古村治彦です。
アメリカのジョー・バイデン大統領の支持率は低いままだ。この言葉を何度繰り返したことだろうか。アメリカの分断を癒す穏やかな大統領として、ドナルド・トランプ前大統領とは違うのだ、新型コロナウイルス対策も経済対策もしっかりやれるんだ、連邦議会は民主党が過半数を握っているし、上院議員出身だから知己も多い、と鳴り物入りでスタートしたバイデン大統領が、トランプ前大統領の支持率とあまり変わらずに、低迷している。民主党側はトランプ前大統領の支持率の低さを嘲笑していたが、それならばバイデン大統領にも同じだけの嘲笑を浴びせねばバランスが取れないだろう。
現在のアメリカでは、人々の不安感、悲観主義が渦を巻いている。インフレが進行し、生活が苦しいということが最大の原因だ。インフレは貧しい人たちほど影響を受ける。民主党の支持基盤は貧しい人々であることから、そこからそっぽを向かれると民主党は厳しい。また、期待の新型コロナウイルス対策でもバイデンの支持率はそこまで高くはない。人々はもう疲れている(日本もそうだが)。そうなれば、どこの国でもそうだが、「政治が悪い、指導者が悪い」ということになる。そこからバイデンに対する批判が高まるということになる。
ウクライナ情勢でも、ウクライナに決定的な軍事援助ができない以上、ウクライナ軍や国民、財産の犠牲を重ねながらロシア軍の勝利を引き延ばすことはできるが、ここから逆転させることは難しい。ウクライナ失陥となれば、バイデンに対する支持率はますます下がるだろう。
今年11月の中間選挙では連邦上下両院で共和党が過半数を奪還する可能性が高い。そうなれば、バイデン政権の運営もますます厳しくなる。目玉政策を推進することも出来なくなる。そもそもバイデン政権の目玉政策派は公共事業に対する大型支出ということで、現在のインフレ率を考えると支持を得ることが難しい。バイデン政権のブレイクスルーは困難である。
(貼り付けはじめ)
『ワシントン・ポスト』紙・ABC共同世論調査は深刻な悲観主義に陥っているアメリカ湖民の姿を発見した。国民は経済とバイデンの指導力に懸念を持っている(Post-ABC poll finds a deeply pessimistic nation, worried about the
economy and Biden’s leadership)
―11月の中間選挙に向かう中で有権者たちは民主党ではなく共和党をより信頼している状況で、バイデン大統領の支持率はまた新たな低い数字を記録した。
ダン・バルズ、スコット・クレメント、エミリー・ガスキン筆
2022年2月27日
『ワシントン・ポスト』紙
https://www.washingtonpost.com/politics/2022/02/27/biden-post-abc-poll/
『ワシントン・ポスト』紙とABCニューズの共同世論調査によると、ジョー・バイデン大統領は火曜日に一般教書演説を行うが、アメリカ国民は深く悲観しており、バイデン大統領の下で経済が悪化し、重要問題に対する彼の指導力を信頼しておらず、2022年11月の選挙後に共和党が議会を支配することを望んでいるということだ。
バイデンは、プライムタイムに連邦下院議場から国民に語りかける際、複数の問題に対処することになる。ロシア軍がウクライナに侵攻し、ヨーロッパの安定を乱し、西側同盟に挑戦している。アメリカとその同盟諸国がロシアに科した制裁は、アメリカがインフレコストの下でその対処に苦労しているにもかかわらず、原油価格を上昇させる可能性がある。一方、バイデンは、数カ月にわたって停滞している国内政策の残りの部分からの影響に直面している。
今回の世論調査では、バイデンの大統領支持率は過去最低となり、彼が行っている仕事を支持すると答えた人は37%、不支持と答えた人は55%だった。全体では、44%が強く不支持だと答えている。予想通り、共和党支持者の間では圧倒的に不支持(86%)で、無党派層の多数(61%)も否定的な評価をしている。民主党支持者の間では77%がバイデンに好意的な評価をしている。
