古村治彦です。

 

 最新の世論調査でジョー・バイデンの支持率が急落していることが明らかになったそうです。マンモス大学が定期的に実施している世論調査で、6月の32%に比べて2桁の下落で、19%にまでなったということです。バーニー・サンダースとエリザベス・ウォーレンの支持率は20%ということでそれぞれ支持率を増加させて、三つ巴の戦いということになっているということです。


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上段左から:バイデン、サンダース、ハリス
下段左から:ウォーレン、ブティジェッジ、ブッカー

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 マンモス大学の世論調査についてですが、全米規模の世論調査なのですが、調査対象者数が298名ということで、これはサンプル数としては少なすぎます。その結果として、誤差がプラスマイナス5ポイントということで、信ぴょう性の高い世論調査ではありません。


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 昔、フジテレビで放送されていた「トリビアの泉」という番組がありました。何か調査をする際に、統計の専門家として大阪商業大学の谷岡一郎学長が出演していましたが、決まって、「日本全体での調査を行う場合には2000名に調査すると良いでしょう」と発言していました。日本の3倍以上の人口がいるアメリカに当てはめると、6000名以上のサンプル数が必要ということになります。

 

バイデン陣営は今回の世論調査の結果は「例外的な外れ値」と批判しています。また、サンプル数が少なすぎるとも主張しています。私もバイデン陣営の主張が正しいと思います。

 

 しかし、今回のマンモス大学の最新の世論調査の結果を受けて、バイデンの「当選可能性(electability)」に陰りが出ているという記事が出ました。民主党予備選挙では、これまでバイデンが他の候補者たちを大きく引き離してトップを保ってきました。それは知名度に加えて、「リベラルすぎる他の候補者たちに比べて中道であり、共和党支持者の一部や無党派層の支持を得やすいので、トランプ大統領を倒して当選できるだろう」という考えがあり、それで民主党支持者の間で支持率が高い、ということになっていました。

 

 しかし、その理由だけではダメだ、他にバイデンに支持が集まるための理由が必要だ、という主張が出て来ています。バイデン自身はこれまでの2度の討論会では良いところを見せられていませんし、いくつか失言があり、支持率が上がる状況ではありません。これからますます批判にさらされることになると、厳しい状態が続くことになることは事実です。

 

 しかし、バイデンの支持率が10ポイント以上も下がるということもまた考えづらいことです。そこまでの致命的なミスをしている訳ではないからです。しかし、バイデン陣営にとって、今回の世論調査の結果は目覚ましの一発にはなったことでしょう。

 

(貼り付けはじめ)

 

最新の世論調査でバイデンの支持率が急落、民主党予備選挙で三つ巴の戦いに(New poll shows Biden falling badly, three-way tie for Democratic lead

 

マックス・グリーンウッド筆

2019年8月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/458833-new-poll-shows-biden-falling-badly-three-way-tie-for-democratic-lead

 

アメリカ大統領選挙民主党予備選挙におけるジョー・バイデンの支持率が急落していることが、マンモス大学による最新の世論調査の結果明らかになった。バイデンの支持率は20%を切ってしまった。

 

世論調査の結果によると、全国規模の民主党支持、民主党寄りの有権者のうち、バイデン支持派19%であった。マンモス大学の6月の世論調査の時、バイデンの支持率は32%だったので、二桁の下落ということになった。

 

マンモス大学の世論調査の結果は予備選挙の構図が変化しつつあることを示している。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)とエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の2人の進歩主義的な候補者たちの支持率は共に20%を記録した。2人は統計上バイデンと並んだことになり、三つ巴の接戦を展開している。

 

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は遠く引き離された4位で、支持率は8%だった。彼女の支持率は6月の調査の時と変わらなかった。

 

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジはここ数か月支持率でトップ集団に入ってきているが、コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)と並んで支持率4%となった。

 

その他4名の候補者たち、IT企業経営者アンドリュー・ヤン、前住宅・都市開発長官フリアン・カストロ、ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)、ベストセラー作家のマリアンヌ・ウィリアムソンが2%の支持率を集めた。

 

マンモス大学世論調査研究所のパトリック・マレー部長は、最新の世論調査の結果は、民主党予備選挙は新しい段階に入ったことを示していると述べている。

 

