古村治彦です。

 ウクライナ戦争は膠着状態に陥っている。ロシアに対して大打撃を与えるような方法を採らずに、ずるずると戦争を引き延ばすことで、武器商人たちをどんどん肥え太らせている。アメリカ連邦議会では予算はお手盛り状態で、ウクライナへの武器支援をどんどん続けている。連邦議員たちは「この武器はこれだけでは足りない」「あの武器を支援に入れていないのはおかしい」と言って、国防総省が要求した計画よりも過大な内容を付け加えている。これは地元にある防衛産業の利益のための行動である。「ウクライナのために」と言えば、誰も反対できない。そうした中で、予算に糸目をつけずにどんどん使いまくれる、そういう状況になっている。それなのに、戦争は終わらない。ロシアに大打撃を与え、撤退させるような方策は採らない。それには「米露対決がエスカレートするのは困る」という理由付けがなされる。結局、戦争は終わらず、武器だけがどんどん使われて、アメリカ国民の税金が浪費されていく。日本にも請求書が回ってくることになるだろう。
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ヴィクトリア・スパーツ

 アメリカ連邦下院議員の中に、ウクライナで生まれ育ち、大学を卒業してからアメリカに移民した人物がいる。ヴィクトリア・スパーツ連邦下院議員(インディアナ州選出、共和党)だ。1978年生まれで43歳、当時はまだソ連の一部であったウクライナに生まれた。国立キエフ経済大学で学士号と修士号を取得後、2000年にアメリカに渡り、2006年にアメリカの市民権を取得した。インディアナ大学で会計学の修士号を取得し、会計士と不動産業者として働いていた。2017年からはインディアナ州上院議員となり、2020年の選挙で連邦下院議員に当選した。スパーツは当然のことではあるが、ロシア語、ウクライナ語、英語が堪能である。スパーツはウクライナ生まれで初めての米連邦議員となった。新人議員としてのスパーツは短気なことで有名で、議員事務所のスタッフがいつかないことが話題となった。

 ウクライナ戦争開戦直後、スパーツはアメリカによるウクライナ支援を訴えた。これは当然の行動だ。戦争開始後からウクライナを6回も訪問している。スパーツの発言には一気に重みが付いた。彼女は大学卒業までウクライナで生まれ育ったのだ。親族、友人、知人のネットワークは大きいだろうし、言葉に不自由しないということは大きい。米連邦下院議員という地位もあって、ウクライナ政府からも情報が入るだろう。そして、ウクライナ政府の情報のコントロールを受けずに、ウクライナ国民の生の声を集めることが出来るということある。ウクライナに関してスパーツの発言が重要になるのは当然だった。
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バイデンとスパーツ(バイデンの隣)、カマラ・ハリス副大統領もいる

 スパーツが「ロシアを強く非難する」「どんどんウクライナに支援を行うように求める」態度から「支援はきちんと届いているか、使われているか、汚職の温床になっていないかの監視を行う」「ゼレンスキー政権の汚職に関わっている人物の更迭を求める」という態度に変化したことで、ウクライナ政府は困惑しつつも、スパーツを非難するようになった。アメリカ政府関係者たちもスパーツの態度の変化に困惑している。
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アンドリー・イェルマーク(左)とヴォロディミール・ゼレンスキー

 スパーツはウクライナ大統領府長官アンドリー・イェルマークを更迭するように求めている。そして、興味深いことに、バイデン大統領に宛てた書簡の中で「ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官はイェルマークを高く評価しているのを承知している」と書いている。この一文の解釈は難しいところである。しかし、ウクライナ戦争に関して、サリヴァンが何かしらの計画の立案と実行に関与している、その一部がイェルマークだと述べていると私は考えている。今回のウクライナ戦争に関して、ホワイトハウス(アメリカ大統領府)ではサリヴァン、ウクライナ大統領府ではイェルマークが何かしらの計画を立案して実行した、ウクライナ戦争を仕組んだのはこの2人だとスパーツとウクライナ国民の一部が考えているということになるのだろう。そして、スパーツの態度の変化をこれと併せて考えるならば、スパーツやウクライナ国民は当初ロシアによる侵攻ということで、愛国心に燃えて闘志を高めてロシアと戦っていたが、その内にどうもおかしいということになった。自分たちは騙されているのかもしれない、という考えを持つに至ったということになるのではないかと思う。
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イェルマーク(左)とジェイク・サリヴァン(その隣)

 ジェイク・サリヴァンに関しては、昨年の米軍のアフガニスタン撤退から、その外交政策に関して批判が出ている。以下にその批判に関する記事も紹介している。ここからは私の憶測だ。このようなシナリオではないかと私は考えている。ジェイク・サリヴァンはアメリカの強敵であるロシアと中国に対して、何とか打撃を与えてバイデン政権の外交政策の成功と自身への評価を高めようと考えていた。現在のアメリカの国力では中露両国を同時に相手にして戦うことはできない。そこでまず、ロシアを叩いておいて、中国に対峙しようと考えた。ロシアをウクライナに引き込んでおいて、ウクライナに徹底抗戦をさせながら、西側諸国でロシアへの経済制裁を行って、ロシアを締め上げて敗退させる。そうなればロシアとウラジミール・プーティン大統領にとっては大打撃となり、ロシア国内に付け入るスキが生まれ、ロシアを政権交代から体制転換にまで追い込むことができる。ロシアが中国から離れれば中国はユーラシア大陸で大きな圧迫を受けるようになる。クアッドにロシアを組み入れれば、中国を孤立させることができる。