次の連邦議会では、大統領に対するチェック機能を果たすために共和党の手に過半数を委ねるか、バイデンの優先事項を支持する民主党の手に委ねるか、どちらがいいかという質問に対しては、成人の50%が、共和党が連邦議会の過半数を掌握する方が良いと答え、40%が、民主党過半数を握ることを支持している。
また、今日選挙が行われる場合、連邦下院議員選挙でどのように投票するかという質問に対しては、登録済有権者の49%が共和党の候補者を支持すると答え、42%が民主党の候補者に投票すると答えた。ちなみに、民主党が大きな得票を得て連邦下院の過半数を獲得した2018年の中間選挙の直前には、この同じ質問で民主党が7ポイントの優位を占めた。
ロシアの侵攻は、この選挙の年の初頭における政治的な計算を変えた。しかし、ウクライナでの戦闘はまだ初期段階にあり、ロシアのウラジミール・プーティン大統領の最終目的も完全に知られていないことを考えると、バイデン大統領と民主党に対する有権者の態度にどんな影響があり得るかを評価するには時期尚早であろう。
初期の評価は矛盾している。ロシアに科された制裁措置には大きな、そして超党派の多数が賛成している。しかし、47%がバイデンのこれまでの危機管理方法に不支持と答えている。今のところ、今回の国際危機がバイデンを後押しすることはない。国際危機がアメリカ大統領の支持率を引き上げることはこれまで何度か起きている。今回の調査は、本格的な侵攻が始まり、アメリカなどが制裁で対応する前にほぼ終了した。
アメリカ人はウクライナ危機に対するバイデン大統領の指導力以外にも、大きな問題でバイデンを否定的に評価している。バイデンの経済への対応に関する支持率は、現在37%で、58%が不支持と答えている。これは2021年11月の世論調査よりもわずかに悪いのだが、その差は統計的に有意ではない。
新型コロナウイルス感染拡大への対応については、44%が支持、50%が不支持と答えている。バイデンの新型コロナウイルス感染拡大に関する数字は、昨年の夏、10人中6人が彼のやっている仕事を承認すると答えたときから、着実に下がってきている。それ以来、ワシントン・ポスト紙とABCのどの共同世論調査でも、新型コロナウイルス感染者数が急激に減少し、マスク着用義務やその他の制限の全般的な緩和が国の多くの地域で進行しているにもかかわらず、その支持率はさらに少し低下している。
大統領は、アメリカ人の経済に対する厳しい評価が重荷になっているようだ。現在、75%のアメリカ人が経済を否定的に評価しており、2021年11月の70%から上昇している。これは、ワシントン・ポスト紙とABCの共同世論調査において、2013年以来最悪の評価である。全体では、39%が経済は「悪い」状態にあると答えており、これは2012年以来最も高い数字だが、2021年11月に同じことを答えた38%からほとんど変化していない。
バイデンが大統領に就任して以来、アメリカ人の大多数は経済が悪化したと言っており、54%がそう答えたのに対し、経済は良くなったという人は17%、13ヶ月前に就任する前とほぼ同じという人は27%だった。
バイデンの大統領就任後の1年間で、失業率は4%にまで低下し、経済は約600万人の新規雇用を増やした。しかし、インフレ率は40年ぶりの高水準に達し、ガソリンや食料品の価格はアメリカの家庭の財布を直撃している。
アメリカ人の10人のうち6人は、インフレが自分自身や家族の一員に苦難をもたらしたと答え、10人に3人はその苦難が深刻であると答えた。所得が5万ドル以下の層では、深刻な苦難に見舞われたと答えた人の割合はさらに高く43%になっている。
アメリカ人の3分の1以上が、バイデンが大統領になる前ほど経済的に恵まれていないと答え、一方、全成人のほぼ半数は、バイデンが大統領になったときと経済的にほぼ同じ状況だと答えている。6人に1人はより裕福になったと答えている。
バイデン大統領に現在のインフレ率の責任があるのかどうかについて、ほぼ均等に分かれている。50%が「大いに」あるいは「かなり」責任があると答え、48%は「あまり」あるいは「まったく」責任がないと答えた。これらの意見は党派的の線に沿って分裂している。
