古村治彦です。

 アメリカ連邦議会の共同会議開催中に、トランプを支持する人々が連邦議事堂に侵入し、議事堂の建物を占拠するという出来事が起きた。このことについては後ほど書く。

 1月6日の連邦上下両院の共同会議では、アメリカ大統領選挙の選挙人団の投票結果を承認するということになっていた。これまでであれば、「○○州は誰々」と読み上げ、選挙人獲得数が多い候補者が勝利者と決定するということを読み上げるだけで、文字通り数分で終わり儀礼であった。しかし、今回は、選挙結果に反対する動きが連邦上下僚両院にあり、通常通りにはいかないという見通しであった。激戦州での結果について、異議を申し立てる議員が出てくることは確実だった。

 民主党側の連邦議員たちが大統領選挙の結果に異議を申し立てる訳はないので、異議を申し立てるのは共和党側の議員たちである。しかし、共和党は一丸となって選挙結果に対して反対するということにはなっていなかった。以下の記事は、選挙結果に対しての反対を支持する議員と反対する議員たちの動きを紹介したものだ。

 共和党の議会指導部は選挙結果反対の動きに反対(選挙結果を受け入れる)ということで一致し、議員たちに反対しないように求めていた。それに対して、数十名の連邦議員たちが反対の動きを強めていた。そして、共同会議が開かれてすぐの時点で、連邦議事堂内に侵入者が発生して、会議は停会となった。

 いろいろのタイミングなどを考えると、今回の出来事がどうも仕組まれたものではないかという疑いを

 

(貼り付けはじめ)

選挙結果に対する挑戦の動きへの反対者が増えている中で選挙人団の投票結果をめぐる戦いは共和党を分裂させている(Electoral College fight splits GOP as opposition grows to election challenge

ジョーデイン・カーニー筆

2021年1月5日

『ザ・ヒル』

https://thehill.com/homenews/senate/532743-electoral-college-fight-splits-gop-as-opposition-grows-to-election-challenge

2020年の大統領選挙の結果を覆すための長期にわたる試みをめぐる、水曜日の戦いは共和党側を分裂させている。選挙結果に反対する計画に対しての反対者が増えている中で、同じ州選出の議員たちの間で立場が分かれている。

火曜日、複数の共和党所属の連邦上院議員たちは選挙人団(Electoral College)の投票結果に挑戦することに反対するだろうと発表した。この発表によって、水曜日に連邦議会(Congress)が共同会議を招集するが、少なくとも5つの州で選出されている議員の間で立場が異なることになった。水曜日に連邦議会で議員による投票が実施される。これまでは、この投票は形式上のもので、文字通り数分で終わる程度のことであった。

共和党所属の連邦上院議員であるジョン・コーニン(テキサス州選出)、ジェイムズ・インホーフ(オクラホマ州選出)、ジェリー・モーラン(カンザス州選出)は火曜日、それぞれ、大統領選挙当選者ジョー・バイデンの複数の激戦州での勝利に挑戦する試みを支持しないと述べた。

この発表によって、これらの連邦上院議員たちは、別の共和党所属の連邦上院議員である、テッド・クルーズ(テキサス州選出)、ジェイムズ・ランクフォード(オクラホマ州選出)。ロジャー・マーシャル(カンザス州選出)と立場を違えることになる。これらの連邦上院議員たちは、10日間の監視を実行するための委員会の形成はできないにしても、反対の試みを支持することを誓っている。

コーニンは連邦上院多数党(共和党)院内総務ミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)に近い人物であり、選挙結果に反対する計画を「無駄な試み」と形容した。コーニンは火曜日、声明を発表し、その中で、「実体のある、新しい証拠」がない中で、選挙人団の投票結果へ挑戦する試みを支持することはないと述べた。

コーニンは声明の中で次のように述べた。「選挙結果への挑戦の試みは証拠に基づいて決定されねばならないし、それ以上ではない。アメリカ合衆国憲法と関係の連邦諸法は、私たちが従うロードマップを与えている。そして、私たちはそのロードマップに従うべきだ。しかし、疑いだけでは十分ではない。証拠は必要だ」。

モーランは「各州が承認した選挙結果を拒絶する投票を行うことはアメリカ合衆国憲法が与える縛りから逸脱することになる。私はそのような行動を取らない」と警告を発した。インホーフは今回の選挙で再選されたが、憲法上、彼の連邦上院議員としての仕事は、「選挙結果に対して不同意ではあっても、選挙人たちが適切に承認され、彼らの投票がきちんと集計されたことを確認することだ」と述べた。

