古村治彦です。

 私が拙著『アメリカ政治の秘密』『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で取り上げたジョー・バイデン政権のキーパーソンであるジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官が中国の楊潔篪外交部長とルクセンブルクで4時間以上にわたり会談を持ったというニューズが報道された。このブログでも繰り返し紹介しているが、「西側世界対それ以外の世界(the West vs. the Rest)」という二分された世界において、米中はそれぞれの勢力のリーダーということになる。米中両国が世界を管理する「G2Group of Two)」体制が当面の世界の安定にとって重要である。

 バイデン政権の高官が会談の様子を述べているが、ジェイク・サリヴァンからは「台湾問題について、アメリカは“一つの中国”政策を維持すると繰り返し述べながら、中国の台湾に対する姿勢やウクライナ戦争に関する姿勢を批判した」ということだ。中国側からのリアクションについて言及はないが、相当激しい応酬が行われたことが予想される。

ウクライナ戦争は対ロシア封じ込めのためのEUNATOの東方拡大が招いた悲劇であるが、それを敷衍するならば、クアッド(Quad)やAUKUS(アメリカ、イギリス、オーストラリアの軍事同盟、日本は参加拒否)といった対中封じ込めの動きもまた悲劇を招く可能性がある。従って、ここはアメリカとしても慎重に事を運ばねばならないし、その点は中国も同様だ。あくまでも「米中間競争を管理する」ということでいかねばならない。

 日本はこの二つの勢力のはざまに位置する。両方と良好な関係を維持する必要がある。どちらかに偏る必要はないし、それは不可能だ。戦後から現在までアメリカの属国であるが、この状態でいることを当然のことと考えずに常にその先はどうなるかということを考えねばならないが、戦後世界体制が変化していく中で、これから先のことをより真剣に考えばならなくなるだろう。

(貼り付けはじめ)

ルクセンブルクでバイデン政権高官が4時間以上にわたり中国のトップ高官と会談(Biden official meets with China’s top diplomat for four hours in Luxembourg

モーガン・チャルファント筆

2022年6月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/3521788-biden-official-meets-with-chinas-top-diplomat-for-four-hours-in-luxembourg/

国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンは月曜日、ルクセンブルクで4時間以上にわたって中国のトップ外交官である楊潔篪外交部長と会談を持った。バイデン政権のある幹部によると、両者は様々な議題について討論を行ったということだ。

バイデン政権幹部は会談について次のように語った。サリヴァンは、バイデン政権が「一つの中国」政策を堅持すると繰り返し述べた。また、中国の台湾海峡における「強制的かつ攻撃的な行動」についての懸念を表明した。更にはウクライナ戦争においてロシアを援助していることに対して警告を発した。

この高官は「両者は米中関係に対する評価を共有し、それぞれが両国の間の力学をどう見ているかについての意見交換も行った。この会談を率直で、深く、実質的で、生産的であった」と述べた。

サリヴァンはまた、最近のミサイル発射を受けて北朝鮮に新たな制裁を科すとした国連安全保障理事会でのアメリカの決議案に対して、中国が最近拒否権を行使したことについても懸念を表明した。

この高官は「ジェイクは北朝鮮に関しては米国と中国が協力すべき分野であることを明確にした」とも述べた。

今回の会談は、ロイド・オースティン国防長官がシンガポールで中国の魏鳳和国防部長と会談し、台湾に対する攻撃的な行動に対して北京に警告した数日後のことだった。

魏国防部長はその後、シンガポールで開催されたシャングリラ対話での公式発言でアメリカを批判し、アメリカが中国を「中傷」していると非難し、対立を避けるよう警告を発した。 

バイデン大統領は最近、大統領就任後初めてアジアを訪問し、インド太平洋地域におけるアメリカの経済的関与の指針となる新たな枠組を発表したが、これは中国の影響力拡大に対抗するための努力と広く受け止められている。

アジア諸国歴訪中、バイデンは台湾を軍事的に守ることを約束し、アメリカの政策転換を示唆した。しかし、ホワイトハウスはすぐにこれを明確に否定しようと躍起になった。

ホワイトハウスは、今回のサリヴァンと楊潔篪の会談を、米中間の競争を「責任を持って」管理するための政権の幅広い努力の一環と位置づけた。

ホワイトハウスは声明を発表し、その中で「サリヴァン氏は、米中間の競争を管理するために、開かれたコミュニケーションラインを維持することの重要性を強調した」と述べた。

サリヴァンが最後に楊潔篪と会談を持ったのは5月18日のことだった。両者は3月にもローマで会談し、サリヴァンは中国がウクライナ侵攻の初期にロシアと連携していることに懸念を示した。

3月の会談の前に、バイデン大統領と中国の習近平国家主席がヴェデオ会談を行い、アメリカ大統領は中国に対し、もしロシアを援助するようなことがあれば深刻な事態を招くことになると警告を発した。

ホワイトハウスが再びバイデン・習近平会談の計画を立てているかどうかは不明である。バイデン政権のある高官は、現時点では「具体的なことは何も計画していない」と答えたが、会談の可能性についてはドアを開けたままにしているとも語った。

ホワイトハウスのカリーヌ・ジャンピエール報道官はその後記者団に対し、バイデンと習近平の今後の会談は予定されていないと述べたが、バイデン政権は「中国との開かれたコミュニケーションラインを維持し続ける」とも述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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