古村治彦です。

 

 2019年になって、民主党内におけるアメリカ大統領選挙に向けた動きがスタートし始めました。大きな動きは、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が大統領選挙出馬に向けた「準備委員会(exploratory committee)」を立ち上げると発表しました。これは実質的には選挙委員会(election committee)です。

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ウォーレン

 

 そして、もう一つの動きは、『ニューヨーク・タイムズ』紙が、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が2016年の米大統領選挙民主党予備選挙に出馬し、選挙運動を行った際に、陣営内でセクシャルハラスメントがあり、それにうまく対応しなかったという記事を掲載したことです。


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サンダース

 サンダースは2016年民主党予備選挙に出馬し、ヒラリー・クリトン元国務長官と激しく争い、最後には敗れてしまいましたが、ヒラリーに大きなダメージを与え、そのダメージが後々まで尾を引き、ヒラリーは本選挙で敗れてしまいました。ヒラリーにしてみれば、トランプに対するよりも、サンダースに対する恨みの方がはるかに大きいと考えられます。

 

 サンダースは社会主義者(民主社会主義者)を自認し、格差是正のための進歩主義的な政策を主張し、若者たちからの支持を得ました。そして、2018年の中間選挙では、サンダース派の候補者(Sanders candidates)が多数立候補することになりました。その多くは落選しました。しかし、このブログでもご紹介した、史上最年少の連邦下院議員選挙当選者となったアレクサンドリア・オカシオ=コルテスはサンダースの選挙運動の手伝いを行い、それが縁となって、立候補することになったサンダース派の一人です。

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アレクサンドリア・オカシオ=コルテス 

 ケネディ王朝のお膝元マサチューセッツ州選出連邦上院議員のエリザベス・ウォーレンは、民主党エスタブリッシュメントにも受けがよく、小うるさいバーニー・サンダースよりもはるかに「適格の候補者」ということになります。ます2019年初頭の段階として、ウォーレンを持ち上げ人気を上げつつ、サンダースの人気をあらゆる方法を使って、少しずつでも削り取っていくという動きが始まりました。

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 今回のサンダース陣営のセクシャルハラスメント疑惑に関しては、アレクサンドリアにとっても痛手となるでしょう。彼女も陣営に参加していた訳で、そこでできた人脈や友人関係を通じてセクシャルハラスメントやパワーハラスメントが起きていることを見聞きしていたかもしれません。それなのに何も言わなかったということになると、清廉なイメージを売りにしているアレクサンドリアには痛手ということになります。

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ナンシー・ペロシ 

 アレクサンドリアは、連邦下院議長にナンシー・ペロシが選ばれること(2度目)に関しては反対しなったようですが、ペロシ率いる連邦下院民主党執行部が決めようとしているルール、予算執行が必要な法律や提案を行う際には、その財源を確保し、何かを削ってそれに充てるようにするという、pay-as-you-go方式に反対を表明しています。

 

 民主党エスタブリッシュメント対サンダースをはじめとする進歩主義派の戦いという構図が見えてきます。民主党エスタブリッシュメントは、ウォーレンを応援しながら、サンダースを叩き落とすということを考えているようです。そして、ペロシにとってはぶんぶんとうるさい新人のアレクサンドリア・オカシオ=コルテスもついでに少し黙らせようということもあるのだろうと思われます。

 

(貼り付けはじめ)

 

2016年米大統領選挙のサンダース陣営のスタッフたちが性的嫌がらせを経験したと告発(Aides say they experienced sexism from officials in 2016 Sanders campaign

 

ブレット・サミュエルズ筆

2018年1月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/423592-aides-say-they-experienced-sexism-from-officials-in-2016-sanders-campaign?fbclid=IwAR3vQ3-a7P2Jjp6_R2rwtJaq1aog4W9CWPteemb2cmeQf7Pua-peaICZPVg  

 

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の2016年米大統領選挙にスタッフとして参加した人々が、選挙運動期間中に性的嫌がらせとハラスメントを受けたと告発した。水曜日、『ニューヨーク・タイムズ』紙が報じた。

 

ニューヨーク・タイムズ紙はサンダース陣営に州レヴェル、全国レヴェルでスタッフとして参加した10名以上に取材を行った。女性の元スタッフたちは陣営内で起きたハラスメントについて詳細を語り、上司たちによる彼女たちの訴えの取り扱いを厳しく批判した。サンダースが2020年米大統領選挙への出馬を検討している中で、この記事は発表された。

 

ネヴァダ州でスタッフとして参加したある人物は、上司と一緒に出張していた時に、その上司が彼女の髪の毛に「性的に誘う」ように指を通してきた。ニューヨーク・タイムズ紙は、ハラスメントを受けた人物が更に上位の管理責任者に報告したところ、この出来事を笑い飛ばしただけだったと報じている。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は更に、男性スタッフの中には、同じような仕事をしていた女性たちよりも給与が数千ドルも高い人たちもいたと報じている。また女性の元スタッフたちは、彼女たちが知らない男性の同僚たちと同じ部屋で就寝するように求められたとも語っている。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は、サンダース自身がこのような申し立ての内容を知っていたのかどうは明確ではないと報じている。2016年にサンダース陣営の責任者を務めたジェフ・ウィーヴァーは、ニューヨーク・タイムズ紙に取材に対して、ハラスメントを行った人はどんな人も「戻ってくるように依頼されることはないだろう」と語っている、また、選挙陣営内にはスタッフの更なる多様性が必要であり、それはスタッフ間のより積極的な経験を生み出すものとなると認識しているとも述べた。

 

ニューヨーク・タイムズ紙は水曜日にサンダース陣営のハラスメントについての記事を掲載した。この3日前に、サンダース陣営に参加した20名を超える人々が連名でサンダースに対して書簡を送り、実際に起きた「性的暴力とハラスメント」について直接会って話し合うことを求めたということだ。

 

サンダースの選挙運動は草の根の支持を集め盛り上がり、ヴァーモント州選出の連邦上院議員サンダースは全国規模の注目を集めた。77歳になるサンダースは2020年に行われる米大統領選挙に再び出馬するかどうかは発表していないが、自分がトランプ大統領を倒すに最適な人間だと確信を持てれば出馬すると述べている。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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