選挙人団の投票結果をめぐる戦いはミズーリ州の共和党を分裂させている。ジョシュ・ハウリー連邦上院議員(ミズーリ州選出)は共和党所属の連邦上院議員の中で最初に投票結果に反対する意向を明確に示した人物である。しかし、ロイ・ブラント連邦上院議員(ミズーリ州選出)は2022年に再選を控え、共和党指導部の一員であるが、ブラントは自身が水曜日の共同会議を管理運営する立場であることを理由にして、いかなる反対の動きにも参加しないと述べた。

ジョン・ケネディ連邦上院議員(ルイジアナ州選出、共和党)はクルーズの試みを支持する10名の連邦上院議員の中に入っている。しかし、同じルイジアナ州選出のビル・カシディ連邦上院議員(共和党)は日曜日に発表された、連邦上院議員たちに対して選挙結果を支持し、事態を前に進めることを呼びかけた超党派の声明に署名している。

それがただの意見の違いで収まるかどうかは分からない。マコーネルは選挙結果に反対する動きに対して反対するように共和党所属の連邦上院議員たちに促している。そして、彼自身は反対の動きにノーの投票をすると見られている。しかし、同じケンタッキー州選出のランド・ポール連邦上院議員(共和党)は、反対の動きに参加するかどうか、沈黙を保っている。

連邦議会の共同会議開催のルールでは、連邦下院議員1名と連邦上院議員1名が出て、共同会議に反対すれば、共同会議は停止され、議員たちはそれぞれが所属している議会に行き、最長2時間にわたり、問題について討論を行うことになっている。選挙結果に対する挑戦が成功するためには、連邦下院と連邦上院両方の支持が必要である。水曜日の共同会議における反対の試みは失敗することになるだろう。

共和党所属の連邦上院議員13名が選挙結果への挑戦を支持しているが、この試みに反対する議員の数は増えている。少なくとも24名の共和党所属の連邦上院議員が反対の試みにノーの投票を行うことが見込まれている。15名近くは公の場で態度を明らかにしていないが、その多くはバイデンの勝利を認める動きをすると見られている。

ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は2022年に再選を控えているが、最近になって選挙人団の投票結果への挑戦に反対することを発表した人物である。

スコットは火曜日に発表した声明の中で次のように述べている。「私はアメリカ合衆国憲法を読んでみた。各州が選挙結果を認めて、選挙人を送り出した状況下で、選挙結果を覆すための方法は、憲法から見て、連邦議会には与えられていない」。

スコットは更に、同僚の連邦上院議員の中に選挙不正について懸念を持っている人たちがいることは理解しているが、「その原理、そして実践において、彼らの採用している方法について同意できない」としている。

スコットは更に「彼らが提示している理論に従うならば、ナンシー・ペロシ連邦下院議長と連邦下院民主党は、ジョー・バイデンではなく、ドナルド・トランプを大統領に選出しなければならなくなる。そんなことが起きるはずがない。今日もそんなことは起きないし、これからも起きないだろう」と述べた。

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選挙をめぐる戦いは共和党を分裂させる(Election fight tears at GOP

アレクサンダー・ボルトン筆

2021年1月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/532447-election-fight-tears-at-gop

トランプ大統領と連邦議会内の協力者たちによる、2020年の大統領選挙結果を覆すための試みは、共和党を分裂させている。ジョージア州における2つの重要な選挙を数日前に控えての酷い戦いの中で共和党は分裂している。ジョージア州の2つの選挙で2021年の連邦上院で民主、共和両党のどちらが過半数を取るかが決定される。

この状況に新たな局面が生み出された。『ワシントン・ポスト』紙は日曜日、トランプ大統領とジョージア州の州務長官ブラッド・ラッフェンスパーガーとの数時間にわたる会話の録音を発表した。その中で、トランプ大統領はラッフェンスパーガーに対して、バイデンではなく自分がジョージア州での選挙で勝利者となるために、「1万1780票」を見つけるように圧力をかけた。

録音された会話の内容の詳細が掲載された。これによって、共和党所属の連邦上院議員たちの中に、危険を感じた人々が出た。彼らはトランプ大統領と協力者たちがアメリカの伝統である、秩序だった選挙後の権力の移譲を踏みにじろうとしていると考えた。

