古村治彦です。

 ウクライナ戦争が始まってから、「台湾が危ない(中国が攻めてくる)「日本が危ない(ロシアと中国が攻めてくる)」という主張を繰り返す、好戦主義者(war mongers)たちが日本国内で増えている。「憲法を変更し(第9条を変更もしくは廃棄)日本も戦争ができるようにすべきだ(他国を攻撃できるようにすべきだ)」「非核三原則を放棄し核武装ができるようにすべきだ」という主張が日本のマスコミでも多く報じられるようになっている。安倍晋三元首相をはじめとする考えの浅い、単純なお勇ましい右翼破落戸(ごろつき)政治家たちが日本国内を闊歩し、「危ないぞ危ないぞ」と危機を煽るアホダラ経を馬鹿の一つ覚えで唱え続けている。

 今回は国際関係論の専門家たちに対して「中国は台湾を攻撃するか?」という質問をした世論(あくまで国際関係論の専門たちの中での)調査の結果をまとめた記事をご紹介する。結論から言えば、中国が台湾を攻撃する可能性は低いと専門家たちは考えている。1年以内に攻撃するだろうと考えている専門家たちの割合は今年に入っての2回の調査を通じて、11%から7%に減少している。中国の台湾攻撃の可能性はウクライナ戦争勃発を受けて低くなっているというのが多くの専門家たちの見解だ。

興味深いのは「中国が台湾を攻撃するか」という質問に対して「イエス」「ノー」とそれぞれ答えた専門家たちに、自由回答でその理由を質問して得られた回答だ。どうしてイエス(攻撃する)もしくはノー(攻撃しない)と考えるのか、その理由を述べている。

 イエス(攻撃する)と答えた専門家たちの回答は「東ヨーロッパに世界の関心が移ったことで、中国は台湾に進出する機会を得た」「ウクライナへの侵攻を外交的に防げなかったアメリカ政府は弱腰に見える」というものだった。中国がアメリカが動かない、もしくは世界の関心が低いと判断するだろうから台湾を攻撃する、ということがイエスと答えた専門家たちの理由ということになる。

ノー(攻撃しない)と考える専門家たちは「経済に与える影響を考えると割に合わない」「地上で国境を接するウクライナでの作戦が難航しているのに海を挟んだ台湾への攻撃はさらに難航するだろう」「中国は海を渡っての攻撃を行う能力がまだ整備されていない」「ロシアに対する制裁とその効果を見て躊躇する」「中国は好戦的ではない」といった理由を挙げている。

 中国が台湾を攻撃することはかなりの困難を伴う。日本を攻撃するとなればその困難は更に大きくなる。そのような割に合わないことを、自国の経済に大きなダメージを喰らう覚悟で実行する可能性は低い。中国が日本を実際に攻撃して占領して何をしよう(何をさせよう)というのか、というのが私のそもそもの疑問だ。こんな労働力としては峠を越えた高齢者ばかりの国を占領して酷使できる訳がない。そんなことをすれば本格的に世界から総スカンで厳しい制裁の対象となってしまう。自分たちを手荒に扱わないと分かった日本の高齢者のわがままぶり、クレーマー体質にほとほと辟易してしまうだろう。ロシアも同様だ。中露にとって日本はまだまだお金持ちのお客様で、本当のことを言えば大事にしなくてはいけない存在なのだ。その利点を最大限に利用しなければならない。

 中国が攻めてくるぞ、ロシアが攻めてくるぞ、と危機を煽る破落戸政治家たちはそれで自分たちが大きな利益を得るからそのように言っているのだ。自分たちは安全な場所にいて死んだり怪我をしたりしないということが分かっているから、一般国民を煽り立てて戦争に駆り立てようとする。無残な結果になっても「それはあなたたちが選んだからでしょう」とアドルフ・ヒトラーが残したような言葉を吐いて知らんぷりを決め込むだろう。だから、私たちは指導者や代表者選びを慎重に行わねばならない。今度の参議院議員選挙できちんとした指導者・代表者選びができるかどうか甚だ心もとない状況ではあるが。

(貼り付けはじめ)

世論調査:中国は台湾を攻撃するか?(Poll: Will China Attack Taiwan?

