古村治彦です。

 来週月曜日からアメリカ大統領選挙民主党予備選挙の投開票が始まる。これまで各種世論調査ではジョー・バイデン前副大統領がずっとトップを走っており、バイデンが民主党の指名候補となって現職のドナルド・トランプ大統領(共和党)と本選挙で戦う可能性がかなり高いと見られてきた。

 しかし、ここにきて混戦となる可能性が出てきた。2019年11月に出馬表明を行ったマイケル・ブルームバーグが支持率を伸ばしている。ブルームバーグの躍進は既にこのブログでも紹介している。ブルームバーグの躍進のあおりを食って、インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジの支持率は下降している。同じ中道派のジョー・バイデンにも影響が及ぶのは必至だ。ブルームバーグは政治献金を全く受け取らないことを表明しているので、民主党全国委員会が主催する討論会に参加することができない。しかし、約6兆円の資産を持つ世界有数の大富豪であり、既に200億円を投じてテレビ広告を放送している。選対のスタッフも800名にまで増えたということだ。一般人には想像もできないが1000億円、2000億円といった金額を投じてもあまり影響がないのだろう。

 もちろん、民主党支持者には労働者階級や貧しい人々、非白人のマイノリティが多いので、「そんな金持ちが民主党支持者の心情を理解できるはずがない」という批判もある。それでもブルームバーグは銃規制やホームレス対策などリベラルな公約を発表し、支持拡大を図っている。

 ブルームバーグは2月の段階で予備選挙の投開票が実施される各州ではなく、スーパーチューズデーで予備選挙が実施される各州に注力する戦略を採用している。民主党予備選挙とは各州や自治領、海外在住党員に配分された4750名(過半数は2376名)の代議員を獲得する戦いである。より正確には、そのうちの771名(約15%)は連邦議員や各州知事、民主党全国委員会委員がなるスーパーデレゲイトである。この人々は自分が支持したい候補者を自分の考えだけで支持することができる。だから予備選挙の投票で決まるのは3977名の代議員だ。
 少しややこしい話になるが、各州のよ瓶選挙の投票で決まる代議員を1886名以上獲得する候補者が出ればその人物が党の指名候補となる。スーパーデレゲイトたちは投票することはできない。どの候補者も1885名以下の代議員獲得数となった場合(この状態をコンテスティッド・コンヴェンションと呼ぶ)にスーパーデレゲイトは投票することができる。

 予備選挙の投開票は2月から始まるが、多くの代議員の獲得数が決まるのは3月だ。スーパーチューズデーと呼ばれる3月の第一週火曜日には10以上の州や自治領で投開票が行われる。今回の場合、1344名の代議員が決まる。約3分の1だ。その後も3月10日には365名、3月17日には577名であり、3月3日、10日、17日で半数弱の代議員数の獲得数が決まる。
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 バイデンが有利と見られていたのは、3月に入ってからの戦いでサンダースとウォーレンを引き離すと見られていたからだ。しかし、現在の状況では支持率ではサンダースとウォーレンと互角、更にはブルームバーグの躍進というマイナス要素が揃っている。サンダースとウォーレンが2、3位連合でサンダースに候補者一本化となれば、バイデンはさらに苦境に陥るということも考えられる。ブルームバーグは民主党の左傾化を危惧して立候補したということもあるので、スーパーチューズデーの結果、バイデンを逆転できず、サンダースが勝利する可能性が高まるとなると、選挙戦から撤退してバイデン支持を表明することもあるだろうが、そうなると「金持ちの遊び、道楽で選挙戦をかき乱した」という批判に晒されてブルームバーグの政治生命が終わってしまうかもしれない(年齢的なこともありブルームバーグ自身はそれで良いかもしれないが)。

 アイオワ州に続いて予備選挙が実施されるニューハンプシャー州ではサンダースが支持を伸ばしている。ニューハンプシャー州はもともと反中央の気質が強い州として知られ、2016年のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙ではサンダースがヒラリーに大差をつけて圧勝した。2020年2月11日に予備選挙が実施されるが、サンダースが勝利する可能性が高い。アイオワ州でサンダースが勝ち、ニューハンプシャー州でもサンダースとなると、勢いがつくことは間違いなく、他の候補者たちの選挙戦略、更には選挙に参加し続けるかどうかの決断にも影響を与える。

 ブルームバーグの躍進は予備選挙の先行きに大きな影響を与える。

(貼り付けはじめ)

バイデン、サンダース、ウォーレンがスーパーチューズデーで予備選挙が実施される各州での支持率が他の候補者たちを大きく引き離す(Biden, Sanders, Warren pull away from field in Super Tuesday states: poll

ジャスティン・コールマン筆

2020年1月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/479972-biden-sanders-warren-pull-away-from-field-in-super-tuesday-states-poll

ジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)はスーパーチューズデーで予備選挙の投開票が実施される各州において有権者の支持で他の候補者たちを圧倒的に引き離している。

CBSニュースの世論調査の結果では、16の州と自治領で、アイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州、サウスカロライナ州での予備選挙が終わり同じ日に予備選挙が実施される各州で、バイデンの支持率は26%となった。続くサンダースとウォーレンの支持率はそれぞれ24%だった。

トップ集団に続くのはニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグで支持率8%となった。ブルームバーグは、支持率7%のインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジを追い抜いた。ブルームバーグはアイオワ州での党員集会、ニューハンプシャー州での予備選挙で候補者として登録せず、スーパーチューズデーで予備選挙が実施される各州でテレビ広告を大量に流し、トップ集団に追いつこうという戦略を採用している。

