古村治彦です。

 五大湖は東側からオンタリオ湖、エリー湖、ヒューロン湖、ミシガン湖、スペリオル湖から成り立っている。この五大湖周辺に接しているのは、東側からニューヨーク州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州、ミシガン州、インディアナ州、イリノイ州、ウィスコンシン州、ミネソタ州である。これらの州はアメリカの勃興期に製鉄業や石油採掘業、自動車製造業で大きく発展した。シカゴ、デトロイト、クリーヴランドなどの工業で発達した大都市が存在する。
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 これまでの歴史では、五大湖周辺州は工業地帯ということもあり、労働組合の活動が盛んで、民主党が優位であった。2016年の大統領選挙ではそのこともあり、民主党候補のヒラリー・クリントンが勝利すると見られていたが、僅差で共和党候補のドナルド・トランプが勝利した。このことが大番狂わせの原因となった。

 労働組合に参加していた白人労働者たちが、一向に良くならない生活と雇用環境に業を煮やし、民主党支持を止め、「雇用を取り戻すために保護貿易を行う」と訴えたトランプに投票したという分析がなされている。保護貿易といえば、1980年代に日米間の貿易摩擦で、民主党所属のリチャード・ゲッパート連邦下院議員の激しい日本叩きが思い出される。2010年代以降、その亡霊が姿を現したのだ。ちなみに、現在のトランプは共和党所属だが、2010年代半ばまでずっと民主党員であった。

 共和党候補であるトランプが、民主党が主張していた保護貿易を訴えて当選したというところから、共和党内部にはトランプ大統領への嫌悪感がある。また、大統領選挙と合わせて実施される連邦上院議員選挙と連邦下院議員選挙では現在のところ、民主党が有利である。大統領選挙と同時に実施される連邦議員選挙の場合には、大統領選挙の情勢が大きく影響すると言われ(これをdown ballotと言う)、トランプが大統領に再選されても、共和党の連邦議員数が減れば、トランプの責任ということになり、彼の影響力は大きく減退する。

 トランプがフロリダ州とテキサス州で勝利をすればの話だが、五大湖周辺州は今回の大統領選挙の最終決戦場となる。現在のところ、各種世論調査の結果では、五大湖周辺州ではバイデンが有利という結果が出ている。ミシガン州とウィスコンシン州ではバイデンのリード差が広がっているが、オハイオ州とペンシルヴァニア州では両者の差は小さい。オハイオ州とペンシルヴァニア州でトランプが勝利ということになれば結果は大接戦ということになる。オハイオ州とペンシルヴァニア州の選挙人数は38名であり、ここをトランプが取ればトランプ大統領の再選が近づく。

(貼り付けはじめ)

世論調査:トランプがミシガン州。ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で追いかける展開に(Trump trailing in Michigan, Pennsylvania and Wisconsin: poll

ジョセフ・チョイ筆

2020年10月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/520534-great-lakes-poll-shows-trump-trailing-in-michigan-pennsylvania-and

最新の世論調査によると、トランプ大統領は3つの激戦州(スイング・ステイト)であるミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州で民主党の大統領選挙候補者ジョー・バイデンを追う展開になっている。

ボールドウィン大学がオークランド大学とオハイオ・ノーザン大学と共同して行った世論調査の結果を金曜日に発表した。それによると、ミシガン州ではバイデンの支持率が50%、トランプの支持率が43%で7ポイントのリード、ペンシルヴァニア州ではバイデンの支持率が50%、トランプの支持率が45%で5ポイントのリード、ウィスコンシン州ではバイデンの支持率が49%、トランプの支持率が43%で約7ポイントのリードとなっている。

トランプ大統領はオハイオ州では僅差でリードしている。支持率はトランプ大統領が47%、バイデンが45%だった。しかしその差は誤差の範囲内であった。

2016年の大統領選挙ではトランプがこれら4州全てで勝利した。

最新の世論調査では、調査に応じた人々の過半数が1回目の大統領選挙候補者討論会を視聴し、バイデンがより良いパフォーマンスを行ったと答えた。51%がバイデン前副大統領の方がより良いパフォーマンスをしたと答え、32%が勝利者だったと答えた。

有権者の多くは、1回目の討論会では頻繁に繰り返される割り込みと個人攻撃によって酷くイラついたと答えた。しかし、トランプ支持の有権者たちのほとんどは討論会を見たことを理由にトランプへ投票する気持ちが「全く変わらない」と答えた。

世論調査担当者たちは、有権者たちは勝利が発表されるまでに全ての投票が集計されるようにすべきだと答えた。全ての投票が集計される前にトランプ大統領が勝利を主張しても、投票集計の正確性について信頼を持てないと有権者の過半数が述べている。トランプ大統領は来月の選挙で負けて平和的な政権移行に協力することを拒絶し続けている。

今回の世論調査の結果は、『ワシントン・ポスト』紙とABCニュースによる全国規模の世論調査の結果が出る数日前に発表された。ワシントン・ポスト紙とABCニュースの世論調査の結果では、バイデンがトランプに12ポイントのリードをしている。有権者の53%がバイデンを支持し、41%がトランプを支持した。

今回の五大湖周辺州での各種世論調査は9月30日から10月8日にかけて4166名を対象に実施された。これら4つの州での世論調査の誤差は約3ポイントである。

最新の世論調査のデータを見て、共和党の最高幹部たちは連邦上院で共和党が過半数を維持できるかどうか懸念を持っている。幹部たちはトランプ大統領の支持率を見て、これが各州レベルの選挙にマイナスの影響を与えることになるだろうと恐怖感を持っている。カンザス州やサウスカロライナ州のような伝統的に共和党優位の各州で民主党の候補者たちが大きなリードをつけている。共和党側は現在、連邦上院の23の議席を防衛しようとしている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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