古村治彦です。

 2020年3月10日にアメリカ大統領選挙民主党予備選挙で6つの州で予備選挙が実施された。全ての州の最終結果はまだ確定していないが、最重要衆と位置付けられたミシガン州ではバイデンが勝利を収めた。その他にもミズーリ州、ミシシッピ州、アイダホ州でバイデンが勝利を収めた。ノースダコタ州ではサンダースが勝利した。ワシントン州では接戦が続いている。サンダースはミシガン州とワシントン州で勝利を収め、獲得代議員数の差を詰めたいところであったが、その目論見は外れた。3月10日の選挙結果で、サンダースの勝利の芽は摘まれたということになる。
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 太平洋戦争の史実にたとえるならば、サンダースは日本軍ということになる。バイデンはアメリカ軍だ。日本軍は序盤こそ勢いが良かったが、ミッドウェイ海戦で敗北、その後はアメリカ軍の物量と作戦の前に翻弄され、惨敗に至る。サンダースの序盤3州での勝利は日本軍の快進撃と言ったところか。それに続くサウスカロライナ州予備選挙でのバイデンの大勝はさしずめミッドウェイ海戦といったところだろう。

 今回3月10日の予備選挙はグアムの陥落といったところだろうか。日本はグアムが陥落したことでアメリカ軍の爆撃機の射程内に入った。ここで敗戦が決定づけられたと言えるだろう。3月17日の予備選挙はフィリピンや沖縄の戦いというところで、日本軍であるサンダースは退勢を挽回できずに敗れ去るということになる。

 「とても、とても重要なミシガン州でサプライズが起きる」というのはサンダース支持者たちにとってのよりどころだった。2016年の時には事前の世論調査でヒラリー・クリントンに大差をつけられていたが、蓋を開けてみればサンダースが勝利となった。しかし、今回の選挙ではサンダースに「神風」は吹かなかった。

 それにしても前回2016年の選挙では嫌われ者ばかりが選挙で活躍したのだなということが感想として残る。サンダースは若者たちの人気は高かったが中年以上や南部の白人たちには嫌われていた。ヒラリー・クリントンは全体的に嫌われていた。「彼女が大統領になったら世界大戦になる」という言葉が信憑性をもって語られていた。ドナルド・トランプは、「あいつはどうせ泡まつ候補だ」というところから始まり、支持率1%から大統領となったが、共和党の穏健派グループやロックフェラー・リパブリカンからは激しく嫌われていた。今回の民主党予備選挙では、結局のところ、「一番嫌われていない」バイデンが選ばれることになりそうだ。嫌われ者トランプとどうでもいい人バイデンの戦いということになる。

 新型コロナウイルス感染拡大はアメリカ国内にも大きな影響を与えている。また、株式市場も乱高下が続く。トランプ大統領はこの舵取りを間違うと11月の選挙で敗北ということになる。トランプ台と量が再選されるにしても、バイデンが当選するにしても2020年の後始末ということに忙殺されるだろう。バイデンに投票した人々が彼のリーダーシップに期待している、副大統領の経験が危機的状況において信頼できると答えている。現職有利の大統領選挙であるが、これから状況は刻々と変化していくため、先行きは不透明だ。民主党予備選挙は実質的に終焉し、「バイデン対トランプ」ということがアメリカ政治の中心話題となっていく。
 それでも、まだサンダースに望みはある。それはメディケア・フォ・オールを愚直に訴え続けることだ。新型コロナウイルス感染拡大が深刻化していくアメリカで、「金持ちも貧乏人も差別なしに感染し、ワクチンがないウイルスから社会を防衛するためには、国民皆保険で医療サーヴィスを受けられるようにすべきだ、そうしなければ保険がないために医療が受けられずに亡くなる人が多く出るし、医療を受けられない人が多くいるためにウイルス感染拡大を抑制することが難しい。これは社会の安全保障の問題だ」と訴えるならば、大きな説得力を持つ。そうすれば予備選挙後半には代議員が多く配分されているニューヨーク州やペンシルヴァニア州で勝利を収め、接戦に持ち込むことも可能だ。かなり希望的観測であるが、サンダースに残されている道はこれだけだと私は断言する。

(貼り付けはじめ)

