古村治彦です。
ジョー・バイデン大統領の支持率の低迷が止まらない。以下に11月に入ってからのバイデン大統領の支持率に関する記事を3本ご紹介する。その原因は経済対策の不満だ。アメリカでは物価高が起こり、人々の生活は苦しくなっている。特にガソリン価格上昇に対して人々の不満が高まっている。11月末の感謝祭と12月のクリスマスはアメリカ国民にとって楽しみな「ホリデーシーズン」だ。家族と過ごすために車や飛行機で大移動ということになるが、燃料費が高くなればそれだけ支出を強いられることになり、不満が高まる。
ギャロップ社によるバイデン大統領支持率の推移
下の記事にあるが、新型コロナウイルス感染拡大対策についても、就任当初は支持が高かったものが、今では不支持が支持を上回っている。また、アフガニスタンからの完全撤退に対する人々の不満ということもある。これに関しては、「アメリカ国民の皆さん、気づいて欲しい。アメリカはもはや世界の帝国ではないのですよ。そもそもなぜあなたたちが重税に苦しんでいるのかを考えて下さい」と言いたい。
来年2022年にはアメリカでは中間選挙(mid-term election)がある。これは大統領選挙と大統領選挙の間に行われる、連邦上下両院議員選挙と一部の知事選挙だ。「mid-term」という言葉は、学校で言えば「中間試験」という意味もあり、大統領と大統領を出している政党(与党)にとっての「中間試験」ということになる。今のところ、この中間試験で、バイデン大統領と民主党の成績は良くないということが予想されている。
そのために、バイデン政権と連邦議会民主党は、大幅な支出法案の可決を目指している。既に1兆2000億ドル(約140兆円)規模のインフラ整備法案は可決した。あとはバイデン大統領が署名をして法律にするという作業が残っている。しかし、市中にお金を流す計画によって物価高がどのように推移するかを見なければならない。インフレ率をどこかで止めねばならないが、そのかじ取りが難しい。
来年2022年の中間選挙での民主党側の敗北の予想が高まっている。現在連邦上院は50対50(副大統領が議長役となるので民主党が優位)、連邦下院は民主党221対共和党213(欠員1)という状況だ。民主党が上下両院で過半数という現状であるが、それが逆転して、上下両院で共和党が過半数を握るという可能性も高まっている。もしそうなれば、バイデン政権の政策遂行にも影響が出る。そして、2024年の大統領選挙でバイデンの再選という可能性も小さくなっていく。中間選挙まで1年を切っているがこれからが非常に重要ということになっていく。
(貼り付けはじめ)
キュニピアック大学の最新の世論調査によると、バイデンの支持率は36%に下落(Biden's
approval dips to 36 percent in new Quinnipiac poll)
マックス・グリーンウッド筆
2021年11月18日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/582109-bidens-approval-dips-to-36-percent-in-new-quinnipiac-poll
最新のキュニピアック大学の世論調査によると、バイデン大統領の支持率は36%にまで下落した。2022年の中間選挙に向けて民主党側にとってはトラブルを示している。
世論調査によると、バイデン大統領の支持率の数字は先月の37%から下落している。不支持率は10月の52%から53%に微増した。
バイデンは経済政策と外交政策の対応に関して最悪の評価を受けている。経済政策への支持は34%、外交政策に関しては33%の支持率しかない。回答者の59%が経済政策への対応に不支持を示し、55%が外交政策への対応に不支持を示している。
怪盗者の37%がバイデン大統領は優れた指導者としての技量を持っていると答えたが、57%はそうではないと答えた。ぎりぎり過半数の51%の回答者は大統領が正直ではないと考えており、42%が彼は正直だと考えている。
バイデンが平均的なアメリカ国民を大切に扱っているかということになると、回答者は47%対47%に分裂している。
バイデンの新型コロナウイルス感染拡大に対する対応については、アメリカ国民の45%は彼の仕事ぶりを評価し、50%が評価していない。同様に、41%が気候変動についての仕事ぶりを評価する一方で、48%が評価していない。
キュニピアック大学の全国規模の世論調査の数字は民主党側にとっては憂鬱になるものとなった。民主党は2022年の中間選挙で、現在連邦上下両院で保っている僅差の優位を守るために準備を進めている。