今回の世論調査の調査対象となった有権者のうち36%だけが既に「最終的な」支持候補者を決めていると答え、53%が「高い可能性で現在決めている候補者に投票するだろう」と答え、10%が支持する候補者を変更する可能性が高いと答えた。

日曜日に発表されたニューハンプシャー州での2つの世論調査の結果は、それぞれサンダースがトップに立っているというものだった。アイオワ州で実施されたCBSニュースの世論調査の結果ではサンダース、バイデンそれぞれの支持率が26%と25%となり、統計学的には同率ということになった。この調査はアイオワ州での党員集会が実施される前の週での調査ということになった。

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世論調査:サンダースはニューハンプシャー州で15ポイントのリード(Sanders opens up 15-point lead in New Hampshire: Poll

ジョナサン・イーズリー筆

2020年1月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/480355-poll-sanders-opens-up-15-point-lead-in-new-hampshire

ヴァ-モント州選出の連邦上院議員バーニー・サンダース(無所属)はニューハンプシャー州で予備選挙の他の有力候補者たちを引き離している。サンダースは2位の候補者に15ポイントの差をつけている。最新の世論調査の結果で明らかとなった。

アメリカン・リサーチ・グループ(ARG)の最新の世論調査の結果によると、サンダースが支持率28%で第1位となった。第2位にはジョー・バイデン前副大統領で支持率13%、第3位はインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジで12%、第4位はエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)で11%、第5位はトゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)で8%となった。エイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)の支持率は7%だった。

ニューハンプシャー州在住の民主党支持と無党派の有権者たちのうち6%がまだ支持候補者を決めていないと答えた。

ARGの今回の世論調査の数字は最近の他の世論調査の数字よりも高くなっている。「リアルクリアポリティックス」の世論調査の数字の平均では、ニューハンプシャー州でサンダースは8ポイントの差をつけてリードしている。他の世論調査の数字ではサンダースと2位の候補者の差は5ポイントから12ポイントの間に収まっていた。

ニューハンプシャー州での世論調査は難しい。それは民主党予備選挙投票日に宣言をしていない有権者がどれくらい投票に参加するかが分からないからだ。

たとえば、今回のARGの世論調査では、ギャバードの支持率が他の世論調査に比べて高くなっているが、これは無党派の有権者からの強力な支持があったからだ。ハワイ州選出の連邦下院議員ギャバードは民主党支持の有権者からは3%の支持しか得られていないが、支持政党を登録していない有権者からは15%の支持を獲得している。

ニューハンプシャー州

New Hampshire is peculiar in that it has about 413,000 undeclared voters, compared with 288,000 registered Republicans and 275,000 registered Democrats.

支持政党を登録していない有権者でもニューハンプシャー州民主党の予備選挙の投票に参加できる。

民主党支持を登録している有権者の間ではサンダースはバイデンに15ポイントの差をつけてリードしている。そして、支持政党を登録していない有権者の間では2位のブティジェッジに7ポイントの差をつけてリードしている。

ヴァーモント州選出の連邦上院議員サンダースは18歳から44歳の有権者の間では圧倒的な人気で、2位の候補者に32ポイントの差をつけている。45歳以上の有権者で見ると、サンダースの支持率は19%となり、2位のバイデンが17%だった。

男性有権者からの支持率で見ると、サンダースはバイデンに9ポイントの差をつけ、女性有権者の場合にはウォーレンに10ポイントの差をつけている。

アメリカン・リサーチ・グループはニューハンプシャー州で民主党支持を登録している有権者335名と支持政党を登録していない有権者265名を対象に2020年1月24日から27日まで実施された。誤差は4ポイントだ。

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世論調査:ニューハンプシャー州でサンダースが第1位に浮上(Sanders surges to first in New Hampshire: poll

レベッカ・クレアー筆

2020年1月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/480147-sanders-surges-to-first-in-new-hampshire-poll

最新の世論調査によると、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)はジョー・バイデン前副大統領を追い越して、ニューハンプシャー州で第1位に浮上した。

『ボストン・ヘラルド』紙、NBC10ボストン、フランクリン・ピアース大学の共同世論調査の結果が月曜日に発表され、サンダースはニューハンプシャー州で支持率29%を記録した。今回の世論調査はニューハンプシャー州での予備選挙の2週間前に実施された。

2週間前に同じ組み合わせの諸機関が実施した世論調査の結果と比べ、サンダースの支持率は7ポイント上昇した。2週間前の世論調査の時にはジョー・バイデン前副大統領がトップだったが、サンダースが追い抜いた。

バイデンは支持率22%で第2位となりサンダースを追っている。2週間前の調査に比べて支持率を4ポイント下げている。

今回の世論調査で3位となったのはエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)で支持率は16%だった。サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジは支持率10%、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は5%だった。

今回の世論調査は2020年1月23日から26日にかけてRKMリサーチ・アンド・コミュニケーションズが、NBC10ボストン、テレムンド・ボストン、ボストン・ヘラルド紙、フランクリン・ピアース大学の協力を得て実施した。調査対象者は民主党予備選挙参加予定の有権者407名で、誤差は4.9ポイントだ。

日曜日に発表されたCNNの世論調査の結果でもサンダースはニューハンプシャー州で支持を伸ばしていることが明らかになった。CNNの世論調査では、サンダースは25%の支持率を記録した。CNNが10月に行った調査の時に比べ、4ポイントも支持率の数字を伸ばした。また、第2位のバイデンには10ポイントの差をつけた。

2016年のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙において、ニューハンプシャー州ではサンダースは20ポイント以上の差をつけて勝利した。しかし、最終的には民主党の指名ではヒラリークリントンに敗れた。

ニューハンプシャー州での予備選挙は、2020年2月3日にアイオワ州での党員集会が実施されて1週間後の2020年2月11日に実施される。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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