古村治彦です。
少し古い記事だが、ジョー・バイデンが民主党の指名を受けて大統領候補となる場合に副大統領候補として指名する可能性のある女性の名前を4名挙げた。この時はまだカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が選挙戦からの撤退を表明していなかったために名前は入っていないが、私がこれまで何度も書いてきているように、ハリスも副大統領候補の有力候補者だ。
バイデンが名前を挙げた人々について簡単に見ていく。サリー・イエイツは連邦検察官として昇進を重ね、2015年には司法副長官となった。アメリカの内閣は長官(Secretary)で構成されるが、司法長官の英語名は「United States Attorney General」であり、より正確に訳すと、アメリカ合衆国総検察官長ということになる。アメリカ連邦最高裁判所に訴追される案件について指揮を執る、もしくは対処することが根幹の仕事だ。
イエイツはトランプ政権成立後も司法長官代行として司法省に残っていたが、トランプ大統領によるイスラム教国出身者のアメリカ入国制限に対して「合法とは言えないのではないか」と発言したことで解任された。
イエイツ
ステイシー・エイブラムスは2018年の中間選挙の際に、ジョージア州知事選挙に出馬し、共和党の候補者ブライアン・ケンプと大接戦を演じて惜敗した。ジョージア州は共和党が強いレッドステイトであり、黒人女性エイブラムスが白人男性ケンプに迫れるとは誰も考えていなかった。エイブラムスはバーニー・サンダースやバラク・オバマの推薦支持を得ていたことも接戦を演じる理由になった。エイブラムスはややリベラルではあるが左派まではいかない人物であり、今年に入って副大統領候補に最適の人物という評判も出ている。
エイブラムス
ジーン・シャヒーンとマギー・ハッサンは共にニューハンプシャー州選出の連邦上院議員だ。シャヒーンはニューハンプシャー州知事を3期務めた実績がある。シャヒーンは2003年のイラク戦争を支持したことからも分かる通り、ヒラリー派である。マギー・ハッサンはシャヒーンの次のニューハンプシャー州知事を務めた人物だ。ハッサンはややリベラルというくらいの人物だ。
シャヒーン
ハッサン
12月に入り、カマラ・ハリスという絶好の副大統領候補の有力者が出てきた。しかし、知名度だけで副大統領候補が選ばれることはない。選挙戦略として、どの地方に重点を置くかということも重要な要素となる。アメリカ両沿岸部にあるブルーステイト(民主党が強い州)はこれまで以上にテコ入れをする必要はない。民主党にとって問題はアメリカ南部と中西部をどうするかということだ。中西部はバイデン自身の力で何とかなるとすると、南部が重要ということになる。ここでいくつかの州で共和党を崩せれば勝利はぐっと近づく。
サリー・イエイツはジョージア州で生まれ育ち、連邦検察官としてジョージア州で働いている。また、ステイシー・エイブラムスはジョージア州知事選挙で活躍したし、それまでにもジョージア州議会議員を務めた実績を持つ。南部を何とかしたいということならばこの2人が副大統領候補ということになるだろう。
(貼り付けはじめ)
バイデンは副大統領候補に指名する可能性がある4名の女性を明らかに(Biden reveals four women he could pick as his running mate)
マリナ・ピトフスキー筆
2019年11月23日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/471810-biden-reveals-four-women-he-could-pick-as-his-running-mate
アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の有力候補ジョー・バイデンは自分が民主党の指名を勝ち得た場合に副大統領候補に指名する可能性のある4名の女性の名前を示唆した。
金曜日の夜にタウンホール形式で開かれた集会において、バイデンは副大統領候補について質問され、「あなたがなってくれますか?」と冗談めかして答えたと『USAトゥディ』紙は報じた。
バイデンは個別の名前を明らかにしなかったが、複数の人物たちには資格があると述べた。バイデンは「解任された司法副長官」と述べ、サリー・イエイツ(Sally Yates、1960年―、59歳)前司法副長官に言及した。また、「ジョージア州知事になるべきであった女性」と述べ、ステイシー・エイブラムス(Stacey Abrams、1973年―、45歳)、「ニューハンプシャー州選出の2人の連邦上院議員」と述べ、ジーン・シャヒーン(Jeanne Shaheen、1947年―、72歳)(民主党)とマギー・ハッサン(Maggie Hassan、1958年―、61歳)(民主党)に言及した。
イエイツは2017年にトランプ大統領によって解任された。イエイツはトランプ政権が設定した旅行禁止を擁護することを拒絶し解任された。イエイツは短期間だが司法長官代理も務めた。
元ジョージア州議会議員を務めたエイブラムスは、2018年の州知事選挙で共和党のブライアン・ケンプを僅差で追いつめた人物だ。今月初め、エイブラムスはアイオワ大学で講演し、その中で副大統領候補に指名されることは「とても嬉しい」ことだと述べた。
バイデンはオバマ政権で副大統領を務めていた時期についても議論した。USAトゥディ紙は、バイデンは副大統領候補を指名する際に最重要の要素は「哲学的に」同調できることだと述べたと報じた。
バイデンは「私とオバマ大統領は哲学的に合意していたし、全ての問題について戦略的にも同調していた。戦術に関しては時に合意できないこともあった。副大統領は閣議で大統領に反対することもできない」と述べた。
バイデンは「私たちは議論をしたこともあった。裏では怒鳴り合ったりもした。しかし、私たちは常にお互いに信頼し合っていた」とも述べた。
(貼り付け終わり)
(終わり)
アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ] 価格:1,400円 |
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著 価格:1,836円 |
コメント