古村治彦です。

 今回は、『日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る(上・下)』(徳間書店)をご紹介します。発売日は2022年11月2日です。

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日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る(上)

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日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る(下)

 本書は副島隆彦先生の英語分野の代表作である『英文法の謎を解く』(1995年)、『続・英文法の謎を解く』(1997年)、『完結・英文法の謎を解く』(1998年)のちくま新書の3部作を、2冊にまとめて再刊です。

 以下に、はじめ、目次、あとがき(『完結・英文法の謎を解く』から)を貼り付けます。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

はじめに

 本書は、ちくま新書から刊行した『英文法の謎を解く』(1995年)、『続・英文法の謎を解く』(1997年)、そして『完結・英文法の謎を解く』(1998年)の3冊を上下2巻の新装版にしたものである。

 この3部作は、幸い読者から好評を得てベストセラーとなり、シリーズトータルで40万部を超え、大きな反響を呼んだ。

「日本人が英語ができないのは、明治から続く日本の英語公(こう)教育に欠陥があるからだ」と、私は主張した。英語教育に関わる人々からの強烈な反発もあった。しかし、あれから 25 年が経過したが、事態はまったく変わっていない。日本人は英語が相変わらずへたである。25 年前に私が書いたことが、驚くべきことに、全く古くなっていない。この間、日本の大学の文学部の英文科卒共同体はいったい何をしていたのか。その責任が今も問われる。

 しかし、さらに真実は、今やどこの大学にも「英文科」はない。滅んでしまった。

 33年前(1989年)に起きた、ある事件(英和辞書のつくり方の欠陥問題を巡って争われた)の所為(せい)もある。

 日本の大学知識人たちは、国内だけで威張っている。世界標準(world values, ワールド・ヴァリューズと言う)から見ると日本には本物の知識人(インテレクチュアルズ intellectuals)はほとんどいない。海外で活躍するビジネスマンや理科系のエンジニアのなかに世界で通用する人々がいる。この真実を正直に認めあう真剣さと正直さが、現実を打開してゆく唯一の方策である。これだけが、日本人の英語学習を根底から変革する。この現実のひどさをみんなで正直に認めて公然と議論しさえすれば、日本人の英語学習問題は、急激に改善する。本書が復刊されたことで、この議論の起爆剤になることを、私はひたすら祈る。

副島隆彦

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日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る──上巻目次

