古村治彦です。

 2019年10月15日のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙候補者討論会(4回目)が終わった後に実施された世論調査の結果が出た。結果としてはジョー・バイデン前副大統領の支持率は伸びず、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の支持率は伸びたということになる。インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジも支持率を回復している。
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トップ5のランク付けでは、バイデンとウォーレンが頭一つ抜け、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が追いかけ、ブティジエッジが盛り返しつつあり、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は置いていかれている、という展開になっている。
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 討論会についての記事でもご紹介したが、ウォーレンはトップランナー、フロントランナーということで討論会の場では他の候補者たちからの集中砲火を浴びたが、それをうまくかわしたということになる。そして、反論の機会が与えられたことで結果として発言時間が一番長かった。そこで自分の考えをアピールすることが出来た。
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 討論会の途中で速報という形で、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が「サンダースを推薦する」と表明するというニュースが流れた。その後、アレクサンドリア・オカシオ=コルテスと同じく、進歩主義派組織「ジャスティス・デモクラッツ」に属しているイルハン・オマル連邦下院議員(ミネソタ州選出、民主党)、ラシーダ・タリブ連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)もサンダース推薦を表明した。サンダースの支持率にこれらの動きは反映されていない。これはジャスティス・デモクラッツを支持している有権者はサンダースを元々支持しているので、支持基盤が拡大しないということである。ただ、サンダースの支持基盤であるリベラル左派の若者たちは粘り強くて硬い。サンダースが心臓発作で倒れてしばらく選挙戦を離脱したということは、大きなマイナスになりそうだが、それでも支持率が堅調なのは有権者の支持の度合いが高いということになる。言葉は悪いが個人崇拝のようにさえ思える。
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 バイデンはこれまでの4階の討論会で鋭いところは何も見せられず、全くと言って見せ場はなかった。また、ドナルド・トランプ大統領のウクライナ疑惑に絡んで、地震のウクライナへの内政干渉疑惑や次男ハンター・バイデンのウクライナのガス会社取締役就任などの問題も出ている。トランプ大統領の疑惑の前からバイデン家の疑惑は別物として出ていたこともあり、「親バカ子バカ」で少しは影響があるように思う。

 それでも「非現実的な極左のサンダース、リベラル派のウォーレンでは選挙には勝てない、現実的なバイデンこそが選挙でトランプに勝てる候補者なのだ、当選可能性(electability)を見なければならない」という考えが根強くある。民主党を長年支持してきた高齢の有権者たちの間でこの考えが強い。また、アフリカ系アメリカ人有権者たちには史上初のアフリカ系アメリカ人大統領バラク・オバマによく仕えてくれたという恩義もあり、かつ、「ウォーレン?ブティジエッジ?はっ、白人のエリートさまだろ、自分たちには関係ない」ということもあり、バイデン支持は固い。

 民主党は左に寄り過ぎていてこれではトランプ大統領には勝てないということはよく言われている。これは、トランプ大統領が民主党のお家芸であった保護貿易や国内インフラ投資を実施し、労働者階級にアピールするという戦略を採っているために、仕方なくもっと左に寄ってしまうということになっているのだ。共和党の主流派から見れば全くもって苦々しい限りだ。トランプ大統領が左に寄りかかってきたために、民主党自体がもっと左に押し出されているということになる。民主党自体が実は端に追い詰められているという言い方もできる。これを押し戻すことは難しい。

(貼り付けはじめ)

バイデンとギャバードは討論会後に好感度の下落に苦しむ(Biden, Gabbard suffer hits to favorability after debate

レイチェル・フラジン筆

2019年10月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/466838-biden-gabbard-suffer-hits-to-favorability-after-debate

最新の世論調査の結果が発表され、アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の候補者ジョー・バイデンとトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)は、民主党予備選挙参加予定の有権者の間での純好感度(「好き」の数字から「嫌い」の数字を引く)が下がってしまっている。今回の世論調査は4回目の民主党予備選挙候補者討論会の後、また、ギャバードが2016年の民主党大統領選挙候補者ヒラリー・クリントンと争っている中で実施された。

先週、オハイオ州ウエストヴィルで開催された4回目の討論会の後、月曜日に発表されたモーニング・コンサルト社の世論調査の結果では、ジョー・バイデン前副大統領の純好感度(「好き」の数字から「嫌い」の数字を引く)は55%から50%に5ポイント下落した。ギャバードは10%から4%に6ポイント下落した。

