古村治彦です。
pewresearchcenterbidenapprovalratings202109003
 2021年9月に入り、ジョー・バイデン大統領の支持率が低下している。各種世論調査で支持率が5割を切り、第一期目の大統領としては低いレヴェルに入った。以下のグラフの通りだ。

pewresearchcenterbidenapprovalratings202109001
gallupbidenjobapprovalratings001

 バイデン政権は新型コロナウイルス感染拡大対策を最優先テーマと掲げている。3月の段階では対策への支持も高かったが、バイデンが事業所などでのワクチン義務化を発表すると、支持は下がった。また、「アメリカを団結させる」というバイデンの公約についても、実現していないと考えている有権者が多いことも分かった。
pewresearchcenterbidenapprovalratings202109002

 ピュー・リサーチセンターの詳細な調査結果で興味深かったのは、バイデンに「精神的な元気(mentally sharp)」な様子がないと考えている人が6割近くいるということだ。バイデンは史上最高齢でアメリカ大統領に初当選した人物であり、日本で言えば後期高齢者である。自民党所属の麻生太郎副総理兼財務相、二階俊博幹事長と同じ世代であるが、背負っている責任や仕事はけた外れに多い。アメリカ大統領は激務であり、就任して1年もしない段階で既にへばっているということになるだろう。

pewresearchcenterbidenapprovalratings202109004
 そこで考えられるのは、バイデンが大統領職を一期だけで退くということだ。人気はまだ3年以上も残っているので、途中でギヴアップ(病気などで)ということも考えられる。来年の中間選挙の結果いかんではバイデンの二期目という話はなくなってしまうだろう。普通であれば、副大統領が後継として出てくることが考えられるが、カマラ・ハリスの人気も低い。元々支持率が5割を切っていて、現状はそのままなので、バイデンの支持率急落が目立つが、元々人気がないというところがカマラ・ハリスの根本的な問題だ。

 新型コロナウイルス感染対策とアフガニスタンからの撤退によって、バイデンの支持率は大幅に下がっている。共和党支持者からの支持はほとんどない状況であり、拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で指摘したように、「アメリカ国内の分断」は深刻化する一方だ。

(貼り付けはじめ)

ピュー・リサーチセンターの最新の世論調査の結果では、バイデンの支持率は44%に下落(Biden approval sinks to 44 percent in new Pew poll

モーガン・チャルファント筆

2021年9月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/573668-biden-approval-sinks-to-44-percent-in-new-pew-poll

ピュー・リサーチセンターが発表した最新の世論調査の結果によると、アメリカの成人の44%がバイデン大統領の大統領としての仕事ぶりを評価している一方で、53%は評価していないということが分かった。7月から支持率は急落している。

2カ月前のピュー・リサーチセンターの世論調査の結果は、バイデンの仕事ぶりを55%が評価し、43%が評価しないというものだった。バイデンの民主党員や民主党支持者の間での支持率は、7月の88%から75%となり、13ポイントも下落した。共和党員や共和党支持者の間での支持率は17%から9%に下落した。

まとめると、民主、共和両党の選挙で選ばれた政治家たちの支持率は下落している。今回のピュー・リサーチセンターの世論調査は9月13日から19日にかけて実施され、調査対象者は1万371名のアメリカの成人であった。

ピュー・リサーチセンターの調査では、今年4月以降、連邦議会共和党への支持率は5ポイント低下したが、連邦議会民主党への支持率は11ポイントも下落した。

バイデンは、新型コロナウイルスワクチン接種を受けていない何百万人ものアメリカ人の間でコロナウイルスが再流行していることや、アフガニスタンからのアフリカ軍撤退から混乱が起きていることから、大統領としての難しい局面を迎えています。

ホワイトハウスはまた、バイデン大統領の経済政策を議会で可決させるために、連邦議会民主党をまとめようとしているが、政策パッケージの内容や規模、時期をめぐって穏健派と進歩派が対立しているため、困難さが増しているのが現状だ。

今回の世論調査の結果には、バイデンにとって良いニュースもいくつか含まれている。彼の経済提案については多くの人々に支持されており、それは過去の世論調査の結果と変わらない。ピュー・リサーチセンターの今回の世論調査によると、連邦上院が可決した1兆2000億ドル(約132億円)規模の超党派のインフラ整備法案を51%が支持している。反対は20%だ。残りの29%は「分からない、知らない」と答えた。

一方、3兆5000億円(約385億円)規模の経済対策案には49%が賛成し、反対派25%、「分からない、知らない」と答えたのは25%だった。

共和党側はバイデンの税制提案について批判しているが、今回の世論調査では、66%が大企業への増税に賛成し、所得が40万ドル(約4400万円)以上の世帯への増税に61%が賛成している。

個別の問題では、バイデンの新型コロナウイルス対応への支持が3月の65%から最新の四調査では51%に下落している。それでもまだ過半数の支持を得てはいる。経済政策については48%が「ある程度」もしくは「強力に」支持していると答えている。51%が「全く」「それほど」支持していないと答えた。

外交政策については、45%が「ある程度」もしくは「強力に」支持すると答え、54%が支持しないと答えた。そして、バイデンがアメリカをより団結させるかという質問には、34%だけが「ある程度」もしくは「強力に」そう考えると答え、66%が躁は考えてないという結果となった。アメリカをより団結させるというのはバイデンの主要な選挙公約の一つだった。