 しかし、実際にはロシアを早期に敗退させることができず、戦争は膠着状態に陥った。アメリカが直接ロシアと対決すれば、核戦争までエスカレートしてしまうことになるので、米軍を派遣することはできないし、高性能の戦闘機を供与し、飛行禁止区域を設定することもできない。また、西側諸国以外の国々が対ロシア経済制裁に参加しないことで、対ロシア経済制裁の効果は限定的となった。更には、エネルギー資源をロシアに頼っていたヨーロッパ諸国はエネルギー価格の高騰に苦しむことになった。頭脳明晰なジェイク・サリヴァンの完璧な計画は失敗に終わった。ヴェトナム戦争における「ベスト・アンド・ブライティスト」たちの事例が類推される。

 ウクライナ戦争に関しては停戦の目途が立っていないが、一日も早く停戦することだ。それが世界のためだ。人々の興味関心は移ろう。あれだけウクライナ頑張れ、ロシアをやっつけてやると盛り上がっていた、日本国内の人々が今では統一教会と自民党(をはじめとする政界)の関係に熱狂している。ニューズは消費されるがウクライナ国民の苦難の生活は続く。

(貼り付けはじめ)

ウクライナ生まれの米共和党議員、祖国の政府を痛烈批判 同僚から「乱暴者」と苦言も

CNN

2022年8月8日

https://www.cnn.co.jp/usa/35191567.html

https://www.cnn.co.jp/usa/35191567-2.html

https://www.cnn.co.jp/usa/35191567-3.html

(CNN) 米国の超党派の議員グループが今年3月にウクライナ国境を訪問した際、思いもかけないゲストが姿を現した。共和党のビクトリア・スパーツ下院議員(インディアナ州選出)だ。

スパーツ氏は米連邦議会初のウクライナ生まれの議員で、歯に衣着せぬ発言を通じて祖国を擁護する。この時の議員団への参加について関心を表明していたものの、招待はされていなかった。議員団の構成は下院外交委員会が中心で、スパーツ氏は同委の所属ではないためだ。

そこで同氏は自腹でポーランドに渡航。ウクライナとの国境で議員団に合流し、現地での会合の一部に加わった。事情に詳しい複数の情報筋が明らかにした。

事前に伝えられていなかったスパーツ氏の参加は議員らを驚かせたが、当初は歓迎ムードだった。議員らはウクライナのため、西側諸国から支援を集めようとしていた。同国は1週間前からロシアによる残虐な攻撃にさらされていた。

ところがウクライナ訪問に参加した複数の議員らによると、スパーツ氏の「論争的」で「非難めいた」姿勢は、北大西洋条約機構(NATO)の関係者らを交えた会合にとって「無益」だった。その場にいることがむしろ有害ではないかという懸念も浮上したという。

共和党議員の1人は当時のスパーツ氏について、「我々議員代表団をぶち壊した。物事を台無しにする乱暴者といった感じだった」「鬱積(うっせき)した不満があったのか、正しい情報が十分得られていないと感じていたのか、それは分からないが、とにかく非難がましく無礼な態度だった」と振り返った。同僚議員に対してより自由に発言するため、また話題の性質が繊細なものであることを念頭に、この議員は他の議員と同様に匿名を条件に取材に応じた。

スパーツ氏はCNNに宛てた電子メールで匿名の批判に反論。「こうした非難は卑劣で、事実を正しく説明していない。一部の妬(ねた)み深い議員やスタッフによるものだ。極めて実りある活動を超党派で行ったのが、3月の議員代表団だった」と述べた。

スパーツ氏の言動への党派を超えた不満は、これだけで終わらなかった。戦争開始からおよそ6カ月の間、スパーツ氏はウクライナ政府に対する公の批判を継続。同国政府並びにゼレンスキー大統領の最側近らが絡むとされる汚職疑惑を広めている。これに対して同僚議員らからは、親ロシア派の主張をそっくり代弁しているとの非難の声が噴出している。

43歳の実業家であるスパーツ氏は公私において、ウクライナに勝利してほしいとの主張を繰り返す。自分が攻撃するのはあくまでもウクライナ政府であり、それがロシアに対する勝利の妨げとなり得るあらゆる障害を取り除く一助になるとの認識を示す。侵攻開始以降、6回にわたってウクライナを訪れ、ロシアにも常に非難の声を浴びせている。2日にはツイッターに、ロシアをテロ国家と宣言するべきだとのコメントを投稿した。

それでもスパーツ氏がゼレンスキー氏とその顧問らに向ける敵意に満ちた物言いは、共和・民主両党の議員やホワイトハウスの当局者、ウクライナの国会議員を一様に苛(いら)立たせている。彼らはスパーツ氏によって、団結してウクライナを支えようとする自分たちの取り組みが台無しになるのではないかと危惧するほか、一体同氏がどこから情報を得ているのか率直に疑問を呈してもいる。そうした状況は十数人あまりの議員、側近、政権内の情報筋にインタビューした結果明らかになった。

バイデン政権による度重なる状況説明や、共和党の有力議員からの私的な嘆願にも、これまでのところスパーツ氏の声高な批判を抑え込む効果はほとんどないと、情報筋は話す。

ここへ来てスパーツ氏は、国防強硬派にとってもある種厄介な存在となりつつある。彼らはすでに、国外で続く戦争に対する倦怠(けんたい)感が米国内で生まれるのを懸念している。また同氏がウクライナ批判を続ける中、「Make America Great Again(米国を再び偉大に)」をスローガンに掲げる共和党の一派からは、ウクライナに兵器と支援物資を送り続けることについて懐疑的な見方が出てきてもいる。

スパーツ氏自身は、ウクライナへの兵器などの迅速な供与を可能にする重要法案成立を強く支持してきた。ウクライナ向けの兵器に対するより厳格な管理も呼びかけており、これには議員らも党派を超えて賛同している。その強い物言いに不満を抱きつつ、祖国を救いたいという必死さの表れだとしてスパーツ氏の擁護に回る議員も一部にはいる。

