古村治彦です。

 第20回中国共産党大会が2022年10月16日に開催される。中国共産党大会は5年おきに開催される。今回の中国共産党大会は習近平体制の継続と人事面での変更が行われると考えられている。中国共産党は約9500万人の党員を擁している。中央委員200名から上が最高幹部で、そのうちの25名が政治局を構成し、更に7名が政治局常務委員(チャイナ・セヴンと呼ばれている)。中央委員に登用されることが中国の最高幹部に入ることになる。今回の第20回中国共産党大会でどのような人物が中央委員や政治局員に登用されるかに注目されている。
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 そもそも習近平はこれまで中国共産党総書記を2期10年務めた。前任の江沢民と胡錦涛は2期10年で引退した。習近平は3期目更には4期目を目指していると見られている。習近平体制を強化するためにも人事の変更が行われるようだ。習近平の3期目継続というのは、歴史的な類推(アナロジー)で考えると、第二次世界大戦中のフランクリン・D・ルーズヴェルト米大統領を思い起こさせる。ルーズヴェルトはアメリカ史上唯一の4選を果たした大統領である。戦時下という特殊な状況であったが、アメリカの戦時体制確立と推進を行ったことで現在でも評価が高い大統領となっている。習近平も国外での厳しい状況に対処するために強固な体制を築こうとしているようだ。

国外での厳しい状況とは具体的には戦争だ。具体的にはサイバー戦争や宇宙戦争に備える体制づくりだ。習近平は既にそのための布石を打っていたようだ。下に掲載した記事の著者林和立(ウィリー・ウー=ラップ・ラム)は「この10年間で、領袖(袖、leader)である習近平は国防・航空宇宙産業(工航天系、jungonghangtianxi)の幹部や科学者を民間人のトップに登用した」と書いている。下の記事にいろいろと名前が出てくるか、こうした人々が3期目以降の習近平体制を支えていくということになるのだろう。

 これからしばらく、第20回中国共産党大会に向けでの記事をいくつかご紹介していく。

(貼り付けはじめ)

第20回中国共産党大会:習近平は次期指導者グループの構成で大きな成功を収めようと動き出している(The 20th Party Congress: Xi Set to Score Big in Composition of Next Leadership Corps

ウィリー・ウー=ラップ・ラム筆

2022年8月12日

『チャイナ・ブリーフ』

https://jamestown.org/program/the-20th-party-congress-xi-set-to-score-big-in-composition-of-next-leadership-corps/

●導入(Introduction

中国の習近平国家主席を中心に執拗に作り上げられた個人崇拝に多くの幹部が反発している。今秋の第20回中国共産党大会で中央政治局(Politburo)などの最高指導部の顔ぶれが披露されることになるが、マキャベリストの習近平はトップに君臨し続けることになるだろう。中国共産党総書記(CCP General Secretary)は、中国共産党と中国の「全ての主席(chairman of everything)」として、企業や地方行政の債務超過など経済状況の悪化に対応する最終責任を負っている(チャイナ・ブリーフ:7月18日付)。外交面では、北京のロシアとの「無制限の」準同盟(quasi-alliance)や、ナンシー・ペロシ米連邦下院議長の訪台に伴う台湾周辺での軍事訓練の長期化は、民主化を進める西側同盟と、中国、ロシア、北朝鮮などの権威主義国家(authoritarian states)による「独裁軸(autocratic axis)」のと間の「新冷戦(new Cold War)」を深刻化させるものだ。

習近平は、経済・外交の両分野で優れた政策立案者というわけではないが、最高指導者は、個人的な帝国建設の達人であり、特に中国共産党政治におけるいわゆる「習近平派」の影響力を拡大させることに、その手腕を発揮している。2012年末に習近平が中国共産党総書記に就任した時には小派閥は、今や中国共産党の支配的な派閥となった。そのメンバーには、習近平が1985年から2007年まで務めた福建省や浙江省時代の側近や取り巻きが含まれている。習近平の出身地である陝西省や、習近平の母校である清華大学には、習近平の子飼いの者が多い。この10年間で、領袖(leader)である習近平は国防・航空宇宙産業(军工航天系jungonghangtianxi)の幹部や科学者を民間人のトップに登用した(Chinafocus.com:7月15日;チャイナ・ブリーフ:5月27日)。