最新の民主党予備選挙の5つの特徴(Five takeaways from the latest Democratic primaries

ジョナサン・イーズリー筆

2020年3月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/486956-5-takeaways-from-tuesdays-primaries

ジョー・バイデン前副大統領は再び火曜日で力強い結果を得た。ミシガン州、ミズーリ州、ミシシッピ州、アイダホ州でバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に対して大差で勝利を収めた。

火曜日の選挙での5つの特徴をこれから書いていく。

(1)バイデンは民主党の候補者指名獲得に更に近づく(Biden moves closer to the nomination

選挙での投票が全て集計された後、バイデンはサンダースに対して獲得代議員数で大きなリードをつけることになるだろう。

民主党は代議員を投票率に比例する形で配分するので、いかなる候補にとっても大きく引き離された段階で追いつき追いつくことは極めて難しい。これからの予備選挙が実施される各州を見れば、これからますますバイデンに有利になっていく。各種世論調査によれば、サンダースはフロリダ州、アリゾナ州、ジョージア州で大きく引き離されている。

民主党所属の連邦議員や政治家、幹部の多くは、予備選挙は終わり、バイデンは勝利したと考えるようになっている。ケーブルニュースに出てくる専門家と分析家たちは、バイデン対サンダースについて話すことから本選挙のバイデン対トランプ大統領の一騎打ちの行方について話すように移っている。

バイデンは党の指名候補獲得に必要な代議員数である1991名の半分にも満たない数しか獲得していない。

しかし、これまでのわずか10日間で党の指導者たちが急速にバイデン支持を表明するようになっており、有権者もその動きに倣っている。予備選挙におけるこれほどの急速でかつ大規模な変化は専門家たちも見たことがないほどのものだ。

バイデンの勝利の規模を見て見ると、一定の地域での完勝と彼に投票する幅広い有権者の間での支持拡大という特徴がみられる。そして、バイデンの党指名獲得は動かないものと考えられ始めている。

(2)サンダースが予備選挙で勢いを取り戻すのが厳しい状況になっている(Sanders faces steep uphill climb to get back into the race

サンダースは選挙戦から押し出されてしまっている訳ではないが、厳しい状況にある。

サンダースは火曜日夜に地元ヴァーモント州に飛行機で帰ったが、人々の前での演説は行わなかった。予備選挙の投開票日に演説を行わなかったのは極めて珍しいことだ。

ミシガン州とミズーリ州のような州では、サンダースは2016年の時と比べて得票率が低くなった。バイデンがサンダースの支持基盤である地方在住な人々と労働者階級の白人たちの一部を奪い取った。

ワシントン州とノースダコタ州での最終結果はまだ出ていない。サンダースは2016年に両州で大勝利を収めた。しかし、火曜日夜を前にしての各種世論調査では僅差の大接戦となっていた。両州でサンダースは勝利を収めることができても、大勝利を収めることは難しいようである。

バイデンとサンダースは来週火曜日のアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州、オハイオ州での予備選挙を前にした日曜日に初めて一対一の討論会を行うことになっている。

進歩主義派の人々はサンダースがバイデン以外にはいない討論会の壇上でバイデンに致命的な攻撃をやって欲しいと願っている。

しかし、サンダースに対しては、民主党支持の有権者の大多数が最も党の指名候補にふさわしいと考えている候補者を傷つけることをしないようにという大きな圧力も存在する。

ジェイムズ・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)はサウスカロライナ州での予備選挙直前にバイデン支持を表明してバイデンの状況を一変させた。クライバーンは日曜日夜の最後の討論会を中止にすることを民主党は考慮すべきだと述べた。

(3)アフリカ系アメリカ人有権者がバイデンに勝利をもたらす(Black voters deliver for Biden

2月末のサウスカロライナ州での予備選挙は2020年の予備選挙全体にとっての決定的な瞬間であったこと、その存在感がどんどん大きくなっている。

バイデンはサウスカロライナ州での予備選挙で大勝利を収めた。民主党支持の有権者の過半数をアフリカ系アメリカ人有権者で占める同州でサンダースに対して24ポイントの差をつけて勝利した。