スパーツ氏はCNNへのメールで自らの情報源について説明。情報の入手先は現地にいる真のプロフェッショナルたちであるのが常で、ウクライナに足を踏み入れたこともない学者や雇われ政治家たちからではないとした。またロシアのプーチン大統領の術中にはまっているのはいわゆる「外交エリートたち」であって自分ではないとも付け加えた。

「人々の命も深く気にかけている。ごく普通のウクライナ人と、勇敢なウクライナ軍の命を。たとえ受けの良くない真実を口にして政治家たちを怒らせたり、大衆受けする今どきの言説から離れていくとしても、そうした人々を失望させることはできない」「決してあきらめないし、負けを認めるつもりもない。ウクライナを1つにし、ウラジーミル・プーチンを倒すため、できることは何でもやる」(スパーツ氏)

米軍制服組トップと会談

スパーツ氏は米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長との会談も要請した。米政治専門サイト「ポリティコ」が最初に報じたこの会談で、スパーツ氏は改めてウクライナ国内の汚職に関する懸念に言及。米国の供与した兵器が本来向かうべきところに行っていないと主張した。

情報筋によれば、ミリー氏はスパーツ氏の懸念を完全には否定しなかった。米国の当局者らは、依然として汚職がウクライナ国内における問題であり続けているとみている。最近ウクライナ側と交わした電話会談の中で、ミリー氏とサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)、ブリンケン国務長官は、ウクライナが国内の汚職に関して「自分たちの改革政策を実行し続けることが重要だ」と指摘。「戦争により複数の課題が生じていようと」、その点は変わらないと論じた。ホワイトハウスが提供した電話会談の要約から明らかになった。

とはいえ全体を通してミリー氏は、スパーツ氏の懸念が度を越したものであることを本人に説明したと、上記の情報筋は述べた。スパーツ氏はCNNに対し、ミリー氏について、当該の会談以前にも話し合う機会があったと明かした。自分の意見に耳を傾けてくれる相手として信頼しているとも述べた。

ミリー氏との会談から数日後、スパーツ氏はなおもゼレンスキー氏の最側近の1人を糾弾。「戦争の継続を装い、独裁そのものの体制を作り上げている」と非難した。

下院共和党トップのマッカーシー院内総務はCNNの取材に答え、スパーツ氏のウクライナ政府批判について個人的に本人と話をしたことはないと述べた。ただこの問題に対するスパーツ氏の熱意は、戦争への注目を集めることに寄与したと称賛。とりわけ紛争開始当初はそうだったと指摘した。

そのうえで、スパーツ氏自身の家族がウクライナにいるという事情から、本人がこの問題に極めて強い感情を抱いていることは理解する必要があると語った。

国外でも懸念の声

スパーツ氏の言動に対する懸念は米国内にとどまらない。元米中央情報局(CIA)アナリストのエリッサ・スロトキン下院議員(民主党・ミシガン州選出)は、最近受け取ったウクライナの国会議員からのテキストメッセージに言及し、同国でのスパーツ氏評を明らかにした。それによると、スパーツ氏が「利用されている」のかどうかは判然としないものの、「本人のウクライナでの評判はがた落ちになった」というのが議員らの見解だという。

「指導者層は皆、この話題で持ちきりだ。彼らは気分を害している」「彼らには、なぜ彼女がこんなことをするのか理解できない」(スロトキン氏)

過去数カ月のスパーツ氏の言動を巡り、ウクライナの当局者らは一段と警戒感を募らせていると、現地の情報筋はCNNに明かす。とりわけ大統領府の長官を務めるアンドリー・イェルマーク氏に対する執拗(しつよう)な攻撃が問題視されているという。先月のツイートでスパーツ氏はイェルマーク氏の「非民主的な統治」を非難。世界的に「評判の悪い」人物と断じた。また同月8日にはバイデン氏に送った書簡の中で、イェルマーク氏及び「同氏が行ったとされるロシアと関係のある取り引き」に特化した状況説明を求めた。

イェルマーク氏がロシアとビジネス上のつながりを有しているとの疑惑は、戦争前にラジオ・フリー・ヨーロッパが報じた内容と同様のものだ。ただ同氏がクレムリンの影響下にあるとの証拠はなく、本人も疑惑を否定している。

ウクライナの当局者らは、スパーツ氏の動機に疑問を投げかける。6月24日、ゼレンスキー氏の側近の1人に送ったテキストメッセージの中で、スパーツ氏は同側近を「然るべき人物に引き合わせる」と提案している。本人によればウクライナ軍の勝利に貢献できる人物だという。

このテキストメッセージについて尋ねられたスパーツ氏は、ウクライナが戦争に勝てるよう手を貸したい人々との関係作りを手伝いたかっただけだと説明。具体的には、自身の友人でもある複数の退役軍人を指しているとした。

情報筋によれば、ウクライナの当局者らはイェルマーク氏とスパーツ氏の会談の場を設置すると申し出たが、スパーツ氏はこれを辞退した。同氏はCNNに対して会談の申し出があったことを認めたものの、当時ウクライナ外務省がイェルマーク氏への攻撃を「ひねくれた」、「根拠のない」ものと批判したと指摘。

「そのような状況では、会談を開いても得るものがないと判断した」と語った。

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ウクライナ出身の同僚がゼレンスキーを打ちのめすのを見て共和党はうろたえる(Republicans wince as their Ukrainian-born colleague thrashes Zelenskyy

-ヴィクトリア・スパーツは、春にキエフを支援する共和党の主導権を取った。今、スパーツの同僚議員たちは、彼女がその努力を台無しにしているのではないかと心配している。