日曜日に発表された厳しい内容の声明の中には、ポール・ライアン前連邦下院議長・前連邦下院議員(ウィスコンシン州選出、共和党)の声明が含まれている。いかなる州の選挙結果を覆すための投票を行うとしている連邦議員たちに対して警告を発した。

ライアンは「我が国のシステムでは、有権者たちが大統領を決める。連邦議会の気まぐれが人々の意思に代替するのならば、自治は維持されない」と警告を発した。

ライアンは、選挙人団の投票を拒絶する試みとバイデンの勝利への疑義は「私たちの共和国の基盤への攻撃」であると述べた。

ライアンは続けて「連邦政府が、州が承認した選挙結果を覆すために介入し、数百万のアメリカ国民の意思を奪うこと以上に、反民主的で反保守的な動きを想像することはできない」と述べた。

共和党所属の連邦下院議員たちの中にはライアンの警告を無視する人々も多い。その中には、ライアンが議長だった時代に部下であった、連邦下院少数党(共和党)院内総務ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)も含まれている。マッカーシーは日曜日に連邦下院の保守派議員と会談を持ち、彼らの動きに支持を表明した。

共和党所属の連邦議員2名はCNNの取材に対して、共和党所属の連邦下院議員の中で、少なくとも140名が水曜日にいくつかの州の投票結果を承認することに反対するだろうという見通しを述べた。

連邦下院共和党議員会長リズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)は、選挙人団の投票結果に対しての挑戦について反対を明確に示している共和党の幹部である。チェイニーはトランプ大統領に対して「我が国の選挙過程の神聖さ」に敬意を払うように促した。

チェイニーは日曜日、連邦下院の共和党所属の議員たちにメモを発し、選挙結果を審査するための特別委員会を設置する試みに反対するように求めた。

このメモには次のように書かれている。「選挙の結果に反対するために、連邦議員たちはやむを得ず、連邦議会には選挙結果を覆し、州や連邦の各レヴェルの裁判所の決定を却下する権威を持っていると主張している。このような反対は危険な前例となる。各州に対して合衆国憲法が与えている、議会に代わって、大統領を選び、設置するという責任を盗み出してしまうという脅威になる」。

連邦上院共和党指導部は反対の試みを鎮静化させようと決心している。指導部は同僚議員たちに対して、反対の試みに支持を与えないように促している。

共和党所属の連邦議員たちの間で、デイヴィッド・パデュー連邦上院議員(ジョージア州選出、共和党)とケリー・ロフラー連邦上院議員(ジョージア州選出、共和党)の火曜日に実施される決選投票の結果に悪い影響を与えるのではないかという懸念が広がっている。

アリゾナ州、ジョージア州、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州の選挙結果を覆そうとするトランプ大統領の一貫した試みについて、ある共和党所属の連邦上院議員は次のように述べている。「秩序だった権力の移譲の邪魔をするというトランプ大統領の考えは奇怪であり、彼は権力移譲の過程を踏みつけにしている」。

この議員は選挙結果を覆すという試みについて率直に議論するために匿名を条件とした。この人物は、こうした試みは、原理原則に基づかない野心によって行われているものだと述べた。

この議員は「こうした試みを行おうとしている人々は、私たちの国をアフガニスタンのようにしようとしているのだ」と述べた。

スティーヴ・デイネス連邦上院議員(モンタナ州選出、共和党)とジェイムズ・ランクフォード連邦上院議員(オクラホマ州選出、共和党)のように、共和党の指導部に対して挑戦的な姿勢を取ることでメディアの注目を集めようとしている議員たちが、テッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)の計画(1月6日の連邦議会の共同会議での投票結果の読み上げを延期する)に署名をしたことについて、上記の匿名の連邦上院議員は驚いている。

ジョン・ハウリー連邦上院議員(ミズーリ州選出、共和党)はクルーズ動揺、2024年の大統領選挙の共和党候補者になる可能性を持っている。ハウリーは選挙結果に対する連邦下院の反対に署名をすると表明した、初めての共和党所属の連邦上院議員だ。ハウリーは、クルーズが土曜日に公に発表した、11月3日の選挙結果の審査を新たに実施することを求める書簡に署名しなかった。

内部の戦いのもう一方の側には、連邦上院多数党(共和党)院内総務ミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)、連邦上院多数党(共和党)幹事長ジョン・スーン連邦上院議員(サウスダコタ州選出、共和党)、ジョン・コーニン連邦上院多数党(テキサス州選出、共和党)がいる。彼らはここ数週間、同僚議員たちとは非公開の場で、メディアとは公の場で、連邦下院の議場で水曜日に選挙結果について挑戦することは政治上の間違いとなるだろうと主張してきた。

