古村治彦です。
副島先生新刊書影

金とドルは光芒を放ち 決戦の場へ (単行本)

 今回は、副島隆彦先生の最新刊『金(きん)とドルは 光芒(こうぼう)を放ち決戦の場へ』(祥伝社、2020年11月)をご紹介します。発売は2020年11月1日です。以下にまえがき、目次、あとがきを貼り付けます。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

(貼り付けはじめ)

まえがき

 金(きん)の値段が、私が予測(予言)したとおり、この7月に大きく上昇した。

 私の言うことを聞いて、今年の5月にさらに金を買い増した(あるいは買い直[なお]した)人たちまでは大きな利益を出した。他の人たちのことは知らない。人それぞれがすることだから、千差万別(せんさばんべつ)である。

 人々の金銭欲望はすさまじい。「あのとき(手持ちの金[きん]を)売らないで、ずっと持っていたら今ごろ1億円になっていた」、「副島先生の言うとおり、金を早めに買い戻しておけば儲(もう)かったのに」と、悔やんでいる人たちの話は私の耳に入っている。

 私は一体、こういう欲ボケ人間たちのために、ずっと自分の金融本を23年間も書いてきたのか。きっとそうだ。誰でも分かるとおり、私は〝金買(きんか)え評論家〟であるから、みんなの期待を裏切ってはいけない。ただし、私の本を買って読んでくれる人たちだけの世界のことである。今ごろ急に、初めて私の本に近寄ってきて「金(きん)を買っておけばよかった」と言う人たちのことなんか知らないよ。

 でも私は、今年、降って湧いたコロナ馬鹿(ばか)騒ぎの中で、店のドアをそっと開けて入ると中にお客がたくさんいるレストランのオヤジ(経営者)のような気持ちで、ずっと金融本を書いてきた。朝、シャッターをガラガラと開けながら「今日は何十人、客が来るかなあ」と空の天気を見ながら、その日の仕入れや算段(さんだん)を立てている店主と、まったく気持ちは同じで、もの書き業をやっている。

 この半年間で私が一番大事だと思うのは、4月27日に、日銀・黒田東彦(くろだはるひこ)総裁が、「(市場から、いや本当は日本政府から)国債を無制限に購入する。必要なだけいくらでも買う」(新聞各社が報道)と言い切ったときだ。このことは1章で論じるが、こんな「いくらでも買って、お札(さつ)(現金、日銀券)を渡す。だから、財投債(ざいとうさい)でも大企業の社債でもCP(シーピー)(コマーシャル・ペーパー)でも、いくらでも持ってこい。無利子・無担保で、無制限に買ってやる」と言ったのである。このことの重要性を、ちょっとでも頭のしっかりした人は本気で考えなければいけない。

 日本経済に大変なことが起きている、という自覚がないなら金融や経済のことを考える資格も知能もないということになる。金融や経済の専門家ぶって、偉そうなことを言っているんじゃない! 世界の時流(じりゅう)に乗ってMMT(エムエムティ)(現代金融理論)に嵌()まるしかない若手の経済学者たちへの対応は、本書ではあまりできなかった。だが、彼らの国家社会主義[こっかしゃかいしゅぎ](ムッソリーニ主義)への危険な道を、私は見抜いている。

 CPというのは、例えば三井(みつい)物産や大成(たいせい)建設の本社の資金部が、ガチャンガチャンと、約束手形(プロミサリー・ノート)の用紙1枚に、2000億円とかを打ち込んで、そのまま日銀に持ち込むということだ。ただの約手(やくて)だ。そうしたら無審査で、手数料ただで、2000億円の現金が大企業の口座に振り込まれる、ということだ。民間銀行だったら、日銀に有()る自分の口座に自動的に付け替えられる。これが〝無利子(ゼロ金利)・無担保〟の時代だ。企業財産に抵当権を付けられることがないということなのだ。

 こんな恐ろしく馬鹿げたことを、米、欧、日の先進国の〝ダンゴ3兄弟〟はやっている。それを今や堂々と、恥ずかしげもなくやっている。中堅企業や中小企業であっても、県の財政局に「助けてください。資金繰(しきんぐ)りができない」と言いさえすれば、無利子・無担保で5億円ぐらいはすぐに下()りる。

 私は何も憂国(ゆうこく)の士()ぶって、現世(げんせ)を嘆き悲しんで、悲観して屈原(くつげん)が汨羅(べきら)の淵(ふち)に身を投げた、というようなドラマチックを装(よそお)わない。さっさと行くところまで行けばいい、と冷ややかに見ている。

 たった従業員5人、10人の製造業や流通業にも、無利子・無担保で7000万円の県の融資が下りたようだ。「そのお金で先生。オレは金(きん)を買ったよ。何に使ってもいい(使途[しと]を問わない)と言われたからさ」と聞いて、その社長と私は2人で笑った。世の中こんなもんだ。「まあ、5年で(元本[がんぽん]だけ)返せばいいんだから。その間に金(きん)がグーンと上がれば、我が社は儲かるよ」と言われた。「先生の予言は大丈夫でしょうね」と念を押された。私はギクッとしたが、今さら後(あと)には退()けない。ただ、「法人買()いの場合は、危ないから、急激に値上がりしたところで手放しなさいよ」と忠告した。

 私はこの本で、金(きん)を社長、経営者が、個人ではなく法人(会社、企業)でも買う、という人たち向けにも初めて書く。私が何も威張(いば)っているわけではないと分かるでしょ。

 もうすでに金融評論家たちは全滅していなくなった。金融や経済の本は、もう書店に並んでいない。私には競争相手がいない。自分の客(読者)になってくれる人たち相手に、さらに本当のことをガリガリ書くだけである。

