古村治彦です。

 2020年アメリカ大統領選挙は最終盤を迎え、これから大統領選挙候補者討論会が3回、副大統領候補者討論会が1回開催される。バイデンが1対1の討論会を乗り切れるかどうか、が注目される。

トランプ攻撃も勢いを増しており、バイデンの応援団『ニューヨーク・タイムズ』紙では、トランプが税金を少額しか払っていなかった、全く払っていなかったという報道がなされた。最終盤で、バイデン支持の伸びに勢いがなく、トランプが重要州で追い上げている中で、なりふり構わない攻撃となっている。しかし、バイデンがそうした攻撃の勢いを活かせていない。

 新型コロナウイルス感染拡大は大統領選挙にも影響を与えている。有権者の関心は新型コロナウイルス感染拡大対策と経済にある。このブログでもご紹介したが、新型コロナウイルス感染拡大対応ではバイデンの方がうまくやるだろうという評価があり、一方で経済対策ならばトランプだという声が多い。

 アメリカ国内での新型コロナウイルス感染拡大によって死者数が20万を超えた。日本では人々の努力もあり、他国に比べてかなり低く抑えられているように思われる。また重篤化して死亡する人も少ないように思われる。アメリカで死者数が多いのはどうしてなのか、ということは検証されるべきことだが、私がアメリカに住んでいた経験から考えると、やはり国民皆保険ではない医療体制とそれに伴う生活習慣病を持つ人の数が多いということが挙げられると思う。

 新型コロナウイルス感染拡大においては、糖尿病や心臓疾患などの生活習慣病を持つ人々の重篤化率が高くなるという研究結果が出ている。こうした病気を持っていても、常日頃から節制し、きちんと治療や投薬をしていれば、重篤化する率は低くなると考えられる。

 アメリカでは無保険という状態の人も多く、また医療にお金がかかり、慢性的な疾患を放置してしまう人も多いのではないかと考えられる。そうなると、こうした病気をコントロールできない状態になり、新型コロナウイルスに感染すると重篤化して死亡してしまうということになるのだろうと思う。

 新型コロナウイルスはアメリカ型の国民皆保険ではない医療制度の問題点を突いているのではないかと思う。そして、これを解決するためには一朝一夕にはいかない。国民皆保険を社会主義的だという風潮も根強く残っている。

 経済については新型コロナウイルス感染をいかにしてコントロールしながら、人々の社会科活動をどれくらい以前の状態に戻すかということになる。これはアメリカだけにとどまらず、全世界の国々にとって共通の重要な課題である。

 更に言えば、最高裁判事の人事は左派、右派両方にとって重要だ。そのための大統領選挙ということでもある。同性愛結婚や妊娠中絶など社会的に重要な問題について、「アメリカ合衆国憲法にかなっているかどうか」ということを判断するのが連邦最高裁判所であり、9名の判事たちによる採決で判決が決まることになる。この時に、保守的な考えを持つ判事が多いのか、リベラルな人が多いのかで結果が変わってくる。今回の大統領選挙でもこの点は争点ということになる。

 もうすぐ開催される第1回の討論会ではどのようなことが起きるのか、注目される。

(貼り付けはじめ)

第1回目の大統領選挙候補者討論会はコロナウイルス、最高裁判事を取り上げる(First presidential debate to cover coronavirus, Supreme Court

モーガン・チャルファント筆

2020年9月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/517580-first-presidential-debate-to-cover-coronavirus-supreme-court

トランプ大統領と民主党候補者ジョー・バイデンは、新型コロナウイルス、最高裁についての質問と、大統領と副大統領在職中の記録について質問されることになる。来週、2020年大統領選挙における第1回の討論会で顔を合わせることになる。

フォックス・ニュースのアンカーであるクリス・ウォレスが第1回目の討論会の司会者である。ウォレスは火曜日、議題のリストを発表した。討論会では、経済、アメリカの各都市の人種と暴力、選挙が誠実に行われるかについての問題を取り上げるとウォレスを述べた。

討論会は9月29日に、ケイス・ウェスタン・リザーヴ大学とクリーヴランド・クリニックの共有キャンパスで開催される。有権者たちに対して、候補者たちを判断する機会を与えることになる。選挙まで2カ月を切った現在、バイデンはトランプを全国規模と各激戦州の各種世論調査でリードしている。

バイデンは、トランプ大統領のコロナウイルス対応について批判している。現在、アメリカ国内でのコロナウイルス感染による死者数は20万となった。バイデンはトランプによるコロナウイルス対応に対する批判を選挙戦の柱としている。トランプはウイルス対応について防衛をしつつ、暴力と破壊について特に取り上げている。ここ数カ月、アメリカ各地で、人種による不正義に対するデモ活動が行われ、それに伴って暴力と破壊が発生している。

トランプ、バイデン両候補者は最高裁についての質問に答えることになる。討論会の前に、トランプは欠員が出た最高裁判事を発表することになっている。金曜日にルース・ベイダー・ギンズバーグ判事が在職のまま亡くなり、空席となった。

これ以降の大統領選挙は10月15日と10月22日に開催される。ペンス副大統領とカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)による、副大統領候補者討論会は10月7日に開催される。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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