古村治彦です。

 ウクライナ戦争によって、「戦争はどんどんハイテク化しているんだな」ということが私のような軍事面のズブの素人にも強く印象付けられた。昔のように戦車同士が大会戦を行うとか兵士たちがどんどん突撃するということは1990年代の湾岸戦争の頃から既に見なかったが、今や無人偵察機や衛星情報による位置確定などがなされる時代になった。そして、ミサイル兵器などより破壊能力と精密さが上がっている。それらが連動することによって、より効果的にピンポイントで敵側にダメージを与えることができるようになった。それでも戦争は最後はやはり人が行って場所を制圧しなければならないようだ。当たり前のことではあるが。

 ハイテク機器の面に関しては西側がロシアに先んじているということは間違いない。戦争開始当初、ロシア軍は普通に西側諸国の企業の部品が入った携帯電話を使い、連絡を取り合っていてそのために司令官クラスの位置が掴まれてピンポイントで攻撃を受け手戦死することが複数あった。西側諸国の各ハイテク企業は「愛国的な」行動として、そうした位置情報などを提供し、それがウクライナ軍に伝わっているという構図があるようだ。
 また、西側各国の政府や民間企業はウクライナ国内でインターネットが使える状態を維持するために資金と技術を提供している。それによってウクライナ国民もロシア軍に関する情報を提供できる状態になっている。「ハイテク戦」ではロシアは敗北しているということになるだろう。
 ロシア側は現在、そうしたハイテク戦で何とか挽回しようとしているようだ。どこまでできるかは分からないが、ロシアのハッカー技術や偽情報拡散の能力を考えれば、ある程度まで挽回ができるものと思われる。また、西側諸国に対するインターネットを利用した攻撃ということも考えられる。

 戦争のハイテク化を印象付けたウクライナ戦争はいつまで続くことになるか。先の見通しは立っていない。

(貼り付けはじめ)

中国のドローン・メーカーがロシアとウクライナでの事業を一時停止(Chinese drone-maker suspending operations in Russia, Ukraine

モニク・ビールス筆

2022年4月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/3467506-chinese-drone-maker-suspending-operations-in-russia-ukraine/

中国のドローン・メーカー「DJI」は火曜日、ロシアとウクライナでの事業を一時的に停止すると発表した。

DIJは声明の中で「DJIは、様々な管轄区域におけるコンプライアンス要件を社内で再確認作業を行っている。この見直し作業が完了するまで、DJIはロシアとウクライナにおける全ての事業活動を一時的に停止する」と述べた。

DJIは直接、この決定は「現在の敵対行為を考慮し、販売に関するコンプライアンスを見直すための努力を行う」と述べた。

『ワシントン・ポスト』紙は、DJIの広報担当者は中国メディアに対し、一時停止は「今回の声明は特定の国をターゲットにしたものではなく、当社の原則に関するものだ」と述べたと報じた。

ウクライナ政府当局は以前、DJIがウクライナの軍事情報をモスクワにリークしたと非難したが、DJIはこうした主張をきっぱりと否定しているとロイター通信は報じている。

しかしDJIは、自社製品のいかなる軍事利用にも反対しているとCNNは報じた。

ロシアによるウクライナ侵攻からわずか3週間後の3月、ウクライナのミハイロ・フェドロフ副首相は、「ロシア軍がミサイルを誘導するためにDJI製品を使用している」とする書簡を書き公表した。

フェドロフは「あなた方はこの殺人行為の協力者となりたいのか?」とツイートで同社に問いかけた。そして「ロシアがウクライナ人を殺すのを助けているあなたの製品をブロックして欲しい!」と訴えた。

深センに本社を置くDJIは、民生用・産業用ドローンの世界最大のメーカーである。

中国企業DJIがロシアでの事業を停止するという決定は特に珍しいもので、西側諸国がいわれのない攻撃を行ったロシアに強力な制裁を科しても、中国はロシアによるウクライナ侵略の中でモスクワとの関係を強化しようと考えている。