ピュー・リサーチセンターの世論調査は、今週初めのギャロップ社の世論調査に続いて結果発表となった。ギャロップ社の調査でバイデンの支持率は43%となり、これは大統領一期目の支持率としては、同社の歴史で最も低い数字となった。

=====

ギャロップ社の世論調査で、バイデンの支持率が43%となり、記録的な低さとなった(Biden approval rating drops to record low 43 percent in Gallup polling

セリーヌ・キャストロヌオヴォ筆

2021年9月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/573367-biden-approval-rating-drops-to-record-low-43-percent-in-gallup

水曜日に発表されたギャロップ社の世論調査の結果によると、大統領就任から8カ月経過してのバイデン大統領の支持率は43%に下落した。この数字はギャロップ社が調査を開始して以降、第一期目の大統領の数字としては最低レヴェルとなった。

ギャロップ社の調査は2021年9月1日から17日にかけて実施され、バイデンの大統領としての仕事ぶりに対して、初めて過半数が不支持という結果になった。アメリカの成人の53%が彼の大統領としての仕事ぶりにマイナスの評価をすると答えた。

バイデンの支持率は民主党支持者の間では、今月は90%とこれまで最低の数字となったが、それでも高いレヴェルを維持した。共和党支持者の間での支持率は、今月は6%にとどまった。それでもこれまで最も高い数字となった。

無党派の有権者の間では、バイデン政権発足以来最低の数字となる37%の支持率を記録した。就任して1カ月の数字である61%から大幅の下落を記録した。

最新のギャロップ社の世論調査は、アフガニスタンからのアメリカ軍の撤退の後に実施された。バイデンはアフガニスタンからのアメリカ軍の完全撤退を行おうとした。アフガニスタンはタリバンの急速な権力掌握の中にある。20年前、アメリカ軍はこの軍事力を持ったグループを追い落としたが、彼らは再び権力を掌握した。

バイデンは、アメリカ人とアフガニスタン国内で危険に晒される可能性の高いアフガニスタン人の退避で混乱を起こしたとして、民主、共和両党から批判を受けた。特に、イスラム国のアフガニスタン国内のグループがカブール空港で爆弾による自爆テロを実行し、13名のアメリカ軍将兵と少なくとも169名のアフガニスタンの一般市民が殺害された事件の発生後に批判の声が高まった。

バイデン大統領は8月31日までにアメリカ軍の完全撤退を完了するとした自身の決断は正しかったと擁護し続けている。アフガニスタン国内に残っているアメリカ人とアフガニスタン人の協力者たちの退避の努力は続けられており、外交的手段によってそれらの対比はより安全に実施されるだろうとバイデンは主張している。

ギャロップ社による調査が実施されている期間中、バイデンは複数のワクチンの義務化計画について発表し、いくつかの州の共和党所属の指導者たちによって批判された。100名以上が雇用されている事業所は労働者全員に新型コロナウイルスワクチン接種か毎週の検査を義務付けると発表したが、それに対して批判が起きた。

共和党の政治家たちや経済団体からは義務化は、政府による行き過ぎ(government overreach)だと非難した。また、先週、共和党に属する24州の州司法長官が、被雇用者に対するワクチン義務化を行うならば、バイデンに対して訴訟を提起すると反撃した。

ギャロップ社の世論調査の結果でバイデンへの支持率が低いことが分かったが、先週発表されたキュニピアック大学の世論調査の結果では支持率は42%だった。そして、50%が不支持だった。

加えて、月曜日に発表されたハーヴァード大学CAPS・ハリス社共同世論調査の結果では、アメリカの有権者の間でのバイデンとトランプ副大統領の好感度は同率となった。

水曜日に発表されたギャロップ社の調査は、無作為に抽出された1000名以上のアメリカの成人を対象に実施された。誤差は4ポイントだ。

=====

最新の世論調査の結果で、バイデンの支持率は42%に下落(Biden approval rating slips to 42 percent in new poll

モニーク・ビールス筆

2021年9月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/572235-biden-approval-rating-slips-to-42-percent-in-new-poll

最新の世論調査の結果、アメリカの成人の半数がバイデンに対して不支持を表明している。バイデンが大統領に就任して以来、初めて、「マイナス領域」に入った。

本日、アメリカの成人を対象に実施した、キュニピアック大学の世論調査の結果が発表された。調査に参加した人の42%がバイデンの大統領としての仕事ぶりを評価し、50%が評価しなかった。

新型コロナウイルス対策については複雑な結果となった。バイデンは幅広いワクチン義務化を課そうとしている中で、対策への支持が48%、不支持が49%となった。

アフガニスタンからのアメリカ軍撤退を受けて、バイデンの外交政策についての支持率は大幅に下がった。

バイデンの外交政策への支持率は34%にとどまり、59%が不支持と答えた。8月の時点では、支持率と不支持率はそれぞれ44%だった。

今回の世論調査の結果によると、6割以上人たちが、アメリカ軍はアフガニスタンに戻らねばならないと答えた。しかし、7割の人たちがアフガニスタンからのアメリカ軍撤退は正しい決定だと考えている。

気候変動対応についてはバイデンの支持・不支持はだいたい半分となっている(支持率は42%、不支持率は44%)となっている。一方で、経済対応についてはマイナスの評価(支持率は42%、不支持率は52%)となっている。

キュニピアック大学は2021年9月10日から13日にかけてアメリカの成人1210名を対象に世論調査を実施した。誤差は2.8ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める