サウスカロライナ州での勝利は先週のスーパーチューズデーでの予備選挙の結果を示す兆候となった。バイデンは易々と南部諸州で勝利を収めた。アフリカ系アメリカ人有権者からの得票によってアラバマ州、ノースカロライナ州、ヴァージニア州で大勝利を得た。

火曜日夜、バイデンはミシシッピ州で圧勝した。出口調査の結果によれば、バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者の約75%の支持を集めた。民主党支持の有権者の3分の2がアフリカ系アメリカ人有権者で占められている同州でこれは大きなことである。

ある出口調査の結果によれば、60歳以上のアフリカ系アメリカ人有権者に限れば、バイデンは96%の支持を集めた。

バイデンはアイオワ州とニューハンプシャー州での不調に苦しんだ後に、一連の勝利を掴んでいる。両州は偶然ではあるが白人が人口の大部分を占めている。

「アフリカ系アメリカ人有権者からの支持がなければ民主党の候補者指名を勝ち取ることはできない」ということをはっきりと思い出させてくれることとなった。

アフリカ系アメリカ人有権者からの支持が少ないことは2016年の予備選挙でヒラリー・クリントンと戦う際にもサンダースを苦しめたが、2020年でも再び彼を苦しめている。

(4)サンダースは支持基盤の拡大ができていない(Sanders has not been able to grow his base of support

2020年の予備選挙ではサンダースにとって買輝ける瞬間がいくつかあった。ラティーノ系の有権者たちへの浸透は2月のネヴァダ州での党員集会での大勝利という結果をもたらした。

しかし、サンダースはアフリカ系アメリカ人と郊外に住む女性といった人々に関しては、バイデンに対抗することができていない。サンダースの選挙集会に参加している何禅何万もの若い有権者たちがそのまま投票所に向かっていないということもある。

バイデンは更に地方在住の人々と白人で大学教育を受けていない人々の間でもサンダースへの支持の一部を奪い取っている。

ミシガン州での出口調査の結果、バイデンは大学の学位を持たない白人層の支持でサンダースを6ポイント上回った。2016年の時にはサンダースがこの層の支持でクリントンを14ポイント上回った。

こうした地方在住の有権者と労働者階級の有権者は2016年のサンダースの選挙戦に勢いをもたらしたが、しかし、2020年に関してはバイデンという新しい家を見つけたということになる。

以前にサンダースを支持した人々がバイデン支持になったことで、火曜日の夜、サンダースはミシガン州とミズーリ州で敗れた。先週のスーパーチューズデーでのミネソタ州での敗戦と同じ形となった。

(5)コロナウイルスの恐怖が選挙戦を揺るがす(Coronavirus fears rock the race

バイデンとサンダースは共に火曜日に予定されていたクリーヴランドでの選挙集会を中止した。これは多くの人々を1か所に集めることでコロナウイルスを広げたり、観戦してしまったりすることを懸念しての決定だった。

民主党全国委員会は同様の懸念から、日曜日の討論会には聴衆を迎え入れないことになるだろうと発表した。

選挙運動は、人々が家にこもり、お互いに接触を避けるという状況の中で、空っぽの中で始まることになるだろう。

こうした動きはサンダースの選挙運動に打撃を与える。サンダースの選挙集会には何千もの人々が集まり、大変活発なものとなるが、それが開催できないことになった。

コロナウイルスに対する恐怖は火曜日夜にバイデンを支持する動きを加速させた可能性がある。出口調査に対して有権者の大多数が前副大統領であるバイデンを危機の状態で信頼していると答えた。

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バイデンが民主党予備選挙で首位の地位を固める(Biden takes command of Democratic race

マックス・グリーンウッド筆

2020年3月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/486947-biden-takes-command-of-democratic-race

ジョー・バイデン前副大統領は火曜日に民主党予備選挙での先頭走者の地位を固めた。バイデンはバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に対してミシガン州で大勝した。

バイデンのミシガン州での勝利は、同日のミシシッピ州とミズーリ州での勝利に続いて判明した。バイデンはアイダホ州でも勝利を収めた。同州では2016年にサンダースがヒラリー・クリントンに対して勝利を収めた。一方、ノースダコタ州とワシントン州では結果が判明していない。

