古村治彦です。

 

 今回はNBCニュースとウォールストリート・ジャーナル紙共同世論調査の結果についての記事をご紹介します。2020年の米大統領選挙に向けて、いろいろと動き出している中で、現在の状況はどうなっているのかを知る上で重要な内容が多く含まれています。

 

 トランプ大統領の支持率は安定しています。今回の世論調査の結果では46%で、前回に比べて3ポイント上昇しています。記事中のグラフに示されている通り、トランプ大統領の支持率は4割台中盤でずっと安定しています。

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 次に2020年の選挙で誰に投票するかという質問に41%がトランプ大統領と答え、48%が民主党の候補者に投票すると答えました。こうして見ると、トランプ大統領には不利な状況のようですが、民主党ではまだ候補者は決まっておらず、誰が有利ということもないので、この数字の差ほどにトランプ大統領が負けているということはありません。

 

 今回の世論調査で興味深かったのは、大統領にふさわしい人物像という質問があって、例えば、男性、とか女性、ゲイやレズビアンというものや、75歳以上の人物などという項目がありました。その中で、ふさわしくないという答えが多かったトップ(ワースト)3が、「イスラム教徒(ふさわしい:49%、ふさわしくない:49%)」「75歳以上の人物(37%、62%)」「社会主義者(25%、72%)」でした。

 

 民主党の予備選挙に関して世論調査を行うとトップ2に入るのが、ジョー・バイデン前大統領とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)です。しかし、この2人とも有権者がふさわしくないと考える人物像に当てはまってしまいます。

 

 また、民主党支持者たちにどのような候補者が望ましいかという質問をしたところ、トランプ大統領に確実に勝てる候補者という答え(40%)よりも自分たちの考えに合う政策を主張する候補者という答え(56%)の方が多いという結果が出ました。

 

 こうして考えると、民主党内の予備選挙で勝利して大統領選挙本選挙の民主党候補者になるためには、左寄りの政策を訴えねばならないが、それで本選挙に勝てるかどうかは分からない、社会主義者だと受け止められたら、勝利者はおぼつかない、というジレンマに陥ることになります。

 

 2008年と2012年の大統領選挙でバラク・オバマが勝利を収めましたが、そのどちらの時もジョン・マケイン(と副大統領候補サラ・ペイリン)、ミット・ロムニー(と副大統領候補ポール・ライアン)は共和党の予備選挙で勝利するために右に寄り過ぎたために、本選挙で勝利を収めることが出来ませんでした。こうしたジレンマに2020年の民主党が陥る可能性があります。

 

 こうして見ると、トランプ大統領は決して不利な状態に置かれているのではないということが分かります。

 

(貼り付けはじめ)

 

世論調査:10名中4名がトランプ再選に投票と答える(Poll: 4 in 10 would vote to reelect Trump

 

カイル・バラック筆

2019年3月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/432358-poll-4-in-10-would-vote-to-reelect-trump

 

NBCニュース・ウォールストリート・ジャーナル紙共同世論調査の結果が日曜日に発表された。調査に答えた人の41%が来年の大統領選挙で「絶対に」もしくは「高い可能性で」トランプ大統領に投票するだろうと答えた。

 

約半数にあたる48%が「絶対に」もしくは「高い可能性で」民主党の候補者に投票するだろうと答えた。

 

今回の世論調査では、トランプ大統領の仕事ぶりに対する支持率は1月に比べて3ポイント上昇し、46%であった。

 

共和党支持者の大多数は大統領の仕事ぶりを評価し、地方在住者、大学の学位を持たない白人、男性、白人全体の過半数も評価した。

 

一方、アフリカ系アメリカ人の大多数がトランプ大統領に対して否定的な考えを示した。ラティーノ、女性、18歳から34歳までの人たち、大学の学位を持つ白人、無党派の過半数も否定的な考えを示した。

 

NBC・ウォールストリート・ジャーナル紙共同世論調査は2019年2月24日から27日かけて900名の成人に実施され、誤差は3.3ポイントである。

 

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NBC・ウォールストリート・ジャーナル紙共同世論調査:2020年の大統領選挙はトランプ大統領にとって困難が待ち構えているが、共和党員や支持者からは強固な支持を獲得(NBC News/WSJ poll: 2020 race will be uphill for Trump, but he has strong party loyalty

―NBC・ウォールストリート・ジャーナル紙共同世論調査の結果では、トランプ大統領はロシア疑惑に関する捜査と国境の壁建設について向かい風を受けているが、共和党員や支持者からの強固な支持と好況によって支えられている、という結果が出た

