古村治彦です。

 

 2020年米大統領選挙について、今回は政治資金献金の面から見ていきたいと思います。立候補する人は選対を立ち上げ、それを連邦選挙管理委員会(Federal Electoral CommissionFEC)に届け出ます。そして、選挙資金の献金や支出を四半期ごとに報告する義務を負います。2020年米大統領選挙に関しては、2019年第一四半期(1月から3月)の報告期限は2019年4月15日でした。

 
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下の額は総額(100万ドル単位);上の数字は1日平均


 まず、政治献金に関してですが、現職のドナルド・トランプ大統領が圧倒しています。3000万ドルを集め、選対に残っている資金と併せて4000万ドル、日本円で44億円以上の資金を持っていることになります。現職であれば、毎日のようにテレビニュースが良いにつけ悪しきにつけ報道してくれますし、全国規模の知名度の点で他を圧倒します。その上で資金面でも有利です。

 

 興味深いのはトランプ大統領が2019年の第一四半期で集めた献金の多くが小口献金であったことです。一口平均で34ドル(日本円で約3700円強)です。これは好調な経済運営を一般庶民が評価し、これからもうまくやってくれるように期待している、ということを意味しています。

 

繰り返しになりますが、献金の総額が民主党側のトップの合計よりも多いというのは、トランプ大統領が2020年の大統領選挙で圧倒的に有利であることを示しています。戦争でもそうですが、最後は物量ということになりますが、資金力で現職大統領が圧倒しているというのは、挑戦者にとっては圧倒的に不利な状況です。トランプ大統領は自身も大富豪なのですから、自己資金ということも考えると、優越性が際立つことになります。

 

『ワシントン・ポスト』紙のミッシェル・イー・ヒー・リー記者がツイッター上に、今回の大統領選挙に立候補する人々の政治資金に関し、200ドル以下の献金者が全献金者に占める割合を投稿しています。


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200ドル以下の献金者の割合


 これは小口献金者が多いか、少ないかの一つの指標となります。トランプ大統領で55%という数字が出ています。これは一般庶民が政治献金をしているということを示しています。一口当たり34ドル、200ドル以下の献金が過半数(55%)を占めるという2つの数字から、トランプ大統領を評価し、支えているのは一般庶民であるということが明らかです。

 

民主党ではバーニー・サンダースが84%、エリザベス・ウォーレンが70%と高い数字を出しています。小口献金が圧倒的であるのに、1000万ドル近い献金を集めているのですから、こちらも一般庶民が支えているということになります。

 

一方、全国的な知名度が高く、メディアでも報道される機会が多いのに人気が高まらないコーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)とカーステン・ギリブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はそれぞれ16%、17%となっています。

 

ブッカー、ギリブランドの人気が高まらないので小口献金が集まらないという見方も出来ますが、そもそもウォール街との関係が深く、金融機関や投資会社、法律事務所からの献金が多いので、一般庶民からの人気が高まらない、それで献金も集まらないし、支持率も高まらないということになっていると考えられます。

 

 下の記事によると、民主党側では2016年の大統領選挙での敗北が尾を引いている、ということです。数千万円、数億円規模の献金や資金集めが出来る人たちは、ヒラリーが勝利をして、外国への大使や政府の役職を狙っていたのに、そうした思惑が消え去ってしまったということで、臆病になり、様子見をしているということです。また、大口献金者たちの中には、勝利をするだろうと考えているジョー・バイデン前副大統領が出馬するのを待っている人たちもいるようです。

 

 しかし、現職大統領が有利な上に、トランプ大統領は圧倒的な資金を既に集めています。トランプ陣営の責任者が「圧勝を目指す」という言葉はあながち見栄やハッタリではないということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

トランプ大統領の再選を目指す選対は2019年第一四半期で3000万ドルの献金を受けたと発表(Trump reelection campaign says it raised $30M in first quarter

 

オーウェン・ドアティ筆

2019年4月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/438858-trump-reelection-campaign-says-it-has-raised-30m-report?fbclid=IwAR16zTjq1tM_K7pLB2yiVxkonVDezFrCYkagg7hnv_OnqC805ftKHl3htDY

 

複数の報道によると、再選を目指すトランプ大統領の2020年大統領選挙の選対本部は2019年第一四半期に3000万ドル以上を集めたということだ。この金額は民主党のトップ2の集めた献金額を合わせたよりも多い。

 

今年の第一四半期で集めた資金と合わせて、トランプ大統領は現在4000万ドル以上の現金を持つことになり、これは再選を目指した歴代大統領の中でこの時期の政治資金としては最高額となっている。

 

