古村治彦です。

 ジョー・バイデンはインフラ整備関連法案成立のために動いている。そのために、バイデンの増税に対して支持していないジョー・マンチン連邦上院議員と一対一で会談を持つということになった。また、シェリー・ムーア・キャプト連邦上院議員やその共和党の議員たちとも会談を持つということも発表された。
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ジョー・マンチンとジョー・バイデン
 ジョー・マンチン(Joe Manchin、1947年-、73歳)とシェリー・ムーア・キャピトは共にウエストヴァージニア州選出の連邦上院議員だ。マンチンは2010年から、キャピトは2015年から議員を務めている。マンチンは上院ではエネルギー委員会に属している。ウエストヴァージニア州は石炭産業が盛んであり、炭鉱夫たちの労働組合が民主党の支持基盤となっている。ウエストヴァージニア州は民主党の地盤であるが、決してリベラル色が強くはない。きちんと働いてきちんと報酬を得るという価値観を大事にしており、保守的な色合いが強い。マンチンはウエストヴァージニア州議会から政治的キャリアを始めた、叩き上げの政治家だ。州下院、州上院、州務長官、州知事とキャリアを重ねて国政に出てきた。マンチンは民主党の政策に反対し、時には共和党の政策に賛成票を投じるということもある。全米ライフル協会の会員でもある。
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ドナルド・トランプとジョー・マンチン
 シェリー・ムーア・キャピト(1953年-、67歳)はジェイ・ロックフェラーの後任として議員に当選した。ロックフェラーは民主党所属だが、キャピトは共和党所属で、共和党が議席を奪った形になっている。父親は1969年から1977年、1985年から1989年まで合計3期12年にわたりウエストヴァージニア州知事を務めたアーチ・ムーアだ。1977年から1985年までの2期8年知事を務めたのがジェイ・ロックフェラーだ。こうして見ると、ムーアは親子でロックフェラーと政敵として縁がある。シェリーはウエストヴァージニア州下院議員、ウエストヴァージニア州選出連邦下院議員を務め、連邦上院議員に当選した。シェリー・ムーアは中道・穏健派の議員である。
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シェリー・ムーア・キャピト
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会談を持つバイデンとキャピト
 現在、連邦上院は民主、共和両党が50名ずつで拮抗しており、議長役である副大統領のカマラ・ハリスの投票によって民主党が自分たちの法案を可決できるという状態になっている。日本の政党と違い、アメリカには党議拘束という制度はなく、議員たちはたとえ自党が推進する政策であっても反対をすることがある。また、逆のケースもある。現在、民主党がかろうじて過半数を握っている状態では、民主党内から反対が出ることは民主党、バイデン政権にとっては避けたい状況である。従って、ジョー・マンチンの存在感が増す結果となっている。また、シェリー・ムーア・キャピトは民主党側の主張にも理解を示す共和党議員であり、説得や話し合いをしようとしている。

 インフラ整備にために増税も赤字国債発行も厭わないとバイデンは主張しているが、それがそのまま通るというものではなく、ここから妥協が図られる。
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

(貼り付けはじめ)

バイデンがマンチンとの一対一の会談を持つ(Biden to go one-on-one with Manchin

モーガン・チャルファント筆

2021年5月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/552632-biden-to-go-one-on-one-with-manchin

バイデン大統領は月曜日、ジョン・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)と一対一で会談を持ち、インフラ整備関連法案について議論する予定だとホワイトハウスが発表した。議論の中では企業税の税率についての意見の相違についても取り上げられるだろうとも発表された。

バイデンは企業税を21%から28%に引き上げ、それを原資とする2兆3000億ドル(約250兆円)規模のインフラ整備案を提案した。マンチン議員はこの税率引き上げ幅は大き過ぎると述べた。マンチンは企業税の引き上げについて25%までは支持するだろうと述べた。

マンチンはバイデンの政策にかかる予算について懸念を表明している。その中には1兆8000億ドル(約200兆円)の幼児教育と短期大学の拡大や低所得、中間所得の世帯の減税政策も含まれている。

マンチンから支持を得ることは民主党にとって極めて重要だ。民主党が予算に関する交渉プロセスを使いながら法案を可決させるためにはマンチンの支持が必要だ。法案を可決させるためには民主党に所属する議員全員の賛成が必要であるからだ。

先週、バイデンは企業税の引き上げ計画については妥協する余地はあるが、赤字についての懸念のためにインフラ整備の予算を削るという法案は支持しないと述べた。

バイデンは水曜日、記者団に次のように述べた。「私は妥協することについてはやぶさかではない。しかし、私たちが主張していることについて予算をつけないということについては譲歩をしないつもりだ。赤字国債発行で予算をつけるということはしたくない。赤字国債額は全体で既に2兆ドルに達しているのだ」。

バイデンはまた共和党側とも交渉を行い、インフラ整備に関して妥協を引き出そうとしている。こうした努力は今週、重要な局面を迎えている。

ホワイトハウスは、月曜日にバイデンがトム・カーパー連邦上院議員(デラウェア州選出、民主党)と一対一の会談を持つと発表した。カーパー議員は連邦上院環境・公共事業委員会の委員長を務めている。カーパー議員はインフラ整備法案を進めようとしている。

カーパー議員は以前にもデラウェア州選出の連邦上院議員の同僚であるクリス・クーンズ議員(民主党)と一緒にホワイトハウスを訪問し、バイデンと会談を持った。しかし、月曜日のホワイトハウス訪問はマンチンのバイデンが大統領になって初めての会談ということになる。

バイデンは今週から自身のインフラ整備提案について、連邦議員たちとの会談をスタートさせる。バイデンのインフラ整備法案は何らかの形で進めるためには時間の制限に直面している。ホワイトハウスは、バイデン大統領はメモリアルデー(5月31日)までに何らかの「進展」があり、夏までに法案が可決することを望んでいると発表した。これが意味するところは、これからの数週間が法案可決のための道筋を見つける重要な機関となるということだ。

バイデンは水曜日に民主、共和両党の連邦下院、連邦上院の指導部と会談を持つ。シェリー・ムーア・キャピト連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、共和党)やその他の共和党の議員たちとは木曜日に会談を持つ。そこでの議題は共和党側が議会に提出している、バイデンの提案した案よりも予算規模が小さい5680億ドルのインフラ整備法案である。この法案は、道路や橋といった伝統的な物理的インフラのみを対象にしている。

(貼り付け終わり)
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

(終わり)

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