第1部 英文法の謎を解く

はじめに 1

第1章 have について考える

have について考える 11

基本動詞 have について考える 11

固有名詞の前の a the について 11

病気の have を覚えよう 13

have be と同祖である 14

超動詞 get の登場 17

イギリス英語とアメリカ英語の違い 19

I donʼt know . をきちんと言おう 20

have を身近にしよう 22

evening は何時? 24

時制について 25

第2章 I am happy.  は、×「私は幸せです」ではない

fine happy の違い 29

超基本語 well, good, nice の使い方 31

You are wrong . の正しい意味 33

Watch your step ! ──足元を見つめよう 35

I hear you. を訳してみよう 38

I am juice. は、日本語英語の極北である 40

please の2通りの使い方 43

第3章 基本的な動詞の使い方を知ろう

say, talk, speak, tell, call について 47

say の使い方 49

tell の使い方 50

call について考える 51

現代英文の基本形 52

前置詞 of の意味 54

あまり便利ではない英和辞書 56

基礎工事のダメな日本人英語 58

第4章 文型理論と品詞分類法はちがう

現在完了形とは何か 59

現在完了形の構文分析 61

be have は別格である 62

叙述用法の be 64

be の使い方の4つの基本種類 65

「構文」とは何か 66

Itʼs a Sony. について 67

文型分類理論の完成 70

現在進行形を考える 72

動名詞か、現在分詞か 74

不定詞とは一体何のことか 77

第5章 It people について考える

Itʼs good. について 85

「天気・天候の it 」について 86

「時間の it 」について 88

it this that も同じである 88

Itʼs me. ’ について 89

「日本人はよく働く」という文を英作文してみよう 90

種類全体を表す the 91

種類全体を表す a 93

数えられる名詞と数えられない名詞 94

猫は昼間はよく寝ています 95

people というコトバもむずかしい 97

統辞論と意味論の両面から考えよう 98

英語の試験のチェックポイント 99

第6章 日本人だけしか使わないヘンな英語

What is the matter with you? はヘンな英語だ 101

Itʼs kind of you to ...... について 103

× hearing test (ヒアリング・テスト)について 105

× speak ill of (スピーク・イル・オヴ)について 106

× had better (ハッド・ベター)について 107

a walking dictionary (ア・ウォーキング・ディクショ

ナリー)について 109

Mother (マザー)について 110

senior to ......,  junior to ......(シニア・トゥー、ジ

ュニア・トゥー)について 110

I go out. I start home. (アイ・ゴー・アウト、アイ・

スタート・ホーム)について 111

第7章 仮定法は、なぜむずかしいか

「ただの条件の文」は仮定法ではない 115

日本人になかなか理解できない理由 116

仮定法・過去の文 177

仮定法・過去完了の文 119

仮定法・過去の文の方がコワイ 120

仮定法とは、最高度に洗練された表現法だ 123

直説法・現在の文 124

「仮定法・現在」「仮定法・未来」の文 126

すっきり分かる「仮定法・過去完了」 129

仮定法 と 条件法 はちがう 133

クレオパトラの鼻──仮定法・過去完了の文 135

今は使われない仮定法・現在の文 136

願望表現の仮定法 139

第8章 英語文法理論の体系英語の山と「節」について

英文法体系の立体図式 145

輸入英文法の混乱 147

英文の立体化モデル 148

英語勉強のスキーの山 152

文と節はどうちがうのか 154

関係代名詞とは何か 155

副詞節 の代表選手は when 161

8種類の 副詞節 162

接続詞の使い方を徹底的に習熟しよう 164

第9章 文型理論と「第5文型の文」

例文を文型理論で考える 167

第5文型の代表文例 170

さまざまな第5文型の文 172

深刻な問題 177

第10章 比較の表現

比較表現 の 連続的展開 183

大学入学試験に出題された問題 194

第2部 続・英文法の謎を解く

はじめに 199

読者からの手紙 199

本書がめざすテーマ 203

第11章 存在の be について考える

It is 3 hours. で考える 205

It wonʼt be long before. について 207

Iʼm late. で到着の be を考える 211

さらに「存在の be」を考える 219

第12章 英文法とドイツ文法の関係について考える

私が書いた一文について 223

第13章 日本人だけしか使わないヘンな英語

テレビ・コマーシャルの英語 233

ニガイ午後の紅茶 238

異文化コミュニケーションの失敗談 246

英語教育の中のヘンな英語 249

日常生活の中のヘンな英語 251

第14章 seem look はきわめて重要な動詞である

seem look の重要性 259

「見ている」のは誰か 260

叙述用法の型の文 262

第2文型か第3文型か 262

その他の代表的な不完全自動詞 268

It seems that...... の重要性について 273

現代アメリカ人は seem を嫌う 275

第15章 good bad 倫理判断と価値判断のちがい

「彼はいい人だね」の「いい」とは何か 279

倫理判断と価値判断の表 282

正義(ジャスティス)について 289

be good at~ について 291

value について 294

第16章 the way how の関係そして what that

the way の使い方 299

関係代名詞・関係副詞の最高級問題 302

助動詞扱いの be to について 308

A is B. の文と「助動詞の is to」の文の区別をつけよう 310

that what の関係について 313

複合関係代名詞 の whatever の早分かり 315

some any every のちがい 316

「~の間」を表わす前置詞 318

日付の書き方 323

あとがき 329

付録① 第5文型の文の表 331

付録② 英文法用語たったこれだけの表(まとめ) 332

付録③ 140 個の基本動詞について 336

付録④ get の七変化論 339

*  *  *

日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る──下巻目次

第2部 続・英文法の謎を解く(承前)