一方、かつて党内で優勢だった2つの閥、共産主義青年団派(Communist Youth League Faction CYLF)と上海閥(Shanghai Faction)の重要性は低下している。李克強国務院総理(Li Keqiang、1955年-)と汪洋中国人民政治協商会議(Chinese People’s Political Consultative Conference CPPCC)主席(1955年-)の2人の中央政治局政治局常務委員(Politburo Standing Committee)は共青団派であり、政治局常務委員で胡春華政治国務院副総理(Hu Chunhua、1963年-)も共青団派だ。上海派とつながりのあった韓正政治局常務委員兼国務院常務副総理(Han Zheng、1954年-)とイデオロギー面の責任者である王滬寧政治局常務委員兼中国共産党中央書記処常務書記(Wang Huning、1955年-)は、習近平陣営に移ったようである。習近平は次の第20回党大会で3期目、いや4期目の5年制指導を目指し、長年の党の慣例を破る構えだ。また、「七上八下」(68歳で定年、67歳はもう1期できる)という有名なルールが、今大会では選択的に適用されるにとどまる可能性もある。

●中国共産党中央委員会政治局と政治局常務委員会の顔ぶれを予測する(Predicting the Politburo and its Standing Committee

中国共産党の力の均衡(バランス・オブ・パウア、balance of power)と今後の政策の方向性は、1週間の大会に出席する2300人あまりの代議員が承認する3つの組織のメンバーの派閥的な方向性に大きく左右されることになる。中央委員会には約205人の委員と約170人の委員候補(投票権のない委員という意味)がいる。中央委員会の委員は「選挙」の後、25人程度の政治局員を自分たちの中から選ぶ。そして、政治局は、常務委員会を構成する国内最高実力者7人を選ぶ(アジア社会政策研究所:8月4日付)。しかし、いわゆる代議員による投票は、トップの3段階の名簿は、派閥指導者や元代議員の意見を考慮しながら、現職の中共と政治局メンバーによって事前に決定されているため、形式的なものに過ぎない(HK01.com:1月1日;Reuters Chinese:2021年11月18日)。

2017年の第19回党大会で決定された現在の政治局は習近平派が既に支配している。この習近平に忠実なグループには、党中央弁公庁主任の丁薛祥(Ding Xuexiang、1962年-)、党組織部長の陳希(Chen Xi、1953年-)、宣伝部長の黄坤明(Huang Kunming、1956年-)、中央軍事委員会副委員長の張又侠(Zhang Youxia、1950年-)と許其亮(Xu Qiliang、1950年-)の2人の人民解放軍上将、中央政法委員会書記の郭声琨(Guo Shengkun、1954年-)らが含まれる。また、政治局には、北京市、上海市、重慶市、天津市、広東捷の党委員会書記である蔡奇(Cai Qi、1955年-)、李強(Li Qiang、1957年-)、陳敏爾(Chen Min’er、1960年-)、李鴻忠(Li Hongzhong、1956年-)、李希(Li Xi、1956年-)ら省・大都市代表が名を連ねる(VOAChinese:7月18日付)。

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丁薛祥

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黄坤明

これら習近平派の幹部たちのうち、習近平の分身と呼ばれることもある丁薛祥は、今回の第20回党大会で決定される政治局常務委員会に参加することが確実視されている。習近平は、重慶市の陳敏爾党委書記や上海市の李強党委書記など、1人か2人の地方の新星を中国共産党の最高幹部に登用したがっていることが知られている(Chinanewscenter:7月23日付;VOAChinese:3月21日付)。習近平が1期か2期の任期延長に成功し、3人の子飼いを7人で編成される政治局常務委員会に登用すれば、習派がこの最高意思決定機関を支配することが可能になる。しかし、李強の評判は、上海の新型コロナウイルス感染拡大による2ヶ月間の閉鎖という大失態によって低下している。また、広東省の党委書記である李希も最近の広東省の不甲斐ない経済状況により、昇進の可能性は低くなっている(『連合日報』:6月29日付;『網易』:5月24日付)。