民主党の献金額トップ2は、約1800万ドルのバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)と約1200万ドルのカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)だ。

 

トランプ選対がAP通信の取材に答えたところでは、献金の約99%は200ドル以下の小口献金だということだ。1口当たりの平均献金額は34ドルだ。

 

トランプ選対本部長ブラッド・パースケールはAP通信の取材に対し、今年第一四半期の資金集めの結果から、「トランプ大統領は、再選を目指した歴代大統領よりもかなり強力な立場にあり、2020年に圧勝することを目指すのみだ」と述べた。

 

本誌は再選を目指すトランプ選対にコメントを求めた。

 

トランプ大統領は再選を目指す選対を大統領就任直後の2017年から立ち上げていた。トランプ大統領は再選のために最終的に10億ドルを集めることを目標に設定している。

 

加えて、共和党全国委員会は2019年第一四半期に4500万ドル以上を集めたが、この金額は選挙がない年に共和党が集めた資金としては最高額である。

 

AP通信は、トランプ大統領は、2016年の大統領選挙とは違って、2020年米大統領に向けてまだ自己資金を利用していないと報じている。2016年米大統領選挙で、トランプ大統領は予備選挙の段階では自己資金を使い、党の指名を受けた後に本選挙に向けて、集まった政治資金を使った。

 

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2020年米大統領選挙の資金集めで民主党の候補者たちは苦戦中だ(Democrats are not blowing out the doors in 2020 fundraising

 

ジョナサン・イーズリー、マックス・グリーンウッド筆

2019年4月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/438342-democrats-are-not-blowing-out-the-doors-in-2020-fundraising

 

米大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちにはまだ多額の資金が流れ込んでいない。

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2020年大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちが2019年第一四半期の献金額は、大口献金者たちが、一人の候補者に全部を賭けるのではなく、選挙戦がどのように推移するか様子見をしていることを示している。

 

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)とビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)は大統領選挙出馬表明後の短い期間で巨額の資金を集めた。両者の資金集めは小口献金が多いとうこともあって、選挙戦出馬表明以降は勢いが落ちている。

 

本誌は、多くの候補者が出ている選挙戦について、民主党の大口献金者、資金集め担当者、ストラティジストたちに取材した。これらの人々は複数の候補者たちに献金をしているか、ジョー・バイデン前副大統領か前ヴァージニア州知事テリー・マカフィーのような有力候補者がこれから出馬してくるかどうかを見守っていると答えた。

 

また、2016年では痛い目に遭ったという思いから、多額の資金を献金する前に様子をよく見てみようという人たちもいる。

 

民主党関係者は一様に予備選挙に関して熱意は高まっており、資金集めは候補指名を獲得するための力となると語っている。2019年第一四半期での各陣営の献金額が発表されたが、突出した人は誰もおらず、混戦模様となっている。

 

全米民主党候補者訓練委員会の創設者であり責任者であるケリー・ディートリッヒは次のように語っている。「選挙戦は長期の戦いとなる。候補者たちは一定のレヴェルで献金を集め続けなければならない。全員に言えることだが、資金はうまく使わねばならない。最初の4つの州の予備選挙で勝利者が違うということも起きる。上り調子の時と下り調子の時もある。先に進むためにはとりあえず生き残らねばならないのだ」。

 

2008年の米大統領選挙民主党予備選挙で、ヒラリー・クリントンとバラク・オバマは2007年の第一四半期にそれぞれ2500万ドル以上の献金を集めた。

 

2020年の民主党の候補者の中で、第一四半期の資金集めにおいて2000万ドルを超えた人は出なかった。しかし、サンダースとオロークは2019年第一四半期の後半に占拠選出馬を表明したが、2007年のオバマとヒラリーの時の一日平均の献金額を超える平均額を集めている。

 

2016年の米大統領選挙民主党予備選挙では、ヒラリーは2015年第一四半期で4750万ドル以上を集めた。1日平均で60万ドル以上であった。2020年米大統領選挙民主党予備選挙の資金集めトップ3の集めた額を全部合わせても、この数字には及ばない。

 

サンダースは41日間で1820万ドル、1日平均で44万4000ドルを集めた。しかし、初日の献金額を除くと、1日平均の献金額は30万7500ドルとなる。

 

オロークは18日間で940万ドルを集めた。出馬宣言後に最初の24時間で610万ドルを集めた。一日平均にすると52万2000ドルとなる。初日を除くと、一日平均は20万ドルとなる。

 

比較のために述べるならば、バラク・オバマは2007年の第一四半期に1日平均34万8500ドルを集め、1991年の同時期、ビル・クリントンは37万2000ドルを集めた。

