古村治彦です。

 

 2020年米大統領選挙民主党予備選挙の候補者の支持率の状況は、ジョー・バイデン前副大統領とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)の2強状態が続いています。3位にはインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジが入るという展開になっています。その他にもカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が続いています。

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 ブティジェッジの躍進は3月中旬以降に始まりました。3月のアイオワ州での世論調査で3位に入り、人々を驚かせ、アメリカのメディアが取り上げるようになりました。この時、民主党内部には「あんな世論調査の結果は誤差の範囲だ」「大したことではない」という声もありましたが、その後も躍進を続けています。数字は小さく感じますが、今年の2月末まで、知名度がほぼゼロ、従ってそもそも世論調査の選択肢に入っていない、もしくは入っていても支持率がゼロ%表示ということが続きましたので、大躍進と言えるでしょう。

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 今回の世論調査では、サンダースが29%の支持を獲得し、24%のバイデンを抑えてトップという結果が出ました。これは3月末に複数の女性たちがバイデンに不適切な接触をされたことを告発した影響が出てのことだと考えられます。民主党や民主党支持者の中にはこの問題は大したことではない、投票に影響しないと、火消しに躍起になっていますが、先日このブログでもご紹介したように、若い人たちの中ではバイデンは出るべきではない、という声が多くありました。

 

 バイデンが支持率でトップになる理由は、連邦上院議員と副大統領とワシントンでの経験が40年以上あること、更にはバラク・オバマ前大統領の幻影というか、オバマ時代を懐かしむ人々がバイデンにオバマの姿を投影していること、加えて、中道・穏健であることが挙げられます。一方、サンダースへの支持の理由は、民主党主流派・エスタブリッシュメント・ヒラリー派に対する反感とリベラル左派的な政策への支持が若い人々の間に広まっているということが挙げられます。

 

 民主党支持者は、「サンダースだと共和党支持者は仕方がないにしても、どちらでもない無党派層の有権者にどれだけアピールできるか疑問だ。バイデンならオバマ時代の良いイメージもあるし、中道派であるので、無党派層にアピールできる」という当選可能性を考えて、バイデン支持をしているというところでしょう。しかし、バイデンはまだ正式に立候補していません。2019年6月末に民主党全国委員会主催で、テレビ中継される候補者討論会が実施されます。

 

 バイデンがどんな戦術を採用するかによると思いますが、2020年4月まで月1回のペースで実施される討論会への参加をできるだけ避けて、良いイメージを保とうと思えば、正式な立候補宣言は出来るだけ遅らせるということがあるかもしれません。討論会に出れば、どうしても失敗や失言をしてしまうリスクは高まります。

 

 今月中に実施される各種世論調査の結果で、サンダースが先行するようであれば、5月中にバイデンが出馬宣言をすることもあるかとは思いますが、バイデンからすれば、強力なライヴァルになり得る人は今のところはいないので、のらりくらりで引き延ばしていくでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

世論調査:サンダースが集団をリードし、バイデンとブティジェッジが続く展開(Poll: Sanders leads pack, followed by Biden and Buttigieg

 

ザック・バドリック筆

2019年4月15日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/438888-poll-sanders-leads-biden-for-dem-nomination-by-5-points-buttigieg-in?fbclid=IwAR2rEm6f2ulVK_0XFwKMx41er4cCgyl8Ms4WZZpMA-5zKJ30f65fDINeyRo

 

エマーソン大学の最新世論調査の結果では、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)がトップになり、ジョー・バイデン前副大統領とインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジが続いた。

 

サンダースは多くの世論調査でジョー・バイデンに続く2位に入っていたが、今回の世論調査では支持率29%を獲得してトップになった。バイデンはまだ出馬を表明していないが、24%で2位に入り、ブティジエッジは9%で3位となった。

 

カマラ・ハリス連邦上院議員(カルフォルニア州選出、民主党)とビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)は8%ずつで4位タイに入った。続く5位には7%でエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)がつけた。

 

今回の世論調査でも、数か月前の知名度の低さにもかかわらずブティジエッジの台頭を示す結果となった。先週発表されたアイオワ州での世論調査の結果でもブティジェッジはバイデンとサンダースに続く3位となった。

 

エマーソン大学世論調査部長スペンサー・キンボールは月曜日に声明を発表した。その中で次のように述べた。「まだ予備選挙が始まったばかりの段階であるが、ピート市長は有権者の想像力をかき立てる候補者となっている。2月中旬、彼の支持率はゼロ%で、3月には3%、それが4月の現時点で9%となっている」。

 

キンボールは、バイデンがここ数週間で支持を失ったようだと述べた。2月の時点ではバイデンの支持率が27%、サンダースは17%でリードしていた。3月の時点では26%でサンダースと同率となっていた。ここ数週間、バイデンは公の場で複数の女性に不適切な接触をしたとして告発された。しかし、民主党支持の有権者のおよそ半分は今回の告発は投票行動に影響を与えないと述べた。


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バイデンが最終的に出馬しないということになると、サンダースは良い強い立場になることが考えられる。今回の世論調査では、バイデン支持者の31%がヴァーモント州選出の連邦上院議員サンダースを2番目の選択肢として選んだ。バイデン支持者の中でブティジェッジを2番目の選択肢として選ぶのは17%で、オロークを選ぶのは13%だった。


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今回の世論調査は2019年4月11日から14日にかけて登録済有権者914名を対象に実施され、誤差は3.2ポイントだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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