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陳敏爾

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李強

2人の共青団派の有力者が政治局常務委員会に留まる、もしくは参加する可能性がある。67歳になる李克強国務院総理は、ここ数ヶ月、経済の難問に対処して得た信用を考えれば、最高会議である政治局常務委員会に留まる可能性がある。憲法上、李総理は中央政府のトップを2期しか務めることができないため、習近平の盟友である栗戦書(Li Zhanshu、1950年-)が非公式な定年である68歳をはるかに超えている全国人民代表大会常務委員長に移るかもしれない(ANI news:5月18日付)。また、李克強は、胡春華副総理が自分に代わって国務院総理になることを主張するかもしれない(Mingjingnews.com:7月27日付)。国務院総理の候補者の中で、副総理の経験を持っているのは胡春華だけである。汪洋と王滬寧はともに67歳で退くと言われている。

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栗戦書

習近平にとって最も問題なのは、1957年生まれの趙楽際(Zhao Leji)であろう。2007年から2012年まで陝西省党委書記を務めた趙は、もともと習近平と親しいとされていた。しかし、陝西省の秦山沿いで民間の別荘を違法に建設し、大規模な森林破壊を行ったことをきっかけに、2人は不仲になった(Chinaaffairs.org:1月23日付、BBC中国語版 :2019年1月17日付)。風水や中国の地占いの迷信的な観点から、秦山は中国史における皇帝や独裁者の「霊的背骨(spiritual backbone)」であり「錨(anchor)」であるとされている。習近平は政権に就いた後、この別荘を取り壊すよう何度も個人的な指示を出していたが、違法建築物が取り壊されたのは2018年になってからだった。趙楽際は中国共産党中央規律検査委員会(国家最高レベルの反腐敗部門)を書記として所管しており、その責任の一端を担わなければならないと言われている。さらに、杭州の趙建勇(Zhao Jiangyong)党書記と鄭州の徐立栄(Xu Liyi)党書記という習氏のお気に入り2人の最近の懲戒・汚職関連の調査は趙書記が担当した(サウスチャイナ・モーニング・ポスト:4月11日付;環球時報:1月21日付)。

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趙楽際

●「銃、ナイフ、ペン」の管理(Control of “The Gun, the Knife and the Pen”

政治局内では、軍や警察、思想・宣伝機構を誰が統制するかが注目される。中国共産党が権力を維持するためには、「銃とナイフとペン」の組み合わせが第一と考えられているからだ。習近平は自分の息のかかっている人物で政治局常務委員会のメンバーを占めることに苦闘するだろうが、25人の政治局員のうち高い割合を占めており、軍と警察のトップポストもスムーズに引き継ぐことができる。政治局員である張又侠、許其亮の2人の人民解放軍上将は共に退任する予定である。後任の有力候補は人民解放軍参謀本部長の李作成(Li Zuocheng)と人民解放軍政務工作部長の苗華(Miao Hua)である。習近平は李と個人的に親交があり、大会開催時に李は69歳であるが、年齢を理由に候補から外れることはないだろう。苗(1955年-)は以前、福建省や旧南京軍区に勤務しており、習近平と交わったことがある。習近平の腹心で、最近、公安部長官に昇進した王小洪(Wang Xiaohong)も福建省で20年余り勤務した。王(1957年-)は警察、秘密警察、裁判所などを管轄する中央政法委員会のトップとして政治局入りが有力視されている。