 

サンダースとオロークに続き、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は1200万ドル、1日平均17万1000ドルを集め、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ(民主党)は700万ドル、1日平均10万3000ドルを集めた。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は、600万ドル、1日平均6万7000ドルを集め、エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は520万ドル、1日平均10万2000ドルを集め、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)は500万ドル強、1日平均8万5000ドルを集めた。

 

第二集団の候補者たちは、大企業が作ったPACからの献金を断っているので、使える資金の量は多くないために、予備選挙から撤退しないために資金を倹約して使わねばならない。予備選挙では最初の4つの州の予備選挙でそれぞれ別の人が勝利を収めるということも起きる。

 

候補者たちは2019年4月15日までに2019年第一四半期に集めた献金額を連邦選挙管理員会に報告した。しかし、期限日よりも前に献金額を発表した候補者たちもいた。

 

本誌は複数の民主党の大口献金者たちに取材を行った。彼らは現在のところ、気に入った複数の候補者に少額を献金しているということであった。候補者たちは民主党全国委員会が主催する討論会に参加できるように条件を超えようと努力を続けている。

 

ある献金者は数十ドル規模の献金を、ブティジェッジを含む10名以上の候補者に行った。それは、2019年6月に第一回目が始まる民主党全国委員会主催の討論会に多くの候補者を登壇させるためだ。

 

民主党の大口献金者ジョン・ヴェインは適者生存理論を応用しながら、次のように語っている。「既に献金をしている人もいますが、ダーウィンの理論が実践されることを待っている人たちもいます」。

 

ヴェインは予備選挙が進み、候補者が絞られるようになってきて、大口献金者が出てくるだろうと述べている。

 

しかし、民主党を支えてきた大口献金者たちの資金は、バイデンとマカフィーへの献金をするために控えられている状況だ。両者は現時点では出馬表明をしていない。

 

フロリダ州オーランドで弁護士をしているジョン・モーガンは2016年米大統領選挙でヒラリー・クリントンのために数百万ドルを集めた。モーガンは「テリー・マカフィーは親友です。私は彼が決断するのを待っているんです」と語っている。

 

別の大口献金者は2019年の第一四半期の民主党の候補者たちの献金額の合計を見れば、献金者たちが「様子見の姿勢」を取っていることが分かると述べている。

 

この献金者は次のように語った。「多くの人々は誰がトランプを倒せるのか分からないと迷っていると思います。そして、ジョー・バイデンはまだ選挙戦に出馬していないという事実もあります。多くの人々がバイデンはどのように民主党予備選挙をリードするのか、各種世論調査でリードを維持できるのかどうか様子見をしているのだと思います」。

 

大口献金者のグループの中にはジョー・フォークがいる。フォークはオバマ・バイデン選対のために数百万ドルを集めた実績を持つ。

 

フォークは「私はバイデンの熱心な支持者だ。私は彼を支持する」と述べた。

 

民主党関係者の中には、2016年の米大統領選挙に関して献金者たちには後悔の念が残っているのだと語っている人もいる。ヒラリー・クリントンは選対だけで5億ドル以上の資金を集めたがトランプ大統領に敗北した。

 

大統領選挙民主党予備選挙の候補者たちは、連邦下院、連邦上院の候補者たちと政治資金をめぐって争うことになる。リベラル派の有権者と献金者の資金が流入して、民主党は2018年の中間選挙において連邦下院で過半数を獲得できた。民主党は2020年の選挙で連邦上院での過半数獲得を目指している。

 

ある民主党関係者は次のように述べている「大口献金者の多くが2016年以来PTSDを引きずっている。こうした人々は大統領選挙後の8年間の人生について計画を立てていた。大使もしくは政府の高官に任命されるかについて考えていた。選挙に敗北した影響がまだ民主党の周辺に残っている。支持率が低い候補者にも資金を提供することはリスク回避の良い方法だと考えられている」。

 

それでも民主党は予備選挙が盛り上がってくればすぐに十分な資金が集まってくると期待している。そして、誰が党の指名を勝ち取り、トランプ大東慮と戦うことになっても資金不足という事態が起きることはないとしている。

 

ある民主党関係者は次のように述べている。「誰が党の指名候補となってもお金は集まるだろう。それは何も問題ではない。しかし、現在、集まっている献金額を見ると、これまでの予備選挙の中で最悪の戦いに向かっているように思われる。既に地位を固めた先頭走者はおらず、大口献金者はバイデンとマカフィーの決断を待っている状況だ。共和党側は既に巨額の資金を集め、その使い道についてもきちんと計画を立てている」。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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