古村治彦です。

 2024年11月のアメリカ大統領選挙に向けて、ドナルド・トランプ前大統領が出馬表明し、ジョー・バイデン大統領も2期目に向けての出馬表明を行った。民主、共和党両党はそれぞれの大統領選挙候補者を決める予備選挙を行う。予備選挙は全米各州とワシントンDCで行われるが、それは来年(2024年)初めからスタートするが、選挙戦自体は既に開始されている。

民主党はバイデンが2期目を目指すが、これまで何度も大統領選挙に出馬し、エスタブリッシュメント派と闘ってきた進歩主義派のバーニー・サンダース連邦上院議員は出馬せず、進歩主義派で人気の高いアレクサンドリア・オカシオ・コルテス連邦下院議員も出馬しない。驚いたのは、ケネディ家のロバート・ケネディ・ジュニアが出馬表明を行ったことだ。ロバート・ケネディ・ジュニアの父は、ジョン・F・ケネディ大統領の弟で、こちらも暗殺されたロバート・ケネディ元司法長官だ。ケネディ家はアメリカ民主党の「王朝」であるが、最近は存在感が希薄になっているのを受けての出馬だろうが、バイデンを倒すことはできないだろう。民主党側はバイデンが順当に大統領選挙候補者になるだろう。
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共和党側も既に複数の人物が出馬表明を行っているが、トランプ以外では、ニッキー・ヘイリー元国連大使(トランプ政権)・元サウルカロライナ州知事が現時点では有力候補者と言えるだろう。共和党側では現職のフロリダ州知事ロン・デサンティスが有力候補者とみられているが、まだ出馬宣言をしていない。デサンティスは先月、日本を訪問し、その際に岸田文雄首相を首相観点に訪問している。これはデサンティス側からの依頼を首相官邸が受け入れてのことであった。アメリカの州知事程度が首相官邸に依頼をしたからと言って、首相に会えるということは、いくら属国と言っても通常であれば無理だ。日本の首相官邸は、デサンティスが共和党の大統領選挙候補になる可能性があると見ていて、念のため、万が一の可能性も考慮して、今回首相官邸訪問を許可したのだろう。
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 しかし、これまでの各種世論調査の結果では、トランプがデサンティスをはじめとする他の候補者たち(出馬宣言していない人物も含む)に大きくリードを保ち、首位を独走している。トランプに対しては刑事訴追が行われたが、その影響は全くないどころか、かえって支持を伸ばしている。

 その理由は「強さ」である。そして、トランプのライヴァルと目されるデサンティスがエスタブリッシュメント派の候補者であることが既に有権者に見破られているからだ。デサンティスの岸田首相との会談もデサンティスがエスタブリッシュメント派であることから実現したと言える。しかし、そのために、「デサンティスには強さはない。戦いを勝ち抜く力はない」と共和党支持の有権者は考えているようだ。

 2024年の大統領選挙もトランプ対バイデンの戦いという構図になりそうだ。バイデンと側近たちは「大統領の犯罪(具体的にはノルドストリーム爆破事件)」が白日の下に晒されることがないように、そして選挙に落ちて、そうした犯罪が明らかにされ、自分たちが逮捕されることないようにするため、あらゆる手段で選挙を勝ちに行く。不正な手段でもなんでもやるだろう。「毒を食らわば皿まで」だ。しかし、そのような選挙に、民主政治体制国家のモデル、お手本、世界最高の国の矜持はズタズタにされてしまう。アメリカ国民の中での断絶や不和が更に広がり、アノミー状態に陥って、国会時において大きなダメージとなるだろう。

(貼り付けはじめ)

共和党支持の有権者たちはどうしてそこまでトランプに忠実なのか(Why GOP voters are so loyal to Trump

-共和党の予備選挙の有権者たちでは、2024年の共和党大統領候補としてトランプ元大統領への支持を緩める気配はない。

キャロライン・ヴァキール筆

2023年4月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3978590-why-gop-voters-are-so-loyal-to-trump/

人々の注目を集めている法廷闘争に巻き込まれ、昨年の中間選挙で共和党が予想よりも振るわなかったことがありながら、トランプはほとどの世論調査において、共和党予備選挙に出馬を予想されている人物たちに対するリードを広げている。