価格高騰の責任は、より高い利益を求める大企業や、サプライチェインを遮断した新型コロナウイルス感染拡大による経済的混乱にあるとする意見が多い。3人に2人以上(全てのの党派で過半数を占める)が、インフレ率の上昇は利益を上げようとする企業のせいだと言い、10人に7人以上が新型コロナウイルス感染拡大による混乱を原因として挙げている。
バイデンに対する印象の弱点は、彼の個人的な能力に対する疑念の度合いとつながる。彼が強い指導者であるかという質問に対して59%がノー、36%がイエスと答えた。これは彼の全体的な支持率と密接に関連する。無党派層では65%が「強くない」と答えた。
バイデン大統領に関する更なる個人的な質問については、バイデンには大統領を務めるのに必要な精神的な鋭敏さがないと思うという人が54%、あると思うという人が40%となっている。前回、ワシントン・ポスト紙・ABCニューズの共同世論調査でこの質問をしたのは2020年5月だった。この時は、バイデン候補が大統領に必要な精神的鋭敏さを持っていると答えた人が51%だったのに対し、そうでないと答えた人は43%だった。今回はほぼ逆の結果だった。
この質問について、共和党支持者と民主党支持者は全く逆の見解を持っているのは驚くに値しない。次の選挙で重要な役割を果たす無党派層については、大統領の精神的鋭敏さについて59%が否定的な評価をしており、2020年5月から13ポイント上昇している。
一方、2022年11月の選挙への関心は、歴史的に見て大統領選の年に比べて投票率が低くなることを考えると、比較的高くなっている。現在、成人の67%、登録済有権者の75%が「確実に投票する」と回答した。これは、中間選挙の投票率が過去100年で最高に急増した2018年の年明けに比べればわずかに高い数字となっている。この早い段階で、共和党議員を支持する有権者の82%が「確実に投票する」と答えているのに対し、民主党を支持する有権者の74%が「確実に投票する」と答えている。
今回のワシントン・ポストとABCの共同世論調査は、共和党員または共和党寄りの無党派層であると認識している人の割合が2回連続で増加していることを示している。最新の世論調査では、46%の成人が共和党員または共和党寄りであり、昨年6月の41%、4月の40%から上昇した。民主党支持者の割合は、昨年4月の48%から今月は43%に減少している。これは、ギャラップ社の世論調査において、2021年初頭から年末にかけて共和党へのシフトが顕著であったことと一致する。
中間選挙が近づくにつれ、どの政党が最も信頼されるか、国民の評価は分かれている。経済問題では共和党が大きくリードしており、54%の成人が共和党を信頼すると答え、35%が民主党を信頼すると答えた。この問題については1990年に共和党が記録した19ポイントのリードに匹敵する。一方、新型コロナウイルス感染対策については、43%対37%と、民主党が僅差で優勢である。
アメリカ国民は、教育に関して誰を信頼するかで大きく分かれている。この問題は、マスクの義務付けや遠隔学習から、親の関与やカリキュラムの問題、特にアメリカの人種史の教育まで、この1年でより争いの激しいものとなっている。
歴史的には、教育問題では民主党が優位に立ってきたが、共和党は2022年11月の中間選挙に向けてこの問題を最重要課題とし、民主党を守勢に立たせようとするシグナルを発している。今日の世論調査では、これらの問題への対処について、共和党を信頼する有権者が41%に対し、民主党をより信頼すると答えた有権者は44%だった。2006年には、56%が民主党をより信頼していた。1990年から2006年にかけて、民主党は教育問題への対応で平均して13ポイントの優位を保っていた。
『ワシントン・ポスト』紙・ABC共同世論調査は2022年2月20日から24日にかけてランダム・サンプリングで選ばれた1011名の成人を対象に実施された。調査は携帯電話と地上電話を使って行われた。全ての結果について誤差は4ポイントだ。サンプルのうち904名は登録済の有権者たちだ。
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