火曜日夜、フィラデルフィアの選対本部において、バイデンは自分自身を民主党の大統領選挙候補者も同然だと宣言した。バイデンは、サンダースとサンダースの支持者たちに対して、「彼らの疲れを知らないエネルギーと熱意」に謝意を示し、そして、自分たちはトランプを倒すという「共通の目的を持っている」と述べた。

バイデンは次のように述べた。「今回の選挙戦は順調に進んでおり、本日以降も順調に進めることができると確信しています。これを当たり前のことだと思うことなく、私は全ての州で一票一票を皆さんから投じていただけるように努力したいと思います」。

サンダースは火曜日夜に予備選挙の結果について何か発言をする予定にはない。

代議員が多く配分され、本選挙でも激戦州となるミシガン州でバイデンは勝利した。これはサンダースには大打撃である。2016年の時には各種世論調査でヒラリー・クリントンが大差をつけてリードしていたが予備選挙でサンダースが予想外の勝利を収めた。

サンダースと側近たちはミシガン州の労働者階級の有権者たちには自分たちのポピュリスト的なメッセージは響くであろうということを長い間主張してきた。そして、そうしたメッセージは、2016年にトランプに奪われたミシガン州を11月の本選挙で奪還することに貢献できるとしてきた。

ここ数日、サンダースはミシガン州での予備選挙を必勝の選挙と呼ぶことはなくなったが、それでも「とても、とても重要」だと繰り返し訴えてきた。

火曜日の予備選挙でのバイデンの勝利は、バイデンの大復活という流れの最新の減少ということになる。10日ほど前の段階ではバイデンの選挙運動は崩壊の危機に瀕していた。

先月末のサウスカロライナ州での予備選挙での大勝利とスーパーチューズデーでの10州の勝利によって、バイデンは昨年を通じて保っていた先頭走者の位置を再び取り戻した。

バイデンの中道派のライヴァルたち、インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジ、エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)とニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは選挙戦からの撤退を発表した後にバイデン支持を表明した。これによってバイデンは穏健派の支持を固めることに成功した。穏健派の有権者たちは民主社会主義者を自認するサンダースのような人物を党の指名候補にすることに懸念を持っている。

バイデンはミシガン州での勝利によって、自分が11月にトランプを倒すために最良の候補者であるという主張に更に説得力を持たせることになる。ミシガン州は、ペンシルヴァニア州とウィスコンシン州と加えて、2016年にトランプが本選挙で勝利を収めたラストベルトの3州の1つであり、今年ホワイトハウスを奪還するために重要だと民主党が考えている州だ。

火曜日の勝利でバイデンはミシガン州での有権者たちから信任を得たと主張することができる。そして、来週予備選挙が実施されるオハイオ州を含む中西部各州を通じての選挙運動を活発化させることになるだろう。

火曜日のバイデンの勝利によって、サンダースの予備選挙の行方について疑問が沸き起こっている。バイデンは火曜日に獲得代議員数でサンダースに更なる差をつけた。そしてこれからの数週間でも勝利を続けると見られている。

来週火曜日に予備選挙が実施されるフロリダ州では、最新の各種世論調査ではバイデンがサンダースに2桁の差をつけてリードしている。フェニックスに本拠を置くOH・プレディクティヴ・インサイツが月曜日に発表した、こちらも来週火曜日に予備選挙が実施されるアリゾナ州での世論調査の結果を見ると、バイデンが28ポイントの差をつけてリードしている。

これまで10日間はサンダースにとって状況が激しく変化した期間となった。サンダースは予備選挙が最初に実施された3つの州アイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州で勝利をして先頭走者となった。

しかし、サウスカロライナ州の予備選挙はサンダースにとって乗り越えられないほどの厳しい挑戦となった。同州ではアフリカ系アメリカ人と穏健派の有権者が予備選でバイデンに投票するために投票所に向かった。

こうした苦闘は先週再び起こった。スーパーチューズデーで予備選挙が実施されたノースカロライナ州、ヴァージニア州、アラバマ州とその他7つの州でバイデンが勝利した。

民主党の背骨とも目されるアフリカ系アメリカ人有権者もまた火曜日のミシシッピ州でのバイデンの大勝に貢献した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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