古村治彦です。

 ウクライナ戦争はロシアが東部に注力するために戦線を整理縮小している。戦線の整理縮小には数週間の時間がかかるだろうが、それが終わればウクライナ東部ドンバス地方での更なる攻撃作戦が実施されるだろう。

私は2月にロシアによるウクライナ侵攻が開始された際にはロシア軍は東部ドンバス地方を確保しそれ以上は前進しない、戦争は激化しないと考えていたがそれは間違っていた。しかし、結果としてロシア軍は東部に注力することになった。ウクライナが東部をロシアに渡さないために戦闘を継続するか、東部に関しては妥協して停戦を行うのか、不透明であるが、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領はアメリカに更なる重要な兵器供与を求める発言をしており、戦争はこれからも継続するだろう。

ゼレンスキー大統領の停戦に前向きな姿勢は演技でしかない。これまでも何度もより有利な条件での停戦合意ができるはずであったがそれができていないということは、ゼレンスキー大統領は国民と国土の損耗も気にせずに自分は安全な場所にいて人々に戦闘と苦難を強いているということになる。戦争屋、好戦主義者の手先そのものだ。つくづく指導者選びは重要だと痛感させられる。ここを間違うと私たちの声明まで危険に晒される。

 アメリカの制服組トップのマーク・ミリー米統合参謀本部議長がウクライナ戦争は年単位で続くという見解を公式に述べた。これだけの大規模戦争で儲かるのは軍需産業であり、軍産複合体がますます肥え太っていく。アメリカは武器を供与するだけで、「アメリカ軍が参戦すると世界大戦になる」と言い続けて、ひたすら武器を送り続けるだけだ。アメリカにとっては「おいしい」展開である。

その代金は誰が支払うのか? ウクライナ政府がある程度は支払うだろうが、全てを支払えるとは思えない。そうなれば請求書は「西側先進諸国」に回ってくる。日本にも応分の負担をということになるだろう。結局、こうした国々に住む人々の税金ということになる。既に私たちは石油価格の上昇や円安によって給料が上がらない中で物価だけは上がっているという状況に直面している。そこに増税が襲い掛かってくる。やれやれ、頑張れ頑張れと囃し立てた、いつもはリベラルな、ご立派な知識人を僭称する好戦主義者たちだけに重税がかかるなら良いが、そういう訳にはいかない。

 更に言えば、ロシアからの石油、石炭、天然ガスがなければ生きていけないヨーロッパ諸国は経済制裁だ、ロシアを経済的にぶっ潰してやる、とお勇ましく気勢を上げながら、裏では「ロシアからの天然資源が来なければ困っちゃうの」ということで、今でも輸入している。ロシアとしては戦費の問題もあるから売った方が良いということになる。これでどれだけの制裁の効果があるのか甚だ疑問だ。「武器だけ渡して自分たちは何もしない、敵であるロシアから天然資源を買っている」という西側諸国の姿勢はウクライナ国民にとっては裏切りでしかない。今は助けてもらっているということになっているが、後で冷静に考えてみれば、自分たちは貧乏くじを引かされたのだということに気付いて、反西洋の考えがウクライナ国内で拡大することも考えられる。

 ウクライナ戦争は何とも奇妙な状況に陥ってしまった。かわいそうなのはウクライナ国民である。

(貼り付けはじめ)

アメリカ軍最高幹部がロシアとウクライナの紛争は「年単位と判断される」と予想(Top US general says he expects Russia, Ukraine conflict to be ‘measured in years’

マウリーン・ブレスリン筆

2022年4月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/news/3260171-top-us-general-says-he-expects-russia-ukraine-conflict-to-be-measured-in-years/

米統合参謀本部議長マーク・ミリー大将は木曜日、連邦下院軍事委員会に出席し、ウクライナでの紛争は何年も続くと予想していると述べた。

国防費請求に関する証言を行っている中、ミリーは「今回の戦争は非常に長引く紛争であり、数年単位続くと判断されると私は考えている。10年単位となるのかは分からないが、少なくとも数年であることは確かだ」と、国防予算要求に関する証言の中で述べた。

ミリーは続けて「今回の戦争はロシアが引き起こした非常に長期的な紛争であり、NATO、米国、ウクライナ、そしてウクライナを支援する全同盟諸国とパートナー諸国は、かなりの期間にわたって戦争に関与することになると思う」と述べた。

