古村治彦です。

 

 今回もピート・ブティジェッジの話題で申し訳ありませんが、今回は彼にかみついた人物に関するお話です。

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 ヒラリー・クリントンの報道担当で側近のニック・メリルという人物が、ブティジェッジを批判しました。ブティジェッジは今年1月に『ワシントン・ポスト・マガジン』誌のインタヴューに答え、その中で、ヒラリーを批判するコメントをしました。詳しくは下の記事を読んでいただきたいと思います。

 
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ヒラリーの側近ニック・メリル(左)

 簡単に言うと、「ヒラリーは中西部の人間たちに不満を分かっていなかった。アメリカは既に偉大な国だ、今のシステムを信じようというメッセージを送ったが、人々の共感を得られなかった」という内容です。それに対して、メリルは「ヒラリーはアメリカ史上最も進歩主義的な公約を掲げて選挙戦を戦った。トランプは嘘と悪口ばかりだった。だから6600万人がヒラリーに入れた」と批判しました。

 

 「負け犬の遠吠え」というのは何ともみっともないことですが、どうしても言わなくては済まないようです。ヒラリーの敗因は何と言っても勝つと見られていたアメリカ中西部の工業地帯(Industrial Midwest)で敗北したことです。ブティジェッジのインディアナ州はマイク・ペンス副大統領が州知事を務めていた州ですから、元々勝てなかったでしょうが、その他ミシガン州などアメリカ中西部、ラストベルトを落として落選しました。

 

 ブティジェッジは、メリルの批判に対して、ヒラリー個人と選挙戦を分けて、ヒラリー個人は大いに尊敬しているが、戦略が拙かったのだとも述べました。これは間接的に、「側近に恵まれなかったんじゃないですか」ということを言っているのと同じです。

 

 ブティジェッジをはじめとするミレニアル世代はヒラリーや民主党エスタブリッシュメントを嫌っていることがこうした発言で分かります。

 

 ブティジェッジの人気が上昇していることを示すものとして、彼が2019年第一四半期(1月から3月)に700万ドル(約7億7000万円)を政治活動費として集めた、ということが発表されました。1月23日に準備検討良い会発足を発表したので、2カ月ちょっとで、これだけの金額を集めたことになります。

 公式ウェブサイト「Meet Pete(https://www.peteforamerica.com/meet-pete/)」では、自分の難読苗字(Buttigieg)を逆手に取ったTシャツを25ドルで売っています。ツイッターのプロフィール欄で「Boot-Edge-Edge」と読んでください、と書いてありますが、それでも読みにくいですね。


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さて、無名の田舎町の市長がどこまでやれるか見ものです。

 

(貼り付けはじめ)

 

クリントンの側近がヒラリー・クリントンの選挙戦について批判したブティジェッジに反論(Clinton aide responds to Buttigieg criticism of how she ran her campaign

 

レイチェル・フラジン筆

2019年3月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/436577-clinton-aide-responds-to-buttigieg-criticism-of-how-she-ran-her-campaign

 

土曜日、ヒラリー・クリントンの側近が今年1月にインディアナ州サウスベンド市市長のピート・ブティジェッジがしたコメントについて非難した。ブティジェッジは2016年の米大統領選挙でのヒラリー・クリントンの選挙戦について批判する内容のコメントをした。

 

ヒラリー・クリントンの報道担当ニック・メリルは土曜日にツイッター上で次ように書いた。「この発言は擁護できない。ヒラリー・クリントンはこの国の信条に基づいて、現代政治史上最も進歩主義的な公約を掲げて米大統領選挙に立候補した。トランプは悲観主義、人種差別、誤った公約、悪口に基づいて立候補した。あなた自身が解釈したいようにすればいい。しかし、66000000人がトランプには同意しなかったという事実は残る。幸運を祈る」。

 

ブティジェッジは、2019年1月14日に発売された『ワシントン・ポスト・マガジン』誌とのインタヴューの中で、ヒラリーを批判した。

 

ブティジェッジはインタヴューの中で次のように述べた。「ドナルド・トランプは当選した。なぜなら、彼は彼なりのねじ曲がった方法で、アメリカの経済と民主政治体制における大きな困難があることを指摘したからだ。トランプは少なくとも、ヒラリーが行ったように、アメリカは既に偉大だということをアメリカ中に言って回ることをしなかった。

 

この「ピート・ブティジェッジはミレニアル世代初の大統領になれるか?」という記事は、ブティジェッジが大統領選挙出馬に向けて準備検討委員会を発足させると発表する一週間以上も前に発表された。

 

比較的に無名の民主党政治家であるブティジェッジはここ数週間で2020年米大統領選挙の有力候補として台頭しつつある。

 

ブティジェッジはいくつかの場面でファンを獲得してきている。最近では、あるノルウェー人の取材者からノルウェー語を話すように頼まれ、とっさにノルウェー語で返した。多言語話者であるブティジェッジは英語の他に7か国語を操る。彼はノルウェー語、フランス語、スペイン語、イタリア語、アラビア語、マルタ語、ダーリ語を話す。

 

ミレニアル世代に属する中西部の田舎町の市長であるブティジェッジが大統領に当選すれば、アメリカ史上最年少かつ同性愛者を公言する大統領ということになる。

 