マレーは次のように述べている。「今回の世論調査の結果から得られるポイントは、民主党の予備選挙は不安定になっているということだ。リベラルな有権者たちは自分たちと考えが同じ候補者を支持し始めている。選挙戦にそこまで関心を持っていない穏健な有権者たちはバイデンに対する疑念を持っているように見える」。

 

穏健な有権者たちは知名度が低いがより中道派の候補者ではなく、「知名度の高いより左派的な候補者を支持するようになっている」。

 

実際、バイデンは自身を穏健もしくは保守的と考える民主党支持者からの支持を減らしている。今年6月、そうした有権者の約40%がバイデンを支持すると答えた。それ以降、今月までにその数字は22%にまで下落した。

 

穏健もしくは保守的な民主党支持者たちがサンダースとウォーレンを支持し始めていることを示す兆候がいくつか存在する。穏健もしくは保守的な有権者の間でのサンダースに対する支持率は6月の段階では10%だったが、それが20%に上昇した。一方、ウォーレンへの支持率も6%から16%に上がった。

 

今回の世論調査の結果では、6月以降、サンダースとウォーレンは支持率を上昇させている。サンダースは6ポイント、ウォーレンは5ポイント支持率を上昇させている。

 

同時に、ウォーレンは好感度を上げており、5月の段階では60%だったものが8月には65%になっている。他方、バイデンは好感度を74%から66%に下げている。

 

マンモス大学の世論調査は民主党支持もしくは民主党寄りの有権者298名を対象に、2019年8月16日から20日にかけて実施された。誤差は5.7ポイントである。

 

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バイデンの当選可能性に関する主張に陰り(Biden electability argument takes hit

 

エイミー・パーンズ筆

2019年8月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/458900-biden-electability-argument-takes-hit

 

ジョー・バイデンは「当選可能性(electability)」を持っているという主張が急速に陰りを見せ始めている。

 

月曜日に発表されたマンモス大学の全国規模の世論調査の結果では、バイデンの支持率が13ポイント下落し、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)と三つ巴の戦いとなっている。

 

民主党の関係者たちは口を揃えて、今回の世論調査の結果はバイデンが勝利できないのではないかということを示す証拠だと述べている。バイデンは、本選挙でトランプ大統領を倒すことが出来る最良の候補者だと考えられてきた。

 

民主党の予備選挙参加予定有権者たちは2020年11月の本選挙で勝てる候補者に投票しようと考えている。その結果、これまで各種世論調査で高い知名度を誇るバイデンが高い支持率を獲得してきた。

 

しかし、他の候補者たちは、バイデンではなく、自分こそがトランプを倒す可能性が最も高いと主張している。

 

更に言えば、民主党系のストラティジストたちは、バイデンには有権者が支持するための、知名度などとは別の更なる理由が必要になっていると述べている。

 

ヒラリー・クリントンの2008年の大統領選挙に参加した民主党系のストラティジストであるマイケル・トゥルージロは「もしバイデン自身が基盤としている唯一の主張が崩れると、それが全面崩壊につながることになる」と述べている。

 

トゥルージロはマンモス大学の世論調査の結果について質問され、「これは砂上の楼閣の崩壊の始まりとなるだろうか?この質問の答えは五分五分といったところだ」と答えた。彼は更に、「世論調査の結果が正しいとすると、これはバイデン選対が望む数字ではないし、砂上の楼閣の崩壊も彼らが望むものではない」と述べた。

 

マンモス大学の世論調査の結果はレイバーディ(9月の第一日曜日)の直前に発表された。9月から民主党の選挙運動は活発化し始め、候補者たちは予備選挙に本格的に入っていく。

 

民主党系のストラティジストであるジム・マンリーは「バイデンを支持する人々は、“バイデンには当選可能性がある”と主張だけでは選挙戦を勝ち抜くことはできないということに気づくだけの賢明さを持っていることを願っている。長期間の戦いにおいて、その理由一つだけで戦い抜くことはできないと私は考える」と述べている。

 

マンリーは続けて「全ての候補者があらゆる方向からバイデンにパンチを浴びせかけるのに、当選可能性一本槍で戦うことは難しい。時間が経過すればするほど戦いは困難になる」と述べた。

 

