古村治彦です。

 このブログで、ジョー・バイデン大統領の支持率が急落していることは、既にお知らせしている通りだ。

 バイデン大統領の「相棒」であるカマラ・ハリス副大統領については、存在感がまるでない。移民問題を解くに取り扱うようにということで任されてもうまくいっていない。だから、そもそもが低支持率だった。

 ところが最近になって、バイデン大統領の支持率が急落する中で、数字上では、ハリス副大統領の支持率の方が高いということが起きた。これは、バイデンに対する批判が高まる中で、ハリスは全く目立たないために、支持率が上がりもせず、下がりせずという状態になり、相対的に支持率が良いように見える状態なのである。

 バイデン大統領は2024年の大統領選挙に出馬し、二期目を狙うというのは難しいだろう。先日もご紹介したように、バイデン大統領に対しては「元気がない」という評価が大勢を占めているのだ。そのような人が80歳を超えて更に4年間、アメリカ大統領の激職を務めることができるとは考えづらい。日本の財務大臣や自民党の幹事長とはレヴェルが違うのだ。

 そうなると、後継者、民主党の大統領選挙候補者として名前が挙がるのが、カマラ・ハリスということになる。そのために、ハリスには傷をつけておきたくない、静かに過ごして、2024年の候補者にしたいと考えている民主党関係者も多いだろう。

 しかし、ハリス自身は人気がない。2020年の大統領選挙民主党予備選挙では、2019年に立候補表明をして一時は勢いに乗ったが、やがて失速し、2019年中に選挙戦から撤退という醜態を晒した。検察官上がりということで、民主党進歩主義派からは人気がない。そうなると、全党一致しての候補者ということにならず、2016年のヒラリーの二の舞ということになる。

 ハリスがこれからどのように動くかに注目することで、2024年の大統領選挙について占うことができると私は考えている。

(貼り付けはじめ)

バイデン大統領の支持率が低下する中、ハリスの支持率は上昇している(Harris's poll numbers rise as Biden's fall

エイミー・パーネス筆

2021年9月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/574604-harriss-poll-numbers-rise-as-bidens-fall?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

ハリス副大統領の支持率がここ数週間で回復してきている。現在ではバイデン大統領の支持率よりも高い数字となっている。

ハリスは政権発足当初、スタートに失敗した。彼女はどうしてメキシコ国境地帯を訪問したことがないのかと質問された際に、「私はヨーロッパにも行ったことがないんですよ」と答えたことで批判を浴びた。

しかし、ハリスの味方は、ハリスが将来の民主党の大統領候補となる能力があるかという点で疑念を持たれてスタートに失敗したが、現在はホワイトハウスで「自分の居場所を見つけた」と述べている。

ある人物は次のように述べている。「物事がよりスムーズに進むようになっているという感覚は確かにあると思います。スタート時に起きた問題は解決したようです」。

プリンストン大学歴史・公共政策教授ジュリアン・ゼリザーは次のように述べている。「ハリス副大統領は自分の立場を固め、役割を拡大させている。歴代の副大統領が常に困難を感じていた、政権内での役割をどのようにすべきか、という問題で、自身の役割の範囲を強化しつつある」。

ゼリザーは続けて、「政策論争が続き、政治が熱を帯びる中で、この数字をどのように維持するかが鍵となるだろう」と述べた。

先週のギャロップ社の世論調査では、副大統領としてのハリスの支持率は49%であり、バイデンの支持率43%よりも6ポイントも高かった。これはバイデンとハリス両者にとって極めて重要な変化である。バイデン大統領の支持率は8月から6ポイント低下、6月から13ポイント低下している。ハリスの現在の支持率は、2009年9月の時点(バラク・オバマ政権)での、バイデン副大統領(当時)の数字と同じだ。

9月22日のギャロップ社の世論調査(調査が実施されたのは9月初旬)の結果によると、無党派層の有権者たちはハリス副大統領の方がバイデン大統領よりもより良い仕事をしていると評価している。無党派層の有権者たちからの支持を得て大統領になったバイデンにしてみれば、衝撃的な結果となった。

