古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙は実質的に終了し、ジョー・バイデン前副大統領が民主党の大統領選挙本選挙指名候補者となった。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)は選挙戦から撤退したことで、選挙は終わった。これからは、サンダースをはじめとする民主党内進歩主義派は自分たちの主張する政策をどれだけバイデンに受け入れさせるかという条件闘争に入る。バイデン側としては、「ドナルド・トランプ大統領の再選を許容するのか」という大義名分を掲げて進歩主義派に対応する。

 サンダースは2016年のヒラリー・クリントンの時には党の全国大会の2週間前になってようやくヒラリー支持を表明したが、今回は早い段階でバイデン支持を表明した。バイデンがインターネット上で中継している「ヴァーチャル集会」に登場し、バイデン支持を表明した。しかし、その態度はぶっきらぼうで、嫌々ながらやっているという感じがよく出ていた。バイデンは臭い芝居で驚いた様子を演じたが、こちらも芝居が下手すぎて興ざめするものであった。

 これでサンダース支持者がバイデンを支持するとは思えない。サンダース支持の熱狂的な若者たちにはただの儀式ほど嫌なものはない。トランプ大統領はサンダース支持者に対して、自分の政策はサンダースと同じものが多い(右派と左派の違いだけでポピュリスト、ワシントン政治の部外者である点は同じだ)ので、是非自分を支持して欲しいと発言している。サンダース支持者の動向は民主党でも神経を使っているだろう。

進歩主義派は、バイデンが嫌いだ。しかし、トランプ再選阻止も掲げていた。となると、どちらがより嫌か、バイデン大統領の誕生か、トランプ大統領による更なる4年間かという嫌なことの選択を迫られることになる。そこで、「サンダースもバイデン支持を表明したから」ということで、消極的でもバイデンを支持するという人たちも増えるだろう。骨の髄までサンダース支持者はトランプ大統領に投票するか、棄権するか、他の党、例えば緑の党に入れるだろう。

 バイデンは2016年に出るべきだった。今回の新型コロナウイルス感染拡大という事態の中で、各州の知事、特にニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ、ミシガン州知事グレッチェン・ウイットマー、カリフォルニア州知事ゲヴィン・ニューサムといった新しいスターが民主党内に登場した。民主党の歴史を見れば、ジミー・カーターやビル・クリントンといった地方の州知事から大統領へという道が存在する。危機的状況におけるリーダーシップを見せることで現在の知事たちは知名度と支持率を高めている。バイデンは2020年に当選したとしても次の大統領選挙に出ない可能性もある。今回の新型コロナウイルス感染拡大の後始末で4年間を使って次に譲るということもある。

(貼り付けはじめ)

サンダースがバイデンの大統領として支持(Sanders endorses Biden for president

ジュリア・マンチェスター筆

2020年4月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/492540-sanders-endorses-biden-for-president

月曜日の夜に開催されたインターネット上のイヴェントの席上、米大統領選挙民主党予備選挙に立候補していたバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)が対抗馬だったジョー・バイデン前副大統領へ支持表明を行った。

バイデンはコロナウイルスに関するインターネット上のイヴェントを開催したが、その席上、サンダースが登場し、次のように発言した。「私たちはホワイトハウスにあなたを必要としています。ジョー、私はあなたがホワイトハウスに入ることが実現するようにできることは全てやります」。

サンダースは続けて次のように述べた。「今日、私は全てのアメリカ国民に、全ての民主党支持者の方々、無党派の方々、多くの共和党支持の方々にお願いします。今回の大統領選挙において皆で一緒になって、あなたの選挙を支援したいのです。私はあなたが候補者になることを私は支持します」。

サンダースは大統領選挙から撤退を表明して1週間も経たずにバイデン支持を表明した。サンダースの支持表明は民主党内の進歩主義派と穏健派をまとめようとする試みである。

この動きは11月の本選挙を前にして民主党はまとまることができないのではないかという懸念を抑えようということでサンダースの支持表明が行われた。

2016年の時には、サンダースは7月の党大会の2週間前になってようやく民主党の大統領選挙候補者となったヒラリー・クリントンへの支持を表明した。

サンダース自身とサンダースの支持者たちは民主党内部のエスタブリッシュメント派に対して懐疑的である。サンダース支持者たちはサンダースの選挙戦を政治運動だと考えていた。彼らは民主党内部の指導者たちが「メディケア・フォ・オール」のような進歩主義的な政策への支持を躊躇していると指摘している。

一方でバイデンとより穏健派の民主党支持者たちはオバマケアとして知られる患者保護並びに医療費負担適正化法の強化と拡大を強く求めている。

バイデンとサンダースは月曜日の夜のイヴェントでお互いの政策の違いを認めながら、本選挙の投開票日にトランプ大統領を倒すという共通の目的を確認した。

バイデンはサンダースに対して次のように述べた。「あなたからの支持表明はとても大きなものであると思います。私にとってとても大きな支援です。私たちはいくつかの問題で意見が異なりますが、実はとても近い関係にあるということを知って人々は驚くことでしょう。これからあなたの助けが必要になります。それは選挙戦において勝利を得るためだけではなく、その後の統治においてもです」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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