古村治彦です。

 

 シンガポールでの米朝首脳会談が終了して約2週間の時間が経過しました。その間に、シンガポールで発表された共同宣言の内容の空疎さに対して世界中から懸念が表明されています。非核化に向けての詳細なスケジュールと方法が全く記載されていない中で、アメリカが北朝鮮に対して、「安全上の保証(security guarantee)」を与えるという内容は一方的過ぎる内容です。

 

 この2週間の間に米朝間で何か具体的な動きがあったとは寡聞にして知りません。両国における非核化に向けた交渉は共同宣言の内容に沿ったものですから、何も秘密裏に行う必要はありません。交渉の全てを公開する必要はありませんが、開催日時や場所、参加者の名前くらいは出しても不都合ではないし、それらを出してアピールしたほうが、「内容が決まっていない」「大丈夫か」といった懸念の声を抑えることが出来ます。

 

 そうした中で、ホワイトハウスから連邦議会に送られた定期報告書の中に、「北朝鮮はいまだにアメリカにとって大きな脅威である」という文言が使われていることが分かりました。そのことを紹介した記事を以下にご紹介いたします。

 

 これから分かることは、米朝首脳会談以降、米朝間では何も事態が進展していないということです。何か良い兆候があれば、中身が公開される報告書のような文書に、「とび抜けた、そして桁外れの脅威(unusual and extraordinary threat)」という文言は使わないでしょう。

 

 しかも、米朝首脳会談以降のドナルド・トランプ大統領の各種発言の内容は、「皆さん、良かったですね、北朝鮮はもはや脅威ではなく、私たちは安全になりました」というものですから、それと矛盾する内容をホワイトハウスが連邦議会に報告書として提出するというのは、重大なことです。大統領の発言を否定する内容なのですから。

 

 こうしてみると、米朝首脳会談は「成功」で終わったものの、そこから事態は良い方向に進んでいないのではないかという懸念が出ます。マイク・ポンぺオ国務長官は、トランプ政権の任期の終わりまでに何とかしたいという趣旨の発言をしていますが、うまくいくのか懸念があります。共同宣言によって、アメリカは軍事力を使って北朝鮮に迫るというオプションは封印されました。北朝鮮はまだ核兵器を保有しています。それで果たして北朝鮮と交渉できるだろうか、アメリカが望む合意を得られるだろうか、懸念があります。

 

 朝鮮半島の非核化への道はいまだ遠し、ということになりそうです。

 

 

(貼り付けはじめ)

 

ホワイトハウス:北朝鮮は「とび抜けた、そして桁外れの脅威」を示している(White House: North Korea presents 'unusual and extraordinary threat'

 

マロリー・シェルボーン筆

2018年6月22日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/homenews/administration/393673-white-house-north-korea-presents-unusual-and-extraordinary-threat-to

 

ホワイトハウスは金曜日に発表した声明の中で、北朝鮮はアメリカにとって「とび抜けた、そして桁外れの」脅威のままであると述べた。トランプ大統領は先週、北朝鮮は「もはや核兵器を持つ脅威の存在」ではないと発言したが、その内容と異なる声明が発表された。

 

トランプ政権は金曜日、連邦議会に対して通常の定期報告を行ったが、その中で、北朝鮮に対する経済制裁を維持するべき理由となる脅威はまだ存在すると述べた。

 

報告書の中には「朝鮮半島における武器に使用可能な燃料物質の存在と拡散の危険、そして北朝鮮政府の各種行動と諸政策は、アメリカ合衆国の国家安全保障、外交政策、経済にとってのとび抜けた、そして桁外れの脅威となっている」という文言が含まれている。

 

先週、トランプ大統領はシンガポールにおいて北朝鮮の指導者金正恩と首脳会談を行った。シンガポールからの帰国の途上、トランプ大統領は、北朝鮮政府は「もはや」核兵器による脅威をアメリカに与えない、と述べた。

 

トランプ大統領は6がウ13日にツイッターを更新し、その中で「やっと帰国できた。長旅だった。しかし、皆さん方全員、私が大統領に就任した時よりも安全だと感じているはずだ。北朝鮮からの核の脅威はもはや存在しない」と述べた。

 

トランプ大統領は更に次のように書いた。「金正恩との会談は興味深く、素晴らしい経験だった。北朝鮮は将来発展する大いなる可能性を秘めている!」

 

民主党連邦上院院内総務チャールズ・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は声明の中で、トランプ政権の連邦議会に対する報告の中の文言とトランプ大統領の発言が矛盾していることを批判した。

 

シューマーは次のように述べている。「トランプ大統領の政権が議会に提出した報告書はここ数週間のトランプ大統領の発言の内容を完全に否定するものだ。私たちは北朝鮮との交渉を写真撮影の機会以上に深刻に受け止めるべきだ。北朝鮮問題は解決したと発言することは全く内容を伴わない、意味のないことだ」。

 

トランプ大統領と金委員長は共同宣言に署名した。その内容は、アメリカは北朝鮮に対して例外なき「安全に関する保証」を与えるとし、それに対して金委員長は「朝鮮半島の完全な非核化に向けて一貫したたゆみない努力を行う責任を負う」を行うとした。

 

しかし、共同宣言には共同宣言で謳われた約束を米朝両国がどのように達成するのかについて詳細な内容は一切含まれていない。

 

トランプ大統領は更にアメリカが北朝鮮と非核化について交渉を行っている間は、韓国との共同軍事演習を行わないと述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


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今の巨大中国は日本が作った


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真実の西郷隆盛
 

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迫りくる大暴落と戦争〝刺激〟経済