その他の多くの候補者たちの純好感度は比較的安定している。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は1ポイント上昇し、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は変化なく、カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は1ポイント下落した。

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは純好感度が33%から36パーセントに増え、最大の増加となった。

純好感度の計算方法は、その候補者について「好き」と答えた有権者の割合から「嫌い」と答えた割合を引くというものだ。

今回の世論調査でもバイデンは予備選挙でリードしている。支持率は30%だった。バイデンに続くのがウォーレンで支持率21%、サンダースの支持率は18%だった。

討論会には12名の候補者たちが参加し対決した。

ヒラリー・クリントン元国務長官がギャバードはロシアにとっての財産だと示唆したと証拠はないが噂された。それ以降、ギャバードはヒラリーと小競り合いを続けている。ギャバードはロシアとの関係を否定し、ヒラリーを「戦争屋たちの女王(queen of warmongers)」と一刀両断に切り捨てた。

モーニング・コンサルト社の世論調査は、民主党予備選挙もしくは党員集会に参加予定の有権者登録をしている1万1521名を対象に2019年10月16日から20日にかけて実施された。誤差は1ポイントだ。

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世論調査:ウォーレンは全国規模の世論調査でバイデンに対して7ポイントの差をつける(Warren opens up 7-point lead over Biden nationally: poll

タル・アクセルロッド筆

2019年10月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/467231-warren-opens-up-7-point-lead-over-biden-nationally-poll

木曜日にキュニピアック大学が最新の世論調査の結果を発表した。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は2020年アメリカ大統領選挙民主党予備選挙において2位に7ポイントの差をつけている。

民主党支持、民主党寄りの無党派の有権者の28%がウォーレンを支持すると答えた。一方、21%がジョー・バイデン前副大統領を支持すると答え、15%がバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)を支持すると答えた。

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジの支持率は10%となり、ここまでが支持率で2桁を記録した候補者となった。

ウォーレンの支持率は今月初めの調査に比べて2ポイント下がったが、バイデンの支持率は6ポイント下がった。サンダースの支持率は4ポイント上昇した。

キュニピアック大学世論調査分家のメアリー・スノウは「ジョー・バイデン前副大統領の支持率は下がり、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員とバーニー・サンダース連邦上院議員の支持率は堅調だった。ピート・ブティジェッジ市長の支持率は2桁に回復した」と述べた。

ウォーレンのリードは、いくつかの重要な人口動態学上のカテゴリーでのリードによって強められている。「とても」リベラルだと自己規定している有権者たちの間では33ポイントの差をつけている。また、白人有権者の間では5ポイントの差をつけてリードし、大学学位保有者の間では15ポイントの差をつけてリードしている。更には18歳から34歳までの有権者の間では7ポイントの差をつけている。

バイデンは、穏健派もしくは保守派の有権者の間では19ポイントの差をつけてリードしている。また、男性で大学学位を持っていない有権者の間では8ポイントの差をつけ、アフリカ系アメリカ人有権者の間では38ポイントの差をつけてリードしている。

ウォーレンは「私はそのことについて計画を立てている」という作戦によって利益を得ている。有権者の30%がウォーレンは最も良い考えを持っていると答えている。20%がサンダースは最も良い考えを持っていると答え、15%がバイデンは最も良い考えを持っていると答えた。

バイデンは全体的に下落しているが、それでもトランプ大統領を倒すことができる最善の有権者だと考えられている。民主党支持と民主党寄りの無党派の有権者の42%が現職大統領を追い出すための最善の機会を持っていると答えた。20%がウォーレン、14%がサンダースと答えた。

今回の世論調査はウォーレンが民主党予備選挙で支持率トップになっていることを示すいくつかの世論調査の一つである。この場合、バイデンとサンダースが2位の座を争っている。しかし、今回の世論調査でも、バイデンは本選挙での当選可能性を持っているという主張は、彼が全国で選挙運動を行う中で有権者にアピールしている。バイデンはトランプを「太鼓を叩くように叩き潰す」と発言している。

キュニピアック大学の世論調査では、民主党支持と民主党寄りの無党派の有権者たち713名を対象に2019年10月17日から21日まで実施された。誤差は4.6ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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