中国の楽友成外務次官は今月初めに声明を発表しその中で、「国際情勢がどのように変化しようとも、中国は引き続きロシアとの戦略的協調を強化し、ウィン・ウィンの協力を目指し、両国の共通の利益を共同で守り、新しいタイプの国際関係と人類が未来を共有する共同体の構築を促進する」と述べた。

=====
ウクライナ政府へ衛星ネットサービスの端末を大量供与、米国

2022.04.07 Thu posted at 17:15 JST

https://www.cnn.co.jp/usa/35186011.html

(CNN) 米政府の援助機関である国際開発局(USAID)は7日までに、ロシア軍の侵攻を受けたウクライナ政府に対し米宇宙企業スペースXが手がける人工衛星経由のインターネットサービス「スターリンク」の端末5000個を供与したと発表した。

ロシア軍がウクライナの通信基盤を妨害する事態などに備え、米政府がこの端末送付の資金面や輸送で支援してもいる。

スターリンクは、世界の遠隔地や紛争地域でインターネットが利用出来る通信環境を提供するもので、端末やテレビ用の小型アンテナに似た装置などを使う。

USAIDは声明で、「プーチン(大統領)による野蛮な侵攻がウクライナの光ファイバー網や移動体通信の接続網を切断したとしても、スターリンクの端末はウクライナの公職者や重要な民生サービスの提供者によるウクライナ国内あるいは世界各地との通信の維持を可能にする」と強調した。

ロシアが軍事侵攻に踏み切った今年2月、スペースXの創業者であるイーロン・マスク氏はウクライナ上空で初めてスターリンクのサービスを起動。ツイッター上でより多くの端末も同国へ向かっているとも発表していた。

マスク氏の行動は、ロシアの侵攻が続けばウクライナのネット接続環境が消滅するとの懸念を示した同国副首相の嘆願に応じたものだった。USAIDが今回の大量な端末供与に踏み切る前、スペースXがウクライナ側に便宜を図っていた端末の数は明らかではない。

スペースXは2019年5月以降、スターリンク用の衛星を2000基以上打ち上げてきた。今後数年間でさらに約4万2000基の配備を計画している。
======
ロシアがウクライナのGPSに妨害攻撃か 米宇宙軍が言明

4/25() 17:40配信

ニューズウィーク日本版

https://news.yahoo.co.jp/articles/3ae5fef51a1abb1378df9e20b5536d16bba897b5

──ドローンや救護車両などの運用に欠かせないGPSが、ウクライナで妨害を受けているという。米宇宙軍幹部が明かした

ロシアによるGPS妨害は侵攻以前からたびたび発生していた......

ウクライナ軍および市民は現在、GPS(全地球測位システム)による正確な位置情報を得られていない可能性がある。米宇宙軍で作戦担当副本部長を務めるデイヴィッド・トンプソン将軍が、米NBCの番組に出演し、ロシアによる妨害工作の可能性を明かした。

番組司会者が「ウクライナではGPSが利用不能になっているのですか?」と問いかけると、氏は「その通りです。ロシアはアメリカが提供するGPS信号をウクライナ国内で妨害しています。辺りには妨害工作車が存在し、(GPS信号の)受信と利用を妨げているため、ウクライナの人々はGPSを利用できない可能性があります」と説明した。

GPSが機能不全となれば、戦線への直接的な影響が懸念される。ウクライナでは軍事ドローン「バイラクタルTB2」がロシア戦車を相手に善戦し、市販の小型ドローンも偵察に貢献している。これらの飛行制御はGPSに依存している。

戦禍の国民生活にも悪影響が及びかねない。自動車の車載ナビやスマホの地図などはGPSを前提としており、救助車両の到着の遅れなど市民生活への支障が憂慮される。

GPSは、アメリカ宇宙軍が運用する衛星測位システムだ。ウクライナを含む世界の多くの国で利用されているが、妨害はウクライナ国内に留まるとみられる。衛星測位システムにはGPSのほか、欧州版の「ガリレオ」やロシア版の「GLONASS(グロナス)」などが存在する。

