古村治彦です。

 

 カジノ法案が参院で可決しそうな状況です。不急不要の法案であると思いますが、下に貼り付けた東京新聞の記事はその背景を分かりやすく書いています。簡単に言えば、トランプとシェルドン・アデルソンのためにカジノ法を急いで作らねばならないということです。

 

 ドナルド・トランプ、シェルドン・アデルソン、コーク兄弟というのが2010年代になって、反民主党、反バラク・オバマ大統領を標榜する共和党への大口政治献金を大富豪ということになっていました。その後、2016年の米大統領選挙では、ドナルド・トランプが実際に立候補、シェルドン・アデルソンがトランプ支援、コーク兄弟はトランプに対して批判的という構図となりました。コーク兄弟は自分たちで構築した大富豪たちの大口献金者ネットワークから多くの閣僚をトランプ政権に送り込みました。その代表がマイク・ポンぺオ国務長官であり、ベッツィー・デヴォス教育長官です。

 

 トランプ政権は北朝鮮に対して宥和的な姿勢を取りつつ、イランに対しては強硬な姿勢を取っています。これは、アデルソンが代表するユダヤ系アメリカ人の一部の強硬な姿勢を反映しているものです。アメリカにいるユダヤ人の一部には、実際にイスラエルに住んでいる訳ではないのに、イスラエルに対して「中東諸国に対して強硬な姿勢を取れ」と主張し、そうさせている人々がいます。現在のイスラエル首相ベンジャミン・ネタニヤフがそうした人々の意向を受けて行動しています。トランプの女婿ジャレッド・クシュナーもそうした中に入っています。しかし、北朝鮮に融和的な姿勢を示してしまった以上、イランに対して強硬な、攻撃を辞さないという姿勢を示すことは不合理です。

 

 コーク兄弟はこれまでにもご紹介してきたように、アメリカの海外での戦争には反対ですから、東アジアで戦争が起きることに反対していることは容易に想像できます。ですから、アデルソンとコーク兄弟は奇妙な形ですが、東アジアでの戦争に反対し、トランプとポンぺオはそれに同調したということになります。

 

 彼らの東アジア地域に求めるものは「お金儲けのためのビジネスチャンスと安定した環境」ということになります。

 

 以前の記事でもご紹介しましたが、ドナルド・トランプ大統領は金正恩委員長に対して、北朝鮮の海外線の景観の良さを褒め、「最高級のコンドミニアムを建設すればいい」と発言したということです。北朝鮮では共産主義でありながら、カジノ建設を進めようという動きも出ているようです。清津、羅先の羅津地区、新義州といった中国国境に近い沿岸の都市にカジノ建設の動きがあるようです。

 

 アデルソンたちは中東では商売にならないので、東アジアでの商売を目論んでいるのでしょう。世界における経済成長のセンターは日本を除く東アジアと東南アジア地域です。具体的には中国をはじめ各国で誕生している中間層、ミドルクラス相手に商売をするということ、更には富裕層には資金の逃げ場所を作るということではないかと考えています。

 

 富裕層は北朝鮮という独立国にあるカジノで遊ぶという名目で、多額の資金を持ち込む。カジノで遊ぶ人に資金を貸し付ける名目で外国の金融機関が支店を設ける。そこに口座を開く、貸金庫を借りるなどで資産を国外に逃がすということが横行するのではないかと思います。そして、日本にできるカジノもそのような使われ方をするのではないかと私は考えます。

 

 カジノ法案を急いで可決成立させねばならないのは、アメリカからの圧力もあるでしょうし、日本側としても、東京オリンピック後の観光の目玉としてできるだけ早く準備を進めたいということもあったでしょう。

 

 さて、6月12日の共同宣言によって最終的に勝利を収めたのは中国ということは多くの方が同意なさるのではないかと思います。これで在韓米軍の撤退が始まり、完全に撤退するとなれば、中国としてはだいぶ時間がかかりましたが、アメリカ軍を朝鮮半島から追い落とした、つまり朝鮮戦争で勝利したということになります。

 

 こうなると米軍としてはますます日本に固執することになるでしょう。やりたい放題が出来た上に、自分たちの経費を払ってくれるあほみたいに素晴らしい国である日本を手放すという選択肢はありません。「中国が怖いぞ」「ロシアだって怖いぞ」という恐怖感を煽りながら、日本に居座り続けるでしょう。それで実際に何か起きても助けてくれるという保証はありません。下の記事にもあるように、日本政府に対応しているのは制服の軍人たちで、沖縄返還時にこのことを変えようとした米国務省の動きはとん挫しています。

