古村治彦です。
選挙にお金がかかるのはアメリカでも同じです。今回は、2019年第2四半期(4月から6月まで)の寄付金についての記事をご紹介します。
民主党予備選挙で先頭走者、フロントランナーになっているジョー・バイデン前副大統領は2150万ドル(約23億円)を集めたということです。一方、期待の若手、新星ピート・ブティジェッジ・インディアナ州サウスベンド市長は約2500万ドル(約27億円)を集めたということです。
バイデンの立候補表明は4月末でしたので、実質的に2か月ちょっとでの数字ですが、それでも3月までは泡沫候補扱いだったブティジェッジに寄付金の数字で負けているのは驚きです。4月から5月にかけて、バイデンが独走状態になるという記事がたくさん出ていましたが、その中には、ヒラリー・クリントン元国務長官に多額の献金をした、大口献金者たちが満を持してバイデンにお金を出している、という記事もありましたので、私としては2500万ドル以上、3000万ドルくらいは集まっていると思っていました。
それが2000万ドル台そこそこ(この数字も凄いですが)、というのはバイデンの力は大したことは無いということを示していると私には思えてなりません。大口献金者や企業からの献金を断り、個人献金にこだわっているバーニー・サンダースが第一四半期と同じ1800万ドル(約19億円)を集めていることも明らかになっていますから、バイデンの「大したことなさ」が際立ってしまいます。サンダースは2019年だけで3600万ドルを集めたことになりますから、これは大したもので、選挙戦も積極的に展開できるでしょう。
バイデン選対は大企業や大口献金者からの献金は受け取っていないとし、1件当たりの平均献金額は49ドルだと発表していますが、ブティジェッジの場合、平均額は47ドルであり、ほぼ同じです。そうなると、ブティジェッジの方が献金者数、献金件数が多いということになって、バイデンが各種世論調査で支持率独走状態であるということも、献金数、献金額に反映されていないということになります。
討論会の前後で支持率を上げた、カマラ・ハリスとエリザベス・ウォーレンへの献金額も伸びていくでしょうから、トップ5(バイデン、サンダース、ハリス、ウォーレン、ブティジエッジ)の戦いは激化していくでしょうが、それ以外の候補者たちの戦いはどんどん苦しくなっていくでしょう。
2回目の討論会は2019年7月30日と31日にミシガン州デトロイトで実施されます。参加条件は1回目とあまり変わりません。20名が討論会に参加できます。3回目は9月12日と13日に実施されますが、参加条件は厳しくなり、2019年6月28日から8月28日の間に実施される各種世論調査で2%以上の支持率を4回取るか、8月28日までに13万人以上の献金者から献金を集めるか、20州以上の州から一つの州で400名上々の献金者から献金を集めるか、というものです。これだと20名の参加者は望めないので、討論会の登壇者の数は減ることになるでしょう。
2ダース分の候補者が出ていますが、人気が下位の候補者たちは7月、8月が勝負ということになるでしょう。バイデンはこれから数字を上げていかねば思わぬ形で足をすくわれてしまうことも考えられます。
(貼り付けはじめ)
バイデンは第2四半期で2150万ドルを集めた(Biden raises $21.5M
in second quarter)
ジュリア・マンチェスター筆
2019年7月3日
『ザ・ヒル』
https://thehill.com/homenews/campaign/451547-biden-raises-215m-in-second-quarter
ジョー・バイデン前副大統領の選挙対策本部は水曜日、2019年第2四半期で2150万ドルの政治献金を集めたと発表した。
バイデン選対は献金の97%は草の根の献金者たちからのもので、25万6000名の献金者が43万6000件以上の献金を行った。1件当たりの献金額は49ドルだと選対は発表した。
バイデンの選対は、ロビイスト、PAC、化石燃料産業からの寄付を受け取っていないと報告した。
バイデン選対は、2019年第一四半期のどの候補者よりも多額の政治献金を第二四半期で集めと自画自賛している。一方、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは献金額の合計でバイデンを上回った。ブティジェッジ選対は2019年第二四半期で約2500万ドルを集めた。
ブティジェッジ選対は40万以上の献金者たちから大統領選挙のための献金を受けたと発表した。1人当たりの平均献金額は47ドル42セントとなった。ブティジェッジとバイデンは共に今年4月に選挙運動を正式にスタートさせた。
ブティジェッジ選対に多額の献金が寄せられているというのは、ブティジェッジにとって素晴らしいニュースだ。ほんの数か月前まで、ブティジェッジはアメリカ全土では比較的無名の存在であった。2019年第一四半期でも700万ドルしか集めることが出来なかった。
バイデン選対は献金の総額を発表することで、多くの立候補者がひしめき合っている民主党予備選挙での更なる支持を求め、先週の一回目の討論会でのボロボロのパフォーマンス後でも全国規模の各種世論調査で支持率トップを維持したいと考えている。
バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は1回目の討論会の後支持率を下げ、選挙戦の行く末に疑問の声が上がっている。先週の討論会の後、3つの世論調査の結果が発表され、サンダースはバイデン、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の後塵を拝する結果となっている。
政治資金の面から見ると、サンダースはブティジェッジとバイデンの後を追っていることが明らかになった。2019年第二四半期でサンダース派1800万ドルを集めた。
サンダースの選対幹部たちは、サンダースは大口献金者たちからの献金を避けていると強調し、大口献金者や民主党の有力者たちに媚びるつもりは一切ないと述べた。
ブティジェッジとバイデンは共に先週の討論会の後に複数の資金集めイヴェントに出席している。
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ブティジェッジは2480万ドルを集め、前の四半期から数字を3倍に伸ばした(Buttigieg
raises $24.8 million, tripling haul in previous quarter)
モーガン・グスタルター筆
2019年7月1日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/451119-buttigieg-raises-248-million-tripling-haul-in-previous-quarter
民主党の大統領選挙予備選挙候補者ピート・ブティジェッジは月曜日、2020年大統領選挙の選挙対策本部は2019年第二四半期で約2500万ドルの献金を集めたと発表した。この数字は2019年第一四半期で集めた献金額の3倍以上となっている。
37歳のインディアナ州サウスベンド市長ブティジェッジはツイッター上に投稿したヴィデオ映像の中で、40万以上の献金者が合計で2480万ドルを献金したと述べた。
2019年第二四半期の献金額の合計は第一四半期で集めた700万ドルの3倍以上の数字となっている。700万ドルという数字も、比較的無名で、その時期には正式に出馬宣言をしていなかった候補者としては大変な数字である。
ブティジェッジ選対は声明の中で、第一四半期に比べて献金者の数が2倍以上に増加したと発表した。
発表では、ブティジェッジへの献金は全米の全ての州と自治州からなされており、一人当たりの平均額は47ドル42セントであることが明らかにされた。
ブティジェッジ選対は、選対には現在2260万ドルの資金があることも併せて発表した。
ブティジェッジに対する政治献金の急増は、先週マイアミで行われた討論会の2晩めに登場した後に発表された。
政治献金の総額が発表されたのは、今年6月後半にサウスベンド市で白人警察官が黒人男性を射殺する事件が起きて、ブティジェッジが選挙運動から離脱を余儀なくされた後に発表された。
(貼り付け終わり)
(終わり)
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