■ 地上の信号を妨害

ロシア側はGPS衛星を直接攻撃することなく、地上の補助的な送信設備をねらった模様だ。

GPSのしくみとして、約30基の衛星が軌道上に配備されている。予備機を除く24基が稼働しており、このうち少なくとも4基の電波を捉えることで現在地を算出するしくみだ。電波には発信時刻と衛星の位置が記録されており、発信から受信までにかかった時間差をもとに各衛星との距離を計算し、現在地を特定する。

ただし、衛星からの電波だけでは、10メートル程度の誤差が生じる。このため、地上のGPS基地局からも並行して電波を受信し、精度向上のヒントとして利用する。今回ロシア側の妨害を受けているのは、この地上局が発する電波だ。

妨害は今回が初というわけではなく、侵攻以前からたびたび発生していた。米シンクタンクの戦略国際問題研究所は、2014年ごろから断続的に行なわれてきたと分析している。宇宙ポータルサイトの『Space.com』によると、ロシア軍は大型トラックのような形状の独自開発の車両を保有しており、ここに妨害装置が搭載されているという。

■ ロシア版GPSは「数年内に崩壊」説も

ウクライへの妨害を活発化するロシアだが、一方で自身の衛星については、かなりお粗末といわざるを得ない状況だ。ロシア版衛星測位システム「GLONASS」を開発したものの、綱渡りの運用が続く。

GLONASSでは本来24基の衛星が必要なところ、稼働中の衛星はこれを下回る23基だ。6基前後の豊富な予備機を擁するGPSとの差異が際立つ。さらに、GLONASSには寿命間近の機体も多く、半数ほどはいつ動作不良に陥ってもおかしくない。設計上の数を満たせなくなるとまず一部地域で精度が低下し、その後18基を割った時点でロシア全域をカバーできなくなる。

匿名の専門家は欧州報道機関の『ラジオ・フリー・ヨーロッパ』に対し、「打ち上げの動向を根本的に変えない限り、GLONASSシステムは数年以内に崩壊を迎えるでしょう」との予測を示している。

位置情報のみならず偵察衛星網についても、衛星の数が少なすぎるとの指摘がある。個々の機体としても解像度の低い旧式の技術を採用しているうえ、一部衛星には耐用年数の限界が近づく。これが偵察活動の不調を招き、キーウ陥落作戦の主な失敗要因のひとつになったとの観測すら出ているほどだ。

対するウクライナは、アメリカから偵察衛星の画像提供を受けている。その仔細は明かされていないが、仮に高解像度のスパイ衛星である「キーホール12」シリーズの画像を入手しているとするならば、その解像度は1ピクセルあたり5センチほどだ。面積あたりでは商用衛星の9倍の精度となる。ラジオ・フリー・ヨーロッパは、ロシア車両に描かれた「V」の文字も容易に読めるほどだと述べ、両陣営間の偵察精度の差異を指摘している。

■ 衛星への直接攻撃もあり得る

ただし、ロシア側は乱暴な一手で性能差を詰めてくる可能性がある。アメリカ宇宙軍は、米衛星への直接攻撃も起こりうるとみて監視体制を強化している。

ブルームバーグは、アメリカ国防情報局の最新の見解を報じている。それによると同局は、ロシアが「アメリカの宇宙関連サービスを無力化あるいは阻止する対抗システムを推進している」とみて警戒を強めている。

同局がまとめた報告書は、ロシアがすでに「衛星のセンサーの目を眩ますものを含め、複数の地上レーザーを保有している」との見解を示し、「おそらく2020年代中盤から終盤にかけて、さらに効果的に衛星を損傷するためのレーザーを配備するだろう」と分析している。