当選可能性は選挙運動において最も重要なポイントとなるが、バイデンはそれだけを主張して選挙戦を戦っている訳ではない。

 

バイデンはアメリカが揺れ動いているこの時期、自分自身を人々をまとめることが出来る存在と印象付けようとしている。

 

バイデンは今週末ニューハンプシャー州のキーン州立大学での集会で次のように発言した。「トランプ大統領は自身の支持基盤となる人々だけの大統領になる決心している。私は全てのアメリカ人の大統領になりたいと考えている。人々はドナルド・トランプがどのような人物かを知っている。私たちに必要なのは、人々に私たちがどのような人間なのかを知ってもらうことだ」。

 

月曜日にマンモス大学の世論調査の結果が発表された後、バイデンの側近たちは、調査対象者数が298名と少なかったことを指摘して、結果について「例外的な外れ値」と断じた。

 

その他の側近たちは、先週発表されたCNNの世論調査の結果ではバイデンが他の候補者たちに2桁の大きなリードを保ってトップであったという点を強調した。CNNの世論調査では、バイデンの支持率は29%で、サンダースとウォーレンの支持率はそれぞれ15%と14%だった。

 

今月初めに発表されたキュニピアック大学の世論調査の結果ではバイデンは支持率32%でトップ、続けてウォーレンが21%、サンダースが14%だった。

 

バイデンの側近の一人はマンモス大学の世論調査について次のように語った。「この世論調査の結果は例外だ。これまでのその他の世論調査の結果では全て私たちがリードしている」。

 

しかし、民主党の中にはバイデンが「当選可能性」に過度に依存しているのは、バイデン自身が失言を続けている状況下では、誤った方法だと述べる人たちが出ている。今週、バイデンはニューハンプシャー州を訪れたのだが、そこで、ヴァーモント州と言い間違えてしまった。

 

民主党系のストラティジストであるブラット・バノンは次のように述べた。「選挙運動の中でバイデン自身が失言をしたことで、“バイデンには当選可能性がある”という主張も損なわれてしまっている。結果として、予備選挙に参加する有権者たちは、失言について見聞きし、記事を読み、来年の本選挙でバイデンがトランプを倒すことが出来るだろうかということについて疑問を持つようになる」。

 

バノンは「バイデンは自ら凡ミスを犯してしまっている。来年、彼が民主党の指名候補になって、トランプ大統領から激しく攻撃されれば、このような凡ミスを更に犯すことになるだろう」と続けて述べた。

 

フォックスニュースの最新世論調査の結果では、その他の候補者たちも架空の一対一の戦いでトランプを倒すという結果が出ている。世論調査の結果では、バイデンはトランプに12ポイントの差をつけて勝利するとなっており、その他にもサンダースが9ポイント、ウォーレンが7ポイント、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が6ポイントの差をつけて勝利するとなった。

 

トゥルージロは次のように述べている。「バイデン以外の候補者たちが知名度を上げていけば、トランプとの一対一の戦いで引き分け、もしくは勝利を収めるようになる。バイデンは自身の立候補の根拠にしている主張が少しずつだが崩れていっている」。

 

しかし、バイデン選対は当選可能性の高さというテーマにこだわっている。先週、元副大統領夫人ジル・バイデンはニューハンプシャー州マンチェスターでの教育者たちの集まりに参加し、バイデンの当選可能性の高さについて語った。

 

ジル・バイデンは次のように語った。「私は皆さんの中に私の夫を支持しておられない方々がいることを知っています。私はその判断を尊重します。しかし、私は皆さんに考えていただきたいと思います。皆さんが支持しておられる候補者の方々の当選可能性はどれほどでしょうか、そして誰がこの選挙戦を勝ち抜くことが出来るでしょうか?私の夫以外の候補者を支持するにしても、誰が選挙に勝つことが出来るかについて私たちは考えねばなりません」。

 

ジルは「選挙に勝てる候補、それは私の夫ジョーなのです」と続けた。

 

マンリーは今回のマンモス大学の世論調査の結果は、バイデンの戦略に変更を迫るための目覚ましの一発となったと語っている。

 

マンリーは「バイデン選対はやることが山ほどある。売り込むべきことがたくさんある」と述べた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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隠された十字架 江戸の数学者たち