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ブティジェッジ:「私はヒラリー・クリントンを大いに尊敬している」(Buttigieg: 'I have enormous respect' for Hillary Clinton

 

ザック・バドリック筆

2019年3月31日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/presidential-campaign/436663-buttigieg-i-have-enormous-respect-for-hillary-clinton

 

民主党の大統領選挙予備選挙の候補者でインディアナ州サウスベンド市市長のピート・ブティジェッジは土曜日、ヒラリー・クリントンに対して「大いに尊敬の念を持っている」と発言した。2019年1月にヒラリーの2016年の大統領選挙の選挙運動について批判したがこのことが今週になって再び表舞台に出てきたことを受けての発言であった。インディアナ州のテレビ局WSBTが報じた。

 

2019年1月14日付の『ワシントン・ポスト・マガジン』誌とのインタヴューで、ブティジェッジは「ドナルド・トランプが当選したのは、彼なりのねじ曲がった方法で、私たちの経済と民主政治体制における大きな困難を指摘したからだ。彼は少なくとも、ヒラリーがそうしたように、アメリカは既に偉大だということをアメリカ中に言って回ることはしなかった」と述べた。

 

ヒラリー・クリントンの報道担当ニック・メリルは日曜日にブティジェッジのコメントにツイッター上で反撃を行った。メリルは「ヒラリー・クリントンはこの国の信条に基づいて、現代政治史上最も進歩主義的な公約を掲げて米大統領選挙に立候補した。トランプは悲観主義、人種差別、誤った公約、悪口に基づいて立候補した」と書いた。

 

1月に行ったコメントについて、CNNのインディアナ支局であるWSBTから質問され、ブティジェッジはヒラリー・クリントンを「大いに尊敬している」と答え、彼女は2016年の際の「戦略と当時のメディア環境のためにうまくいかなかった」のだと述べた。

 

ブティジェッジは次のように述べた。「これだけははっきりさせておきたい。もし彼女が大統領になっていたらアメリカは今よりももっと良い国なったことだろう。だから私は彼女に投票した。だから私は彼女のために選挙運動を行った。私は今でもクリントン元国務長官を大いに尊敬している」。

 

ブティジェッジは今年1月のコメントに更に付け加えて、「アメリカ中西部の人々は、2016年の選挙戦におけるヒラリーのメッセージの内容が“全てはうまくいっている、私たちは既存のシステムを信じるべきだ”と言っているのだと受け取った。これでは人々の共感は得られなかった」と述べている。

 

ブティジェッジは更に、トランプに投票した人々の多くは「トランプが良い人間ではないことを分かっていた」が、「既存のシステムを徹底的に壊すためだけに投票した」のだと述べた。ブティジェッジは、ロバート・ムラー特別検察官の捜査終了についてのコメントでも同様の内容を述べた。ブティジェッジはサウルカロライナ州グリーンズヴィルでの集会に出席し、「トランプは、彼が良い人間ではないということを最終的に証明するいくつかの証拠があっても、それだけで即座にダメだということはなかっただろう」と述べた。

 

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ブティジェッジが2019年第一四半期で700万ドル(約7億7000万円)を集めたと発言(Buttigieg says he raised $7M in first quarter

 

エイヴェリー・アナポール筆

2019年4月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/436676-buttigieg-says-he-raised-7-million-in-first-quarter?fbclid=IwAR071OWJIjM392ybpG8KRQrXtOe2bPkMoSr5mtSYWb-6S-0IHWwcqCGG67A

 

ピート・ブティジェッジは2020年米大統領選挙民主党予備選挙に正式に出馬表明していない。ブティジェッジは月曜日、2019年第一四半期に700万ドル(約7億7000万円)を集めたと発言した。

 

民主党所属のサウスベンド市市長であるブティジェッジはツイッター上で、「まだ予備的な分析ですが、私たちのティームの報告書によれば、今年の第一四半期に700万ドルを集めた」と書いた。

 

更に「これまで私たち(そして皆さん)はあらゆる局面で期待以上の成果を収めることが出来ました。後ほどより完全な分析をしますが、支持者の皆さんに心から感謝します」と書いた。

 

ブティジェッジは今年1月に準備検討委員会を発足させて以降、人気と知名度を上げている。彼の勢いは他の大統領選挙候補者たちを小さく見せてしまうほどだ。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)は出馬表明初日だけで600万ドル(約6億6000万円)を集めた。

 

全国レヴェルでは無名のまだ正式の出馬表明をしていない候補者が700万ドルを集め、その数字が長年全国レヴェルで活躍してきた進歩主義派のサンダースやエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)と互角であるというのは印象に残るものだ。

 

ブティジェッジは先月、7万6000名から個人献金を受けたと発言した。これで2020年の米大統領選挙民主党予備選挙において、民主党全国委員会が主催する最初の討論会への参加条件をクリアした。

 

二期目の市長を務める米海軍の退役軍人、同性愛を公表している唯一の大統領選挙候補者ブティジェッジは最新の世論調査で、サンダース連邦上院議員と正式な出馬表明をしていないジョー・バイデンに続いて支持率で第3位に入った。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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