上巻に続いて はじめに 1

第17章 なぜ、日本人は英語がへたなのか 

東アジアの英語文化圏 11

言語的に孤立した国「日本」 13

ピジンとクレオール 15

日本人の英語は、ピジン・イングリッシュ 17

第18章 基本動詞の使い方について考える 

自動詞と他動詞の区別はできない 21

I think that......「~と私は思う」の使い方 25

再び、I go to school. の基本文について 29

第19章 ラテン語文法の「格」と英文法の「文型」の統一に向かって 

ラテン語文法の「格」と英文法の「文型」 37

英文法の「語」とラテン・ドイツ文法の「格」の関係の表 39

20 章 英語の音声について(発音論) 45

英文を音声として読むことは簡単なことではない 45

「アは6つある!」 「二重母音は4つある!」 と覚える 49

日本人の英語発音の致命的欠陥 52

英和辞書の発声表記 56

音声記号を自力で書いてみる 61

子音の清音と濁音 64

日本語のサ行摩擦音について 66

日本語の「フ」と「ヴ」について 67

ダーク・エルの問題 69

「エ」と「イ」の音の区別 72

第3部 完結・英文法の謎を解く

はじめに 75

第21章 「人、人間」を表す one a person 

a person one の法則を知ること 79

people はただの「人々」でいいのか? 81

a person one の複数形が people である! 84

You の使い方も重要 85

We には総称的用法はない 87

Man a man men は全然違う 88

human beings には学術用語的な硬さがある 91

Itʼsto の構文から You を考える 92

a person の代名詞は何? 96

it one はどう違うか 101

第22章 冠詞 a the と複数形の -s の問題はやっぱり奥が深い 

I like a cat. の誤文を訂正する 105

a the の問題はやっかいだ 110

第23章 基本語の All → Many → Some → No

システムとして理解する数量表現の基本 119

重要なのは基本語の理解である 119

All → No の体系表 122

大学受験でよく出題される英作文問題 133

代名詞の one, other, some の使い方 138

第24章 I am a Japanese.

「私は日本人です」は間違い英文らしい 145

I am a Japanese. は誤りか 145

for a long time「長い間」について 149

代表的な不可算名詞と people 163

第25章 「煙草をすってもいいですか」 

相手に許可をもとめる助動詞 may can 169

would の怖さが分かれば一人前 171

学校英語の教え方が問題である 177

第26章 「これを英語でなんと言うの」

Whatʼs the English for this ? 181

外国語の勉強の基本 181

「これを英語でなんと言うの」の英文を考える 184

「語る」と「話す」の違い 188

What 型と How 型の疑問文 190

Whatʼs the English for this ? 193

第27章 第五文型論 再説 

複雑なしくみをもつ第五文型の文 195

動詞 help の使い方 197

「ポン・ポン・ポン・そしてポン」のリズムで理解する 202

大学入試に出題されつづけた悪問 220

第28章 人間の感情・判断を表す動詞 

人間の感情・判断を表す動詞たちの代表選手 227

Iʼm shocked. -ed がむずかしい 235

 

第29章 mind ×心ではない。思考、知能である 

「気にする、いやがる」の mind 243

Yes, I mind. は「私はイヤです」だ 251

Yes No は常にはっきりさせる 254

mind ×「心」ではない 258

mind は思考力である 261

思考に関する数々の抽象語 262

諸辞書の mind の定義 266

日本のマインド・サイエンティストたちの恥さらし 268

mind は頭の中の思考力のことである 280

あとがき 285

付録① 表英文法用語たったこれだけの表 287

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あとがき

 この本で、私の『英文法の謎を解く』は、一応、3巻完結となる。多くの読者に恵まれたので著者としては満足しなければならない。寄せられた読者からの手紙や反響を総合して判断すると、『正』編・『続』編の読者の中心部分は、中学・高校の英語教師と、それから学習塾や予備校で英語を教えている教師(大学生を含む)たちであることが分かった。つまり現場の第一線の教師たちが、私の本から真剣に学んでいることが分かった。

 この現場のまじめな教師たちにお願いする。私が独力で築きあげた理論を自分勝手に変造したり、小手先の教室技術として活用するのではなくて、もっと大きく「自分こそは、奇型化しつくした日本英語教育の現場にあって、その責任を負っている者のひとりだ」という自覚と反省を持ってほしい。

 私自身を含めて、このままでは、いかんのです。絶対にいかん。日本人英語教師30万人自身が言語障壁(a language barrier, ランゲッジ・バリアー)の分厚い層として、日本を外側世界から遮断する壁になっている。この現状を何とかせねばならない。

 まだまだ書きたいことはたくさんある(おそらくあと10冊分ぐらい)のだが、目下、私は、アメリカ政治思想研究と国家戦略研究のほうが忙しい。今は、日本人(日本国民)をここまで世界から孤立させてしまった諸原因を探索し、その元凶を発見することに熱中している。

 その仕事が一段落したら、再び、この日本英語教育批判のフィールドに戻って来ます。ここは私の独壇場でありホーム・グラウンドだ。だから誰にも気兼ねする気がない。もし身のほども知らずに、踏み荒らしてくる者があれば鎧袖一触(がいしゅういっしょく)、殲滅(せんめつ)するだけである。

1998年 7月

副島隆彦

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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