副島隆彦

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目次

まえがき

1章 目先の目標は、金1gグラム 1万円だ 

金は1グラム8000円近くまで上がった 

日銀は730トンあるはずの金を、手元に持っていない 

2024年に金融体制の大変動が起きる 

金とドルは、4年後の「決戦の場」へ 

ゴールドマン・サックスが受けた打撃 

金は5倍に値上がりする 

円ドル相場の歴史から分かること 

金を売るときの課税はどうなるのか 

今の株価は吊り上げ相場である 

アメリカ(FRBと財務省)も日本(日銀)も資金を無制限供給 

1オンス=2300ドルという予測 

MMT理論と「ベイシック・インカム」が結びついた 

アメリカの世界支配の終わり 

2章「金の取引停止」が迫っている 

これからの金の値段 

「リデノミ」は金にどんな影響を与えるか 

アメリカで金の取引が禁じられた歴史 

ヘッジファンドの主宰者が警告する「金が買えなくなる動き」 

金地金と金貨が足りない 

飛行機で現物を運べば大金が稼げる 

金先物もの市場は崩壊する 

法人で金を買う 

税務署が嫌がることとは 

「客が選別される時代」が始まった 

金きんの代替物としての銀

金貨(コイン)も買う 

もはや不動産は優良なものしか資産にならない 

3章 国に狙われる個人資産 

バフェットはなぜ金鉱山の株を買ったのか 

「中間業者」に金を売る 

財産税が狙う国民の個人資産 

国の標的は小金持ち層(資産家)だ 

世界の中央銀行3つの「資金の動き」が分かる 

米、欧、日で〝資産総額〟は2400兆円! 

金融秩序が破壊される 

「バーゼル・クラブ」の秘密 

4章 次の株価暴落を予言する 

これから株価はどうなるのか 

10年の「輪切り」で日本の株価を考える

金融大変動の〝法則〟が見えてきた 

巨大バブルのあとの30年間、日本はデフレのままである 

HFT(超高速取引)も追いつけない暴落が来る 

「GAFA+M(マイクロソフト」の動き 

ソフトバンクグループの株投資の限界 

MMT理論の源流はミルトン・フリードマンである 

ファシズムの復活 

人類を不幸にした経済学 

5章 国民を一元管理する菅政権 

菅義偉政権はどこへ向かうか 

私が1年前に予言したこと 

日本の首相はアメリカが決める 

首相の背後にいる男 

悪の思想と秘密結社 

国民を一元的に管理して飼い殺しにする政策 

コロナ対策という〝ショック・ドクトリン〟 

世界の動きを読む 

中国はコロナを「迎撃」した 

あとがき 

巻末特集 金融恐慌にも動じない鉱物資源株25

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あとがき

 金(きん)の値段が、今年3月に、1オンス(31・1グラム)1500ドルから、2000ドルまで上がった(P17のグラフ参照)。今は1900ドルぐらいだ。これが1800ドルを割るようなら直ちに買い増し(ヽヽヽヽ)なさい。と言われても、何のことだか分からない人が今も大半だ。

 それなら、日本円で金(きん)の「国内小売(こうり)価格」が1グラム5000円から8000円近くまで行った。今は7200円ぐらいだ(P5のグラフ参照)。これが1グラム7000円(小売)を割るようだったら、急いで買い増ししなさい。

 これなら分かるだろう。ただし、卸売(おろしうり)(業者間[かん]での値段)は、これから1グラム700円を差し引いたものだ。だから、現在は、1グラム6500円である。

 こう書くと、もう分からなくなる。私は今や〝金買(きんか)え評論家〟であるから、どうやって人々に「金の買いどき、売りどき」を説明するか、で苦労してきた。ちょっと難しいことを書くと、もう読者は分からなくなる。わかったふりをして読み飛ばす。それでもP5などのグラフを見ると、それだけで、金(きん)の値動きが一目瞭然で分かる。そのとき私の説得はホントウ(真実)なのだと分かる。ここに私の本を読む効用がある。だから買って読みなさい。ネットでチャラチャラ、金融情報を拾い読みしてもダメです。それだと思考に体系性(システム)を獲得できない。

 私は、今も、一体どこまで分かりやすく書いたら、皆にこの世の大きな真実を分かってもらえるかで、苦心惨憺(さんたん)している。もの書き業の苦しさは、一旦(いったん)世に出たあとは、このことに尽きる。もうプロのもの書きになって36年になるが、今もこのことで嫌(いや)になるほど苦しんでいる。いくつになっても、人生、楽になるということがない。人(ひと)それぞれの苦しみがあるだろう。

 私は、自分の書く本の客(読者)になってくれる人たちのために頑張り続ける。それ以外の目標はない。この世の隠された真実を暴き立て人々に知らせること。これ以外に私にはすることがない。ただし、その真実は、「世の中(世界)の大きな枠組(わくぐ)みの中の真実」を表(おもて)に出すこと、でなければならない。私の苦闘はあと暫(しばら)く続く。

 この本も祥伝社の岡部康彦氏の手を煩(わずら)わせた。社長になった辻浩明氏から「本を書いてくださいよ」と頼まれたのが1997年だったから、今年で23年になる。この本の表紙に「エコノ・グローバリスト・シリーズ23」と打ち込んでいるのは、この本が23冊目であることを示している。頭はまだ大丈夫だが、体のほうにガタが来()始めた。何とかこれを修理しながら、時代に合わせて前に前に進まなければ(マルシオン、マルシオン)ならない。記して感謝します。

2020年10月

副島隆彦

(貼り付け終わり)

(終わり)

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