アンドリュー・デジデリオ、オリヴィア・ビーヴァーズ筆

2022年7月15日

『ポリティコ』誌

https://www.politico.com/news/2022/07/15/republicans-spartz-ukraine-zelenskyy-00045949

連邦下院共和党は、ウクライナ生まれのヴィクトリア・スパーツ連邦下院議員に、ロシアの戦争に反対を表明するための切望されたプラットフォームを与えた。彼らはそのことを後悔している。

スパーツ議員(インディアナ州選出、共和党)は、ウクライナ戦争開戦以降、ウクライナを6度訪問し、この紛争について熱心に語ってきた。しかし、最近、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領とその側近に対する激しい批判で民主、共和両党の議員に衝撃を与えた。先週末にはウクライナ外務省から「根拠のない憶測で政治的な興味関心を集めようとしている」と非難される珍しい出来事も起きた。

連邦下院共和党の内部では、スパーツの姿勢が最悪のタイミングで米・ウクライナ関係を悪化させ、西側同盟の弱体化を狙う勢力に翻弄されているのではないかとの懸念が広がっている。また、共和党の国家安全保障タカ派は、ウクライナ支援に既に抵抗を示している党内の「アメリカを再び偉大に(MAGA)」派が、スパーツの発言を正当化するのではないかと懸念している。

彼らは、スパーツがゼレンスキーと公然と袂を分かったこと、そしてゼレンスキーの側近たちに対する彼女の汚職告発が、中間選挙が近づく中、アメリカのこれからのウクライナ支援に亀裂が入ることを懸念している。

連邦下院外交委員会に所属するある共和党議員は、率直に話すためには匿名が条件だとして、同僚スパーツについて次のように話した。「彼女の純真な無知さはアメリカ国民を傷つけている。私たちがやろうとしていることに彼女は役に立たないし、彼女が主張している事実とやらが正確かどうかも不明だ。私たちはウクライナの指導部についてしっかり調査している」。共和党は、スパーツの発言は戦争に対する努力を「傷つける」可能性があると警告した。

スパーツの発言についてコメントを求められた連邦下院の共和党幹部は、同じ理由から匿名で発言したが、何とも率直な返事をした。「おいおい、なんてこった」。

スパーツについて率直に話すために匿名を条件とした、3人目の連邦下院共和党議員によると、彼女は所属していない委員会のブリーフィングや会議に割り込んでくるという評判で、連邦下院外交委員会では複数の議員が密室で彼女の発言を取り上げようとしたという。

バイデン政権も巻き込まれている。スパーツの発言によって、キエフを擁護する西側連合の結束を損ないかねないという懸念が高まっている。連邦下院外交委員会のある補佐官は、匿名を条件に、米国情報機関が金曜日の朝に、連邦下院外交委員会に対して、機密扱いでスパーツの主張について説明する予定であると語った。

ゼレンスキー大統領の政敵たちは公然とスパーツ議員を応援しているが、国が生き残りをかけて戦っている間、国内政治のいさかいはほとんど脇に追いやられている。ドナルド・トランプ前大統領の最初の弾劾の要素である、ウクライナの腐敗に関する西側諸国の長年の懸念も、ロシアの侵略に対する国内外の結束を育むという目的のために棚上げされている状態だ。

ウクライナの独立国家としての将来がゼレンスキーとの同盟にかかっている時に、スパーツはゼレンスキーと彼の顧問の古い汚れを掘り起こしているとスパーツの批判者たちは口々に非難している。

ウクライナ関連法案でスパーツと組んだことのあるリンゼイ・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、「私は彼女の批判には共感しない。ゼレンスキー政権とウクライナ国民は、この瞬間に立ち上がることができたと信じている。ウクライナ国民と選挙で選ばれた指導者が共に立ち上がることは、私たちの国家安全保障上の利益となる」と述べた。

スパーツは、声明やインタヴューの中で、ウクライナに流入するアメリカ製兵器の監視を強化するよう求めており、この問題は超党派の関心を集めている。

しかし、スパーツはまた、ゼレンスキーが「政治をもてあそび」、紛争の深刻さを「理解していない」と非難している。また、アンドリー・イェルマーク大統領府長官に対しては、ウクライナ大統領府長官がロシアの懐に入っていると非難し、イェルマークに対する聖戦を開始した。

この発言は、ゼレンスキー大統領の政敵が過去に事実無根の疑惑を投げかけてきたもので、彼女は何年も前の疑惑を持ち出している。スパーツは、戦争努力を阻害したイェルマークを解任すべきだと考えていると公言した。他の人々は、スパーツ自身の行動が戦争努力を阻害していることは否定できないと批判している。

スパーツは、この記事のためにオフレコで質問に答えることを拒否したが、彼女の事務所は、ゼレンスキー政権に対する彼女の批判を擁護する文書を『ポリティコ』誌に提供した。彼女は以前、自分の間違いを証明する責任をイェルマークや他の人に負わせたことがある。

そして、彼女には後悔している様子はない。

スパーツは次のように述べている。「ウクライナで生まれ育ち、戦争が始まってから6回も訪れているので、現地の状況を総合的に理解している。私たちの機関が意図するように、熟慮なしに反応的になるには、利害関係が高すぎる」。

共和党の新人議員としてスパーツはゼレンスキー氏の側近たちを追いかけていた。この当時、スパーツはスタッフの定着率の悪さで話題になったことがあった。現在のそして元のスタッフたちはポリティコ誌の取材に対して、スパーツが繰り返しスタッフを非難する敵対的な職場環境を作り出していたことについて説明した。