ミリーはまた、ロシアのウクライナ侵攻について、自身が軍務に就いて42年間の中で、「ヨーロッパのそしておそらく世界の平和と安全に対する最大の脅威」であると断じた。

ミリーは「ロシアのウクライナ侵攻は、ヨーロッパの平和と安定だけでなく、私の両親やアメリカ人が一世代にわたって守ろうとして懸命に戦った世界の平和と安定を損なう恐れがある」と述べた。

ミリーは、ロシアと中国が共に「現在の世界秩序(current global order)」に挑戦する立場にあると述べた。

ミリーは委員会の席上で次のように述べた。「私たちは今、2つの世界的大国に直面している。中国とロシアは、それぞれが重大な軍事力を持ち、ルールに基づく現在の世界秩序を根本的に変えようとしている。私たちは、より不安定な世界に入りつつあり、深刻な国際紛争発生の可能性は、減少するどころか、増大している」。

民主、共和両党の連邦下院議員たちは、ウクライナで使用されている兵器の種類についてミリーに質問し、ウクライナの防衛努力を強化するために何ができるかについて質問した。

バイデン政権は、ロシアのウクライナ侵攻が2ヶ月目に突入したため、ウクライナの防衛を助けるために武器を送る姿勢を堅持している。

次に送られる武器はアメリカから送られる武器の第2弾となる。

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バイデンがウクライナ国内での「数々の重大な戦争犯罪」を非難(Biden decries ‘major war crimes’ in Ukraine

モーガン・チャルファント筆

2022年4月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/news/administration/3260644-biden-decries-major-war-crimes-in-ukraine/

ジョー・バイデン大統領は水曜日、ワシントンDCで行われた会議での演説で、ロシアに対する新たな制裁を喧伝し、ウクライナで「複数の重大な戦争犯罪(major war crimes)」を犯したとしてモスクワに責任を負わせることを約束した。

バイデンは、北米建築業組合の立法対策部門会議での演説の冒頭で、ウクライナの首都キエフに近い町ブチャで殺害された市民の恐ろしい画像について非難した。

バイデンは次のように語った。「ロシア軍の撤退の後に街中に遺体が残された。ある者は手を後ろに縛られた状態で後頭部を撃たれていた。一般市民は冷酷に処刑された。遺体は巨大な墓地に捨てられた。残忍さと非人道的な感覚が残され全世界が目撃している。主要な戦争犯罪が起こっているのである。責任ある国々は、これらの加害者の責任を追及するために団結しなければならない」。

今週初めにブチャの殺害を「戦争犯罪」とし、ロシアのウラジミール・プーティン大統領に裁判を受けさせるよう求めたバイデンは、水曜日午前にホワイトハウスが発表したロシアに対する新たな制裁措置の概要を説明し、ロシアに対する国際的な罰則はロシア経済に深刻な影響を及ぼすことになると述べた。

バイデン政権は水曜日、ロシアの最大手銀行2行、プーティンの娘たち、セルゲイ・ラブロフ外相の家族を対象とした新たな制裁を発表した。バイデンはまた、ロシアへの新たな投資を禁止する大統領令に署名する予定だ。

バイデンは水曜日、ウクライナでの戦争についてロシアへの圧力を強化し続けると公約し、アメリカはロシアと戦うためにウクライナへの軍事支援を継続すると述べた。

バイデンは「ロシアは戦争開始時点の目的達成を失敗している。今日、キエフはまだ確保されている」と述べた。

複数のアメリカ政府高官は、ロシアはキエフから軍を撤退させているが、モスクワが攻撃開始から1ヶ月でキエフを奪えなかったため、プーティンはウクライナ東部に攻撃を集中させる可能性が高いと警告している。

バイデンは「この戦争は長く続く可能性があるが、アメリカはウクライナとウクライナ国民、そして自由のための戦いに立ち続けるだろう」と述べた。

バイデンは、ワシントン・ヒルトンホテルで行われたこの会議に出席していた2000人以上の組合幹部や組合員たちから、スタンディング・オヴェーションと大きな歓声を浴びた。

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バイデンの発言が意図していたもの(What Biden meant to say

ハーラン・ウルマン筆

2022年4月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/international/3257864-what-biden-meant-to-say/

ジョー・バイデン大統領は、1973年に連邦上院議員になって以来、失言をしがちであった。最新の失言は10日前のワルシャワでのことだ。バイデンは「とんでもない男がいたものだ。この男は権力の座に居座り続けることはできない(For God’s sake, this man cannot stay in power.)」という9つの単語を発音するとほぼ同時に、ホワイトハウスは「大統領が言いたかったのは体制転換政策(policy of regime change)ではない」という訂正を出した。

