古村治彦です。

 

 今回から3回に分けて、アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の立候補者・立候補予定者の簡単な紹介をしている記事をご紹介します。

 

 それぞれがどんな人物か、年齢、政治に関わってきた期間、資金提供者、どんな有権者に好まれるか、嫌われるかが整理されて掲載されています。

 

 6月末からは民主党全国委員会主催による討論会も始まります。それまでに立候補を取りやめる人も出てくるでしょうが、この記事で大体網羅されていますので、是非ご活用いただきたいと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

彼らをどのように分類するか(HOW TO TELL THEM APART

―多数が立候補している2020年米大統領選挙民主党予備選挙の候補者全員を見てみる

 

『クォーツ』誌スタッフ筆

2019年3月17日

『クォーツ』誌

https://qz.com/1536793/your-guide-to-the-2020-democratic-presidential-candidates/

 

2020年の米大統領選挙民主党予備選挙には、13名の出馬表明した候補者たち、準備検討委員会を設置した3名の候補者たち、複数の「出馬可能性を持つ人々」が存在する。2020年米大統領選挙民主党予備選挙は既に候補者がひしめき合っている。有権者と政治献金者にとってこの大勢の中から識別することは極めて難しいことだろう。なぜなら王甫社の大多数は似たような公約を示しているからだ。国民全体への医療サーヴィスと医療保険の促進、気候変動を抑制するための規制、格差是正、アメリカの中間階級の状況の改善などである。

 

ここでは、正式に出馬表明をした人々を出馬表明した順番に紹介し、その後に準備検討委員会を設置した人々、出馬可能性がある人々をご紹介する。

 

■誰が正式に出馬しているか?(Who is officially running?

 

(1)ジョン・ディレイニー(John Delaney、1963年―、55歳)


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メリーランド州選出の連邦下院議員を務めた。2012年に連邦下院議員選挙に立候補するために、自身が設立した2つの融資会社を上場させた。家族の中で初めて大学進学を果たした(電気技術者だった父親が労働組合員であったことを選挙運動では強調)。2017年7月に民主党の政治家で最初に2020年の大統領選挙民主党予備選挙への立候補を表明した。彼は全国規模での選挙運動を勢い良く始めようとして既に全米で最初に予備選挙が行われるアイオワ州の全ての郡を訪問し終えた。

 

・年齢:55歳;政治に関わってきた期間:6年間

 

・資金提供者:連邦下院議員選挙では銀行、住宅、建設分野の複数の企業が提供。個人としても富裕であり、現在は自己資金で選挙運動を行っている。

 

・経済についての最大のアイディア:中国の知的所有権侵害に対抗するための、政府間、民間の国際的な連盟を作り上げる。アジアにおいて中国と対峙するためにTPP方式の貿易協定を作る。

 

SNSのフォロワー数:ツイッターでは1万4400;フェイスブックでは35万7000;インスタグラムでは2100.

 

・この候補者を気に入っているのは:労働者の諸権利、教育、インフラを改善させようとする彼の実地の会社経営の経験に基づいた素早い動きを評価する中道派。

 

・この候補者を嫌っているのは:前回ドナルド・トランプに投票した有権者たちにアピールして投票してもらうことが2020年の大統領選挙で勝利を収める方法だと考えない民主党支持者たち。

 

(2)アンドリュー・ヤン(Andrew Yang、1975年―、44歳)


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IT関連の実業家で、起業支援の非営利団体をスタートさせた。ヤンは2018年11月6日に大統領選挙民主党予備選挙出馬を表明した。彼は一つの問題だけに特化して出馬宣言を行った。それは、雇用を盗み続けているロボットからアメリカ国民を守る、である。台湾移民の息子で、自分自身をトランプとは正反対の人物として売り込んでいる。それは、自意識過剰ではないアジア系の男性、数学が好き、というものだ。

 

・年齢:44歳;政治に関わってきた期間:1年未満。

 

・資金提供者:複数の個人献金者。ビットコインで献金する人たちもいる。自己資金を利用している。

 

・経済に関する最大のアイディア:18歳以上のアメリカ国民全員に月1000ドルを支給する。ロボットが人間の仕事を代わりに行う時代に、この1000ドルで光熱費など生活に必要な経費を支払うことが出来る。

 

SNSのフォロワー数:ツイッターでは6万2400、フェイスブックでは2万6300、インスタグラムでは3万2400.