 

 制服の軍人たちが政府に対応するというのは、満洲国と関東軍の関係とそっくりです。日満関係は関東軍司令長官が駐満州国日本大使、関東庁長官を兼務するといういびつな形でした。日米関係も実はこれと同じということになります。

 

 日本は、カジノでむしり取られ、米軍には居座られる、という最悪の展開になりつつあります。しかし、アメリカの衰退は大きな流れで止めようがありません。日本はアメリカと一緒に衰退していくという運命にありますが、それでもアメリカが衰退すれば、日本に覆いかぶさっていた大きな影響力も小さくなることでしょう。日本がアメリカのくびきから脱する(逆に言えば捨てられる)時の国際情勢を予測しながら、その時に日本はどのような立ち位置を獲得すべきかということをこれから考えることが必要になっていくでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

●IR整備法案 参院内閣委で可決

 

NHK 2018719 1831

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180719/k10011540021000.html

 

カジノを含むIR=統合型リゾート施設の整備法案は、19日午後、参議院内閣委員会で採決が行われ、自民・公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決されました。法案は20日、参議院本会議で可決・成立する見通しです。

 

カジノを含むIR整備法案を審議している参議院内閣委員会は、19日の質疑に先立って理事会を開き、与党側は質疑終了後、直ちに採決したいと提案しましたが、野党側は「審議が深まっておらず、時期尚早だ」と主張し、断続的に協議が行われました。

 

その結果、同日午後開かれた理事会で、参議院野党第1党の国民民主党が、付帯決議を行うのであれば、採決するのはやむをえないという考えを示し、19日の委員会で採決を行うことが決まりました。

 

そして、法案の採決が行われた結果、自民・公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決されました。

 

法案は施設の整備区域について、当面は全国で3か所までとし、最初の区域認定から7年後に見直すとしているほか、事業者に対してカジノの収益の30%を国に納付することを義務づけています。

 

さらに、カジノに関する規制として、入場料を6000円とし、入場回数は1週間で最大3回、4週間で10回までに制限することや、事業免許を不正に取得した場合の罰則などを盛り込んでいます。

 

19日の委員会では、施設の整備区域数の見直しは、経済効果や治安などの負の影響を検証して慎重に検討することや、ギャンブル依存症対策の実効性を検証し、必要な措置を講じることなど、31の項目を盛り込んだ付帯決議も採択されました。

 

これを受けて、参議院議院運営委員会の理事会は、20日の本会議で、IR整備法案の採決を行うことを決めました。

 

法案は、与党などの賛成多数で、可決・成立する見通しです。

 

自民 藤川氏「災害対応優先の思い受け止める」

 

与党側の筆頭理事を務める自民党の藤川政人氏は記者団に対し、「大変な採決だった。豪雨災害のさなかであり、災害対応を優先すべきだという思いは、われわれも、真摯(しんし)に受け止めなければならない。法案としての完成度が低いという声もあったが、付帯決議の内容を、政府にもしっかり申しつけたい」と述べました。

 

立民 蓮舫氏「急ぐ理由分からない」

 

立憲民主党の蓮舫参議院幹事長は、記者団に対し、「今の国会で無理に強行採決しなくても、次の国会で継続審議にすればいいと思っていたので、急ぐ理由がわからない。優先すべきは人命で、豪雨災害の被災地の対応を急げば、助かる人がいる。安倍政権や自民党と公明党の議員の考えは全く理解できない」と述べました。

 

国民 舟山氏「付帯決議にこだわった」

 

国民民主党の舟山参議院国会対策委員長は記者会見で、「『優先すべきは、豪雨災害の対応だ』という思いはあるが、数の力で強行採決される中、懸念事項を突きつけ、ブレーキをかけることしか野党には出来ないので、付帯決議にこだわった」と述べました。

 

一方、舟山氏は、採決の際に一部の野党議員が、委員長席に詰め寄り、抗議したことについて「委員長席のマイクを奪うことで、採決が無くなり、廃案になるのなら、喜んでやるが、聞き捨てならないようなやじなどの品格を落とす行為は、いくら反対であっても、同じ立法府の人間として、残念に思う」と述べました。

 

 

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●「カジノ法案にトランプ氏の影 きょう参院審議入り」

 

