古村治彦です。 

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の情勢はジョー・バイデン前副大統領がリードという展開は変わらない。2位にエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、3位にバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)という展開だ。トップ3とそれがいの候補者の間には大きな隔たりが出来た。民主党指名はこの3人に絞られ、その中でもバイデンが最有力だ。

 下の記事にあるように、世論調査によってはウォーレンがバイデンを抜いて首位に立つというものが出ている。先週発表されたキュニピアック大学の世論調査では、9月に続いてウォーレンがバイデンを抑えている。しかし、故の世論調査は調査対象者の数が少なく、誤差が大きい。ウォーレンとバイデンとの差は誤差の範囲内だ。私はこの世論調査の結果は重視しない。

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 モーニング・コンサルト社の世論調査は約16000名を対象とし、誤差は1%なので、私はこちらを重視している。こちらの結果では、バイデンが12ポイントの差をつけてウォーレンをリードしている。実態はこちらにより近いと思う。

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 ただ、キュニピアック大学の世論調査の結果はより詳しいカテゴリー別の結果も表示している。これは役に立つ。バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者、大学を卒業していない有権者、65歳以上の有権者のカテゴリーで支持率トップに立っている。ウォーレンは白人有権者と大学学位保有者のカテゴリーでトップ、バイデンは18歳から34歳までの若い有権者のカテゴリーで他の候補者を圧倒してトップになっている。
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 この結果から見えてくるのは、民主党の支持基盤である左派は分裂しているということだ。左派を基盤にしている2人の候補者、ウォーレンは白人の高学歴リベラル、サンダースは社会主義に傾倒する若者たちがそれぞれ支持している。ウォーレンの方が中道に近い左派、サンダースは極端な左派ということになる。ウォーレンが中道にも支持基盤を伸ばしていくと、バイデンにとっては手ごわい相手ということになる。

 アイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州では早い段階で民主党の予備選挙(予備選挙か党員集会)が実施される。早期に予備選挙が実施される各州の結果でも選挙戦の展開は変わってくる。これらの各州で支持を伸ばしているのが、トム・ステイヤーだ。ステイヤーはより参加条件が厳しくなった11月の討論会に関しても、既に条件をクリアしている。これから注目すべき候補者ということになる。

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 民主党予備選挙はトップ3に絞られてきた。これからその他の候補者の動きも気になる。具体的にはカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)がバイデンの副大統領候補者になるか(これは来年3月くらいのことではあるが)、トップ10圏内外の候補者たちはいつ選挙戦から撤退するか、連邦上院議員選挙や州知事選挙に転進するかというところが焦点になる。

(貼り付けはじめ)

ウォーレンとバイデンが民主党予備選挙で激しい一騎討ち:世論調査(Warren, Biden running neck and neck in Democratic primary: poll

タル・アクセルロッド筆

2019年10月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/464886-warren-biden-running-neck-and-neck-in-democratic-primary-poll

キュニピアック大学の最新の世論調査の結果が火曜日に発表された。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とジョー・バイデン前副大統領は2020年米大統領選挙民主党予備選挙でマッチレースを展開している。

民主党支持、無党派で民主党寄りの有権者の中で29%がウォーレンを支持すると答え、バイデンを支持すると答えたのは26%だった。両者の支持率の差は世論調査の誤差の範囲内にとどまっている。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は16%の支持率を獲得し、3位に入った。他に二桁の支持率を獲得した候補者はいなかった。

9月のキュニピアック大学による世論調査でもトップ3の候補者たちは同様の結果を示した。この時の結果はウォーレン、バイデン、サンダースの順番で、支持率はそれぞれ27%、25%、16%だった。

キュニピアック大学の世論調査アナリストであるティム・マロイーは次のように述べている。「ウォーレンは民主党予備選挙で強さを保っている。選挙開始以来、一貫して支持率を伸ばしている。今回の世論調査によって、ウォーレンはバイデンの並走者であることが確認された」。

ウォーレンは男性有権者、女性有権者、白人有権者、大学学位保有者のカテゴリーで他の候補者をリードしている。バイデンは黒人有権者、大学を卒業していない有権者、65歳以上の有権者のカテゴリーでリードしている。

サンダースは若い有権者のカテゴリーで強さを見せ続けている。18歳から34歳までの有権者の間で2位に22ポイント差をつけている。サンダースの支持率は堅調であり、これは、彼が心臓発作で倒れたというニュースがあってもそれが支持に影響していないことを示している。

火曜日の世論調査の結果は、これまで各種世論調査が示してきた、民主党予備選挙における候補者の位置づけと隔たりが同様のものとなった。ウォーレン、バイデン、サンダースがトップ集団を形成し、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジのような有力候補者たちは第二集団に落ちている。

バイデンは、ウォーレンとサンダースに対して、ほとんどの全国レヴェルと各州レヴェルの画世論調査でリードを保っているが、差は縮まりつつある。リードの基になっているのは、アフリカ系アメリカ人での間での支持の強さだ。

ウォーレンはここ数週間の各種世論調査の多くでバイデンを追い越している。特にアフリカ系アメリカ人有権者たちの間での支持を伸ばし、数字を上げている。

キュニピアック大学の世論調査は2019年10月4日から7日にかけて、民主党支持と無党派の有権者646名を対象に実施された。誤差は4.7ポイントだ。

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世論調査によると、バイデンはウォーレンに12ポイント差をつけている(Poll shows Biden with 12-point national lead over Warren

レベッカ・クレアー筆

2019年10月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/464813-poll-shows-biden-with-12-point-national-lead-on-warren

2020年米大統領選挙民主党予備選挙に関する最新の世論調査の結果が発表された。ジョー・バイデン前副大統領は2位のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)に12ポイントの差をつけてリードを保っている。

モーニング・コンサルト社の世論調査の結果は毎週発表される。今週も月曜日に発表され、バイデンは先週に比べて1ポイントの支持率増加を記録し、33%を獲得した。

ウォーレンは支持率21%を維持した。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は先週と変わらずに19%の支持率を獲得した。

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)とインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジ(民主党)はそれぞれ支持率6%と5%を獲得し、デッドヒートを展開している。

ビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)とIT実業家アンドリュー・ヤンはそれぞれ支持率3%を維持している。コーリー・ブッカー連邦上院議員(ニュージャージー州選出、民主党)の支持率は、1ポイント下落の2%だ。

早期に予備選挙が実施される各州での世論調査の結果では、バイデンはウォーレンとサンダースを15ポイント引き離している。

早期に予備選挙が実施される各州での世論調査の結果では、バイデンは支持率33%を獲得している。一方、ウォーレンとサンダースはそれぞれ18%だった。

大富豪の社会事業家トム・ステイヤーは全国規模での世論調査では支持率が1%だが、早期に予備選挙が実施される各州での世論では支持率8%を獲得し、全体で4位につけている。

今回のモーニング・コンサルト社の世論調査は2019年9月30日から10月6日にかけて、16529名を対象に実施された。誤差は1ポイントである。アイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州、サウスカロライナ州の早期に予備選挙が実施される各州での世論調査は同時期に713名に対して実施された。誤差は4ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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