この夏、43歳の彼女はゼレンスキーを悩ませる人物になり、3月1日にバイデン政権が母国で起きている危機にもっと力強く対応するよう、涙ながらに熱く訴えた時とは打って変わったメッセージを発するようになっている。ロシアの血生臭い攻撃から生き延びた家族の苦労を語るスパーツの背後には、ウクライナの国旗に合わせた青と黄色の服を着た連邦下院共和党幹部と数十人の議員が立ち、同意してうなずいていた。

それから4カ月余り、彼女がこの問題で権威ある発言者であるというシグナルは、会議ではほとんど見られなくなった。ロシアによるウクライナ攻撃自体が共和党内で政治的な茨の道となる状況下で、ウクライナ問題で同僚を公に非難することを望む同僚はいないのだが、スパーツの最新の態度は内心多くの同僚を困惑させている。

スパーツには連邦下院共和党の中にも擁護派がいるが、彼らの多くは彼女の発言を取り上げて、彼女が善意でこの問題に熱中していることを主張している。

連邦下院少数党(共和党)院内幹事スティーヴ・スカーリス連邦下院議員(ルイジアナ州選出、共和党)は今週の記者会見で次のように述べた。「ヴィクトリアは、ウクライナの人々がプーチンに対抗するために必要なツールを手に入れることを強く支持してきた。彼女はこのことに非常に情熱的だ。そして結局のところ、彼女と話した限りでは、彼女の心と魂は、ウクライナの人々がプーティンの軍事攻撃を押し返すのを助けることに結びついている」。

スパーツは、イェルマークとゼレンスキー政権が不適切な行動を取ったという主張の情報源を挙げることを拒否している。一方、ウクライナ政府関係者だけでなく、制裁政策でイェルマークと直接仕事をしているマイケル・マクフォール元駐ロシア大使のようなアメリカ人からも、大きな反発を受け続けている。

マクフォールはインタヴューで次のように述べた。「イェルマークは親ロシア派とは考えられない。彼は反プーティンで、プーティンの野蛮な政権に強く反対している。もしイェルマークが新ロシアであるならば、なぜ彼は私たちのグループに、ロシア人を制裁するための新しく創造的な方法を考えるよう勧めるのだろうか? そして、なぜロシア政府は、私の研究助手さえ含む、私たちのワーキンググループの多くのメンバーを制裁するのだろうか?」。

クリストファー・ミラーがこの記事に貢献した。

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ウクライナ外務省がゼレンスキー大統領府長官に関する「根拠のない憶測」でスパーツ連邦下院議員を非難(Ukrainian Foreign Ministry hits Rep. Spartz over ‘baseless speculation’ on Zelensky chief of staff

キャロライン・ヴァキル筆

2022年7月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/3551138-ukrainian-foreign-ministry-hits-rep-spartz-over-baseless-speculation-on-zelensky-chief-of-staff/

ウクライナ外務省報道官は、ウクライナ出身のヴィクトリア・スパーツ連邦議員(インディアナ州選出、共和党)が、ウクライナ大統領府長官を務めるアンドリー・イェルマークAndriy Yermak)に関してジョー・バイデン米大統領に手紙を送り、「必要ではない政治的な興味関心を引こうとしている」と主張した。

ウクライナ外務省のオレグ・ニコレンコ報道官は土曜日にフェイスブックに投稿し、その中で次のように書いている。「ウクライナは、ロシアの侵略との戦いにおけるアメリカの揺るぎない支援に深く感謝している。4ヶ月に及ぶ全面戦争において、連邦議会とジョセフ・バイデン政権が我が国に提供した政治的、軍事的、財政的援助は過大評価することが難しいほどだ。これらの取り組みを強化する上で、バイデン米大統領の個人的な役割を称える」。

ニコレンコ報道官は続けて次のように述べた。「このような広範な支援の背景と、ヴィクトリア・スパーツ米連邦下院議員の最近の行動や声明が特に対照的となっている。それらは、ウクライナ指導部が一見するとロシアとつながっているように見えるというロシアのプロパガンダの古典的な物語をアメリカの政治に持ち込み、私たちの国をアメリカの国内政治に引きずり込もうとする非公開の試みだ」。

ニコレンコは、スパーツが金曜日にバイデンに送った書簡に言及した。スパーツからの書簡は、バイデン政権に対し、イェルマークに関連して行われた事前調査(デュー・デリジェンス)と監視監督手続きについて連邦議会に説明するよう求め、米国内外の人々がこのウクライナ高官について懸念していると警告を発している。

スパーツ議員はバイデン大統領に宛てた書簡の中で、「ゼレンスキー大統領は西側諸国と我が国との同盟関係を築くために懸命に努力している。そうした中で彼の周りの重要人物に何か懸念があるかもしれないという可能性が考えられるのならば、そのことをゼレンスキー第伊藤亮に知らせることは私たちの責任だ。また、私たち全員のために自由と国際秩序のためにこの戦いを戦っている勇敢なウクライナ人兵士と頑強なウクライナ国民に対する義務でもある」と書いている。

ニコレンコは、スパーツのコメントは「冷笑的」で「根拠のない憶測」であると主張した。

土曜日の声明で、スパーツはニコレンコのフェイスブックへの投稿に反応し、イェルマークに対して一連の疑惑を呈した。

スパーツは、イェルマークが戦争前のモスクワとの和平交渉に適切に対処せず、ウクライナが紛争に適切に備えることを妨げようとし、緊急の軍事装備の購入を遅らせたと主張した。また、ウクライナの作戦をベラルーシとロシアにリークして失敗させたという主張もある。

「私は、ウクライナ外務省がこれまでのような中傷的な攻撃をするのではなく、イェルマーク氏に関するこれらの質問が要求しているような真剣さで私の声明を検討することを勧める。ウクライナ人とアメリカ人は、私たちの政府が防衛的な決まり文句ではなく、適切な注意を払って対応することで、より良いサーヴィスを受けることができる」と述べた。

