古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領の娘で大統領補佐官(無給)であるイヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump、1981年―)とこのブログでも再三ご紹介している、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio-Cortex、1989年―)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)との共通点、それはニューヨーク市で生まれ育ったことです。両者とも学校時代はニューヨークではないですが、学校卒業後はニューヨークに戻っています。

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しかし、2人は対照的な生まれ育ちをしています。イヴァンカは大富豪の娘で、マンハッタン在住、その美貌から若い時からモデルをするなど、華やかなニューヨークの中で生活していました。アレクサンドリアは労働者階級の両親のもとに生まれ、ボストン大学にも奨学金を得て進学する(家族で初めての大学進学者)するといった苦労もありました。大学在学中に父親が亡くなるという不運もありました。また、大学卒業後には家族を支えるために、出版社などの仕事とバーテンダーの仕事を掛け持ちし、1日に18時間も働く日もあったということです。

 

 アレクサンドリア・オカシオ=コルテスは、「グリーン・ニューティール」計画を提唱しています。これは、温室効果ガスの全廃を目指すもので、環境分野での雇用を創出することも狙っています。この計画には、失業している人たちにも最低限の生活費を保証するという内容も含まれているという報道もなされたために、この点でも大きな批判を浴びましたが、法案として連邦議会に提出された際には、この部分は含まれませんでした。

 

 イヴァンカ・トランプは保守系のフォックスニュースに出演し、その中で、この失業者にも最低限の生活費を保証するという内容を批判しました。そして、「人間はお金のために働いているのではない」ということを発言しました。これに対して、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスは、「人間は生活することが出来るだけのお金を稼ぐために働いているのだ」ということを言い返しました。

 

 イヴァンカは生活の不安を感じることなくこれまで生きていたということが言えるでしょう。ドナルド・トランプが父親ということで大変な面もあったと思いますし、トランプが破産したこともあったのですから、その点では大変だったと思います。しかし、明日の食べ物を買うお金がないというようなことは経験していないでしょう。

 

 一方、アレクサンドリアは、子供の頃から両親の苦労を見てきたことは間違いありません。今でも自分は労働者階級の出身だということを誇りを持って強調しています。家族で初めての大学進学者となったのも、奨学金を得てのことですし、大学卒業後も働き詰めで苦労しました。連邦下院議員に当選したのが昨年11月ですが、貯めていたお金を使ってしまったために、連邦下院議員になって住むための部屋をワシントンで借りることが出来ず(アメリカの大都市の家賃は異常なほどに高いです)、しばらくバーテンダーの仕事をしながらお金を貯めていたということで、直近までお金で苦労しています。

 

 ニューヨークで生まれ育った2人の働くことの意味に対する対照的な考えは興味深いものがあります。

 

(貼り付けはじめ)

 

イヴァンカ・トランプが、オカシオ=コルテスの雇用「保証」計画を批判:アメリカ人のほとんどは「何かを与えられる」ことは望まない(Ivanka Trump rips Ocasio-Cortez for plan to 'guarantee' jobs: Most Americans don't 'want to be given something'

 

エイリス・フォーリー筆

2019年2月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/431624-ivanka-rips-ocasio-cortez-for-plan-to-guarantee-jobs-most-americans

 

イヴァンカ・トランプはニューヨーク州選出のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(民主党)が主導する「グリーン・ニューディール」の一部を拒否すると表明した。細心のインタヴューの中で、イヴァンカは、アメリカ人の大部分は「自分自身の力で手に入れられるもの、達成できるもののために働きたい」はずだと考えると述べた。

 

フォックスニュースのキャスターであるスティーヴ・ヒルトンは日曜日に放送予定となっている番組の中で、イヴァンカにインタヴューを行った。その中で次のように質問した。「民主党、進歩主義派の民主党、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスからの提案があります。それは、これがグリーン・ニューディールです、雇用の保証があります、というものです。これに対して、良いね、単純だけど私が望んでいるものだ、と考える人たちがいます。こうした人々についてどう考えますか?」。

 

大統領の長女にして補佐官も務めるイヴァンカは、「アメリカ人のほとんどは何かを与えられたいと望んでいないと思いますね。私はこれまで4年間この国を飛び回ってきました。人々は自分自身の力で手にできるもの、達成できるもののために働くものですよ」と答えた。

 