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王小洪

現職の黄坤明(1956年-)宣伝部長は、理論上はもう1期、党の「ペン」、つまり代弁者として留まることができる。しかし、習近平の浙江省時代の取り巻きは、最高指導者の周りに毛沢東的な個人崇拝を復活させていると反対派のメンバーから非難されている。このため、習近平は退任前に全国人民大会副委員長か全国政治協商会議副主席に就任する見込みである。宣伝担当の新政治局員は、著名な学者の李(書)Li Shulei、1964年-)で、最近、同部常務副部長に昇進した。李は2007年から2012年まで中央党校で習近平の代理人を務め、最高指導者のスピーチライターを務めている(Jfdaily.com66日付;Sohu.com65日付)。幹部の力と忠誠心を維持するために同様に重要なのが、組織部長である。習近平の腹心である陳希の後任には、現国務院文化部長の胡和平(Hu Heping)がダークホース的な存在として取りざたされている。胡和平(1962年-)は習近平の清華大学同窓会ネットワークと密接な関係にあり、陝西省長、党委書記の他、浙江省党委の要職を歴任してきた。胡和平は、「習近平同志の権威を党の中核として堅持することが必須である」と繰り返し強調する最も声高な地方幹部の一人である(Radio Free Asia:2021年10月29日付;Chinaaffairs.org:2021年10月26日付)。 組織部長のもう一人の候補は、現部長の陳希の副官を務める姜信治(Jiang Xinzhi、1958年-)である。姜信治は2011年から2015年まで、習のもう一つの権力基盤である福建省の組織部長を務めていた。

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胡和平

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姜信治

●新世代のテクノクラートたちの一団(A New Breed of Technocrats

習近平は「終身指導者(leader for life)」の称号を手に入れ、派閥による政治委員会の支配を維持するとの見方が強いため、今回の大会では急激な政策変更は発表されないと見られている(Radio Free Asia:4月7日付;Radio French International:5月3日付 )。しかし、新しい中央委員会と政治局の資質と政治的性向については疑問が呈されている。その最たるものは、新指導層の中に市場志向の専門的なテクノクラートが欠けているのではないかという認識である。

朱鎔基元首相が1998年から2003年まで中央政府のトップだった時、彼は優秀な金融専門家であるテクノクラートを、中国人民銀行、財政部、銀行・保険監視機関などの官僚機構の大臣や次官に大量に登用した(Netease:2020年8月5日付)。しかし、改革志向の強い楼継偉元財政相部長(Lou Jiwei、1950年-)(Aisixiang.com: 6月21日付)をはじめ、こうしたテクノクラート系幹部はほぼ全員が引退、あるいは辞めようとしている。第20回党大会で昇進が確実視されている経済関連の最高幹部、首相の座を狙う胡春華と財政担当副首相の有力候補、何立峰(He Lifeng、1955年-)は、プロの管理者というよりヴェテラン党員である(Radio Free Asia:7月27日付;Newscenter.com:3月11日付)。彼らは、習近平派や共産主義青年団派などの強力な派閥のリーダーであることが、その地位の確立の主な理由だ。

習近平がこの10年で育てたテクノクラートたちは、航空宇宙分野(aerospace)を中心とした防衛産業の専門家やトップマネジメント担当者たちで構成されている。新疆ウイグル自治区党委書記には通常、政治局員の席が与えられるため、中国航空宇宙科学技術公司(CASC)の元総経理で中国国家宇宙局長を務めた馬興瑞(Ma Xingrui、1959年-)は、工航天系(jungonghangtianxi)のメンバーとして初めて政治局に入ることになるだろう(日経アジア、2021年12月28日付)。この習近平派閥の他の傑出した代表として、湖南省の張慶偉(Zhang Qingwei)党委書記がいる(The Diplomat:2月19日)。著名なロケット科学者であり、中国航空宇宙科学技術公司の元責任者である張慶偉(Zhang Qingwei、1961年-)は、中国の月探査プロジェクトで重要な役割を担った。2002年、41歳の若さで中央委員会の委員に就任した。もう1人、同分野の新星は浙江省党委書記の袁家軍(Yuan Jiajun、1962年-)である。浙江省は習主席の重要な権力基盤であるため、同じく中国航空宇宙科学技術公司の出身者である袁は5年後の政治局入りが有力視されている(Reddit.com:2021年12月8日付)。