同様の訂正はバイデン大統領のこれ以外の重大な3つの外交政策に関する宣言にもどれくらい適用されるものなのか。その三つとは、民主政治体制対独裁政治体制(democracy versus autocracy)、ロシアのプーティン大統領を戦犯とする(labeling Russian President Valdimir Putin a war criminal)、NATOの全てを防衛する(defending every inch of NATO)である。この同じ訂正基準がどのように適用されるのだろうか。

バイデンは以前から、民主政治体制と独裁政治体制の間の戦いを実存的なものと呼んできた。敵は、ロシアや中国と言った独裁国家、北朝鮮、イラン、そして現在ホワイトハウスがロヒンギャに対する大量虐殺の罪を犯したと烙印を押したミャンマーなどの劣化国家の独裁者たちである。しかし、歴代の米大統領は、民主政治体制と抑圧的な独裁政治体制の間の戦いをしばしば巨視的なものとしてとらえてきた。

ジョン・F・ケネディ大統領は「自由の存続と成功のためなら、いかなる代償も払い、いかなる重荷も背負う」と宣言した。この約束は、アメリカによる南ヴェトナムへのコミットメントとなり、アメリカは数十年にわたる戦争に負けることになる。リンドン・B・ジョンソン大統領はさらに、ヴェトナム戦争は「共産主義者をミシシッピではなくメコンに留めるため」であると主張した。しかし、アメリカはその教訓を学んだのだろうか?

学んではいないのだ。2002年にイラン、イラク(両国は血生臭い戦争をした)、北朝鮮の間の神聖でなく実行不可能な同盟を捏造するために悪名高い「悪の枢軸(axis of evil)」を作り出した後、ジョージ・W・ブッシュ大統領は「フリーダム・アジェンダ(Freedom Agenda)」を考案して、遠過ぎる橋を渡った。ブッシュのテーマは、民主化(democratization)が「中東の地政学的な風景を変える(change the geostrategic landscape of the Middle East)」というものだった。ブッシュは正しかった。イラクをそしてこの地域全体に民主化をもたらすための第二次イラク戦争は中東の特質を悪い方向に変えてしまう大惨事(disaster)となった。

問題は、民主政治体制対独裁政治体制ではない。民主政治体制を機能させることが問題なのであって、独裁体制が民主体制より優れているかどうかが問題なのではない。中国とロシアが成功しているように見える理由の一つは、ほとんどの世論調査から分かるようにアメリカの政府が失敗しているからである。

しかし、アメリカは民主政治体制が存在するために衰退しているのではない。アメリカは、統治(governing)よりも権力とイデオロギー(power and ideology)を追求する二つの政党のために衰退しているのである。ベンジャミン・フランクリンは賢明にも「皆さんがそれを維持できる限りアメリカは共和国だ」と述べた。現時点では陪審員は不在となっている。

バイデンは以前、ウラジミール・プーティンを「虐殺者(butcher)」「殺人者(killer)」「戦争犯罪者(war criminal)」と呼んだ。しかし、ロシアとの交渉は不可欠で、それはウクライナに関する議題にだけ限定されない。軍備管理、イランの核兵器開発を阻止し、核戦争につながる不用意なエスカレーションを防ぐことが重要なのだ。

この文言は交渉の助けになるのか、それとも妨げになるのか? アメリカはこれまで、プーティンのような不愉快なアクターとしばしば交渉してきた。ヨシフ・スターリン、朝鮮戦争中の中国共産党、ニクソンの三角外交、北ヴェトナム、包括的共同行動計画でのイランなどだ。

ウクライナ戦争が終わったら何が起きるだろうか? 長期的な敵対関係を反映したものになるのだろうか? もしそうなら、戦争犯罪者プーティンに対処するだけでなく、独裁政治体制との戦争と必要な交渉とのバランスをとるために、バイデン政権はどのような戦略をとるのだろうか?

バイデン大統領は、北大西洋条約第5条の鉄壁の約束でNATOの領土を「全て」守ることを繰り返した。しかし第5条は鉄壁なのだろうか? 第5条には「一カ国に対する攻撃はす全ての加盟国に対する攻撃と見なす」と書かれている。そして、各国はそれぞれどのような行動を取るか検討するものとされている。

第5条の発動は、武力行使や宣戦布告を自動的に保証するものではない。加盟諸国の議会は、武力行使や宣戦布告を承認しなければならない。例えば、ロシアがポーランド国内にあるウクライナへの補給線に一発のミサイル攻撃をしたり、ポーランドで小型核兵器を爆発させたりしたとしよう。このような事態が起きた場合にはNATOはどう対処するだろうか?