-国際関係論の専門家たちは、ロシアによるウクライナ侵攻がいかにして地政学(geopolitics)を変えたかを検討している

イレイン・エントリンジャー・ガルシア・ブレインズ、マギー・マンソン、スーザン・ピーターソン、マイケル・J・ターニー筆

2022年3月31日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/03/31/china-taiwan-attack-russia-ukraine-expert-poll/

ロシアがウクライナに侵攻してから3週間後の3月18日にジョー・バイデン米大統領は中国の習近平国家主席と会談した際、話題は台湾に及んだ。中国政府高官たちは、この戦争が北京の長年にわたる台湾の領有権主張にとってどのような意味を持つのか、まだ熟考している段階だ。専門家の多くがウクライナ戦争によって中国の台湾へのアプローチが変化する可能性があると指摘している。2月24日の紛争勃発後、台湾は警戒レヴェルを上げた。一方、中国外務省が「台湾はウクライナではない」と主張した。これらの動きはそうした変化を示すものということになるだろう。

ウクライナ戦争の影響を受け手、中国による台湾攻撃の可能性は高まるのか、それとも低下するのか? 西側諸国が対ロシア制裁で一致団結し、ウクライナの抵抗が効果的なものとなり、ロシアの人命と装備が失われつつあることは、中国に台湾に対する軍事行動の可能性を躊躇させるだろう。もしくは、ロシアの成功と、アメリカやNATOがウクライナへの直接軍事行動を拒否したことで、世界がヨーロッパに注目している間に、中国が台湾を攻撃する可能性もある。

ウィリアム・アンド・メアリー大学グローバル・インスティテュートの教育、研究、国際政策プロジェクト(TRIP) プロジェクトは、過去10ヶ月に渡り、アメリカ国内の大学とカレッジの国際関係論(IR)の専門家たちを対象にして、中国の台湾攻撃の可能性について3回にわたり調査を行った。国際関係論の専門家集団は、ロシアの侵攻を約1カ月前に予測しており、彼らの見解は、ウクライナ戦争が中国の台湾への軍事行動の可能性に及ぼす影響を明らかにするものとなるだろう。

3階の調査全てを通じて、同じ国際関係論の専門家たちが、中国による台湾攻撃の可能性は、ロシアによるウクライナ攻撃の可能性よりもはるかに低いと答えている。1月31日に終了した調査では、56%以上の専門家が、今後1年間にロシアがウクライナに侵攻すると思うと回答している。しかし、3回の調査を通じて、中国が今後1年間に台湾を攻撃すると答えた専門家は11%以下であった。以下に報告する結果は、2021年4月28日から5月3日の間に調査した812名、2021年12月16日から2022年1月31日の間に調査した760名、2022年3月10日から3月14日の間に調査した866名の回答に基づいている。

国際関係論の専門家たちの見解は、中国が台湾を攻撃した場合のバイデン政権への政策面での助言にもなっている。台湾への侵攻はありえないが、あるいはありえないからこそ、アメリカはそのような攻撃に力強く対応することが重要であり、ロシアによるウクライナへの攻撃の可能性に対してアメリカが対応すべきと答えた以上に力強く対応すべきであると専門家は考えている。

●中国は台湾を攻撃するだろうか?(Will China attack Taiwan?