マコーネルは12月15日に、同僚の共闘議員たちに対して、アリゾナ州、ジョージア州、その他の州の選挙結果に反対することは、2022年の再選を目指す議員たちにとって、マイナスとなるだろうと警告した。

トランプ大統領は既に、2022年の中間選挙で、上記のスーン議員に対して、共和党の予備選挙で挑戦する候補者を支持することを表明している。スーンは同僚の共和党議員たちに対して選挙結果への反対の投票をしないように説得する試みを主導している。

共和党所属の連邦上院議員たちの中には非公開の場で、トランプ大統領に対して、次週では共和党指導部の方を支持すると述べた。加えて、選挙結果に挑戦する動きに対して公の場で反対を表明する共和党所属の連邦議員の数は増え続けている。

しかし、共和党所属の連邦上院議員たちは、怒れる有権者たちから多くの電話を受けており、その内容は激戦州での選挙結果に反対するように求めるものだと述べている。トランプ大統領と彼の弁護士ティームは裁判の場で広範囲に広がる選挙不正の明確な証拠を示すことができておらず、多くの裁判は棄却されている。

マコーネルは日曜日、11月の選挙で当選した連邦上院銀たちの先生に立ち会うために連邦議会議場に姿を現した。彼は共和党内で深刻化する争いについてコメントを拒否した。

彼は「水曜日にこれらについて対処します」と述べた。

リンゼイ・グラム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は連邦議会におけるトランプの熱心な支持者である。グラムは日曜日、11月3日の選挙結果を審査する10日間の緊急員会を設置するというクルーズの要求について退けた。グラムはこの動きは、「政治的なごまかし」であり、「実現するチャンスはゼロ」だと述べた。

グラムは次のように述べた。「この押し詰まってきた日程で委員会の設置を提案することは、トランプ大統領のための有効な戦いにならない。そもそも委員会の設置は実現しない。このような動きは、効果的な治療法ではなく、政治的なごまかしに過ぎないのだ」。

ケヴィン・クラマー連邦上院議員(ノースダコタ州選出、共和党)はトランプの熱心な協力者である。クラマーは日曜日、「いかなる反対についても予想していない」が、議論は聞くということは決めているが、いささか動揺している。

トランプがジョージア州の選挙担当高官に自身への投票を見つけるように依頼した内容の電話での会話の録音について質問された際、クラマーは「州務長官の仕事は1足す1を3と計算するものではない」と述べた。

その他の共和党所属の連邦上院議員たちは日曜日、クルーズとハウリーが提起する反対の動きやその他の議員たちによる選挙の結果に対する疑義を提起する動きに反対すると述べている。

スーザン・コリンズ連邦上院議員(メイン州選出、共和党)は自身の5期目の宣誓を行った後に記者団の取材に対して次のように述べた。「トランプ政権は数十もの裁判を起こしています。しかし、そのうちのどれも、不正選挙があったと確信するための明らかな証拠が出ていないのです。それらがあれば選挙結果を変更することになるでしょう」。

コリンズは続けて、「私の見るところ、選挙は終わりました。裁判所も判断を示しています。トランプ政権はあらゆる法的手段を取る機会を与えられてきました。しかし、これから私たちは前進しなければなりません」と述べた。

コリンズは、同僚議員たちに対して、バイデンが大統領になってからの政策について挑戦することに集中するためにエネルギーを注ぐべきだと述べた。

コリンズは、「私たちは現実を知ることから始め、アメリカが直面している多くの問題を解決するために協力することが大切です」と語った。

日曜日の午前中、コリンズを含む、ビル・カサディ連邦上院議員(ルイジアナ州選出、共和党)、リサ・マコウスキー連邦上院議員(アラスカ州選出、共和党)、ミット・ロムニー連邦上院議員(ユタ州選出、共和党)などの超党派の連邦上院議員たちは共同書簡を発表し、大統領選挙は「終わった」と宣言した。

これらの議員たちは声明の中で次のように述べている。「現在において、2020年の大統領選挙の正統性について疑義を呈する更なる試みはアメリカ国民が明確に示した意思に反する行為であり、既に決定された選挙結果に対するアメリカ国民の信頼を損なうことにしかならない。有権者たちは意思を示した。連邦議会は選挙結果を承認するという責任を全うしなければならない」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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