述べ、首脳会談に向けて米朝間で秘密接触していることを認めた。米CNNテレビによると、北朝鮮側は平壌での会談開催を求めているが、米国が受け入れるかは不明。会談場所の選定や議題などの準備に想定よりも時間がかかっている可能性もある。

 

 トランプ氏は「米朝関係が長年の(悪い)関係から大きく変わることを期待する」と強調。「世界中が非常に興奮することになるだろう」と述べた。 

 

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北朝鮮はアメリカと非核化について交渉する用意がある(North Korea ready to discuss denuclearization with US: report

 

ジュリア・マンチェスター筆

2018年4月8日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/382191-north-korea-ready-to-discuss-denuclearization-with-us-report

 

複数の北朝鮮政府高官は、アメリカ政府の交渉担当者に対して、金正恩は朝鮮半島の非核化(denuclearization of the Korean Peninsula)に関して交渉することを望み、その用意があると述べた。『ウォールストリート・ジャーナル』紙が報じた。

 

ウォールストリート・ジャーナル紙はトランプ政権のある高官が「金正恩は朝鮮半島の非核化について交渉することを望んでいることをアメリカ政府は確認している」と発言したと報じた。

 

CNNは土曜日、アメリカ政府と北朝鮮政府は極秘に金正恩とドナルド・トランプの米朝首脳会談の準備を進めるために直接交渉を行っていると報じた。日曜日にウォールストリート・ジャーナル紙がCNNに続いて報じた。

 

アメリカ政府高官たちは、5月に予定されている米朝首脳会談に向けた秘密交渉の指揮はマイク・ポンぺオCIA長官(次期国務長官に指名済み)が執っていると述べたとCNNは報じている。

 

北朝鮮政府は首都平壌での米朝首脳会談開催を強く求めていると報じられている。しかし、トランプ大統領は平壌を訪問しても良いと考えているかは明らかになっていない。

 

CNNは、モンゴルの首都ウランバートルも米朝首脳会談の候補地として考慮されていると報じた。

 

トランプ大統領は、先月韓国大統領特使がホワイトハウスを訪問し、金正恩からの招待を伝えられて、この招待を受け入れると表明した。ホワイトハウスは、米朝首脳会談開催前に、金正恩が確実な「ステップ」を進めるように期待していると述べた。

 

ここ1年間、米朝両国の指導者はお互いに非難し合い、緊張感を高めた。

 

トランプは北朝鮮が大陸間弾道ミサイルの実権を行うたびに非難し、金正恩を「小さなロケット男」と呼んだ。

 

金正恩は国際社会からのミサイル実験停止要求を拒絶し、トランプ大統領を「老いぼれ」と呼んだ。

 

(貼り付け終わり)


※私の仲間である石井利明さんのデビュー作『福澤諭吉フリーメイソン論』が2018年4月16日に刊行されます。大変充実した内容になっています。よろしくお願いいたします。

fukuzawayukichicover001
(仮)福澤諭吉 フリーメイソン論

 

(終わり)


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