大統領選挙の討論会や予備選はまだ数カ月先だが、世論調査担当者や一部の反トランプ共和党員たちは、トランプ前大統領が最近起訴されたことや、共和党内で彼のライヴァルと目される候補者たちに対する彼の率直なアプローチが、共和党の支持者の一部がまだ前大統領を支持している理由の1つだと指摘している。

反トランプの立場の団体であるリンカーン・プロジェクトの共同設立者リック・ウィルソンは次のように述べている。「ドナルド・トランプは、自分に対するあらゆる法律面からの批判、自分に対するあらゆる外部からの告発は無効であり、それらは『ディープ・ステート』が生み出したもの、あるいは共和党の有権者たちから自分を引き離すためのある種の陰謀の産物だと信じるように、共和党支持者たちの多くに訴え、それに成功している」。

ウィルソンは続けて次のように語った。「マーアラゴにFBIの捜査官たちが踏み込んだ後、トランプ支持の数字が上がったのはどうしてか? ニューヨークで起訴された後、なぜトランプ支持の数字が上がったのか? それは、そのベースが、つまり、人々は犯罪者を好まないという、事前に知られていた政治的行動の反対として受け取られているからだ。ドナルド・トランプを犯罪者だと非難すると、あらゆる証拠があっても、支持者たちの反応は、『いや、彼は犯罪者ではない。あなた方がやっていることこそが犯罪だ』と言うのだ」。

トランプは今年3月下旬、刑事告訴を受けることになった最初の大統領経験者となり、大きな話題となった。今回の起訴は、マンハッタン地区検事アルヴィン・ブラッグ(民主党)による、2016年の選挙運動中にポルノ女優に支払われた口止め料にトランプが関与した可能性を中心とする捜査を基にしている。

起訴されることは通常、大統領選挙候補にとって政治的に不利になると考えられるが、世論調査の結果では、トランプに害はなく、むしろ助けになっている可能性さえある。

NPRPBS 「ニューズアワー」、マリスト大学が今週発表した世論調査の結果では、共和党員の63%が、たとえトランプ氏が有罪になったとしても、再び大統領になることを望んでいると答えた。

共和党内の著名な人物や2024年大統領選挙の共和党の候補者になる可能性があると考えられている人物でさえ、トランプ氏を擁護しており、起訴によって最終的にトランプが倒れるという反対派の期待をしぼめさせている。マイク・ペンス元副大統領は起訴を「暴挙(outrage)」と表現し、ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は「茶番(travesty)」だと評した。ニッキー・ヘイリーは、この捜査が「正義ではなく復讐(more about revenge than it is about justice)」によるものであると示唆した。

しかし、一部の共和党関係者は、トランプが世論調査でリードを保っているのは、予備選挙のライヴァルと目されている、フロリダ州知事ロン・デサンティス氏(共和党)に対するトランプの強引なアプローチのおかげでもあると述べている。

ルイジアナ州を拠点とする世論調査専門家ジョン・クーヴィヨンは、通常、共和党と仕事をしているが、本誌の取材に対して、「トランプが反撃することこそが共和党の支持者たちを惹きつけているのだと分かった」と述べている。

2024年の選挙に立候補している人物はまだ少ないが、トランプは早い段階で候補者を確定させるための措置を講じている。トランプ前大統領の注目の多くは、まだ正式に参戦していないものの、一般にトランプの最大のライヴァルと目されているデサンティスに向けられている。

トランプ氏は、フロリダ州知事を「ロン・デサンティモニアス」などというニックネームで揶揄し、自身のトゥルース・ソーシャル・プラットフォームや広告を利用して、デサンティスを攻撃している。親トランプのスーパーPACは今月初め、デサンティスが指でプリンを食べる様子を描いた広告を展開した。これは、フロリダ州知事がかつて調理器具を使わずにプリンを食べたことがあると報じた『デイリー・ビースト』誌の記事から取ったものだ。

反トランプの共和党説明責任PACの政治ディレクターであるガナー・ラマーは、デサンティスに対するいくつかの攻撃について、「彼は共和党のエスタブリッシュメント側の候補というレッテルを貼られることになり、有権者たちが今現在、本当に関心のない他の共和党と差別化できない」と指摘した。

トランプは、クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事やクリス・スヌヌ元ニューハンプシャー州知事など、他の共和党員へのジャブも辞さない姿勢を見せている。トランプは、木曜日にニューハンプシャー州で行われた熱狂的な聴衆を前にしたスピーチで、クリスティは「大きな口を開けている。それが彼の全てだ」と述べ、クリスティへジャブを浴びせた。