スパーツの発言は、ロシアによるウクライナへの侵攻が100日以上続いている中で行われた。インディアナ州選出の共和党所属のスパーツ議員は、ウクライナ戦争中に何度かウクライナを訪れている。

バイデン政権は金曜日に、解体弾、高機動ロケットシステム4台、戦術車両3台などを含む4億ドルの安全保障支援パッケージをウクライナに送ることを発表した。

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ヴィクトリア・スパーツ連邦下院議員からジョー・バイデン大統領へ宛てた書簡

https://spartz.house.gov/sites/evo-subsites/spartz.house.gov/files/evo-media-document/Spartz%20Letter%20to%20Biden_Yermak%20_red.pdf

(本文はここから)

親愛なる大統領閣下(Dear Mr. President,

連邦議会の監視調査の一環として、私は、2022年7月12日に予定されている連邦議会の監視ブリーフィングで、ゼレンスキー大統領の大統領府長官を務めるアンドリー・イェルマークに関連して行われた事前調査と監視監督手続きについて連邦議会に説明するよう大統領府に要請する。

ウクライナにおけるイェルマーク氏が行った様々な情報活動と行動に基づき、連邦議会はこの情報を緊急に入手する必要がある。この紛争への私たちの物質的な関与を考慮すると、私たちの援助が間違った人々の手に渡らないようにするために、アメリカ国民に対してこのレヴェルの厳密さと説明責任を負う必要がある。ウクライナは、これまでそうではなかったが、紛争が始まり残念なことではあるが、貴政権からのセキュリティ支援のレヴェルとスピードを上げることを緊急に必要としている。

ゼレンスキー大統領は西側諸国と我が国との同盟関係を築くために懸命に努力しているので、彼の周りの重要人物に何か懸念があれば、彼に知らせるのが私たちの責任である。また、私たち全員のために、自由と国際秩序のためにこの戦いを戦っている勇敢なウクライナ人兵士と強いウクライナ人に対する義務でもある。

加えて、イェルマーク氏が汚職撲滅のための法執行の副官としてオレグ・タタロフ氏を任命したことに私は注意を喚起したいと。タタロフ氏は、ご存知のように、独立汚職防止検察官の任命を1年以上遅らせ、専門汚職防止検察局と国家汚職防止局(National Anti-Corruption BureauNABU)を機能不全に陥らせている。タタロフ氏は、任命前の2020年にNABUによる捜査を受けていたが、そこで不適切に通常の検察官に送致され、事件は解決された。また、タタロフ氏はヤヌコビッチ前大統領の下でユーロマイダン抗議者たちを起訴した警察幹部でもあった。

イェルマーク氏は、米国内外の様々な人々に多くの懸念を抱かせているが、あなたの国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンは、イェルマークを高く評価していると思われる。この緊急の案件について、これらの疑惑を肯定するか否定するか、一刻も早く連邦議会でご回答いただきたい。ブリーフィングの詳細については、私の事務所に直接ご連絡いただきたい。迅速なご返答をお待ちしている。

親愛の情を込めて

ヴィクトリア・スパーツ

連邦下院議員(インディアナ州第5選挙区)

CCにて、アントニー・ブリンケン国務長官、ブリジェット・ブリンク駐ウクライナ米国大使

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スパーツ議員:ゼレンスキー大統領はイェルマークに関わる問題を真剣に処理しなければならない(Spartz: President Zelensky Must Address the Yermak Issue

2022年7月9日

ヴィクトリア・スパーツ連邦下院議員事務所プレスリリース

https://spartz.house.gov/media/press-releases/spartz-president-zelensky-must-address-yermak-issue

ワシントDC発。ゼレンスキー大統領が、狡猾な敵と危険な戦争を戦っていることを承知している。彼は国を守るために国際的な支援の構築に多くの時間を費やしているが、大統領府のトップであるアンドリー・イェルマークという長引く内部問題を抱えている。

私はこの3カ月間、ウクライナで多くの時間を過ごした。地域や政府のリーダー、戦闘員、そして一般市民に会ってきた。私は、ウクライナは民主政治体制の強国であり、若い才能の育成機関であり、アメリカがパートナーシップを強く求めている地域において、アメリカの真の同盟者となる可能性を持っていると信じている。そして、共産主義独裁政権下のウクライナで育った者として、自由を愛する全ての人々の最善の利益は、常に私の心と行動の中に存在する。

アメリカ人、ウクライナ人、そして世界中の多くの人々から受けている強い支持に基づき、私はなぜ私の発言がウクライナ外務省の神経に触れたのか理解することができた。

ウクライナ外務省には、これまでのような私に対する中傷ばかりの攻撃ではなく、イェルマーク氏に関する疑問について、真摯な態度で私の発言を検討することを求めたい。ウクライナ人とアメリカ人は、ウクライナ政府が保身だけの決まり文句ではなく、適切な注意を払って対応することで、より良いサーヴィスを受けることができるだろう。

イェルマーク氏に対する重大な疑惑を複数列挙し、彼自身に対処してもらうことにしよう。

ウクライナによる「ワーグナー・グループ(Wagner Group 訳者註:ロシアの民間軍事会社、準軍事組織のネットワークでウラジミール・プーティン露大統領の私兵とも評されている)」捕獲作戦について、ベラルーシ、ひいてはロシアに情報を漏らし、失敗させた。ヘルソン市防衛を放棄し、「アゾフ」大隊の悲劇を実現するためにロシアに与えた。ウクライナ国防省を通じた緊急軍事装備の購入を遅らせ、不当あるいは違法な条件さえ要求した。オレグ・タタロフ副官を通じて独立汚職防止検察官の任命を意図的に遅らせた。