中国が今後1年間に台湾または台湾軍に対して軍事力を行使するかどうかという質問に対しては、専門家の予測は著しく安定していた。3回の調査を通じて、中国が台湾を攻撃すると答えた回答者の割合は6%から11%近くまで変動し、69~71%の回答者が中国は軍事力を行使しないと答えている。この評価は、戦争は比較的まれな出来事だから平和を想定しているというだけのものではない。同じグループが、1月にロシアがウクライナを攻撃すると予想したところ、3対1の割合で戦争開始が上回っていた。

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最新の今年3月の調査では、東アジアや中国に詳しい国際関係論の専門家たちは、東アジアを研究・教育対象としていない専門家(8%)に比べ、中国による台湾攻撃の可能性を更に低く評価した(4%)。

更に言えば、ロシアによるウクライナ侵攻は、中国による台湾攻撃に関する専門家たちの予測にほとんど影響を与えなかったようだ。6週間の間を置いて行われた最新の2つの調査の同じ質問を比較すると、今後1年間に中国が台湾を攻撃する可能性があると答えた回答者の割合は、11%という既に低い水準からわずか7%に減少しており、統計的に有意な変化は見られなかった。

ウクライナ戦争が中国の攻撃の可能性に及ぼす影響をより具体的に推定するため、今年3月の調査では、より明確な質問を行い、回答者の見方が変わったかどうかを個人レヴェルで分析した。新しい質問では、次のように質問した。「1ヶ月前と比べて、中国は今後1年間に台湾または台湾の軍隊に対して軍事力を行使する可能性が高いか、それとも低いか?」 。専門家たちは、中国が台湾を攻撃する可能性は、ウクライナで敵対行為が始まって以来、全く変化していないとしても、実際には低下していると回答した。

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調査対象となった専門家たちの約半数は、中国が台湾や台湾軍に対して武力を行使する可能性はロシアのウクライナ侵攻前と変わらない、あるいは低いと判断している。しかし、中国が武力行使をする可能性が低くなったと考える人は3分の1強、戦争の可能性が高くなったと考える人は2割弱であった。この結果は、ウクライナ情勢が中国を煽るものではないという専門家の集合知に対する信頼感を高めるものであり、より広範に言えば、中国は紛争が始まる前よりも武力行使の可能性が中程度に低下していると回答した。

個人レヴェルの分析でも、これらの結果は補強されている。今年1月の世論調査で、中国が台湾に対して武力を行使すると予測した回答者の42%近くが、3月の同じ質問に対して、中国は武力を行使しないと考えを改めた。一方、1月に「中国は武力を行使しない」と答えた回答者のうち、3月に「中国は台湾を攻撃する」と答えたのはわずか3%であった。

●ウクライナ紛争は台湾に関する中国の計算に影響を与える可能性があるか?(Could the conflict in Ukraine affect China’s calculus in Taiwan?

次に、ロシアのウクライナ侵攻以降、専門家たちの脅威に対する評価が低下した要因を理解するために、自由形式の質問を用いた。

中国の攻撃の可能性が高まったと答えた回答者は20%未満と少数派だったが、こうした専門家たちは複数の根拠を挙げている。「東ヨーロッパに世界の関心が移ったことで、中国は台湾に進出する機会を得た」と書いている回答者がいた。また、「ウクライナへの侵攻を外交的に防げなかったアメリカ政府は弱腰に見える」という意見もあった。これらの主張は、ロシアの侵攻後、アメリカの選択や能力によって、中国の台湾攻撃の可能性が高くなったことを示唆しているが、このような専門家たちはあくまで少数派だ。

ウクライナ紛争が始まって以来、中国の攻撃の可能性が低下したと答えた回答者(34%)は、ロシア経済に注目しており、自由回答で最も多い回答であった。ある回答者は、「たとえウクライナを押さえることができても、将来の投資や貿易に甚大な損害を与える、いわばピュロスの勝利(訳者註:損失が利益よりも少ない勝利の意味。割に合わないという表現)だ」と書いていた。また、軍事的な教訓を挙げる専門家もいた。この専門家は次のように書いている。「ロシアが広大な国境を接する国(ウクライナ)への侵攻にこれほど苦戦するのを見ると、中国が台湾を攻撃する場合には海峡を越えて攻撃しなければならず、そのための軍備がはるかに整っていないことに、中国はより躊躇を覚えることになるだろう」。

ある回答者は、ウクライナ紛争によって中国の台湾侵攻の可能性を減じた理由を次のように要約している。「ロシアに対する道徳的、経済的、軍事的な反応の組み合わせは、中国に、台湾への攻撃に対する世界の反応を示す現実的な具体例となったのである」。

