古村治彦です。

 今回はこれまでに行われたアイオワ州とニューハンプシャー州の選挙についての分析記事を紹介する。選挙はやはり地道な選挙運動の成果だということをサンダースとブティジェッジは示している。

 アイオワ州ではインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジとバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)がデッドヒートを展開し、ブティジェッジが僅差で勝利を収めた。ニューハンプシャー州ではサンダースが勝利した。
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ニューハンプシャー州で勝利宣言をするサンダースとブティジェッジ

アイオワ州の党員集会では、集会の初めに参加者の支持する候補者を集計する。その後、集会でそれぞれの候補者を支持する説明役が候補者について説明をする。それを聞いた上でで、最終的にどの候補者を支持するか集計される。集会の初めの集計で15%以上の支持が得られない候補者を支持する人には、他の候補者に支持を変更するように促されるが強制ではないという方式が採られた。

 ブティジェッジは「2番目に支持する人」というカテゴリーに入ることで勝利を得たのではないかと思う。熱心に支持できない、一番に支持することはないけれども、2番目だったらまあ良い候補だよな、という考えの人が多かったのだと思う。もちろん有力候補なので熱心な支持者も多いのは前提で、二番目に選ばれる戦略というのがあったように思う。

 サンダースには、「バーニー・ブラザーズ(Bernie Bros)」と呼ばれる熱心な支持者がいて、活発な選挙運動を展開している。ブティジェッジはアイオワ州に注力し、頻繁に訪問するなどして勢いを得た。そして、その勢いをニューハンプシャー州にもつなげた。

前回のブログ記事で紹介した記事に出ていたが、ニューハンプシャー州では、サンダースは州内の大都市で勝利し、ブティジェッジは大学町と州東部(マサチューセッツ州に隣接する地域)のボストンのベッドタウンで勝利を収めた。ニューハンプシャー州自体は白人が多数を占める地域だが、大都市となればその中には非白人、アフリカ系アメリカ人やヒスパニック系が多く居住している。サンダースはより広範な人種間で支持基盤を築いたと言える。一方、ブティジェッジは白人の教育水準の高い人々が住む地域で勝利を得たというのは、彼を多く支持している白人の大学学位保有者が多く住む地域であったという事が言える。これからはヒスパニック系が人口の3分の1を占めるネヴァダ州、アフリカ系アメリカ人が多いサウスカロライナ州と続くので、ブティジェッジには厳しい戦いが続く。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は投票直前の討論会で逆転ホームランを放ち、3位に入った。ニューハンプシャー州の判官びいきの気質に、挑戦者として一歩も引かない強気な姿勢が評価されたということになる。

 しかし、状況が深刻なのはジョー・バイデン前副大統領だ。「トランプ大統領に勝てる可能性が最も高い、当選可能性が高い」と自分で主張してきたが、有権者を納得させることができず、2回続けて惨敗を喫した。バイデンはニューハンプシャー州での低調ぶりが分かると、予定していた集会をキャンセルして、サウスカロライナ州に向かった。サウスカロライナ州は彼が頼みとするアフリカ系アメリカ人有権者が多く、これまでの世論調査では圧倒的なリードを保ってきた州だ。そこで、「まだまだこれからですよ」と強がって見せたが、状況は厳しいままだ。ネヴァダ州でもサウスカロライナ州でも支持率の数字を落としたままで改善される兆しは見えない。
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ネヴァダ州での世論調査の結果
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サウスカロライナ州での世論調査の結果

 エリザベス・ウォーレンはニューハンプシャー州の隣のマサチューセッツ州を地盤としており、ニューハンプシャー州の人々にもなじみ深い政治家であるはずが、4位に沈んだ。ボストンに通勤するベッドタウンに住む人々の支持はブティジェッジに奪われてしまった。左派に属する点が忌避されたものと思われる。ウォーレン選対は選挙戦を継続することを発表しているが、スーパーチューズデーを過ぎてからの状況を見て判断することになるだろう。ウォーレンが選挙戦から撤退し、仮にサンダース支持を表明すれば、サンダースにとっては追い風となる。