イヴァンカは続けて「だから、最低限を保証するという考えは、ほとんどの人々が望んでいません。皆、仕事をやり続けられる能力を手にしたいと望んでいます。皆、上昇できる可能性がある国に住みたいと考えているのです」と述べた。

 

保守派の人々からの批判の大部分は、オカシオ=コルテスとエド・マーキー連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)がグリーン・ニューディール計画を発表してから出てくるようになった。グリーン・ニューディール計画は2030年までにアメリカ国内での炭素ガス全廃という野心的な目標を設定しているもので、有権者登録をしている民主、共和両党の支持者の多くが支持している。

 

イェール大学クライメット・コミュニケーション・プログラムとジョージメイソン大学クライメット・チェンジ・コミュニケーション・センターが2018年12月に実施した世論調査では、民主党支持者の92%と共和党支持者の64%がグリーン・ニューディール計画を支持している、という結果が出た。グリーン・ニューディール計画の目的は、アメリカの電力を100%再生可能電力に転換し、失業者の雇用を保証するというものだ。

 

イヴァンカは、2020年の大統領選挙について突っ込まれて質問され、父親の政策は「アメリカを反映させ続けさせる」ものであり、次の大統領選挙では優位に立つことになると述べた。

 

イヴァンカはヒルトンに次のように述べた。「“私たちは昨日、もしくは2年前よりも今日の方が良い生活をしているか?”と考えてみたら、その答えは“イエス”ということになると思うんです。一人のアメリカ人として、1か月前もしくは1年前の家計の状況を考えてみれば、分かると思います。アメリカの状況はうまくいっていますし、他の国々に比べてその好調さは際立っています」。

 

イヴァンカは更に「私たち自身はうまくいています。成長のスピードという点では、アメリカを除く世界全体では落ちているという現状です」と述べた。

 

=====

 

オカシオ=コルテスがイヴァンカ・トランプに反論:「私はティップと時給のために働いた」(Ocasio-Cortez responds to Ivanka Trump: 'I actually worked for tips and hourly wages'

 

マイケル・バーク筆

2019年2月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/431716-ocasio-cortez-responds-to-ivanka-trump-a-living-wage-isnt-a-gift-its-a-right

 

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は火曜日、イヴァンカ・トランプを批判した。オカシオ=コルテスは、トランプの娘は「テリップや時給を稼ぐために働く」ことについて又聞きでしか知らないのだろうと述べた。

 

オカシオ=コルテスはツイッター上で、イヴァンカ・トランプがオカシオ=コルテスを批判したというニュースのリンクを貼り付けて、「私は人生の中でティップや時給を稼ぐために実際に働いた。そういったことを又聞きでしか学ぶしかなかった人もいる。私は自分の実際の経験から、人々のほとんどは、生活ができるだけのお金を稼ぎたいと思っている、と言うことができる」と書いた。

 

オカシオ=コルテスは更に「生活ができるだけの賃金は誰からの贈り物ではない。権利だ。労働者は多くの場合、生み出す価値よりも少ないものを支払われている」と書いた。

 

オカシオ=コルテスとエド・マーキー連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は、2月上旬に「グリーン・ニューディール」法案を議会に提出した。この法案は、温室効果ガスの全廃を目指し、雇用を創出することを目指すものだ。法案には全国民の雇用保障を含むものになっている。

 

イヴァンカ・トランプはグリーン・ニューディール法案について、日曜日に放送される予定になっているフォックスニュースとのインタヴューの中で次のように述べている。「アメリカ人のほとんどは何かを与えられたいと望んではいない。人々は自分自身の力で手にできるもののために働きたいと考えているはずだと私は確信している」。

 

イヴァンカは更に「最低限を保証するという考えは、ほとんどの人たちが望んでいないことであると思う。人々は自分の仕事を確実にすることが出来る能力を手にしたいと望んでいる。人々は、社会的に上昇する可能性を持つ国で生きていきたいと望んでいる」 と述べた。

 

イヴァンカ・トランプは火曜日に発表した書簡の中で、自分は最低賃金制度を支持しているが、「働きたくない」人々に「最低限の保証」をすることは支持しないと表明した。

 

働きたくない人たちに対して最低限の支払いを保証するという事項がオカシオ=コルテスの事務所から発表されたファクトシートに入っていたが、これは間違いで出てしまったもので、連邦下院に提出されたグリーン・ニューディール法案には入っていない。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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