最後に、最大の専門家グループ(46%以上)は、ウクライナでの出来事は中国の計算には何の影響も与えないと回答した。これらの専門家たちは、台湾の状況はウクライナ侵攻前と変わらないか、中国と台湾はロシアやウクライナとは根本的に異なるという事実を強調した。ある回答者は「中国は多くの人が考えているほど好戦的ではない。中国は軍事力より経済力の方が有効であることを知っている」と主張した。別の専門家は「台湾の抑止力はウクライナよりはるかに高いし、プーティンは習近平より攻撃的で、権力欲が強く、リスク受容力がある」と答えた。

●中国が台湾を攻撃した場合、アメリカはどのように対応すべきなのか?(If China attacks Taiwan, how should the United States respond?

3回の調査全てを通じて、中国が台湾を攻撃した場合、アメリカはどのように対応すべきかについて専門家に質問した。その結果、2つの大きなパターンが存在することが明らかになった。すなわち、回答者の政策手段に対する選好の順序が長期にわたって著しく安定していることと、ロシアのウクライナ侵攻後、東アジアでますます主張の強い政策が好まれるようになったことの2つである。

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国際関係論の専門家たちは、中国が台湾を攻撃したと仮定した場合、様々な政策対応を支持している。制裁措置は3回の調査で87~94%の回答者が支持しており、リストのトップである。また、台湾への武器や軍事物資の追加派遣も70〜83%と高い支持を得ている。中国が軍事行動を起こした場合に米軍を派遣することへの支持も強く、63〜72%である。国際関係論の研究者たちは中国軍に対する直接的な軍事行動の開始を推奨しておらず、この政策対応への支持は 33回の調査でわずか8~18%であった。

同時に、アメリカがこの地域に更に軍を派遣し、台湾に更に武器を送り、中国軍にサイバー攻撃を仕掛け、特に中国に対して直接軍事行動を起こすという考えを支持する回答者の割合は、3回の調査を通じて大幅に増加した。特に、2022年1月の第2回調査から3月の最終回調査にかけての増加が大きく、ウクライナ侵攻が回答者の見解に影響を与えた可能性が高い。

中国政府高官たちが台湾に対する軍事行動についてどのように考えているかは不明だが、国際関係論の専門家たちの意見は明確だ。彼らは、台湾攻撃の可能性はロシアのウクライナ攻撃よりはるかに低く、ヨーロッパでの紛争は台湾攻撃の可能性にわずかな影響を与えたに過ぎないと考えている。むしろ、プーティンのウクライナでの行動によって、中国が台湾に対して軍事行動を起こす可能性がある程度低くなったということだ。

中国が台湾を攻撃した場合、アメリカはどのように対応するべきかという専門家たちの考えは、ロシアのウクライナ侵攻への対応に関する同じ専門家たちの助言とは明らかに異なっている。ロシアに対する直接的な軍事行動を支持する回答者はわずか2%であるのに対し、中国が台湾に侵攻した場合の仮想的な軍事行動は18%であった。台湾の場合、国際関係論の専門家たちは、ウクライナでの望ましい政策や侵攻前のスタンスに比べ、より抑制的である。

※イレイン・エントリンジャー・ガルシア・ブレインズ:ウィリアム・アンド・メアリー大学のティーチング、リサーチ、アンド、インターナショナル・ポリシープロジェクトのプロジェクト・マネジャー。ツイッターアカウント:@EntringerIrene

※ライアン・パワーズ:ジョージア大学公共・国際問題大学院助教授。ツイッターアカウント:@rmpowers

※スーザン・ピーターソン:ウィリアム・アンド・メアリー大学政治学部長兼ウェンディ・エメリー記念政治学・国際関係論教授。

※マイケル・J・ターニー:ウィリアム・アンド・メアリー大学グローバル・リサーチ・インスティテュート部長兼ジョージ・メリー・ヒルトン記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@MikeTierneyIR

(貼り付け終わり)

(終わり)


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