古村治彦です。
アメリカ大統領選挙民主党予備選挙に立候補しているトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)が10月15日に開催される候補者討論会への参加をボイコットする可能性について言及した。9月の討論会には参加条件をクリアできずに登壇できなかったギャバードだが、10月は条件をクリアし登壇できることになっている。討論会に参加できない、しないということは、有権者へのアピールという面から大きな痛手となる。
現在、アメリカ政治の中で大きな話題になっているのはウクライナ疑惑であり、マスコミもそちらを中心に報道している。そうなると、民主党予備選挙に使われる時間と労力は少なくなり、有力候補の動向が報道されるだけで、その他の候補者のことはまず報道されない。
ギャバードとしては、討論会の参加条件がどんどん厳しくなっていく中で、そのような条件設定をするのはおかしいと攻撃するのは当然だ。また、このようにして民主党全国委員会に噛みつくことで、民主党支持者の中で反主流派を応援したいと考える支持者へのアピールということも考えているだろう。民主党予備選挙についての報道が減る中で、このような捨て身の行動をすることで、報道されることになり、存在感を示すこともできる。
民主党全国委員会はどうしても主流派の組織となり、反主流派からは公平とは言えない運営をすると見られている。2016年の予備選挙ではヒラリー・クリントン元国務長官に有利になるように動いていた。当時、副委員長を務めていたギャバードは抗議のために辞任し、ヒラリーの対抗馬となったバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を応援した。
このような実態を良く知っているギャバードが討論会参加条件について疑義を呈するのは当然だ。また、彼女にしてみれば選挙戦を続けられるかどうかの重要な要素ということもあり、必死に動いているということでもある。
とかく日本では、規則だからルールだから諦めろ、従え、規則やルールを疑うな、批判するなという事なかれ主義と自分を主流派においての上から目線での発言が多く出る。しかし、「ジタバタして最後まで粘る、戦う」という姿勢がなければ、このような権威盲従的な姿勢では、ハッと気づいた時には、最終的には自分たちが追い込まれてどうしようもない状況に陥ってしまう。日本人の過剰な権威盲従的姿勢からすれば、ギャバードの姿勢はとても受け入れられず、和を乱す不埒な存在ということになるだろう。しかし、これくらいの「突んがった姿勢」でなければ、2年おきの下院議員選挙で4回も勝てはしない。
また、こうした姿勢を容認するスペースがあるという点で、アメリカは日本よりも優れているということになる。
(貼り付けはじめ)
ギャバードの討論会ボイコット:「我が国の民主政治体制に対する深刻な脅威だ」(Gabbard on possible debate boycott: 'There is a very serious threat to our Democracy')
テス・ボン筆
2019年10月12日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/hilltv/rising/465397-gabbard-on-possible-boycott-of-october-debate-there-is-a-very-serious-threat-to
トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は金曜日、来週の米大統領民主党予備選挙候補者討論会をボイコットするという脅しを続けている。ギャバードは、民主党全国委員会が設定した討論会参加条件は、「我が国の民主政治体制に対する深刻な脅威」だと述べている。
民主党予備選挙に立候補しているギャバードは、民主党全国委員会が設定した「信頼性の低い世論調査」と「恣意的な必要条件」を攻撃し、「予備選挙が開始される前に、自分たちで自分たちの気に入った形になる予備選挙を行おう」としていると非難した。
ギャバ―ドは有力候補たちの後塵を拝している。彼女は火曜日に開催予定の討論会を欠席することを考えている、その理由は参加条件などの規則が有権者から力を奪うものになっていると考えるからだと発言した。
ギャバードは「民主党全国委員会と委員会と密接な関係になる大企業メディアは、有権者が持っている責務としての選挙プロセスを有権者から奪おうとしている」と述べた。
民主党全国委員会は「ヒルTV」からのコメント要請に対して即座に対応しなかった。
ギャバードは木曜日、オハイオ州で開催される討論会に欠席する可能性に初めて言及した。 彼女はこれから数日で決断すると述べた。
民主党全国委員会は討論会に関する手続きなどについて擁護している。民主党全国委員会は、9月と10月の討論会の参加条件を発表したのは今年の5月であり、候補者たちには条件クリアのための時間を十分に与えたと述べている。民主党全国委員会のある幹部は、ギャバードの討論会に対するこれまでの様々な批判に対して、有力候補者たちに討論会参加条件クリアと準備のために十分な時間を与えないことは、党全体に「有害」なことになるだろうと述べた。
ギャバードは9月の討論会に参加できなかったが、10月の討論会の参加条件はクリアしている。候補者たちは火曜日に開催される討論会に参加するために、13万名以上の献金者を集め、全国規模の世論調査で支持率2%以上を4回以上記録しなければならない。ギャバードを含む12名の候補者たちが参加条件をクリアしている。
11月の討論会の参加条件は16万5000名以上の献金者を集め、全国規模の世論調査で3%以上の支持率を4回以上記録しなければならないというものだ。現在のところ、この参加条件をクリアしているのは8名だけだ。
ギャバ―ドは「ヒルTV」に出演し、インタヴューを受けた。彼女は火曜日の討論会をボイコットするかどうかについての決断は「注意深く」行うと述べた。彼女はボイコットの可能性について民主党全国委員会から直接何も言われていないとも述べた。
ギャバードは次のように語った。「私は支持者の方々から寄せられる意見を聞き続けている。そして、ボイコットいう決断をした場合の様々な影響について考え続けている。私が考えているのは、どのようにしたら変化をもたらすために影響を与えるにはどうしたらよいかというものだ」。
ギャバードは民主党全国委員会が設定した討論会参加条件についてこれまで批判してきた。ギャバードは透明性と公平性について民主党全国委員会に疑義を呈している。
(貼り付け終わり)
(終わり)
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