201876日 朝刊 東京新聞

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201807/CK2018070602000130.html

 

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案は、六日に参院での審議に入る。カジノ解禁を安倍政権が急ぐ背景には、米カジノ業界から支援を受けるトランプ米大統領の影が見え隠れする。ギャンブル依存症の増加など多くの懸念が指摘される法案は結果的に、日本参入を目指す米側の要求が反映された。 (中根政人)

 

 二〇一七年二月十日朝。米首都ワシントンに前夜到着した安倍晋三首相は、米国商業会議所での朝食会に出席した。昼には、前月大統領に就任したばかりのトランプ氏との初めての日米首脳会談を控えていた。

 

 出席した米国のビジネスリーダーは十四人。金融や軍事産業などのほか、米国を代表するカジノ企業トップ三人もいた。今年六月にシンガポールで開かれた米朝首脳会談の前夜、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が視察したカジノ入りの高級ホテル「マリーナベイ・サンズ」などを経営する「ラスベガス・サンズ」会長の「カジノ王」シェルドン・アデルソン氏も含まれていた。

 

 アデルソン氏は、トランプ氏の有力支援者。大統領選で四十億円近い資金援助をし、今秋の中間選挙でも共和党に資金提供を約束していると報じられる。政権の政策にも大きな影響力を持つ。イスラエルのネタニヤフ首相の支援者でもあるユダヤ系で、米大使館のエルサレム移転を歓迎し、費用の寄付も申し出ている。

 

 安倍首相は朝食会でアデルソン氏らを前に、前年十二月に公明党幹部の反対を押し切って強硬に成立させたカジノを含むIR整備推進法が施行されたことを「手土産」にアピールした。

 

 「IRは観光立国を目指す日本にとって有益だ」「IRへの社会的懸念など課題解決に貢献したい」。米側が日本進出への意欲を口々に語った様子を、首相自身が今年六月の国会で紹介。ただ、朝食会から三時間後のトランプ氏との首脳会談では、カジノの話題は一切出なかったと答弁した。

 

 アデルソン氏は一七年九月、カジノ誘致を目指す大阪府庁を訪問。記者団にIRの採算が取れなくなると強調、カジノに厳しい面積規制を導入しないよう求めている。

 

 「在日米国商工会議所」も昨年、意見書を公表。カジノ客への金融サービス実施や面積規制の緩和も求めた。その後、政府案に当初盛り込まれていた面積の上限の数値は消え、カジノ事業者が顧客に賭け金を貸し出すことも認めた。米側の要求と一致したと国会でも指摘されたが、政府は日本の政策判断だと強調する。

 

 だが、立憲民主党の枝野幸男代表は「米国カジノ業者が子会社をつくり運営し、日本人がギャンブルで損した金を米国に貢ぐ。国を売る話だ」と厳しく批判している。

 

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●「軍主導の日米合同委見直し提起 72年に米大使、米軍抵抗で頓挫」

 

201813 06:30

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-640527.html

 

日米合同委員会 米軍 日本復帰 沖縄 米国務省 日米地位協定

 

 1972年5月の沖縄の日本復帰を節目として、在日米大使館が同月、「占領期に築かれた異常な関係が存在する」として、日米合同委員会の体制見直しを米国務省に提起していたことが、機密指定を解禁された米公文書で分かった。日米合同委は米軍駐留の条件を定めた日米地位協定の運用を協議する機関。国務省側も提案を支持したが、米軍の抵抗に遭い、軍部主導の枠組みは温存された。大使館の提案は、在日米軍副司令官が合同委の米側代表を務める枠組みを変える内容。日本側は全ての委員を文民が占めていることから、米側も代表権を大使館の公使に移し、米軍は技術的見地から大使館側を「補佐」する内容を提起していた。

 

沖縄の日本復帰を機に日米合同委員会の米側代表者を軍部から大使館に移すべきだと米国務省に報告する在日米大使館発の「秘密」扱いの公電

 

 合同委では現在、米側が代表者をはじめ委員6人のうち5人を軍人が占めている。日米間の協議の場で「軍の論理」が最優先されていると指摘されてきたが、米政府の内部からも軍部主導の運営に批判が上がっていたことになる。

 

 在日米軍の2002年7月31日付の通知は、在日米軍副司令官は合同委で「米国防総省や米軍のみならず、米政府全体を代表する立場にある」と明記している。さらに合同委の場で「米側を代表する発言または行動を認められた唯一の人物」と位置付けており、現在も米軍が強大な権限を持っていることを示している。