 

2019年3月3日

マーク・マレー筆

NBCニュース

https://www.nbcnews.com/politics/meet-the-press/nbc-news-wsj-poll-2020-race-will-be-uphill-trump-n978331

 

ワシントン発。2020年の大統領選挙まで1年半を残す時期になった。最新のNBCニュース・ウォールストリート・ジャーナル紙共同世論調査によると、ドナルド・トランプ大統領は再選に向けていくつかの障害に直面していることが分かった。

 

10名中4名が来年のトランプ大統領の再選に投票すると答えた。58%の人がロシア疑惑についてトランプ大統領が正直で信頼に足る人物ではないと考えていると答えた。60%が大統領の国境の壁建設のための国家非常事態宣言に対して支持しないと答えた。

 

しかし、トランプ大統領を倒したいと考えている民主党員や支持者たちは自分たちに対してハードルを設定している。大統領の仕事ぶりに対する支持率は安定しているし、共和党員や支持者たちの約90%が支持している。アメリカ人の過半数は経済に対して信頼を持っており、翌年に景気後退にはならないと確信している。

 

これらをまとめ、NBC・ウォールストリート・ジャーナル紙共同世論調査を実施した民主党系と共和党系の世論調査専門家たちは、2020年の米大統領選挙は接戦とはならないだろうと予測している。

 

民主党系の世論調査専門家ピーター・ハートは「ゲームの現在の状況は45対55で大統領に不利となっている」と述べた。

 

共和党系の世論調査専門家ビル・マキンターフは更に「こうした経済に関する数字が変わらなければ、現職大統領が有利ということになる」と述べている。

 

そして、もう一人の民主党系の世論調査専門家フレッド・ヤンは、大統領選挙の形は、トランプ大統領に対する民主党の候補者が正式に決まる時に変わるだろう、と述べた。

 

ヤンは更に「2016年の選挙で私が痛みを感じながら学んだもう一つの教訓は、選挙というものは候補者たちの中から1名を選ぶことで、1名に対して支持するか、しないかの投票ではない、ということだ」と述べた。

 

NBC・ウォールストリート・ジャーナル紙共同世論調査は2019年2月24日から27日まで実施された。この週はトランプ大統領にとって大変な週となった。トランプ大統領の元顧問弁護士で裏の汚れ役を務めたマイケル・コーエンに対する連邦議会の公聴会、アメリカと北朝鮮との間の核開発に関する交渉が失敗に終わったこと、民主党が過半数を握っている連邦下院がトランプ大統領の国境の壁建設をめぐる非常事態宣言を覆えそうとしていることなどが起きた。

 

■トランプ大統領の仕事に対する支持率は46%

―トランプ大統領の支持率は就任以来比較的安定している

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大統領に対する姿勢は一定を保っている。アメリカ人の46%がトランプ大統領の仕事ぶりを評価している。これは1月に比べて3ポイント上昇となった。しかし、この上昇は誤差の範囲内である。

 

トランプ大統領への支持率が高い諸グループ:共和党支持者(88%)、地方在住者(60%)、大学の学位を持たない白人(60%)、男性(54%)、白人全体(54%)

 

トランプ大統領への支持率が低い諸グループ:アフリカ系アメリカ人(88%)、ラティーノ(64%)、女性(61%)、18歳から34歳までの人々(57%)、大学の学位を持つ白人(55%)、無党派(51%)

 

有権者登録をしている人の41%が2020年の大統領選挙でトランプ大統領に「絶対に」「高い可能性で」投票するだろうと答えた。一方、民主党の候補者に「絶対に」「高い可能性で」投票するだろうと答えたのは48%だった。

 

■2020年にトランプに投票すると答えた割合対歴代大統領

―トランプ大統領に関して、大統領在任期間中の同時期に再選に向けた数字で、オバマ前大統領、ブッシュ前大統領よりも悪い数字が出た

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これらの数字は2012年大統領選挙に向けた同じ時期2011年にバラク・オバマ前大統領が直面した数字よりも悪い数字になっている。2011年の時には、オバマ大統領(当時)に投票するだろうと答えたのは45%で、共和党の候補者に投票すると答えたのは40%だった。

 

しかし、トランプ大統領の数字は、1995年1月段階のビル・クリントン元大統領の数字とほぼ同じだ。この時、38%がクリントン大統領(当時)に投票すると答え、42%が共和党の候補者に投票すると答えた。