加盟各国は第5条に賛成するだろうか? もし賛成なら、ロシアの核攻撃に直面して、各国政府は戦争に突入するだろうか? 第5条は2001年9月12日、アルカイダが米国を攻撃した後に一度だけ発動された。しかし全てのNATO諸国がアフガニスタンに出兵した訳ではなかった。

これらの批判は専門的に聞こえるかもしれない。しかし、そうではない。政治はしばしば世論に影響を与えるために誇張や大げさな表現を要求するが、それはリスクと無縁ではない。連邦上院のある幹部が私に非公式に語ったように、プーティンは自分に対する疑惑をプロパガンダとして利用し、アメリカとNATOのロシアに対する敵意を更に証明し、ウクライナでの「特殊軍事作戦(special military operations)」を正当化するだろう。

だから、何が語られているのか、そしてもっと重要なのは何を意味しているのかに注意することだ。しかし、5条の場合、私はバイデンが本気だと信じている。

ハーラン・ウルマン(博士):ワシントンDCにある大西洋協議会上級アドヴァイザー。アメリカの対イラク戦略「衝撃と畏怖(shock and awe)」の主張菜立案者となった。最新作は 『第五の騎士と相互認証破壊:大規模な破壊攻撃がいかにして分断された国家と世界にとって存亡の危機となるに至ったか("The Fifth Horseman and the New MAD: How Massive Attacks of Disruption Became the Looming Existential Danger to a Divided Nation and that World at Large")』である。

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最新の対ロシア制裁について知っておくべき5つのポイント(Five things to know about the newest Russia sanctions

ロウラ・ケリー筆

2022年4月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/3261009-five-things-to-know-about-the-newest-russia-sanctions/

ジョー・バイデン政権は水曜日、ロシアのウラジミール・プーティン大統領の側近、娘2人、そしてロシアの金融機関を対象とした新たな制裁の拡大を発表した。

バイデン政権は、制裁はロシアの撤退後、キエフ郊外のウクライナの都市や町で発覚した恐ろしい状況に直接対応するものだと発表した。ロシアの占領下にあって、何百人もの市民が意図的に殺されたと考えられている。

バイデン大統領は4月2日の演説で、「重大な戦争犯罪が実際に起きているのだ」と述べ、「責任ある国々」が犯人の責任を追及するよう呼び掛けた。

バイデンは「同盟諸国やパートナー諸国と協力して、経済的コストを上げ続け、プーティンの痛みを増長させ、ロシアの経済的孤立をさらに高める」と述べた。

今回の制裁について知っておくべき5つのポイントを挙げていく。

(1)制裁はプーティンの娘たちを標的としている(Sanctions target Putin’s daughters

アメリカによるプーティンに対する制裁は水曜日にプーティンの成人した子供2名を対象とする新たな措置を取ることで拡大した。

今回の制裁は、ブラックリストに載っている人物がアメリカ国内で保有するあらゆる財産や資産を封鎖し、アメリカ人が制裁対象者と金融取引を行うことを原則禁止するもので、カテリーナ・ウラジミロヴナ・ティホノヴァとマリア・ウラジミロヴナ・ヴォロンツォヴァが対象となった。

バイデン政権のある上級幹部は水曜日、この2人の女性に対する制裁は「ロシアの独裁政治を暴露する」という米国の広範な戦略の一環として科されたと述べた。

アメリカ国内では、ティホノヴァは、ロシア政府と防衛産業を支援する仕事をしている技術系幹部、ボロンツォヴァは「クレムリンから遺伝子研究のために数十億ドルの予算を受け取り、プーティンによって個人的に監督されている」 国家予算によるプログラムを指揮していると説明されている。

国務省において40年にわたって様々な上級職を歴任し、駐ロシア大使を務めたトーマス・ピッカリングは、この動きは「小さなジェスチャー」だと述べたが、「プーティン個人に向けられていることは明らかだ」とも付け加えた。

ピッカリングは、プーティンが新たな措置に直面しても「冷淡(unflinching)」であることを期待すると述べた。アメリカは既に、ロシアの指導者プーティンに対して特別な制裁を科している。

