古村治彦です。
私が翻訳しました『バーナード・マドフ事件』(アダム・レボー著、成甲書房、2010年)の主人公バーナード・マドフ(Bernard Madoff、1938年―、81歳)がドナルド・トランプ大統領に対して、服役期間の短縮を請願しました。
マドフは、自身の会社バーナード・L・マドフ投資証券を舞台に、ねずみ講事件を引き起こし、被害額は650億ドル(約6兆円)にまで膨れ上がり、アメリカ史上最大規模の詐欺事件となりました。被害者の中には、映画監督のスティーヴン・スピルバーグや俳優のケヴィン・ベーコンが含まれ、日本の金融機関あおぞら銀行や住友生命保険、三井住友生命なども被害に遭いました。マドフは詐欺を行っている間に株式市場NASDAQの会長を務めており、そのこともアメリカの金融業界に大きな衝撃を与えました。
マドフは2008年12月に逮捕され、2009年に裁判を受け、150年の懲役を宣告されました。2010年には父マドフの仕事を手伝っていた長男マークが首つり自殺をするという事件も起きました。2014年にはこちらも父や屋の仕事を手伝っていた次男アンドリューが悪性リンパ腫で48歳の若さで死亡するという不幸も起きました。
2017年にはマドフ事件がテレビ映画化され、マドフを名優ロバート・デニーロが演じました。
マドフは2009年から服役を開始しました。現在の人間の平均寿命では、生きて連邦刑務所から出ることはできないですから、実質的に終身刑ということになります。
そのマドフがトランプ大統領に服役期間の短縮を請願したということがニュースになりました。その意図は分かりませんが、服役して10年経過して、新星をしてみようということで行ったのかもしれません。マドフとトランプ大統領は共にニューヨーク生まれニューヨーク育ち、実業の世界で成り上がった成功者ということになりますが、トランプ大統領はマドフの仲間だと見られるのは嫌でしょうから、請願は却下するでしょう。
マドフの名前を久しぶりに聞いて懐かしくなり、また興味深いニュースと思い、ご紹介しました。
(貼り付けはじめ)
バーニー・マドフが服役期間の短縮をトランプに請願(Bernie Madoff asks
Trump to reduce his prison sentence)
タル・アクセルロッド筆
2019年7月24日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/administration/454565-bernie-madoff-asks-trump-to-reduce-his-prison-sentence
アメリカ史上最大のねずみ講事件を引き起こしたバーニー・マドフは司法省に請願書を提出し、トランプ大統領に対して懲役期間の短縮を求めた。
現在81歳になるマドフは懲役150年の宣告を受け、現在ノースカロライナ州パンターにある連邦刑務所で服役している。マドフは金融詐欺を計画し、彼自身の起業バーナード・L・マドフ投資証券を通じて投資家たちから650億ドルを集めた。
2009年の裁判でマドフは有罪を認めた。彼は恩赦を求めてはいないが、服役期間の短縮を請願している。司法省のウェブサイトはマドフからの請願を「保留中」と表示している。
司法省は本誌に対しての西岸のタイミングについてのコメントを拒否した。しかし、今回のニュースを最初に報じたCNBCの取材に対しては、恩赦申請がウェブサイト上に表示されるのは申請から1カ月から3カ月かかると答えた。
長年マドフの秘書を務めたアネット・ボンジオーノはねずみ講を組織することをほう助したとして6年間服役している。司法省のウェブサイトによるとボンジオーノもまた服役期間短縮を申請している。彼女は既に4年半の服役を終えている。連邦判事は今年1月に、刑務所ではなく自宅監禁に切り替えて欲しいとする彼女の申請を却下した。
トランプ大統領は1期目で10件の恩赦と4件の服役期間の短縮を実施した。
(貼り付け終わり)
(終わり)
隠された十字架 江戸の数学者たち
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