トランプはスヌヌについて、「彼は本当にインパクトを与えることができたはずだ。連邦上院議員に立候補することもできたはずだ。おそらく、その家柄のおかげで、簡単に当選できただろう。そして、それはとてつもないことだっただろう。その代わりに、彼は大統領選への出馬というバカげた遊びをしたいということでバカげた選択をする」と、トランプはサヌヌについて語った。

トランプのライヴァルたちは皆、程度の差こそあれ、トランプを攻撃しているが、そのほとんどはトランプほど攻撃的ではなかった。先月、フォックス・ニューズのピアーズ・モーガンとのインタビューで、デサンティスはトランプがつけた、自分を軽蔑するようなニックネームについて、「あなたは私を何と呼んでもいい、ただ、私を勝者と呼んでくれればいい。それがフロリダで私たちができたことだからだ。多くのポイントを積み重ね、この州を本当に次のレヴェルへと導いたのだ」と語った。

また、フロリダ州知事デサンティスは3月にブラッグの起訴を批判した際、「ある種の不倫疑惑について沈黙を守るためにポルノ女優に口止め料を支払うことにどのような効果があるのか分からない」とも発言している。これは、トランプがポルノ女優ストーミー・ダニエルズと関係を持ったという疑惑に関するものだ。

しかし、デサンティスはトランプに対して更に強く反撃するよう圧力を受けており、共和党内にはトランプ前大統領が知事を凌駕していると懸念する声もある。

世論調査専門家のクーヴィヨンは、トランプの猛攻撃が「彼に優位性を与えているのは、彼がこのようにタフな男であり、他の共和党候補は必要なものを持っていないと見せているからだ」と述べた。

共和党のメンバーたちは、最初の予備選挙までまだ十分な時間があると強調しているが、フロリダ州知事デサンティスにあまり感銘を受けていないように見える人もいる.

リンカーン・プロジェクトのウィルソンは、「結局のところ、候補者たちは一定のレヴェルでパフォーマンスを発揮しなければならないが、デサンティスは大舞台に立つ準備ができていない。彼はうまく話せない。彼はうまく話せず、人々とつながりを持てない。そして、ドナルド・トランプに対する私の批判は全て、ドナルド・トランプが見事なショーマンであるという事実から決して目を逸らすことがない中で行われている」と述べた。

デサンティス支持派のスーパーPAC「ネヴァー・バック・ダウンNever 」のコミュニケーション担当ディレクターであるエリン・ペリーヌは次のように述べている。「デサンティス知事は、2024年の大統領候補になるかどうか発表していないが、彼は紛れもなく戦士である。デサンティス知事は戦いに負けたことがないだけでなく、選挙にも負けたことがない。もしトランプが、ファウチ博士に盲従して全国的な封鎖を行い、ゲヴィン・ニューサムと仲良しで、フロリダ州を破壊し、彼の支持する2022年の候補者を敗北させたという彼の記録を守らなければならないなら、トランプが苦労するのは明らかだ」。

これらの動きは、世論調査によって、共和党の有権者のかなりの割合がトランプ氏の再選出馬を望まないという結果も出ているにもかかわらず、トランプがいかに2024年の大統領選挙予備選の候補者たちをうまく支配し続けているかを強調している。

トランプ陣営のスポークスマンであるスティーヴン・チャンは電子メールの中で次のように述べている。「トランプ大統領は、全国規模および各州の世論調査において、予備選挙と一般選挙の支持率において他を圧倒している。だからこそ、連邦議会議員、州議会議員、地域のリーダー、草の根活動家たちは、2024年に勝利できるのはトランプだけだと知っているからこそ、彼を支持しているのだ」。

チャンは続けて「トランプ前大統領が掲げる大胆で前向きな政策課題に迫る候補者は、今回の選挙では他にいない」と述べた。

トランプ陣営に参加した経験を持つブライアン・シーティックは「まだ多くの時間が残されている。私たちはディベートを複数回行うつもりだ」と述べた。

シーティックは次のように述べている。「確かに、デサンティス・ティームは、選挙戦というハード面でも、独立支出というソフト面でも、多大な資源を持っているはずだ。そのため、彼らは自分たちの主張をする機会を得ることになるだろう。しかし、デサンティスを取り巻く初期の話題性は薄れ、いよいよ本格的な選挙戦に突入することになる」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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