古村治彦です。

 

 ピート・ブティジェッジがいよいよ2020年大統領選挙民主党予備選挙へ出馬を正式に表明することになりそうです。それでは、今までもう候補者のように扱われてきたのは何だったのか、ということになりますが、2019年1月23日に発表したのは準備検討委員会(Exploratory Committee)です。


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※ブティジェッジの集会への参加呼びかけのヴィデオはhttps://www.facebook.com/watch/?v=361805897864971からどうぞ。

 エリザベス・ウォーレンも昨年末に準備検討委員会を発足させ、後に正式な出馬ということになりました。準備検討委員会発足と正式な出馬表明とはどう違うか、ということになりますが、実質的には何も変わりません。準備検討委員会が政治献金を受け取ることは可能ですし、ここに何か大きな区分があるということはありません。

 

 これは私見ですが、2回出馬表明が出来るということで、メディアに取り上げてもらいやすいということがあるのかなと思います。ブティジェッジが準備検討委員会を発足させた時には大きな話題になりませんでした。せいぜい「若い、同性愛者を公言している田舎町の市長」というだけのものでした。しかし、上り調子の中で、正式な出馬表明、おそらく多くの人々がサウスベンド市に集まって集会となると、メディアもこぞって取材に来て、大々的に報じるでしょう。後出しじゃんけんみたいですが、人々に印象付けることになるでしょう。ここまで計算していたとなると、相当な人物、ただの田舎町の市長ではないということになります。


 また、地理的に見て、ミシガン湖畔ということで、民主党の金城湯池シカゴから多くの参加者があるでしょう。シカゴはバラク・オバマ前大統領と夫人のミシェル・オバマの本拠地ですから、オバマ前大統領を押し上げた人々が参加する可能性もあります。オバマ前大統領がサプライズで来ると、選挙の様相は大きく変わりますが、ジョー・バイデン前副大統領が出馬すると見られていますから、その可能性は低いでしょう。しかし、オバマ前大統領はブティジェッジを民主党期待の若手として挙げています。


 ブティジェッジは、フェイスブック(Facebook)のページでヴィデオを公開していますが、ブティジェッジとフェイスブックの創設者マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg、1984年―)は、ハーヴァード大学の2年違いの先輩後輩(ブティジェッジが2歳年上)であり、友人です。ザッカーバーグは2017年にサウスベンド市をサプライズ訪問しています。


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MSNBCの「モーニングジョー」という番組の司会者ジョー・スカーボローが注目し、自身の番組に呼んで、それからCNNがタウンホールミーティング形式の番組に呼び、それから人気に火が付き始めたので、3月に入ってからということになります。スカーボローは、バラク・オバマ前大統領に初めて会った時以来の印象を受けた、と述べています。




 バラク・オバマ前大統領も退任直前の『ニューヨーカー』誌の取材で、「民主党の期待の若手は誰ですか?」と質問され、名前は忘れていたようですが、「インディアナ州サウスベンド市の市長」と答えたということです。別の場所に行く際に立ち寄って、ブティジェッジに会って印象に残ったということのようです。オバマ前大統領の地元シカゴとサウスベンド市は、アメリカの感覚では近いということもあるでしょう。

 

 この無名の若者が一気に駆け上がっていく、というのは、昨年の中間選挙で、すい星のように現れたアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)とよく似たプロットになっています。ブティジェッジの方がより緻密に計算し、計画しているように感じます。


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 ブティジェッジとアレクサンドリア・オカシオ=コルテスにはいくつか共通点があります。(1)ミレニアル世代(1980年代から90年代中盤生まれの世代)であること(ブティジェッジは1982年生まれ;AOCは1989年生まれ)。(2)政治に関心を持つ、入るきっかけがバーニー・サンダース連邦上院議員であったこと(ブティジェッジは高校生の時にサンダース[当時は連邦下院議員]を主題に政治の寛容と統合に関する論文を書き、ケネディ財団主催の論文コンクールで優勝;AOCは2016年の大統領選挙でサンダースの選挙運動に参加した)。(3)学生時代(ブティジェッジはハーヴァード大学、AOCはボストン大学)に故テッド・ケネディ連邦上院議員の事務所で夏休みにインターンをしていたこと。(4)民主党エスタブリッシュメント、ヒラリー派とは一線を画していること(ブティジェッジの方がまだ穏健で、2010年の州財務長官選挙、2017年の民主党全国委員会委員長選挙で落選しているが、党内の人脈づくりを行っている)。