 

 72年5月にインガソル駐日米大使が国務省に宛てた秘密扱いの公電は「沖縄返還を機に合同委の在り方を再検討する必要がある。制服の軍人が日本政府と直接やりとりし、大使館は対応方針に異論を唱える余地がない状況になるまで素通りされている」と不満を示し、見直しを提起した。

 

 これを受けた同じ5月の国務省の秘密扱いの返信は「合同委員会の枠組みは他の多くの国におけるものと整合せず、現在の日本の状況下では正当化できない」と大使館に賛同した。

 

 だが米太平洋軍や在日米軍が「軍の柔軟性や即応性を維持する必要がある」「合同委員会はうまく機能しており、日本側から変更を求める兆候もない」などと抵抗したことが、72年6月の米大使館発「秘密」公電に記録されている。

 

 これに対し大使館は72年6月の「関係者限り」の文書で「占領期に築かれた、軍部と背広組が直接やりとりする異常な関係だ」と現行の枠組みを批判した。その上で「安全保障を巡る日本との関係は経済や政治的側面に影響されるようになった」とし、大使館への代表権の移管を求めた。

 

 だが72年8月の米大使館発公文書は、大使館の公使を在日米軍副司令官に次ぐ「代表代理」に任命し、また政治的に敏感な問題に関する情報を早めに提供するなど、米側内部の運用を変更する形で大使館と米軍の交渉が最終的に決着した経緯を記している。

 

 在日米大使館発の公電は米国立公文書館所蔵。(座波幸代本紙ワシントン特派員、島袋良太)

 

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●「対米従属の極み ポンコツ兵器押し売りにダンマリの日本」

 

2018217日 日刊ゲンダイ

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/223397/1

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/223397/2

 

 ヤクザにたかられる“カモ”と一緒である。日本政府が米国から「イージス・アショア」や戦闘機などの防衛装備品を購入する「有償軍事援助」(FMS)をめぐり、改めてその問題が浮き彫りとなった。

 

 FMSは「価格および納期は米政府の見積もり」「代金前払い」「米国側から契約解除可能」――など、米国側にとって極めて都合のいい条件が設定されている。その上、代金を支払った分の装備品も注文通りに納入されているわけではないから驚きだ。

 

 会計検査院の調べによると、納入された装備品のうち「不具合」が見つかったのは、2005年度~16年度で107件、金額で約2300億円にも上る。01年度、03年度~11年度、13年度では、米国から送付されてくる装備品の金額を掲載した「計算書」と、実際に日本側が受け取った「受領検査調書」の内容が一致しないケースが64件、約671億円あった。

 

14日の衆院予算委でも無所属の会の原口一博議員が「トランプ米大統領に『日本はあなたの財布じゃない』と言いたい。米国のずさんな管理で現場が苦労している」と安倍首相に迫ったのも当然だ。

 

 FMSをめぐっては、前払い金と実際の購入費用の差額である「余剰金」について、米国からの返還が滞っている上、昨年度の「未精算額」が約623億円、「未納入額」が約189億円に上る。こうした数百億円ものカネが毎年、米国の精算手続きの遅れから宙に浮いたまま。米国から見れば、契約段階で言い値のカネを支払う日本は“カモ”だが、不良品をつかまされる現場の自衛隊員はたまったもんじゃない。元外交官の天木直人氏がこう言う。

 

「多額の税金が装備品の購入に費やされ、その上、ポンコツ品を買わされている現状は、深刻ですよ。日本は米軍基地の負担や武器購入などで多額のカネを払っているにもかかわらず、トランプ大統領は日本を『ドロボー』呼ばわり。それでも、安倍政権は何ら抗議することなく唯々諾々と従っている。対米従属ここに極まれり、です」

 

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●「米軍に国内法が原則適用されず 独伊と差」

 

毎日新聞2018418 0119(最終更新 418 0227)

https://mainichi.jp/articles/20180418/k00/00m/010/166000c?fm=mnm

 

 相次ぐ米軍機の事故やトラブルで、在日米軍の権利などを定めた日米地位協定が改めて注目されている。米軍が特権的に振る舞う根拠となっている協定の改定を求める沖縄県は、日本と同じく第二次大戦の敗戦国であるドイツとイタリアの地位協定を調査した。その結果、不平等な協定に甘んじる日本の特異性が浮き彫りになった。