 サンダースの勝利が続いていると言っても過半数の得票を得ている訳ではない。恐らく宣誓済み代議員3979の過半数1991(民主党全国委員会のルールを読むと過半数プラス1と書いてあり、3979名の半分は1989.5であり、それに1を足すと1990.5となり、1991名ということになる)を得て7月の民主党全国大会を迎えることはないだろう。各種世論調査の結果を見ても、支持率50%を超える候補者はいないし、民主党の予備選挙は得票数に応じて宣誓済み代議員が配分される。

サンダースが最終的に1位になるだろうが、得票率を仮に4割と仮定しても1590名程度だ。1回目の投票で過半数の宣誓済み代議員を獲得できる候補者がいない場合を、ブローカード・コンヴェンション(brokered convention)、もしくはコンテスティッド・コンヴェンション(contested convention)と呼ぶ。この2つの言葉は混同して使用されやすい。ブローカード・コンヴェンションとは、党の幹部たちが非公開の場所で話し合いをして党の指名候補を最終的に決めるもので、現在ではこのようなことは行われていない。コンテスティッド・コンヴェンションの方がより現代的な言葉だ。投票で最終的に決着をつけるということで、繰り返し投票が行われるということだ。

今回の民主党全国大会では、1回目の投票は宣誓済み代議員しか参加できない。しかし、1回目で勝者が出ないとなると、特別代議員771名が投票に参加できるようになる。そして、4750名の過半数となる2376名を獲得する候補者が出るまで投票が続く。この場合、宣誓済み代議員たちも原則的には宣誓した内容に縛られなくなり(released)、自分の支持する候補者に投票することになる。中道派のブティジェッジ、クロウブシャー、バイデン、ブルームバーグを支持する宣誓済み代議員と特別代議員の数を足すと、おそらく過半数を超えることになる。バイデンかブルームバーグが勝者となる可能性がある。

 しかし、このように2度目の投票という事態になり、中道派が勝利となれば、サンダース支持者たちの怒りは頂点に達するだろう。「サンダースが投票で1位なのに、党の指名候補に選ばれないのはおかしい、間違っている、民主党は汚れ切っている(rigged)」と抗議して、全国大会は収集不可能な状態にまでなるかもしれない。そうなれば2016年の二の舞となってしまう。

 現在の獲得代議員数を見れば、予備選挙での投票で獲得する宣誓済み代議員数ではブティジェッジとサンダースが激しく争っており、バイデンはニューハンプシャー州で獲得数ゼロということが響き、全く振るわない。しかし、特別代議員を加えると、一気にトップに躍り出る。このような状況ではバイデンは選挙戦を止めるにやめられないし、特別代議員が投票に参加するような事態になることを期待して選挙戦を続けることになる。
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 民主党幹部、エスタブリッシュメントにとっては、バイデンが横綱相撲で予備選挙において勝利し民主党全国大会でスムーズに党の指名獲得ができることが最善のシナリオだった。しかし、このシナリオは実現しない可能性が高まった。

サンダースが予備選挙で宣誓済み代議員を過半数獲得して勝利するというシナリオも実現する可能性は低い。となれば、特別代議員も参加しての投票となる。そのようなことになれば、民主党の分裂を再びアピールすることになり、最悪の場合には党の分裂ということになりかねないし、何より大統領選挙での勝利など覚束ない。

民主党全体が厳しい状況に追い込まれている。

(貼り付けはじめ)

ニューハンプシャー州での予備選挙の5つの特徴(5 takeaways from the New Hampshire primary

ジョナサン・イーズリー筆

2020年2月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/482698-5-takeaways-from-the-new-hampshire-primary

