古村治彦です。

 

 アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は早速アメリカ政界において大きな批判に晒されています。共和党側が批判するのは当然ですが、彼女が所属する民主党内でも批判が起きています。

 

 アレクサンドリアが富裕層に対する税率の引き上げ、最高税率70%への引き上げを主張し、民主、共和両党で批判が起きています。アレクサンドリアは、年間収入1000万ドル(約11億円)以上の世帯の最高税率を70%にすることを主張しています。

alexandriaocasiocortez020

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス
 

現在のアメリカでは、約1080万世帯が100万ドル以上、130万世帯が500万ドルから2500万ドル、15万6000世帯が2500万ドル以上を稼いでいるということになります。人口の10%ほどが100万ドル以上を稼ぐということになります。1000万ドルということになると、人口の1%以内ということになるでしょう。(参考:Some say ‘millionaire is the new middle class’—here’s how many Americans are actually worth $1 millionhttps://www.cnbc.com/2017/06/23/how-many-americans-are-millionaires.html

 

2011年にウォール街で始まった「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」運動のスローガンは、「私たちは99%だ(We are the 99%)」というものです。アメリカでは人口の1%の収入が激増し、アメリカの総資産の約34%を保有しているということで、「1%対99%」はアメリカの格差拡大を象徴する言葉となっています。アレクサンドリアはこの1パーセントを増税の対象にするという主張をしています。

 

 アレクサンドリアについて、「過激すぎる」という批判が民主党内からも出ています。私はアレクサンドリアの出現とトランプ大統領の誕生は共に、「人々の怒り」が根底にあるということは前から指摘してきました。トランプ大統領を当選させたのは、ラストベルトと呼ばれる工業地帯の白人労働者たちです。この人たちは労働組合に入っており、もともとは民主党支持でした。しかし、民主党が自分たちの代表ではないということで、トランプを支持しました。

 

 アレクサンドリアが無名の新人であったのに、10期連続当選の現職ジョセフ・クローリーを破ることが出来たのも、クローリーが地元の人々の生活に目を向けていないという批判が大きくなったということも理由として挙げられます。

 

 民主党がエリート主義に陥り、ウォール街民主党と揶揄されるような状態になっていた、それを象徴するのがヒラリー・クリントンでした。ヒラリーを応援したのは民主党エスタブリッシュメントであり、この民主党エスタブリッシュメントがアレクサンドリア批判を展開しています。

 

 アレクサンドリアの提案について、アメリカ国民の過半数が支持しているという結果が出ました。トランプを大統領に押し上げた流れがまだアメリカに残っているということがここから分かります。既成政党主流派にとっては大きな脅威となる流れです。アレクサンドリア・オカシオ=コルテスとドナルド・トランプ大統領は人間的に重なるところはない2人ですが、実は共通点を持っている、そして2人の過激さをアメリカ人は支持し、それを使って、現状を打破しようとしているということが分かります。

 

(貼り付けはじめ)

 

世論調査:アメリカ人の過半数が最高税率を70%に引き上げることに賛成(Poll: A majority of Americans support raising the top tax rate to 70 percent

 

マシュー・シェフィールド筆

2019年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/hilltv/what-americas-thinking/425422-a-majority-of-americans-support-raising-the-top-tax-rate-to-70

 

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)と共和党でオカシオ=コルテス議員を批判している人々は両方とも、議員のアメリカの最高税率の劇的な引き上げ提案を「過激」と称している。しかし、最新の世論調査の結果が火曜日に出され、アメリカ人の過半数が彼女の考えに賛成していることが明らかになった。

 

新人議員アレクサンドリア・オカシオ=コルテスがアメリカの最高税率を70%に引き上げることを提案した。その後、2019年1月12日から13日にかけて本誌ザ・ヒル誌と「ハリスX」社が世論調査を実施した。世論調査の結果、有権者の過半数、59%が彼女の考えを支持するということが分かった。

 

オカシオ=コルテスは彼女の考えを具現化するための法案をいまだに提案していないが、世論調査は、幅広い階層や在住地のアメリカ人が、少なくとも現時点では、彼女の考えを支持していることを示している。

 

女性は賛成62%、反対38%と大きな差がついている。男性の過半数も賛成しており、その数字は55%対45%となっている。彼女の提案はアメリカの全ての地方で人気がある。南部に住む人々の間では、賛成57%、反対43%という結果が出た。地方在住者も彼女の提案に56%が賛成し、44%が反対している。

 

最高税率を70%に引き上げることについて、共和党員の中では賛成が驚くべき数字を集めた。本誌とハリスX社の世論調査では、共和党支持の有権者の45%が賛成し、55%が反対している。

 

支持政党を持たない有権者はオカシオ=コルテスの提案に賛成が60%、反対が40%という結果が出た。民主党支持者の間では賛成が71%、反対が29%となった。

 

オカシオ=コルテスはバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を含む進歩主義的な連邦議員のグループに属している。サンダース議員はアメリカの富裕層に対しての連邦税の税率を引き上げることを求めている。ニューヨーク州選出の民主党所属議員であるオカシオ=コルテスは2019年1月6日に民主党内で税率引き上げについて議論を開始した。CBSのテレビ番組「60ミニッツ」とのインタヴューの中で、オカシオ=コルテスは最高税率の設定に賛成する、1000万ドルの収入がある個人には70%の税率をかける、と述べた。

 

「60ニミッツ」の中で、オカシオ=コルテスは20世紀中盤の税率について言及した。1950年代から60年代にかけて、アメリカの富裕層に対する税率は90%を超えるものであった。

 

オカシオ=コルテスは「私の提案は、1000万ドルの収入全てに最高税率をかけるということではない。しかし、私の提案は、収入が上がれば上がるほど、社会に対してより貢献できるようになるということだ」と述べた。

 

オカシオ=コルテスの提案は民主党内で批判を受け、かつ受容されている。共和党員と保守派のコメンテイターたちは総じて批判的である。中には誤解して、オカシオ=コルテスはアメリカの富裕層のうち70%の人々の収入全てを税金として取り上げたいと考えていると主張している。

 

最新の本紙とハリスX社の世論調査は登録された有権者の割合に沿ってオンライン上で実施された。誤差は3.1ポイントだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)