 

・この候補者を気に入っているのは:シリコンヴァレーにいる人々、国民全体への米―シックインカムを主張している人々。

 

・この候補者を嫌っているのは:高い税金に反対する人々(ヤンはベーシックインカム計画の財源として付加価値税導入を提唱)

 

(3)フリアン・カストロ(Julián Castro、1974年―、44歳)


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サンアントニオ市の貧しい人々が暮らす地域で育ち、フリアンと双子の兄弟ホアキンはアイヴィーリーグの大学の学位を取得し、全国規模の政治でキャリアを積み重ねてきた。フリアン・カストロはサンアントニオ市の市長を一期務め、それからバラク・オバマ政権で住宅・都市開発長官に抜擢された。母親はラティーノ・グループに属する活動家であったことと、閣僚を務めた経験は、有権者を惹きつける物語となっている。2019年1月12日、出馬表明を行った。

 

・年齢:44歳;政治に関わってきた期間:18年間。

 

・資金提供者:カストロは政治活動委員会から「1セント」も受け取らないと公約している。サンアントニオ市長選挙での献金者名簿は公式には残っていない。サンアントニオ市の規定では、選挙資金関連書類の保存期間は2年間となっている。2018年の中間選挙に立候補した新人を支援するために彼自身がPAC「オポチュニティ・ファースト」を作った。このPACは企業が作ったPACからの寄付を受け取らないと宣言した。

 

・経済についての最大のアイディア:カストロの選挙公約の詳細はまだ発表されていないが、自由貿易を強く主張してきた。自由貿易は彼の生まれ育った町サンアントニオに利益をもたらす。彼は自由貿易協定を擁護してきた。自由貿易協定を放棄する代わりに、労働者と環境の保護策を強化するために、自由貿易協定をその目的のために機能するようにさせるべきだと主張している。こうした彼の主張に関して、選対にコメントを求めたが返事はなかった。

 

SNSのフォロワー数:ツイッターでは17万9000、フェイスブックでは10万2400、インスタグラムでは2万4400.

 

・この候補者を気に入っているのは:新顔を求めている民主党支持者、ラティーノ系の有権者、自由貿易を支持する人々。

 

・この候補者を嫌っているのは:アインディティ・ポリティックス(訳者註:マイノリティや性差を前面に打ち出す政治手法)を支持しない民主党支持者、アファーマティヴ・アクション(積極的是正措置)に反対の人々(カストロは賛成の立場)。

 

(4)カマラ・ハリス(Kamala Harris、1964年―、54歳)


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ジャマイカとインドからの移民の両親のもとに生まれた。ハリスはカリフォルニア州オークランドで検察官となり、サンフランシスコ地区検察官、最終的にカリフォルニア州司法長官となった。その後、カリフォルニア州選出のアメリカ連邦上院議員となった。ハリスは2019年1月21日に午前中のトークショーに出演し、大統領選挙出馬を表明した。

 

・年齢:54歳;政治に関わってきた期間:16年間。

 

・資金提供者:センター・フォ・レスポンシヴ・ポリティックス(CRP)の連邦選挙管理委員会のデータ分析によると、過去5年間、ハリスの選挙資金の35%は小口献金者からのものだった。政治資金の献金者の上位には法律家、退職者、金融関係者、エンターテインメント産業関係者が入っている。大口献金者としては、ワーナーメディア、カリフォルニア大学、グーグルの親会社アルファベット・インク、21世紀フォックス、法律事務所「ヴェナブル」の職員たちの有志が名前を連ねている。彼女の選対は企業系のPACからの献金を受け取らないとしている。

 