ニューハンプシャー州マンチェスター発。木曜日夜に実施されたニューハンプシャー州でのアメリカ大統領選挙民主党予備選挙で、ヴァーモント州選出の連邦上院議員バーニー・サンダースがインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジを僅差で破った。しかし、民主党の指名争いには全体としてまだまだ不確定なことが多く残っている。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は3位という予想外の結果で力強く台頭した。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とジョー・バイデン前副大統領は上位3名から大きく置いていかれた形でそれぞれ4位と5位になり、両者が進む方向について深刻な疑義が呈されている。

これから全米で最初に行われた投票による予備選挙の5つの特徴について書いていく。

(1)サンダースがトップ走者に

ヴァーモント州選出の進歩主義派の連邦上院議員サンダースは2位のブティジェッジに大差をつけて勝利することはなかったが、勝利は勝利である。

アイオワ州とニューハンプシャー州を合わせて、サンダースが最も多い有権者の支持を集めたことになる。彼はネヴァダ州へも支持率を上昇させることになるだろう。ブティジェッジとクロウブシャーにとってはこれからが挑戦ということになる。

サンダースはアイオワ州でブティジェッジに対して僅差で敗れた。ニューハンプシャー州でも大勝利とまではいかなかった。しかし、ウォーレンが存在感を薄め、中道派の候補者同士が支持を食い合う状況で、サンダースは前進するのに最も良い位置にいる。

しかし、これからの道には困難が待ち受けている。穏健派の民主党員や民主党支持者と反サンダースの有権者たちが戦いもしないでおとなしくなるということはない。

しかし、ニューハンプシャー州の予備選挙でトップを取ったことで、サンダースは選挙資金集めと世論調査の支持率で勢いを増しており、これがいろいろな方面に相乗効果をもたらす可能性が高い。

全米各州で、サンダースの支持基盤は若い人たちであり、こうした人々は大規模集会に参加する。そうすると他の候補者たちの集会がどうしても小規模に見えてしまう。サンダースの集会は人気があり、インディーズのロックバンドが出演するなどして、人々に活気を持たせ、それがサンダースの選挙運動にも反映されるようになっている。

(2)討論会が重要

数日前、クロウブシャーの躍進など誰のレーダーにも引っかかっていなかった。しかし、ニューハンプシャー州での予備選挙が終わった現在となっては大きな注目を浴びる存在になった。そして、彼女の躍進は、今回の結果を予測することが困難な民主党予備選挙では何が起きてもおかしくないということを示す証拠となった。

クロウブシャーの躍進の最大の理由は先週金曜日にマンチェスター市で開催された討論会での力強いパフォーマンスであった。これまで彼女にかけていたものを彼女自身が掴み利用したのだ。

クロウブシャーは自分がいかにして連邦上院で政策を作ってきたについて鋭い主張を行ったが、同時に中西部出身者特有のユーモアも見せた。彼女は中道派のブティジェッジ、左派のサンダースと対決した際に全く逃げる姿勢を見せなかった。

全国各地の民主党員や支持者たちの多くが、討論会の後、クロウブシャーへの献金を申し出た。そうやって彼女を称賛した。ニューハンプシャー州の有権者たちは彼女を驚きの3位の位置に押し上げた。そして、激しい競争が続く予備選挙の中心に彼女を送り込むことに成功した。

(3)中道派の候補者たちはお互いに票を食い合う

ニューハンプシャー州での予備選挙の結果は民主党支持の有権者たちが穏健派の候補者を求めていることを示している。唯一の問題は有権者たちがどの候補者を支持するかを決められないということだ。

木曜日の夜の投票結果を見ると、ブティジエッジ、クロウブシャー、バイデンの得票を合わせると全投票数の50%以上となった。サンダースとウォーレンの得票を合わせると約36%となった。サンダースとウォーレンは民主党左派との協力に成功した。