民主党は中間選挙に向けてこれまでにない歴史的な逆風(headwinds)に直面することになるだろうと見られている。しかし、バイデン大統領の下落している支持率は、アメリカ国民が来年の選挙でワシントンでの民主党のコントロールに対して選挙で打撃を与える可能性が高いということを示す更なる証拠となっている。
確かに、2022年の中間選挙に向けてまだ約1年の期間がある。その間にバイデンと民主党は共和党の差を縮める努力ができる。民主党側は最近可決させた1兆ドル規模のインフラ整備法案と、審議が止まっている1兆7500億ドル規模の社会政策と気候変動に関する法案が、民主党側に息をつけるために必要であり、これらによって勢いがつくだろうという希望を持っている。
キュニピアック大学の世論調査では、これらの法案はアメリカ国民の中で人気があるようだ。回答者の57%はインフラ整備法案を支持し、37%は支持しないと答えた。58%がより大規模な支出法案を支持し、38%が支持しないと答えた。
キュニピアック大学の世論調査は11月11日から15日にかけて、1378名の成人、その中には1262名の登録済の有権者が含まれていたが、それらを対象に実施された。1378名の成人に関しては誤差2.6ポイント、1262名の登録済身の有権者に関しては誤差2.8ポイントだ。
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ワシントン・ポストとABCニューズ共同世論調査でバイデンの支持率が低迷(Biden job approval at record low in Washington Post-ABC News poll)
マイケル・スクネル筆
2021年11月14日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/administration/581450-biden-job-approval-at-record-low-in-washington-post-abc-news-poll
最新の世論調査の結果、バイデン大統領の支持率が41%という低率で不振に陥っている。これは、民主党支持者と無党派層の間での不支持が拡大していることが主な理由となっている。
今回の世論調査は、『ワシントン・ポスト』紙とABCニューズによって実施された。アメリカ国民の53%がバイデンの大統領としての仕事ぶりを評価しないと答えた。6%は意見なしと答えた。
バイデン大統領の支持率の数字41%は9月の調査での44%から微減となった。しかし、6月の調査での50%からは大幅な下落となった。今年4月、大統領に就任してからわずか3カ月後の段階では、アメリカ国民のバイデン大統領に対しての支持率は52%だった。
11月の調査では、民主党支持者と無党派層の間でのバイデンの支持率が下がっていることが明らかになった。民主党支持者の80%がバイデン大統領の仕事ぶりを評価していると答えた。この数字は6月の94%から大幅な下落となった。今回の調査では、民主党支持者の16%がバイデン大統領の仕事ぶりを評価しないと超えた。
無党派について言えば、35%がバイデン大統領の仕事ぶりを評価し、58%が評価しないと答えた。
バイデン大統領の下落している支持率は、アメリカ全体で国民が経済的苦境に陥っていること、その中には物価上昇とインフレ率の上昇が含まれているが、それらの結果という可能性が高い。
今回の世論調査では、回答者の39%がバイデン大統領の経済運営を支持すると答え、47%がバイデン大統領の新型コロナウイルス感染拡大対策を支持すると答えた。
しかし、今回の世論調査は、バイデン大統領にとって明るいニューズをいくつか示している。今回の世論調査に応えたアメリカ国民の過半数はバイデン政権の1兆2000億ドル規模の超党派によるインフラ整備パッケージを支持すると答えた。バイデン大統領は月曜日に法案に署名することになる。加えて、1兆7500億ドル規模の再生パッケージについては、民主党側で議論が続いている。
回答者の63%が連邦政府の「道路、橋梁、その他のインフラへの1兆ドルの支出」を支持すると答え、58%が連邦政府の「気候変動に対応し、幼児教育、医療、その他の社会プログラムを創設もしくは拡大するための2兆ドル規模の支出」を支持すると答えた。
今回の世論調査は11月7日から10日にかけて、1001名の成人を対象に電話を通じて実施された。誤差は3.5ポイントだ。
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世論調査:バイデンの支持率が新たに38%の低率を記録(Biden approval