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ロシアが侵攻する中、スパーツ連邦下院議員が母国ウクライナを訪問(Rep. Spartz makes latest trip to native Ukraine amid Russia’s invasion

モニク・ビールス筆

2022年6月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/3512742-rep-spartz-makes-latest-trip-to-native-ukraine-amid-russias-invasion/

ヴィクトリア・スパーツ連邦下院議員(インディアナ州選出、共和党)は今週末、ロシアの侵攻が始まって100日以上が経過し、少なくとも4回目の母国ウクライナを訪問した。

チェルニヒフ州政府高官ヴィヤチェスラフ・チャウスがSNS「テレグラム」に投稿した内容によると、スパーツはロシア軍から激しい空爆を受けたウクライナ北部の都市チェルニヒフで2日間過ごしたということだ。チャウスは、スパーツが「私たちの都市と地域を再建する可能性について研究・検討を行った」と述べた。

チャウスはスパーツ訪問に関連して「我々は、再建が実行できるという良い見通しを持っている。詳細は後ほど述べる」と付け加えた。

スパーツは、ウクライナに対するアメリカからの支援全てについて、連邦議会できちんと監視するよう求めている。5月の3度目の訪問の際の声明で、スパーツは連邦議会が「納税者の資源が必要な人々に届き、効率的に使われていることを確認しなければならない」と述べた。

スパーツは以前から、ロシアの攻撃とウラジミール・プーティン大統領に対して激しい口調で非難してきた。

ロシアによる侵攻が開始された際、スパーツは「これは戦争ではない。これは狂人によるウクライナの人々の大量虐殺だ」と述べた。

ウクライナに戦闘機を派遣したり、飛行禁止区域を設定したりすることに抵抗しているバイデン大統領について、スパーツは「口先だけ。何もしない」とも語った。

スパーツ議員は戦争開始から1週間ほど経った頃に「大統領は何をやっているのだろうか? 何百万人が死ぬまで待つつもりなのだろうか?それから何かを更なることを実行するつもりなのか? 私たちには道徳的な義務だけでなく、自由世界のリーダーとしての義務があるのだ」と語った。

今週、バイデン政権は、長距離ロケットシステムを含む7億ドルの武器パッケージをウクライナに供与する計画を発表する予定だ。

しかし、バイデン大統領は以前、記者団に対し、戦争がより大規模な紛争にエスカレートする懸念があるため、アメリカは「ロシアに打撃を与えるロケットシステムをウクライナに送るつもりはない」と述べている。

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(貼り付けはじめ)

オバマ大統領の元補佐官が、バイデンはアフガニスタンに関してサリヴァンを更迭すべきと発言(Ex-Obama adviser argues Biden should fire Sullivan over Afghanistan

ジョセフ・チョイ筆

2021年8月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/568038-former-obama-adviser-argues-biden-must-fire-sullivan-over-afghanistan/

オバマ政権のホワイトハウスで補佐官を務めた人物が月曜日、タリバンがアフガニスタンを占領したことを踏まえ、バイデン大統領は国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンを更迭すべきだと主張する論稿を寄稿した。

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ブレっと・ブレエン

オバマ大統領の国際関与部長を務めたブレット・ブレエンは『USAトゥディ』紙に燐光を発表しその中で、一緒にオバマ政権で働いたサリヴァンについて、国家安全保障問題担当大統領補佐官としてすべての点を考慮して落第していると主張した。

ブレエンは次のように書いている。「国家安全保障問題担当大統領補佐官には2つの仕事がある。その名が示しているように、シチュエーションルームにおいて、大統領にとって最後のそして理想的には最も近い助言者である。2つ目の仕事は、アメリカ軍最高司令官の決断と指令を実際の政策に転換することだ。時には権力者に対して真実を話すことが必要だ。これら全ての点で、現職であるサリヴァンは落第しているように見える」。

ブルエンは、サリヴァンは外交政策の理論や議論には精通しているが、海外での経験が不足しており、それが「アイデアと実行の断絶」につながっていると指摘した。

"そうなのだ、バイデンはアフガニスタンからの撤退を望んだ。サリヴァンは、潜在的な落とし穴や問題を確実に回避しながら大統領の目標を達成する方法を考えなければならなかった。そうしたことが起きなかったのは明らかだ」とブルエンは書いている。

ブルエンは、サリヴァンが、バイデンの明確な要望にただ「従う」のではなく、「仲介」するべきだったと主張している。ブルエンは、バイデン政権はこれまで「外交政策に関しては、実質よりもスローガンに強い」との見解を示している。

オバマ大統領の元顧問ブルエンはまた、キャリア外交官ではなく、「政治家タイプ」の人物たちが非常に影響力のある地位に就くことが多いことを嘆いている。

ブルエンは次のように書いている。「国家安全保障機構全体にわたるこれらの人事は、このティームの到着に伴う傲慢さの反映である。彼らは、いくつかの主要な国際問題についての専門家の懸念や警告をほとんど無視してやってきたのだ」。

本誌はブルエンの論稿についてのコメントをホワイトハウスに求めた。

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元オバマ大統領補佐官:ジョー・バイデン大統領がアフガニスタンの失敗を理由にして国家安全保障問題担当大統領補佐官を更迭しなければならない理由(Ex-Obama adviser: Why Biden must fire his national security adviser for Afghanistan failure

-アメリカの安全を守るためにジョー・バイデン大統領が配置した人材、計画、プロセスはうまくいっていない。

ブレット・ブレエン筆

2021年8月16日

USAトゥディ』紙

https://www.usatoday.com/story/opinion/2021/08/16/afghanistan-disaster-why-bidens-foreign-policy-team-failed-america/8145997002/