ロシア自身の衛星網に抜きん出た点はないものの、妨害の手法は今後も発展する可能性がありそうだ。

=====

民間衛星がロシア軍の動き「丸裸」に…偽情報拡散に対抗、戦争犯罪疑惑の捜査にも

2022/04/29 13:55

https://www.yomiuri.co.jp/world/20220429-OYT1T50049/

https://www.yomiuri.co.jp/world/20220429-OYT1T50049/2/

 【ワシントン=冨山優介、蒔田一彦】ロシアによるウクライナ侵攻では、米民間企業の人工衛星がロシア軍の動きを細かく捉え、注目を集めている。観測データは、戦争犯罪疑惑の追及でも役割を果たしている。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は21日、ウクライナ南東部マリウポリ郊外を3月から4月上旬に撮影した4枚の衛星画像を掲載した。画像では日ごとに直線的に並んだ穴が増える様子が分かる。記事は、約300に達した穴が「集団墓地とみられる」と分析し、世界で反響を呼んだ。

 撮影したのは米宇宙企業マクサー・テクノロジーズの衛星だ。マクサー社は自社の衛星で撮影した高解像度の画像を、各国政府や報道機関などに販売し、一部は無償提供している。取材に応じた同社幹部のスティーブ・ウッド氏は「報道機関への画像提供は偽情報拡散への対抗に役立つ。侵攻とそれに伴う人道的危機を記録するために画像の共有を続ける」と話す。

 国連によると、1957年以降、衛星などの人工物は世界で計1万2000基以上が打ち上げられ、近年は年間1000基を超えるペースで増えている。その多くが民間企業の衛星だ。

 電子部品の高性能化や小型化に伴い、衛星も小さく、安価で製造することが可能になった。カメラの性能も向上し、民間衛星でも地表の数十センチ大の物を見分けられる精度だ。

ussatelliteuseinukraine511

「客観的見方 提供」

 民間衛星のデータは、国際刑事裁判所(ICC)などによるロシア軍の戦争犯罪疑惑を巡る捜査にも活用されている。米紙ポリティコによると、以前は各国の軍や情報機関しか得られなかったようなデータが民間企業から入手できるようになり、捜査すべき場所の特定や証拠の収集がしやすくなっているという。

 マクサー社と同様、衛星を運用し、画像を販売する米宇宙企業プラネット・ラボの広報担当者は「我々のデータは各国政府や人権団体が重要な情報を記録するのに役立つ。進行中の出来事について客観的な見方を提供できるからだ」と意義を強調する。

「攻撃対象」懸念も

 新たな問題も浮上しつつある。米専門家はワシントン・ポスト紙に「交戦国が民間企業から提供されたデータを攻撃に使用すれば、その企業は紛争当事者とみなされる可能性が高い」として、民間衛星が攻撃対象になり得るとの見方を示した。

■増える監視 隠蔽は不可能…米ジョンズ・ホプキンス大上級講師 ジョン・オコナー氏

 民間衛星の画像が注目される現状について、米中央情報局(CIA)で衛星画像分析に携わった米ジョンズ・ホプキンス大上級講師のジョン・オコナー氏(地理空間情報学)に聞いた。(ワシントン 冨山優介)

 現在、ウクライナの特定の地点の画像を得ようと思えば、1日に100回以上の頻度で得ることが可能だ。民間企業と20以上の国々の衛星がカバーしているからで、その間隔は短ければ数分、長くても1時間半程度だ。地上での何かの行為を 隠蔽いんぺい するということは、実質的に不可能だ。

 2001年のアフガニスタン戦争や03年のイラク戦争の当時は、民間衛星は少なく、地球上のどこでも多数の衛星で監視できるような状況ではなかった。かつては国家が独占していた軍事機密に近いような画像も、今は多くの人が目にするようになっている。今回、ロシアも米欧の側も、情報をコントロールすることはできなくなっていると言える。

 ロシア軍の残虐さは国際的にも異質だが、宇宙からは多数の衛星で、地上では市民らがスマホで撮影した写真のSNSへの投稿によって、白日の下にさらされる。今後の紛争や戦争時には、軍隊の司令官はそうした監視の目を意識しなければならなくなるだろう。

(貼り付け終わり)
(終わり)


bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505