いくつかの世論調査でハリスの支持率の数字がバイデンの数字よりも高いという結果が出ているがその理由は不明だ。しかし、これまでの2カ月、バイデンが大統領就任以来、最も厳しい時期を過ごしてきたというのは間違いないところだ。バイデンは、アフガニスタンからの米軍撤退と新型コロナウイルス感染拡大が続いていることについて、共和党側からだけではなく、民主党側も批判を受けている。

バイデン大統領は国境と移民をめぐる問題への対処でも批判を受けており、ここ数週間のハイチからの大量の移民の流入についても左派と右派それぞれから攻撃を受けている。

対照的に、ハリスは国境警備隊によるハイチからの移民への対応の方法を批判したことでマスコミに取り上げられたが、それ以外では、これらの諸問題については前面に出ずに、後ろに下がっていた。

民主党に所属しているストラティジストやオブザーバーの多くは、公の場でハリスを後押しするような特別な瞬間がまだ来ていないと述べている。

民主党所属のストラティジストでニューヨーク民主党幹事長を務めたベイジル・スミクルは、副大統領にとって目立つ瞬間はこれまであったかと質問され、「特別な瞬間などこれまでなかった」と答えた。

スミクルは、ホワイトハウスはハリスをより用いることで、より利益を得ることができたはずだと示唆した。

スミクルは、ハリスがハワード大学のホームカミングデーに出席するなど親しみやすさを演出している一方で、「現政権は、これまでの政権と同様に、副大統領であるハリスをもっと前面に出せるはずだ。しかし、現在のホワイトハウスはハリスを後ろにおいている。これは長期的に見て、彼女にとって利益となるだろう」と語っている。

他のストラティジストたちは、ここ数週間、共和党がバイデンに狙いを定めたことで、ハリスは恩恵を受けていると述べている。共和党は、バイデンが国境問題やアフガニスタン問題に対して弱腰だと批判している。

民主党所属のストラティジストであるクリスティ・セッツアーは次のように述べている。「私の直感からするとバイデンに注目が集まっているので、相対的にハリスが注目されておらず、その結果として支持率の数字が上がっているだけということだと思う。彼女は誰にも新しく嫌われる理由を与えていないので、彼女の世論調査の数字は平均値に戻っているのだ。アメリカ第2位の地位に就いている黒人女性に対する国民の評価は、支持と不支持が半々というところになっている」。

しかし、ハリスは副大統領としての役割をより明確化させようとしている。先週、ハリス副大統領は、ザンビア、ガーナ、インド各国の指導者を別々に出迎え、会談を持った。水曜日、ハリスはラティーノ系の5つの零細事業者グループの指導者たちを出迎え、会談を持った。ハリスは政治的な面でも積極的な役割を果たしている。民主党所属のカリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムに対する強力な擁護演説、ヴァージニア州知事選挙民主党候補者テリー・マカフィーのための資金集め集会、全米有権者登録記念日におけるジョージメイソン大学での集会への出席などを行った。

確かに、ハリスの支持率の数字は特別良くはない。ハリス副大統領の支持率が49%となったギャロップ社の調査では、不支持率は49%となった。先月の複数の別の調査では、支持率は40%台中盤だった。しかし、8月に実施された複数の調査の結果では、30%中盤から後半だった。

ハリスにとってもすべてが計画通りに進んでいる訳ではない。先週、ハリスは、人気番組「ザ・ヴュー」でスタジオ内でのインタヴューを予定していたが、番組のホストのうち2人が新型コロナウイルスの陽性反応を示したため、スタジオに入ることができなかった。このことについて、ハリスの側近や支持者は不満を募らせた。

ハリスはこの番組傘下のためにワシントンからニューヨークに飛行機で移動したが、念のためにインタヴューをヴァーチャルで行った。その後、ホスト2名の検査結果は陰性となり、その前の検査は偽陽性と判定された。

ハリスを支持する人々はこの出来事は「不運」だったとしているが、同時に、ハリスは自身の政治的な将来のために全国的な知名度を上げ続けねばならないとも述べている。

ある人物は次のように述べている。「私たちは皆、彼女が自分の役割を固め、方向性を見出すことができて良かったと考えています。しかし、彼女はまだ先は長いと分かっていると思いますよ」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める