古村治彦です。

 

 ワシントン・ポスト紙とテレビ局のABCによる世論調査の結果が発表となりました。世論調査の対象者が1001名と少ないために誤差の大きい世論調査ですが、興味深いのは調査の方法で、「民主党の予備選挙の候補者で誰を支持しますか」という設問で、調査対象者に支持する候補者の名前を言ってもらう、名簿を読み上げて、この人と答えてもらうものではない、調査となりました。

 

 そのために、出た数字は他の世論調査に比べて低いものとなりました。トップのジョー・バイデン前副大統領が13%、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が9%、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジが5%、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が4%、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)が3%、それ以外の候補者たちは2%以下でした。


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 名簿から選ぶのではなく、自分から名前を言うということになれば、知名度が高い人や熱心な支持者が多い人が有利になるだろうということは容易に想像されます。他の各種世論調査ではバイデンがサンダースを10ポイント引き離してトップというような結果が多く出ていますが、今回の数字は実勢を示している数字ということになるでしょう。

 

 そうした中で、ピート・ブティジェッジが5%で3位に浮上というのは凄いことです。このブログでも何度もご紹介していますが、今年の2月時点ではゼロ表示、そもそも名簿に入っていないというくらいの「泡沫」候補でした。

 

3月からMSNBCの「モーニング・ジョー」での好意的な報道がまずありました。司会者のジョー・スカーボローは、バラク・オバマ前大統領に初めて会った時以来の衝撃を受けたとまで発言しました。もう一人の司会者ミカ・ブレジンスキーも報道するたびに好意的な姿勢を取っています。

 

3月10日のCNNのタウンホールミーティング形式の番組に出演し、その穏やかな姿勢、頭の回転の速さを示す語り口(間投詞が入らない)、論理的な内容に多くの視聴者が感銘を受けました。彼の経歴の華やかさ、同性愛者であることが一つの個性としてしか感じられないほどの多彩さに人々は驚きました。私もその一人です。

 

 ブティジェッジ(Buttigieg)という読みにくい名前がかえって人々の印象にも残り、支持率が急上昇し、今回5%の支持率を獲得しました。

 

 今回の世論調査の結果を詳しく見ていくと以下のようになります。

 

・穏健・保守的;バイデン:14%、サンダース:5%、ブティジエッジ:4%

・リベラル;バイデン:12%、サンダース:16%、ブティジェッジ:7%

・白人;バイデン:13%、サンダース:11%、ブティジェッジ:7%

・非白人;バイデン:13%、サンダース:6%、ブティジェッジ:3%

・男性;バイデン:14%、サンダース:13%、ブティジェッジ:4%

・女性;バイデン:13%、サンダース:6%、ブティジェッジ:5%

・18-39歳;バイデン:5%、サンダース:11%、ブティジェッジ:5%

・40-64歳;バイデン:18%、サンダース:9%、ブティジェッジ:5%

・65歳以上;バイデン:22%、サンダース:4%、ブティジェッジ:4%

・大学学位非保有;バイデン:11%、サンダース:7%、ブティジェッジ:2%

・大学学位保有;バイデン:18%、サンダース:12%、ブティジェッジ:9%

・年収5万ドル以下;バイデン:11%、サンダース:10%、ブティジェッジ:3%

・年収5万ドル以上;バイデン:16%、サンダース:10%、ブティジェッジ:7%

 

 全体として、どのグループ分けでもバイデンがトップの数字となっていますが、バイデン支持者にいくつかの特徴付をすると、1.穏健・保守、2、マイノリティ、3.女性、4.高齢者、ということになります。サンダースの場合には、1.リベラル、2.若者、ということになります。ブティジェッジの場合には、1.大学学位保有者、2.年収5万ドル以上、ということになります。

 

 バイデン支持者はバラク・オバマ大統領時代を懐かしむ、変化を好まない人々(トランプ大統領の誕生という大変化に戸惑っている人々)ということになり、サンダース支持者は若者たちで2016年の選挙結果に納得しておらず、オバマ時代でさえ過去の遺物として既に捨て去っている人々ということになります。民主党支持者たちが左傾化したことで、サンダースの考えである国民皆保険、公立大学の学費無料化といったことを支持する人々が増え、非主流の変わり者扱いだったサンダースが有力政治家となっています。

 

 ブティジェッジはどちらからも距離を取っています。出馬宣言の中で、「世代交代」を訴え、アメリカに地殻変動が起きていると指摘しましたが、これはバイデンとサンダース両方と距離を取って、自身をリベラル派と穏健派の間に位置づける戦略と言えるでしょう。また、非白人への浸透が弱いことを受けて、2019年4月29日に、黒人運動の指導者アル・シャープトンに個人的に面会に行くなど、素早い動きを見せています。

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 これからどのように展開していくかを注目していきたいと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

世論調査:バイデンが2020年大統領選挙民主党予備選挙候補者の中でリード(Poll: Biden holds lead over 2020 Democratic field

 

ジャスティン・ワイズ筆

2019年4月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/441024-poll-biden-holds-lead-over-wide-open-2020-democratic-field

 

『ワシントン・ポスト』紙・ABC共同世論調査の最新結果が発表され、ジョー・バイデン前副大統領が大統領選挙民主党予備選挙候補者の中で最も支持率が高いということが分かった。

 

世論調査の結果によると、民主支持者、民主党寄りの有権者がそれぞれの住む州で今日民主党予備選挙か党員集会が実施されたとして、13%がバイデンに投票すると答え、9%がバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)と答えた。

 

民主党支持者、民主党寄りの有権者の5%がインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジに今日が予備選挙当日とする場合、投票すると答えた。カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)はそれぞれ4%の支持を得た。

 

ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)に投票すると答えたのは3%だった。

 

今回の世論調査の結果は他の各種世論調査の結果よりも明らかに数字が低い。それは、今回の調査では、調査対象者に対して、支持する人物の名前を答えるように依頼したが、しかし、立候補者の名簿を提示することはしなかった

 

今回の世論調査の結果では、2020年米大統領選挙民主党予備選挙はまだ結果が決まっていない状態にあるということを示している。予備選挙が今日実施されるとして誰に投票するかと質問され、対象者の54%が自発的に誰かの名前を出すことはなかった。


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ワシントン・ポスト紙は、今年1月に実施された同様の世論調査の結果と今回の調査結果を比べ、バイデンの支持率は4パーセント上昇していると指摘している。サンダースの支持率は、ブティジェッジと同じく、5%の上昇となった。

 

ワシントン・ポスト紙は今年1月の調査では、ブティジェッジの名前を自発的に出した人はいなかった、と書いている。

 

バイデン、サンダース、ブティジェッジはここ数カ月で、各種世論調査でトップに上昇している。バイデンは先週、2020年米大統領選挙民主党予備選挙に正式に出馬表明した。

 

ワシントン・ポスト紙・ABC共同世論調査は4月22日から25日にかけて全国の1001名の成人を対象に実施された。誤差は5.5ポイントだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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