 

オバマ前大統領、クリントン元大統領は共に再選を果たした。

 

●大統領の人物像として最も人気の高いものと最も人気が低いもの

 

最も人気が高い人物像:アフリカ系アメリカ人(合計で87%が「熱烈に支持」もしくは「受け入れやすい」と答えた)、白人男性(86%)、女性(84%)、ゲイかレズビアンの人物(68%、2006年の43%から上昇)

 

最も人気が低い人物像:イスラム教徒(49%が「熱烈に支持」もしくは「受け入れやすい」と答えた、2015年の32%から上昇)、75歳以上の人物(37%)、社会主義者(25%)

 

■社会主義者であること、もしくは75歳以上が大統領選挙候補にとって最も望ましくない人物像

―40歳以下の人物はより多くの有権者が受け入れている

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社会主義に関しては、アメリカ人全体の18%がこの言葉を肯定的にとらえ、50%が否定的にとらえている。

 

資本主義という言葉に関してはちょうど逆の結果が出た。50%が肯定的に、19%が否定的にとらえている。

 

●民主党支持者たちは現実主義よりも大胆さを選ぶ

 

これから1年後に民主党の予備選挙が実施される。そうした中で、民主党の予備選挙に参加すると答えた有権者のうちの55%が、大きな変化をもたらすであろう政策(そのためのコストと法案通過の困難さはあるにしても)を提案する候補者を望むと答えた。一方、42%は変化をもたらさない(コストは低く、法案通過もより容易)であろう候補者を支持すると答えた。

 

更には、民主党予備選挙に参加すると答えた有権者の56%が、自分たちの考えと合う諸問題についての考えを持つ候補者を望むと答えた。一方、40%は2020年の選挙でトランプ大統領を打ち破る最良の機会を民主党に与える候補者を望むと答えた。

 

共和党系の世論調査専門家マキンターフは「民主党の予備選挙に参加する有権者たちはより大きな変化と彼らの考えに沿う政策を訴える候補者を探しているということを示す兆候であると私は考える」と述べている。

 

2020年の選挙(大統領、連邦上下両院、知事)に関して、38%の人々が、二大政党制は著しく破壊され、第三党が必要になる、と答えた。この数字はまだ少数派ということになるが、1995年以降、この質問で出た最高の数字ということになる。

 

共和党に関しては、共和党の予備選挙に参加すると答えた有権者のうち37%がトランプに対抗する候補者が出て欲しいと答え、59%がその考えに反対した。

 

●約60%がトランプ大統領はロシア疑惑に関して正直に発言していないと答えた

 

2016年の米大統領選挙に対してロシアが介入したのではないかという疑惑に関する捜査について、37%のアメリカ人がトランプ大統領は正直であり信頼に足ると考えていると答えた。一方、58%はそうではないと答えた。

 

支持政党で見ると興味深い対比が出てくる。共和党支持者の75%は、トランプ大統領が正直で信頼に足る人物だと考えていると答え、無党派の27%、民主党支持の6%がそのように答えた。

 

ロバート・ムラー特別検察官によるロシア疑惑に関する捜査に関し、48%がトランプの大統領職に対する適格性についてこれまでよりも大きな疑念を抱くようになったと答え、47%がより大きな疑念を抱いてはいないと答えた。

 

そして、アメリカ人の3分の2にあたる、66%が、ムラー特別検察官の捜査結果を公開して欲しいと答えた。

 

●経済についての楽観論と悲観論

 

経済に対する見方については、アメリカ人の53%がこれからの12カ月でアメリカが景気後退に入ることはないと考えていると答え、33%がそれに不同意すると答えた。

 

しかし、各人の経済状態について質問すると、59%が2019年は消費を抑制し、貯蓄に回す年だ、何故ならより厳しい時代がやってくると考えているからだ、と答えた。一方、34%は、2019年を消費拡大と機会獲得の年になると考えていると答えた。

 

NBC・ウォールストリート・ジャーナル紙共同世論調査は2019年2月24日(日)から27日(水)にかけて900名の成人に対して実施された。その半分は携帯電話で行われた。誤差は±3.3ポイントである。

 

世論調査はまた有権者登録をしている720名(誤差は±3.7%)、民主党の予備選挙に行く答えた247名(誤差は6.3%)、共和党の予備選挙に行くと答えた210名(誤差は6.8%)に対しても実施された。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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