サンダースを阻止したいと強く望んでいる中道派の民主党員たちの直面している問題は、候補者の誰かが選挙から撤退しない限り、中道者の候補者グループを壊して中道派の有権者の支持を一人の候補者に集めることができていないというものだ。

ブティジェッジは選挙資金集めに長けており、アイオワ州とニューハンプシャー州でトップとなったことで彼が選挙から撤退することは考えられない。

クロウブシャー選対はニューハンプシャー州で台頭した後、勢いを増している。バイデンは少なくとも勝利が期待できるサウスカロライナ州の予備選挙まで選挙戦を続けるだろうし、おそらくスーパーチューズデーまで続けるだろう。スーパーチューズデーでは宣誓済み代議員の3分の1が決まる。

スーパーチューズデーから、ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグが予備選挙に本格的に参加し始める。彼は民主党内の中道派の代表になろうとしている。

中道派に所属する候補者たちが支持者たちを取り合い続ける限り、サンダースは民主党の指名獲得の道を進むために勝利を重ね続けることができるだろう。

(4)バイデンとウォーレンにとっては厳しい夜が続いた

バイデンとウォーレンはここ数週間の世論調査で支持率が下がっていることは分かっていただろうし、実際にニューハンプシャー州での予備選挙で得票率が10%に届かないという敗北を喫した。両者ともに代議員を獲得できず、両者の陣営ともにこれから選挙資金集めも難航して資金難に陥るのではないかという評俯瞰を持つようになるだろう。

バイデンにとっては、アイオワ州で4位、ニューハンプシャー州で5位に終わったことで、「自分は最も当選可能性がある候補者だ」という主張を損なうことになった。

バイデン選対はネヴァダ州とサウスカロライナ州での非白人系の有権者から幅広い支持を得ているという事を頼みにしている。前副大統領のバイデンはニューハンプシャー州での結果に固執せずに、山場となるであろうサウスカロライナ州を訪問した。

しかし、ブティジェッジとクロウブシャーの台頭、スーパーチューズデーではマイケル・ブルームバーグが控えているといった状況で、バイデンが宣誓済み代議員の過半数を獲得するための道筋を見通すことはさらに困難になっている。

ウォーレンは自身の地盤マサチューセッツ州に隣接するニューハンプシャー州で4位に終わった。11月までの世論調査ではトップに立っていたこもあったが敗北を喫したことで、ウォーレンは選対の引き締めを図ることになるだろう。

サンダースはアイオワ州とニューハンプシャー州でウォーレンを容易に上回った。彼は左派からの支持をがっちりと固めている。ウォーレン選対はスーパーチューズデーで予備選挙が実施される各州での世論調査の数字の高さを頼みにしている。しかし、彼女は有力候補であり続けるためには2月中に勢いを回復しなければならない。

(5)民主党は深夜まで続く予備選挙に備えた

ニューハンプシャー州での予備選挙が終わるまでは人々の間でささやかに話されていたことが今は全ての人々の関心の的になっている。それは、ミルウォーキーで開催される民主党全国大会がコンテスティッド・コンヴェンション、つまりどの候補者も党の指名獲得に必要な宣誓済み代議員の過半数1990名を獲得できずに全国大会が解されることになるのではないかということだ。

現在の混戦から抜け出し、宣誓済み代議員の過半数を獲得する候補者が出る可能性はまだ残っている。

しかし、最初の2つの州での予備選挙が終わった時点で、得票率30%を超えた候補者は誰もいなかった。

中道派の支持は候補者の乱立によって分裂している。サンダースは左派の支持を固めているが、それだけで選挙戦を勝ち抜くことはできない。2020年3月3日のスーパーチューズデーが終わるまではブルームバーグが投入した数百億円の資金がどれほどの影響力を持つものになるか誰にも分からない。

民主党予備選挙はこれから長く、浮き沈みが頻繁に起きるものとなるだろう。

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初期のアイオワ州での結果に見られる5つの特徴(5 takeaways from the early Iowa results