ジョー・バイデン大統領は彼の国家安全保障ティームの入れ替えをする必要がある。

アフガニスタンで繰り広げられた惨劇は、ホワイトハウスにおける他の大きな問題を物語っている。大統領がアメリカの安全を守るために導入した人材、計画、プロセスは機能していない。

バイデン大統領が重要な地位に選んだ人物たちは、自分たちの思い込みに挑戦することがまたもできなかった。それが悲しいことに、国家安全保障会議の歴史上、最も不必要に恥ずかしい一日につながってしまった。

国家安全保障問題担当大統領補佐官には2つの仕事がある。その名が示すように、シチュエーションルームにおいて大統領に最後にそして理想で言えば最も近い助言者である。

彼らの2つ目の任務は、アメリカ軍最高司令官の決定と指示を実際の政策に転換させることだ。そのためには、権力者に対して真実を語ることが必要な場合もある。この点で、現職のジェイク・サリヴァンは失敗しているように見える。

私は、オバマ政権でジェイク・サリヴァンと一緒に仕事をした。彼は、非常に優秀で、そのため、ヒラリー・クリントン国務長官、その後はジョー・バイデン副大統領のスタッフとして、記録的なスピードで昇進した。

サリヴァンは外交政策における理論や学問的な議論は全て知っているが、海外での経験はそれほど豊富ではない。それが、アイデアと実行の断絶につながることもある。

そうなのだ、バイデンはアフガニスタンからの撤退を望んでいた。サリヴァンは、潜在的な落とし穴や問題を確実に回避しながら、大統領の目標を達成する方法を考えなければならなかった。しかし、それが実現しなかったのは明らかだ。

ここ数日、私たちが見てきたように、彼のボスであるバイデンの考えは決まっていたのだ。 しかし、このような場合、大統領として望ましい道を追求することの本当のリスクを説明し、管理する方法を見つけなければならない。国家安全保障問題担当大統領補佐官は、ただ従うのではなく、同じ目標を達成できるより安全な選択肢を提示する必要がある。

アフガニスタンからの無謀な撤退の決定についてだけではない。バイデン政権は、外交政策に関して、実質よりもスローガンに重きを置いている。アメリカは戻ってきたと約束したが、キューバからイスラエルまで、驚くほど多くの分野で関わりを断ってきた。

●バイデン大統領は一連の失敗をしている

この8ヶ月間、深刻化する世界的な脅威に対してあまりにも注意が払われていない。ホワイトハウスは表面的なことを強調しすぎ、ドナルド・トランプ大統領の破壊的な4年間の後に必要な体系的な変化を起こすことに失敗した。

問題の一部は人事の判断にある。ホワイトハウスは、最も影響力のあるポジションに政治家タイプの人間を詰め込むことを選択している。

実際、国家安全保障会議の上級職で外交官経験者はアフリカ担当上級部長1名のみである。これはオバマ大統領の時代よりはるかに少ない。つまり、サリヴァンやバイデンは、最も新しく適切な経験を持つ人物からアドバイスを受けていないのである。

●政治上の盟友が仕事で報われる

国務省では、この四半世紀で初めて、現役外交官が上位3つの職種のいずれにも就いていないという事態が起きている。

政治任用者たちを国家安全保障のポジションに就かせるという政権の傾向は大使の人選にも見て取れる。バイデンは、あまりにも多くのポストを政党の優遇措置として扱い、トルコのように本来なら外交経験が前提である場所に、富裕な人やコネのある人を指名することが多すぎるのだ。

国家安全保障機構全体にわたるこれらの人事は、このティームの到着に伴う傲慢さの反映である。彼らは、いくつかの主要な国際問題についての専門家の懸念や警告をほとんど無視してやってきた。

第一に、国境と難民の政策が回避可能な溝に陥るのを見た。大統領は、これらの分野で活躍する専門家に十分な相談をすることなく、政策の変更を急いだ。

いずれの場合も、政権はすぐに軌道修正を余儀なくされた。しかし、その前に貴重な時間と信用を失うことになった。バイデンが原則的な変革を約束したサウジアラビアやロシアなどとの関係についても、深刻な疑問が呈された。そして、アフガニスタンでの惨劇がやって来た。

そうなのだ、私たちは常に撤退するつもりだったのだ。問題は、いつ、どのように撤退するかということだった。この2つの決断を、サリヴァンは自分の役割として慎重に導かなければならなかった。

残念ながら、彼は9月11日を前にして、大統領がアフガニスタンへの関与を終わらせようとするのを許し、アメリカの時間軸を動かしてしまったようだ。これは破滅的な誤りだった。私たちの兵士は準備不足だった。私たちは彼らを危険から遠ざけることができなかった。アフガニスタン政府と軍も明らかに準備ができていなかった。

バイデン大統領は、アフガニスタンからの撤退の失敗を監督した国家安全保障問題担当大統領補佐官と他の数人の高官たちを更迭する必要がある。彼は、主要な外交政策の決定を誰とどのように行うかを再構築し、キャリアのある専門家たちの意見をもっと取り入れる必要がある。

海外に派遣される我が国の代表に任命される大口献金者の起用はもう絶対にいない方がいい。利害関係が強すぎるのだ。最後に、世界舞台での我が国の評判と信用に与えた大きなダメージを修復することが急務である。

そのためには、バイデン大統領がこれまで以上に多くの時間を世界的な危機に費やし、選挙キャンペーンに参加しなかった人々の意見に耳を傾ける必要があるだろう。

※ブレット・ブレエン:バマ大統領のホワイトハウスで国際関与担当部長を務めた。現在は広報会社グローバル・シチュエーションルーム社長、ジョージタウン大学危機管理学部の非常勤講師を務める。

(貼り付け終わり)
(終わり)