古村治彦です。

 

 モーニング・コンサルト社による全国規模での世論調査が実施され、昨日と同様の結果が出ました。ジョー・バイデン前副大統領がリード、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が続く2位で、先頭を走っています。

 

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 第二集団で、ピート・ブティジェッジが3位に浮上しています。以下のグラフにあるように、今年の3月初めまで支持率がゼロ%表示であったことを考えると、この数字の伸びは驚異的です。

 

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ブティジェッジの対する支持率の急上昇は、メディアで取り上げられるたびに、高まっているように感じます。私も彼のインタヴューの受け答えのクレヴァーさに惹きつけられます。他の候補者たちも素晴らしいのですが、彼の論理性の高さ、話し方、中身は特に素晴らしいものです。




 知名度という点で、ブティジェッジはまだまだ有権者に知られていないので、これから知名度が上昇していくと、支持率も高まっていくでしょう。早期で予備選挙が実施される各州を既に訪問し、昨日もご紹介したように、これらの州では支持率でトップ2のバイデンとサンダースに肉薄するところまで来ています。

 

 下の記事で紹介しているモーニング・コンサルト社の世論調査で興味深かったのは、民主党支持の有権者がどの問題に関心を持っているかということです。全体では、順番に、1.医療保険制度(国民皆保険制度)、2、経済格差問題、3、高齢者に関わる問題という順番になっています。これを、各候補者の支持者別で見ていくと興味深い結果が出ました。

 

 バイデン支持者は、1.高齢者にかかわる問題、2.健康保険制度、3.経済格差、となります。サンダース支持者は、1.健康保険制度、2.経済格差、3.高齢者にかかわる問題、となり、ブティジェッジ支持者は、1.健康保険制度、2.高齢者にかかわる問題、3.経済格差となります。


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 これは、バイデン支持者には高齢者が多く、サンダース支持者には若い人たちが多いことを示す傍証となります。このブログでもご紹介しましたが、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)がバイデンについて、「新鮮味を感じず、ワクワクしない」と発言しましたが、これは当たっていると思います。

 

 ブティジェッジは、バイデンとサンダースの間で、2人と区別をつけているように感じます。ブティジェッジはバラク・オバマ前大統領の継承者というイメージを手にしようとしつつ、オバマ政権の副大統領バイデンと自信を区別するために、「世代交代」を掲げています。

 

 ブティジェッジは自信を進歩主義派と規定していますが、サンダースとも区別しようとしています。これまでこのブログで何度も書いてきたように、トランプとサンダースは共に、ポピュリズムという点でくくることが出来ます。右派と左派の違いはあるが、経済政策も外交政策もほぼ同じということになります。ブティジェッジはトランプ支持者とサンダース支持者は似ていると発言しましたが、こういうところを反映しているのだと思います。

 ブティジェッジは、出馬宣言の中で、アメリカの変化は地殻変動(techtonics)だと述べ、この地殻変動によって、今の大統領(トランプ大統領)が当選できた、と述べました。彼の言葉を敷衍すれば、サンダースが有力候補なっているのもその地殻変動のためだということになります。ブティジェッジは、2000年、高校生の時にサンダースをテーマにして論文を書き、論文コンクールで優勝しています。ですから、サンダースに関しては詳しいということになります。

 

 ブティジェッジは自分をポピュリストであるトランプ大統領とサンダースを区別することで、穏健な中道派のイメージも手にしようとしています。

 

 ブティジェッジのこのような戦略が奏功して、支持率を上昇させているのだろうと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

世論調査:ブティジェッジはハリスとオロークを追い越し、上昇局面を継続中(Poll: Buttigieg tops Harris, O'Rourke as momentum builds

 

クリス・ミルズ・ロドリゴ筆

2019年4月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign-polls/440170-poll-buttigieg-tops-harris-orourke-as-momentum-builds

 

全国規模の民主党支持者を対象にした最新の世論調査の結果が火曜日に発表され、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)を追い越したことが明らかになった。

 

ブティジェッジは、ジョー・バイデン前副大統領とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に続いて、支持率9%で3位に入った。先週のモーニング・コンサルト社の世論調査から2ポイント上昇した。


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バイデンは大統領選挙への出馬表明をしていないが、民主党支持者のうち30%がバイデンを選ぶと答え、24%がサンダースを選ぶと答えた。

 

ハリスは1ポイント下がり8%となり、オロークは2ポイント下がり6%となった。

 

ブティジェッジは2019年4月上旬に正式に選挙への出馬を表明し、予備選挙に関する各種世論調査での支持率は急上昇している。

 

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは、最近のアイオワ州とニューハンプシャー州での世論調査において現在の先頭走者であるバイデンとサンダースに迫っている。

 

ブティジェッジは2019年第一四半期で700万ドル以上の献金を集め、民主党主催の予備選挙候補者討論会への参加資格を既に満たしている。

 

モーニング・コンサルト社の世論調査は2019年4月15日から21日にかけて14335名の民主党支持の有権者を対象に実施された。誤差は1ポイントだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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