rating drops to new low of 38 percent: poll)
マイケル・スクネル筆
2021年11月7日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/administration/580460-biden-approval-rating-drops-to-new-low-of-38-percent-poll
日曜日に発表された最新の世論調査の結果によると、バイデン大統領の支持率は下落し続けている。これまでの数週間、連邦議会ではバイデン政権の最重要法案に関しての激しい動きがあり、火曜日にはヴァージニア州での民主党の敗北があるなど、ドラマがあった。
今回の世論調査は『USAトゥデイ』紙とサフォーク大学が共同して先週水曜日から金曜日にかけて実施された。今回の世論調査は民主党がインフラ整備法案を連邦下院で可決させ、社会支出パッケージを前進させる前に実施された。
今回の調査では支持率は38%にまで下落した。これまでの複数の世論調査の結果では支持率は40%台前半を保っていた。
連邦下院は金曜日夜に、最終的に超党派による1兆2000億ドル規模のインフラ整備パッケージを可決した。そして、法案に最終的な承認を得るために、バイデンのデスクに送った。一方、同日に10月の雇用統計が発表され、アメリカ国内では53万1000件の雇用が増加した。これは予想を超える数字となった。
バイデン大統領の支持率は、デルタ変異株が新型コロナウイルス感染拡大防止策の進展を妨げたことや、アフガニスタンからの撤退が超党派の反発を招いたことから、ここ数週間下落傾向にある。
ハーヴァード大学CPAS・ハリス共同世論調査は10月末に実施され、バイデン大統領の支持率が43%に下がっていることが明らかになった。9月の調査から5ポイントの下落となった。
USAトゥディ・サフォーク大学共同世論調査では、回答者の46%が「バイデン大統領は期待よりも仕事ぶりが良くない」と答えた。昨年の選挙でバイデンに投票した人の16%がその中に含まれていた。無党派の44%はバイデン大統領の仕事ぶりは期待外れだったと答えている。
不支持の拡大は、2024年の大統領選挙でのバイデン大統領の再選可能性に大きな影響を与えるようになっている。今回のUSAトゥディ・サフォーク大学共同世論調査では、回答者の64%がバイデン大統領の再選を支持しないと答えた。その中には民主党支持者の28%が含まれていた。
対照的に、回答者の58%はトランプ前大統領が共和党の候補者のトップに来ることを見たくないと答えた。その中には共和党支持者の24%も含まれていた。
今回の世論調査の結果は、ヴァージニア州で民主党が惨敗を喫した後に発表された。ヴァージニア州で共和党は州知事、副知事、州司法長官の全ての座を獲得した。共和党候補者のグレン・ヤンキンが民主党候補者のテリー・マコーリフ元州知事を約6万8000票差つけて破った。今回の知事選挙は来年の中間選挙の前哨戦と見られていた。
しかし、ホワイトハウスは金曜日、連邦上院が可決した超党派のインフラ整備法案を連邦下院が可決したことで、重要な勝利を得た。
民主党は現在、1兆7500億ドル規模の社会支出法案の可決に注意を向けている。この法案は「より良い復興法案(Build Back Better Act)」と名付けられている。この法案はバイデン政権の最重要法案の2つ目ということになる。この支出法案には、医療プログラムと教育プログラムへの支出拡大と気候変動対策への5億ドルの支出が含まれている。
連邦下院は金曜日、このパッケージについて前進させるためのルールを決定した。しかし、連邦議会予算局が法案の数字的な効果を発表するまでは最終投票を行うことはできない。民主党穏健派は、支持する前提条件としてホワイトハウスによる概算の発表を求めている。
先週、バイデン大統領は不振を示す世論調査の数字について答えた。記者会見の席上、記者たちに向けて次のように述べた。彼は世論調査の数字は上下しやすいものだという見解を示し、「私は支持率の数字のために選挙に立候補したのではない。世論調査の数字を上げたいと思って選挙戦を戦ったことはない」。
USAトゥディ・サフォーク大学共同世論調査は固定電話と携帯電話を使って1000名の登録済有権者を対象に実施された。誤差は3.1ポイントだ。
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(終わり)
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