・経済についての最大のアイディア:勤労所得税額控除(Earned Income Tax Credit)の労働者階級と中間階級向けの減税内容に似た「リフト法案」を提案。各世帯に毎月最大500ドルを与えることになる。 この財源を確保するために、ハリスは2017年のトランプ大統領による企業と富裕層への減税を撤回する考えを打ち出している。しかし、法案によってアメリカの多国籍大企業が動きを変えることで起きる大きな構造的変化について対処するのかどうかは不明確だ。

 

SNSのフォロワー数:ツイッターでは237万;フェイスブック:122;インスタグラム:150万。

 

・この候補者を気に入っているのは:オバマ前大統領の進歩主義的な現実主義のファンたち。この人々は、人々の注目を集める個人の歴史と民主党内の各人種間の連合を促進することを両立できる人物を探している。

 

・この候補者を嫌っているのは:オバマ前大統領は裏切り者だと考える進歩主義派、特にハリスの司法制度改革についての一貫しない態度に疑問を持っている人々。

 

(5)コーリー・ブッカー(Cory Booker、1969年―、49歳)


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ニュージャージー州ニューアークの元市長。2019年2月1日にアメリカ人共通の目的と社会的、人種的平等を訴え出馬宣言を行った。ローズ奨学生であり、イェール大学法科大学院修了。SNSを初期から利用していたことで、メディアに頻繁に取り上げられる有名政治家となった。ニュージャージー州選出の連邦上院議員は富裕なエリートたちとメディアの有名人たちに近すぎるという批判を浴びている。

 

・年齢:49歳;政治に関わってきた期間:17年間

 

・資金提供者:法曹界、投資業界、証券業界、不動産業界で働く個人からの献金が大部分。出馬宣言前にある民主党を支援している富裕な大口献金者がブッカーのためにスーパーPACを設立した。

 

・経済についての最大のアイディア:「乳児債券」プログラム。これは乳児全員に誕生時にアメリカ国債を与えるというもので、貧しい世帯に乳児により高額の国債を与える。ブッカーは15の州を選んで最低賃金を時給15ドルにする実験を行うことを提案している。

 

SNSのフォロワー数:ツイッターでは418万、フェイスブックでは127万;インスタグラでは63万5000.

 

・この候補者を気に入っているのは:トランプのマイナスなメッセージとは対照的な楽観的なメッセージを求めている有権者。アメリカ北東部の都市部住民。

 

・この候補者を嫌っているのは:人種や格差といった問題を考えたくない地方在住の白人。ブッカーと、ウォール街やシリコンヴァレーとのつながりに懸念を持つリベラル派。

 

(6)トゥルシー・ギャバ―ド(Tulsi Gabbard、1981年―、37歳)


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連邦議会初のヒンズー教徒の議員。ハワイ州選出の連邦下院議員で、シリアのバシャール・アサド大統領と会見し、批判を浴びた。シリアに対するアメリカの介入について、ロシアのウラジミール・プーティン大統領を支持し、当時のオバマ大統領に反対した。州兵としてイラクでの戦いに従軍したい経験を持つ。ある国の体制を転換させるための戦争(regime-change wars)に強く反対している。「過激なイスラム教」との戦いについて発言している。ハワイ州下院議員を一期務めた経験を持つ。2016年の大統領選挙民主党予備選挙ではバーニー・サンダースを支持した。2019年2月2日、アメリカの「魂のために戦う」と述べ、出馬を表明した。

 

・年齢:37歳;政治に関わってきた期間:17年間

 

・資金提供者:医療関係者、不動産関連利益団体が多いが、献金者の多くは個人である。しかし、2011年から2018年にかけての政治資金献金で第2位に位置づけられている(3万6400ドル)のは、全米自動車販売業協会のPACであった。

 

・経済についての最大のアイディア:小規模ビジネスと農業従事者に対する減税、企業に対する増税。外国の体制転換を行うための戦争を行わないこと、核兵器の保有数を削減することで国防費を削減する。

 

SNSのフォロワー数:ツイッターでは27万9000;フェイスブックでは30万600;インスタグラでは7万4300.

 

・この候補者を気に入っているのは:退役軍人たち、進歩主義派の一部、国防費の削減を望む有権者。

 

・この候補者を嫌っているのは:イスラム教嫌悪に関して懸念を持っている人々、国際貿易の支持者。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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