古村治彦です。

 古い記事で恐縮だが、今回の大統領選挙の政治献金についての記事を紹介する。簡単に言えば、エリートはバイデンに献金し、非エリートはトランプに献金したということだ。民主党は貧しい人々やマイノリティのためのリベラルな党、共和党はお金持ちのための保守的な党、という色分けを子供の時に習った。私が子供時代の1980年代のことだが、「共和党は自民党で、民主党は社会党みたいなもの」と教えてくれた大人がいた。「日本の社会党は選挙でいつも自民党に負けているのに、アメリカの民主党は選挙で共和党に勝ったり負けたりしているのはどうしてなのか」と不思議に思ったことを覚えている。

 献金から見ると、そうした単純な色分けは既に破綻している、意味をなしていないということになる。バイデンに献金しているのは安定した大企業で働いている人々や政府機関の人々だ。一方、トランプに献金しているのは不安定な自営業者や労働者たちだ。「弱い者の味方」であるはずの民主党が本来ならば支持基盤としなければならない人たちがトランプの応援をしている。前回紹介した記事でも取り上げていたが、白人労働者階級とラティーノ系の有権者の民主党への支持が低調、ということはこの献金の面からも分かる。大企業や政府機関で働いている人々に比べ、自営業者や労働者は景気の影響をモロに受ける。

 新型コロナウイルス感染拡大のために景気が低迷して影響を受けるのはそうした弱い人々だ。そうした人々にとって経済政策で全く期待できないバイデンを応援する理由はない。バイデンは新型コロナウイルス感染拡大対策と景気対策という難問を引き受けるだけの能力があるとは誰からも思われていない。彼は選挙が終われば用済みで、「早くカマラが大統領に昇格しないかしら」と、大金持ちの老人が子供たちや親せきから思われているようなことを期待されている始末だ。12月中の選挙人による投票がどうなるか、最高裁での判決がどうなるかということはもちろんがあるが、もしバイデンが大統領に就任しても、こんなに悲しい船出をするアメリカ大統領がかつていただろうかと暗澹たる気持ちになる。

 そして、共和党と民主党のアイデンティティの逆転現象はアメリカ政治研究にとって非常に興味深いテーマとなる。ポピュリズムと似非リベラリズムとの戦い、これがアメリカ衰退の時期に起きた。いよいよ店じまい、そのような感じだ。

(貼り付けはじめ)

トランプとバイデンに最も多く寄付した被雇用者(従業員、社員、職員)たちは誰か(The Employees Who Gave Most to Trump and Biden

ジャッキー・グー筆

2020年11月3日

『ブルームバーグ』紙

https://www.bloomberg.com/graphics/2020-election-trump-biden-donors/

2020年大統領選挙で使われた選挙資金の額は史上最高記録を更新している。そうした状況下、アメリカの労働者たちによる政治献金は、アメリカの雇用者(企業、組織、団体、政府)と職業の人たちの間での政治的な姿勢を示すスナップショットとなっている。

ブルームバーグ・ニュース社による、インターネット献金プラットフォームである「悪とブルー」と「ウィンレッド」が発表した献金データの分析によると、バイデンに献金した雇用者とその労働者たちのほとんどは、各大学から連邦政府、IT関連企業が含まれている。一方、トランプへの最大の献金者たちには配送企業、ウォルマート、米軍が含まれている。

この分析における被雇用者(従業員や職員)の中で、トランプに献金した被雇用者たちが雇用者(企業、組織、団体、政府)として名前を上げたで最も多かったのが、ニューヨーク市警察とアメリカ海兵隊であった。約70%がトランプ陣営に献金を行った。バイデンへの献金の中で、最も多く献金した雇用者は、フェイスブック社とワシントン大学であった。また、これらに属している被雇用者で政治献金を行った人々の内、97%がバイデンに献金を行った。

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どの雇用者(企業)がバイデン、トランプに献金しているか(それぞれの陣営に献金した被雇用者が多い雇用者100)

センター・フォ・リプリゼンティティヴ・ポリティックスの報告によると、2020年の大統領選挙の支出額は総額で66億ドル(約6860億円)以上になると見られている。4年前の倍額になる見込みだ。民主党のジョー・バイデンは10月14日までの時点で、陣営への個人献金を約10億ドル集めている。ドナルド・トランプ大統領は約6億ドルを集めている。

2020年、選挙陣営にとってインターネット上の献金プラットフォームは重要な資金集めの道具となった、特に新型コロナウイルス感染拡大のために対面での献金集めが制限される中で、重要な役割を果たした。民主党はアクトブルーを使った献金集めで有利なスタートを切ったが、ウィンレッドは、トランプ大統領が支持者たちに使用を促したことで、急速に重要性を増していった。これらのプラットフォームは少額の献金者の増加に大きく貢献した。

アクトブルーとウィンレッドを通じた被雇用者の献金について、ブルームバーグ・ニュース社の分析は、全ての個別の献金については説明はできていない。そして、今年の選挙で失業中の人々がどれだけの額を献金したのかについて考慮されていない。しかし、今年の選挙で、2つのプラットフォームでの献金は献金総額の57%を占めている。この分析によって、200ドル以下の献金者の動きを大まかに掴むことができ、こえは連邦選挙管理委員会の様々な報告の内容に反するものでもない。

トランプは徐々に肉体労働者たちからの支持を上げていった。自身の職業を牧場主と自己申告した献金者の84%、建設労働者の75%がトランプに献金した。大学教授、学部長、大学職員の大多数はバイデンに献金した。

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誰が誰に献金しているのか(それぞれの陣営に献金している100の職業)

ウィンレッドを使ってトランプに献金した1万9000名以上が自分たちの職業として挙げていたのが、「ホームメイカー(家事労働者、家政担当者)」であった。アクトブルーを使ってバイデンに献金した人々に比べて900名以上少なかった。トランプ陣営に献金した人の中で職業欄に「妻」という言葉を入れた人の数は、バイデン陣営に献金した同様の人々に比べてほぼ5倍となった。非営利団体に勤務している人の中で、トランプ陣営に献金をした人の割合は4%にとどまった。一方、牧場経営者の84%がトランプに献金を行った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側