 

 ミレニアル世代の若手政治家たちの台頭は注目です。

 

(貼り付けはじめ)

 

ブティジェッジが2020年米大統領選挙民主党予備選挙の正式表明を示唆(Buttigieg hints at formal 2020 announcement

 

マイケル・バーク筆

2019年4月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/437304-buttigieg-hints-at-formal-2020-announcement

 

民主党所属のインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは火曜日午前、今月後半に2020年米大統領選挙民主党予備選挙への正式な出馬表明を行うことを示唆した。ツイッター上で、2019年4月14日に「特別な発表」を行うと明らかにした。

 

ツイッター上に掲載したヴィデオの中で、ブティジェッジは、次のように述べた。「私たちの選挙運動は「できるだけ多くの皆さんの話を聞いて、皆さんの持つ物語や考え、未来のあるべき姿、皆さんの政治指導者への期待を共有してきました」。

 

「アメリカが新しい方向に進んで欲しいと人々が願っていることは明らかです。そのためには選挙に勝つだけではなく、時代を勝ち取る(winning an era)のです」。

 

「私たちの政治をより誠実にする、民主政治体制を修復す、人種に関する正義を擁護する、未来に目を向ける、各世代をまとめる、こうしたことの準備が出来ている皆さん、2019年4月14日にサウスベンドに集まりましょう」。

 

ブティジェッジは木曜日にABCの「グッドモーニング・アメリカ」に出演し、「あなた(訳者註:司会者ジョージ・ステファノポロスはビル・クリントン元大統領の側近だった)が昔関わった発表と同じものとなるでしょう。サウスベンドで私たちの運動に参加したいと思って下さる方々にできるだけ多く集まっていただけるのを楽しみにしています」と語った。

 

アメリカ大統領に自分がふさわしいと考えている点はどこかと質問され、ブティジェッジは「ワシントンに数年もしくは数十年漬かり切ってしまう」ことがこれまでの伝統だったかもしれないが、それはもう違うと述べた。

 

ブティジェッジは「アメリカ政府が良く運営されている市や町のように運営されるならば、私たちの生活はより良くなることでしょう。市や町がアメリカ政府の真似をしたら私たちの生活がより良くはならないですよ」と述べた。

 

ブティジェッジは37歳、2019年1月に準備検討委員会発足を発表した。それ以降、人気が上昇している。彼の選対は2019年の第一四半期に約700万ドルの献金を集めた。

 

2020年米大統領選挙民主党予備選挙への正式な出馬表明すると、今でも10名以上出馬している選挙戦にまた一人参加することになる。

 

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最新の世論調査でブティジェッジの好感度が急上昇(Buttigieg's favorability surges in new poll

 

ジョン・バウデン筆

2019年4月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/436934-buttigiegs-favorability-surges-in-new-poll?fbclid=IwAR1eVOc9TRDBc0upYW3XMBIvWpgvM6Y0882pDcFIyPP_9XAdO7uVLEqbNWc

 

火曜日に発表された世論調査の分析によると、インディアナ州サウスベンド市長のピート・ブティジェッジは、過去2カ月間で大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちの中で、好感度が最も高い伸びを示した。

 
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上から2番目(+11%)

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「モーニング・コンサルト」社は火曜日に発表したプレスリリースで、ブティジェッジの好感度が2019年2月初旬に2020年の大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちの好感度調査を開始して1カ月で11ポイント上昇したと発表した。

 

ブティジェッジは、彼の名前を実際に書くと答えた人の割合が3%と支持率の低い候補者たちの中に入ったままだが、ブティジェーグは政治に興味関心を持ち、大統領選挙民主党予備選挙を注目している人々の支持率は少し高い(7%)。


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ブティジェッジは支持率の面で大物たちを追いかけている。立候補すると見られているジョー・バイデン前副大統領は33%の支持率を獲得し、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は25%で第2位につけた。

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ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)とカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は8%で同率3位につけた。

 

モーニング・コンサルト社の世論調査は、2020年の米大統領選挙民主と曜日選挙に参加予定の登録済み有権者1万2940人を対象に実施した。誤差は1%だ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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