古村治彦です。
michaelbloomberg006

 マイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長がアメリカ大統領選挙民主党予備選挙に正式に出馬することを発表した。ブルームバーグは、金融情報を取り扱う通信社ブルームバーグを一台メディア会社に育て上げた大立者で、2002年から13年までニューヨーク市長を務めた。所属政党も何度か変えており、2001年までは民主党、その後、2002年から2007年までは共和党、その後は無所属、そして2018年から民主党としている。民主党だと右派となり、共和党では穏健リベラル派(ロックフェラー・リパブリカンと呼ばれる)となる。民主党と共和党がごちゃ混ぜになったような人物だ。

 また、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官やハンク(ヘンリー)・ポールソン元財務長官に近い人物であり、リアリスト(イデオロギーではなく国益重視で戦争をできるだけ避けようとする)系として中国に接する態度を取っている。こうした点からもドナルド・トランプ政権に対して危機感を持っているものと考えられる。

 ブルームバーグは「民主党は左に寄り過ぎている」という批判を前々から繰り返している。それで大統領選挙民主党予備選挙に立候補するのではないかと取り沙汰されてきた。今年初めには出馬はしないと発表していた。しかし、本選挙まで1年を切った段階で正式出馬となった。

 マイケル・ブルームバーグの資産は2019年度発表によると541億ドル、約5兆9000億円で、全米で第8位にランクされる。ドナルド・トランプ大統領の資産は31億ドル、約3400億円だ。文字通りマイケル・ブルームバーグの資産は桁違いだ。その資産の一部を使って大統領選挙のかかる費用を全て賄うと明言している。これは政治献金を持って誰かのひも付きにはならない、ということである。民主党全国委員会は候補者討論会の参加条件に政治献金者数を設定している。政治献金を受けないということになれば、ブルームバーグは討論会に参加できない。そうなると全国放送の討論会でアピールすことができないということになる。

 民主党予備選挙の立候補者たちの政治献金は一番多いサンダースでも70億円程度、トランプ大統領が150億円程度だ。サンダースやトランプが集めた額も政治資金としては多額であるが、こんなものは6兆円近い資産を持っているブルームバーグからすれば大した金額にはならない。
※予備選挙の政治献金についての記事へはhttp://suinikki.blog.jp/archives/80414558.htmlからどうぞ。

ブルームバーグは既に3700万ドル分、約40億円分の全国のテレビCM枠を買い取っている。金さえあれば討論会に参加しなくてもアピールはできるということになる。他の立候補者たちが今年になって集めた政治献金の額を上回るような額をポンと出している。これではたまらない。だから「金持ちは政治に関わるな」という批判が出てくる。

 現在、予備選挙の有力候補者たちが70代ばかりなので年齢批判は候補者たちからは出ていないが、「またジジイが出るのか」という批判は出ている。民主党内の人材不足が露呈している。

 ブルームバーグは民主党中道穏健派の救世主となるかというとそうはならないだろう。既にバイデンとブティジェッジが地歩を固めている。また、大金持ちの道楽という捉えられ方をすれば支持は伸びない。トランプを倒せるかということになると、これも難しい。2016年の大統領選挙でブルームバーグが共和党から出ていればあるいはということもあったかもしれないが、今更言っても遅い。ブルームバーグが民主党予備選挙を勝ち抜いてトランプと戦い、トランプを倒すという可能性は今のところ低い。

(貼り付けはじめ)

ブルームバーグは大統領選挙出馬を正式に発表(Bloomberg officially announces he's entering presidential race

ジャスティヌ・コールマン筆

2019年11月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/471827-bloomberg-drops-first-tv-ad-announcing-presidential-run

元ニューヨーク市長マイケル・ブルームバーグは日曜日、アメリカ大統領選挙民主党予備選挙への出馬を正式に発表した。

ブルームバーグは声明の中で次のように述べている。「私たちはトランプ大統領の思慮のかけらのない、倫理に逸脱した行為を更に4年も甘受することはできない。彼自身が私たちの国と私たちの共有する価値観にとって存在に関わる脅威となっている。彼が二期目の当選を果たしたら、私たちは彼が与える損害から回復することはできないかもしれない」。

ブルームバーグは声明の中で、雇用創出、適切な医療、銃による暴力の根絶、気候変動との戦い、移民制度の改善、「私のような」富裕層への税率引き上げに特に言及した。

ブルームバーグはまた、選挙運動では政治献金を受け取らず、自己資金だけで運営するとも述べた。

ここ数週間、ブルームバーグは選挙戦に出馬するのかどうか取り沙汰されてきた。出馬発表の少し前にブルームバーグ陣営は初めてのテレビCMを放映した。ABCニュースは、ブルームバーグ陣営は土曜日の夜にフロリダ州タラハシーでテレビCMを放映したと報じた。

ブルームバーグ陣営は3150万ドル分のCM枠を買い取っており、今回の60秒CMはその一部であった。このCMはトランプ大統領を直接攻撃するものだった。そのCMは、「ブルームバーグは、アメリカを再構築し、アメリカ人を規定する夢への信頼を回復し、富裕層が更に税金を支払い、中間層が公平な富を受け取るようにし、“トランプを引き継ぐ”」という内容であった。

このCMは「アメリカの再構築」というタイトルだ。このCMはブルームバーグを「雇用の創出者」「指導者」「問題の解決者」と呼び、「911事件の焼け跡から」ニューヨーク市を復活させた3期連続で務めた市長と描写した。

「アドヴァタイジング・アナリティカ」社は土曜日本紙に対して、ブルームバーグ陣営は数百万ドル規模の資金を投入し、98の地方と全国規模のケーブルテレビでCMを放送する予定であることを認めた。出馬発表後の第1週でこれほどの規模の資金を投入し、CMを放映する候補者は今回の予備選挙ではいなかった。ブルームバーグのCMを撮影したのは「カンター・CMAG」社で、12月2日までのホリディ・シーズンの週末に放映される予定だ。

CMAG社はABCニュースの取材に対してカリフォルニア州、ニューヨーク州、フロリダ州、テキサス州、イリノイ州といった各州で3700万ドル分のCM枠を購入した。そのうちに2930万ドル分は地方の放送枠だ、と答えた。

今年の初め、ブルームバーグは民主党予備選挙出馬を取り止めた。この時は、ジョー・バイデン前副大統領が予備選挙でトップに立つという情勢で出馬しないという決断をしたと発表した。

ここ数週間、各種世論調査の結果から見ると、バイデンがトップで走り続けることも怪しくなってきている。こういう状況下で、もしかしたらトランプを倒せない候補者が党の指名を得るのではないかということで民主党内の不満が増大している。

こうした不満によって元ニューヨーク市長ブルームバーグが大統領選挙に資金を投入し始めているという噂が出ることになった。噂話で激戦州でトランプ大統領を批判するインターネット上のCMに1億ドルを投入しているというものが出たほどだ。ブルームバーグは木曜日に連邦選挙管理委員会に立候補届を正式に提出した。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)をはじめとする他の候補者たちはブルームバーグのCM枠買い取りと政治過程に影響を与えるために大量の資金を投入することを非難している。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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