ピッカリングは次のように述べた。「私は、プーティンが毅然とした態度で臨み、制裁が個人的な影響を及ぼしているという兆候を見せようとはしないだろうと考える。そのためには、同じことを繰り返さないようにすることと、自分自身を無敵の強者、強靭な柔道家、リーダーであるという概念を維持することになる」。

(2)アメリカはプーティン大統領の側近と外相の家族をブラックリストに掲載(U.S. blacklists Putin’s top associates and family of foreign minister

その他にロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相の妻マリヤ・アレクサンドロヴナ・ラヴロヴァと2人の娘アカテリーナ・セルゲイヴナ・ラブロワが制裁対象者となった。ラヴロフ外相は2月25日付でプーティンと同じタイミングで制裁対象となった。

また、アメリカはロシアの安全保障会議の21名のメンバーも制裁対象にしている。今回の措置により、これまでの制裁と合わせて、ロシア安全保障会議の全メンバーが、アメリカもしくはアメリカの同盟諸国、カナダ、ヨーロッパ連合(EU)、日本、ニュージーランド、オーストラリア、イギリスによる制裁を受けることになった。

アメリカはこれまでに、オリガルヒ140名と彼らの家族、更には400名以上のロシア政府高官を制裁対象にしていた。

バイデン政権のある高官は制裁対象者について「戦争の重要な設計者たち(the key architects of the war)」と呼び、制裁戦略は「プーティンとその取り巻きが何十年もロシア国民から金をむしり取ってきたことを明らかにする」ためだと述べた。

ピッカリングは、個人に対する制裁が米国によるエスカレーションをどれだけ明確に示しているかは不明だとしながらも、「個人を対象にした制裁というアイデアは常に、最高指導者層にメッセージを送り、何らかの方法で、その指導者にとって厄介なことを実行するということなのである」と述べた。

(3)ロシアのエネルギーとガス供給は現在のところ大部分が許可されている(Russian energy and gas delivery largely allowed, for now

ロシアに対して壊滅的な打撃を与えるために最も重要なのは、アメリカとその同盟諸国が、ロシアの予算収入の約40%を占める石油と天然ガスの輸出を断つ努力をしたことだ。

バイデン政権は、ロシア最大の銀行であるスベル銀行とアルファ銀行に対する制裁の拡大を発表したが、ロシアの石油・ガス輸出のための金融取引を許可する重要な例外規定を設け、ロシア経済にとって最も有害な措置の一部を差し控えた。これによりヨーロッパの同盟諸国のためのエネルギーは確保されることになった。

この金融緩和措置により、諸外国はロシアの輸出代金を自国通貨で支払うことができるが、ロシアはその収入をルーブルに換えてから使用することができるため、その影響はやや弱くなる。

新アメリカ安全保障センターのエドワード・フィッシュマン上級研究員は「エネルギーは何故除外されるのか? 最も答えに近い推測は以下の通りだ。アメリカはヨーロッパ連合の意向を無視できず、ヨーロッパ連合はドイツの意向を無視できないからだろう」とツイートした。

ドイツのクリスチャン・リンドナー財務相は、「短期的なスパンで言えば、ドイツにはロシアのガスを遮断する余裕などない」と発言した。

ロイター通信によると、リンドナー財務相は「ロシアからの天然資源輸入を停止することは彼らよりも私たち自身に大きな損害を与えることになる」と述べたということだ。

フィッシュマンは、「ロシアは石油とガスの販売を続けることで、毎日10億ドルをかき集めることができる」と述べた。

アメリカはロシアの石油とガスの輸入を停止している。イギリスは4月2日、2022年末までにロシアの石炭と石油への依存を解消し、その後すぐに天然ガスの輸入を終了するように対処すると発表した。

ヨーロッパ議会のシャルル・ミシェル議長は水曜日、ロシアの石炭を直ちに禁止する新たな制裁パッケージを提案し、「石油、さらには天然ガスの輸入禁止も遅かれ早かれ必要となるだろう」と述べた。

リトアニアは日曜日、ヨーロッパ連合加盟国で初めてロシアの天然ガス輸入禁止を発表し、バルト沿岸の隣国ラトビアも間もなく同様の発表をすると見られている。

しかし、ヨーロッパ連合が一体となって制裁措置を講じるには、ヨーロッパ連合加盟27カ国からのコンセンサスが必要となる。プーティン大統領を支持するハンガリーのオルバン・ヴィクトル大統領は、ブダペストはロシアのエネルギー輸入禁止に参加しないと既に明言している。