 

 沖縄県知事公室の職員3人が2月上旬、米空軍基地がある両国の4市町を訪問し、首長らへの聞き取り調査を実施。報告書を3月末に公表した。

 

 ドイツ南西部、在欧州米空軍司令部が置かれるラムシュタイン基地。米軍にもドイツの航空法が適用され、午後10時~午前6時は原則として飛行が制限される。基地内にドイツの警官2人が常駐して警察権を行使するほか、「騒音軽減委員会」が設置されている。

 

 同委には米軍司令官や周辺5自治体の首長、市民団体の代表者ら20人以上が参加し、米軍から深夜・早朝の航空機の離着陸回数などのデータが報告される。地元市長は沖縄県の調査に「米軍の騒音軽減の取り組みにはポジティブな印象を持っている」と語った。

 

 ドイツは駐留米軍の訓練・演習について許可・承認する権限も持つ。沖縄県の担当者は「米軍から自治体への飛行データの提供など沖縄では考えられない。日本では国にも提供されていないのではないか」と運用の格差に驚く。

 

 イタリアでは米軍基地はイタリア軍が管理し、同軍司令官が常駐している。北部の米空軍アビアノ基地があるアビアノ市副市長によると、イタリア航空法令が米軍に適用され、州レベルで地域委員会を設置。自治体の要望によって飛行ルートも変更されるという。

 

 両国とも、駐留当初から米軍が同様に対応していたわけではない。ドイツは1993年まで3回にわたって米国などとのボン補足協定を改定し、米軍基地がドイツの主権下にあることを明確化した。イタリアでは98年、米軍機がロープウエーのケーブルを切断して乗客ら20人が死亡した事故を機に、米軍機への規制を大幅に強化した。ランベルト・ディーニ元伊首相は沖縄県の調査に対し「ここはイタリアだ。米軍の全活動にはイタリア軍司令官の許可がいる」と言い切った。

 

 防衛問題に詳しいジャーナリストの布施祐仁さんは「地方自治体が他国の地位協定を現地調査したのは初めてだろう。本来は国が調べて公表すべき問題だ」と語った。

 

「騒音違反」も日本では常態

 

 これに対し、日米地位協定では原則、米軍に国内法が適用されない。航空法は地上の人や物、航空機の安全を確保するため最低安全高度(市街地300メートル)を定めているが、米軍機は対象外だ。政府には米軍の訓練・演習を規制する権限もない。全国の米軍専用施設の約7割が集中する沖縄では、騒音軽減のための日米合意さえも守られない状況が常態化している。

 

 96年、日米両政府は嘉手納基地(嘉手納町など)と普天間飛行場(宜野湾市)について、午後10時~午前6時の飛行を原則として制限する航空機騒音規制措置(騒音防止協定)に合意した。だが、防衛省沖縄防衛局の目視調査では、2017年度(今年2月末現在)の飛行制限時間帯の離着陸などの回数は1420回に上る。嘉手納町では騒音などへの住民の苦情件数が同期間で940件もあり、既に前年度の3.6倍に達している。町によると、最新鋭ステルス戦闘機F35A12機が嘉手納基地に暫定配備された昨年11月以降、苦情が激増している。町基地渉外課の我謝(がじゃ)治彦課長は「寝静まっている時間帯に米軍機が飛ぶことに住民は不満を抱いている。米軍へ抗議しても状況は変わらない」と話す。

 

 被害は沖縄だけにとどまらない。県西部の上空に米軍の訓練空域がある広島県。同県がまとめた17年度上半期の低空飛行訓練の目撃情報は814件で、4年ぶりに800件を超えた。うち8割近くは県西部の北広島町に集中。県などは中国四国防衛局に対応を申し入れているが、「訓練している部隊名を聞いても『承知していない』としゃくし定規の回答しかない」(美濃孝二町議)という。

 

 沖縄国際大の前泊博盛教授(基地経済論)は「対等な地位協定は民主主義を実現するための試金石だが、日本は主権国家の体を成していない。ドイツとイタリアは国民の安全や権利を踏まえて政府が米軍側と交渉しており、物言わぬ日本政府とは対照的だ」と批判。布施さんは「沖縄県の調査で、米軍の主権侵害とも言える日本の異常さが明確になった。憲法改正より先に地位協定の改定に取り組むべきだ」と語った。【福永方人、遠藤孝康】

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)


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真実の西郷隆盛
 

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