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馬興瑞

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張慶偉

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袁家軍

アメリカやヨーロッパの同盟諸国だけでなく、日本やオーストラリアなどアジアの大国が北京の対ウクライナ姿勢に否定的な反応を示し、更にナンシー・ペロシ米連邦下院議長の台湾訪問に対する中国人民解放軍の「過剰反応(overreaction)」が明らかになったことを考えると、習近平は自国の逞しい「戦狼外交(wolf warrior diplomacy、訳者註:攻撃的、論争的な外交スタイル)」よりもパートナーシップ構築について詳しいプロの外交官のティームを配置する必要がある。外交担当の政治局員で前駐米大使の楊潔篪(Yang Jiechi、1950年-)の後任として最も可能性が高いのは、現外相の王毅Wang Yi、1953年-)である。王毅は69歳(通常の定年である68歳を1歳上回る)であることを除けば、「戦狼外交」の提唱者として知られ、中国が世界秩序の中で相対的に孤立する原因となっている(VOAChinese:7月23日付;Financial Review:7月7日付)。今年5月まで王毅の代理を務めていた楽玉成外務副部長(Le Yucheng、1963年-)は、ロシア語に堪能な彼がウクライナ危機への対応を誤ったため、突然国家ラジオ・テレビ局に異動させられた(日経アジア:7月23日付)。欧米諸国は、北京に外交政策担当の有力な政治局員がいなくなれば、国家安全保障問題で人民解放軍の将官たちがさらに大きな影響力を行使することになると懸念している。

●結論(Conclusion

政治局への昇進の可能性がある、いわゆる第7世代(Seventh-Generation7G)幹部の少なさも問題である。1970年代生まれの最高幹部は次官級にとどまり、第20回党大会で中央委員や中央委員候補になるのは比較的少ない数に留まるである(SCMP:5月23日付)。もし習近平が予想通り2032年の第22回党大会まで、あるいはそれ以降も最高指導者にとどまるとすれば、その頃には多くの第6世代政治局員が68歳の定年に達していることになる(チャイナ・ブリーフ:2021年11月12日付)。これに対し、2002年から2012年まで政権を担っていた胡錦濤前国家主席は、新進気鋭の第6世代(Sixth-Generation6G)の育成に大きな関心を寄せていた(Saiscsr.org:2021年7月31日付)。習近平が第7世代の幹部のキャリアアップに関心を示さないのは、習近平が20年の長期政権を志向しており、その場合、第7世代の後継者を若い子弟から決めるために、後10年の猶予があるからかもしれない。

習近平は昇進に関して「忠誠心(loyalty)」が「実力(competence)」に勝ることを繰り返し強調し、新政権メンバーのプロ意識の欠如を過度に懸念していないようだ(人民日報:3月24日付;Prnewswire.com:2021年9月4日付)。この1カ月余り、胡春華のような反対派罰の有力メンバーでさえ、自身が担当する習近平の農民政策の「並外れた知恵」を称える記事を書いている(Gov.cn:7月27日付)。しかし、最高指導者の子飼い、部下で構成される中央委員会(Central Committee)、政治局(Politburo)、政治局常務委員会(PBSC)は、中国共産党の統治の質を大きく低下させることになる。しかし、習近平が「中国共産党の終身核心(party core for life)」の地位確保に注力していることから、21世紀の毛沢東を自称する習近平にとって、このことは最大の関心事ではないようである。

※林和立(Willy Wo-Lap Lam、ウィリー・ウー=ラップ・ラム)博士:ジェイムズタウン財団上級研究員。『チャイナ・ブリーフ』定期寄稿者。香港中文大学歴史学部・国際政治経済修士プログラム非常勤教授。中国に関する6冊の著作があり、『習近平時代の中国政治』(2015年)がある。最新作は『中国の将来ための戦い』(ルートレッジ・パブリッシング、2020年)。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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