(4)ハンガリー、インドそして中国は制裁強化のための切り札だ(Hungary, India and China are wild cards in enforcing sanctions

ハンガリーのオルバン大統領がロシアからの天然ガスの代金を支払い続けるという約束をしたことは、アメリカがロシアに対して世界的に統一された金融圧力キャンペーンを行うという目標において、埋められなかった他の溝を広げることになる。

インドはロシアとの重要な関係を維持するために、アメリカの制裁に加わることも、モスクワの侵攻を露骨に非難することさえも控えている。インドはロシアから石炭と石油を輸入している。

このバイデン政権高官は、インドを「友人」「パートナー」と呼びながらも、ロシアの侵攻についてインド側と幅広く議論してきたと述べた。この人物は「私たちは、可能な限り最大限の調整を行うことができるという希望を持ち続けている」とも述べた。

一方、ロイター通信によると、中国はロシアの原油のトップ輸入国であり、ロシアのガスと石炭を相当量輸入している。

北京は、ワシントンのモスクワに対する孤立キャンペーンを嘲笑する一方で、クレムリンと完全に連携することは控えてきた。ロイター通信は、北京がロシアとの既存のエネルギー契約を尊重する一方で、新たな契約を結ぶことは避けていると報じている。

このバイデン政権高官は、ワシントンは「アメリカ政府と中国政府の最高レヴェル」による一連の非公開協議を行い、アメリカは「これらの制裁を回避したり埋め合わせたりするいかなる努力の結果について、中国政府に対して明確に示してきた」と述べた。

(5)アメリカ政府はロシアの各金融機関に対する制裁は「ソヴィエト・スタイル」の生活水準へのトリガーを引く(U.S. says Russian bank sanctions triggering “Soviet-style” living standards

バイデン政権はイギリス政府と共に、水曜日にロシアへの新規投資を阻止することで、更に一歩踏み込んだ。これは急速に変化する世界の中で、ロシア経済から新たな収入と最新の技術やノウハウへのアクセスを奪うというより広範な戦略の一部である。

バイデン政権のある上級幹部は「現実的に言えば、ロシアは経済的、金融的、技術的に孤立しつつあり、このままでは1980年代のソヴィエト・スタイルの生活水準に戻ってしまうだろう」と語った。

ハーヴァード大学博士研究員でヨーロッパ政策分析センター上級研究員のベンジャミン・シュミットは、ロシアの銀行部門に発動された制裁は、ウクライナ戦争で「プーティン政権に容赦しないよう圧力を強める重要な次のステップ」だが、「エネルギー取引を促進するための大きな揺らぎを残す」ものだとも述べた。

シュミットは本誌の取材に対してEメールで「石油とガスがプーティンの恐ろしい戦争マシーンの資金源として重要な役割を果たしていることを考えると、国際社会がこの資金の流れをできるだけ早く止めるための措置を取ることが不可欠だ」と回答した。

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バイデン氏、プーチン氏は「戦争犯罪人」 対ロシア追加制裁へ

ロイター通信 2022年4月5日

https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-usa-biden-idJPKCN2LW1FW

[ワシントン 4日 ロイター] - バイデン米大統領は4日、ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ近郊で民間人とみられる多数の遺体が見つかったのを受け、プーチン大統領を「戦争犯罪人だ」と非難した。

バイデン氏はまた、ロシアにさらなる制裁を科す方針も示した。

ホワイトハウスで記者団に対し「ブチャで何が行われたか、誰もが知るところとなった。(プーチン大統領が)戦犯に当たることを示している」と指摘。「情報を収集する必要がある。ウクライナが戦い続けられるよう必要な武器を提供し続けると同時に、戦犯裁判を起こすために全ての詳細を把握する必要がある」と述べた。

サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は4日の記者会見で、戦争犯罪の立件に向けて、米国内や同盟国、ウクライナの現地、国際機関、各国の独立系メディアといった4つの情報源から証拠を集めると説明した。

ゼレンスキー大統領は4日、護衛官とともにブチャを訪れ、国営テレビに対し「これは戦争犯罪であり、世界でジェノサイド(民族大量虐殺)として認識されるだろう」と述べた。

一方、サリバン氏は、米国がジェノサイドと断定できるほどの証拠をまだ確認していないと述べた。

サリバン氏はまた、今週中にロシアへの追加制裁を発表する予定だと明らかにした。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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