リード・ウイルソン筆

2020年2月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/481754-5-takeaways-from-the-early-iowa-results

民主党の候補者たちが月曜日の深夜にアイオワ州を後にした。候補者たちが後にしたアイオワ州は民主党の指名候補の行方を決める力を持つ州であるはずだった。しかし、アイオワ州の持つ力はアイオワ州民主党が正確な結果を報告することに苦闘している間でどんどんなくなっていった。

学校のカフェテリアや教会の地下室、そしてアイオワ州史上初めてのモスクなどで開催されたアイオワ州の民主党の党員集会に参加した人々が解散してから約48時間経っても、最終結果はまだ出ていない。これは政治上のカレンダーにおけるアイオワ州の称賛される地位が最終的に台無しにする致命的な失敗となる可能性がある。

しかし、全選挙区の約75%の結果が公表される中で党員集会の流れが見えてきている。アイオワ州で起きたことを指標である。そして、これからの予備選挙がどのように推移していくことも示されている。

私たちがアイオワ州の党員集会の結果から学んだ5つのことを書いていく。

(1)組織が功を奏する

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が初めてアイオワ州にやってきたのは2015年のことだった。そして彼はそれからアイオワ州をほぼ離れたことはなかった。

サンダースはアイオワ州で大規模な選挙運動ティームを作り上げ、このティームは支持者を組織化するためにいくつかの革新的な方法を編み出し実行した。選挙運動ティームは、ケイシーズ・ジェネラル・ストアの従業員たちとコンヴィニエンスストアのような小売店で働く人々に特に焦点を絞った。党員集会の夜、サンダースのティームはアイオワ州の全ての選挙区で責任者を1人、もしくは1人以上配置することができた。

インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジはアイオワ州で力強いパフォーマンスを見せた。これは彼が予備選挙でトップ集団に参加するために必要な基盤となるだろう。ブティジェッジの選挙運動ティームは州全体に34の事務所を開設したが、これはほかのどの候補者よりも多かった。そして、党員集会の当日にも1000名のヴォランティアを動員して最後の戸別訪問活動を行った。

党員集会の前の数カ月、各選対は印象的な地上戦を展開していた。今回の党員集会の結果は、こうした組織化がどうして大事かを示している。ブティジェッジは全選挙区の88%で15%以上の支持を得るという条件を満たすことで代議員獲得が可能となった。サンダースは78%の選挙区で15%以上の支持を得るという条件を満たした。その他の候補者たちもこの条件を満たすのは時間の問題であるが、党員集会においてよい結果を出すためには草の根の組織作りに投資をすることが重要であることを2人の結果が示している。

(2)サンダースは人種的に多様な連合を形成している。

大統領選挙の候補者たちにとってアイオワ州に入ることは最初のテストということになる。しかし、アイオワ州がアメリカ全体を代表している訳ではない。また、民主党の支持基盤を形成している連合を代表している訳でもない。しかし、アイオワ州の一部は人種的に多様な構成になっており、特に最大の都市デモインとその周辺はそうなっている。

その中でもデモイン市東部と北部にはヒスパニック系とアフリカ系の人々が固まって居住している。そして、これらの地区ではサンダースの党員集会の結果が素晴らしいものとなった。デモイン市内の人種的に多様な地区のほとんどで、サンダースは2位の候補者に比べて2倍の支持を集めた。アイオワ州の党員集会の参加者のうち、非白人は9%を占めているが、サンダースはこれらの有権者の43%からの投票を獲得した。これは2位の候補者の2倍以上の数字である。

ジョー・バイデン前副大統領はサウスカロライナ州とネヴァダ州でアフリカ系とヒスパニック系からの幅広い支持を得ていると主張してきた。しかし、今回の結果から、バイデンの主張は彼が願っているほどに深いものではなく、サンダースは非白人の各共同体で支持を集めるようになっている。

(3)しかし、サンダースのファンは怒っている

サンダースがヒラリー・クリントン元国務長官をあと一歩で倒すところまで追いつめた2016年のアイオワ州での党員集会の後、サンダースの支持者たちはアイオワ州の党員集会に対する複数の改革を行うように主張してきた。アイオワ州民主党はこれらの改革を実行した。党員集会での最初の投票と途中で変更を経ての最終投票の結果を公表するということになった。この発表は最終的な代議員獲得数の発表とは別で行われた。

アイオワ州民主党にとっての悪夢のシナリオは最終得票数と代議員の数が一致しないことであった。人口が多い都市部の地区で勝利を得た候補者に割り振られる代議員数が、人口の少ない地方の選挙区を席巻した候補者よりも少なくなる可能性があった。

そして、このシナリオ通りのことが実際に起きた。75の選挙区からの報告が集められた時点で、サンダースはブティジェッジに約1000票の差をつけてリードしていた。しかし、ブティジェッジは代議員獲得レースでは1.7ポイント差をつけてサンダースをリードしていた。サンダースの選挙運動ティームはルール上でこのようなことが起きることは理解していたが、サンダースのファンたちはこのようなことが起きるのは間違っている、馬鹿げていると声高に叫んだ。現在の結果がサンダースの支持者たちを怒らせたままであるならば、2016年の大統領選挙を繰り返すことになるだろう。サンダースの支持者の中には本選挙でヒラリー・クリントンに投票することを拒絶した。

(4)バイデンには当選可能性があるという主張の筋道が崩れつつある

月曜日の夜に党員集会の場所に有権者が入って最初に実施された支持する候補投票では、有権者たちは一つのことを重視していた。それはトランプ大統領を倒すことだ。予備選挙が開始されてから、当選可能性から最も利益を得ていたのはバイデンだったはずだ。アイオワ州での党員集会に向かう中でバイデンの世論調査での強さとトランプを倒せる能力に注目が集まった。バイデンはトランプを「太鼓を叩くように」して倒せると述べていた。しかし、党員集会のドアが開かれる時間になり、バイデンはそうした売りを人々にすることができなくなってしまった。党員集会に参加した有権者のうち61%が重要な問題について自分たちと考えが合う候補者よりもトランプを倒せる候補者を選ぶと答えた。そうした有権者のうち24%がブティジェッジに投票し、23%がバイデンに投票した。

バイデンは民主党支持の有権者たちの間で支持の泉を維持している。これまでの数日間本誌の取材に応じた50歳以上の有権者たちのほとんど全員がバイデンのオバマ政権下の副大統領としての業績を称賛した。バイデンの選挙集会に参加し本誌の取材に応じた人々は、バイデンの最も称賛されるアピールポイントは、選挙の当選可能性が高い候補者である点であった。しかし、今週になってバイデンの当選可能性に関しては深刻な疑義が提示されている。

(5)姿を見せることが奏功した

アイオワ州の人々はおもてなしを好む。本当に好きだ。ブティジェッジほど最後の1カ月でアイオワ州全体を回って時間を使った候補者はいなかった。ブティジェッジは党員集会の1カ月前に46のイヴェントに出席した。いわゆる重点地区を中心に回っていた。この重点地区は2008年と2012年の本選挙ではオバマが、2016年の本選挙ではトランプが勝利を収めた。

アイオワ州における31の重点地区はほぼ全てが地方の地区であり、アイオワ州東部に集中している。ブティジェッジは22の地区で勝利し、9の地区で1位を取れなかった。そのうちの7地区ではサンダース、2地区ではエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)が1位となった。

民主党の党員集会での成功は必ずしも本選挙での成功につながる訳ではない。本選挙では中間派の有権者や共和党員、共和党支持の有権者も投票に参加する。しかし、少なくとも重点地区に住む民主党の有権者たちはブティジェッジを好み、高く評価した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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