古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: アメリカ政治

 古村治彦です。

 米中貿易戦争によってアメリカ経済は景気後退していたが、秋から冬にかけて株価が持ち直し、失業率の低下と雇用創出によって景況感が改善している。これによって感謝祭からクリスマスにかけてのいわゆるホリデーシーズンの商戦シーズンで消費額が伸びているということだ。アメリカにとってまことに結構なお話だ。そして、その恩恵を受けているのがトランプ大統領だ、人々の支持が回復しつつあるというのが今回の話題だ。

 感謝祭からクリスマスにかけての商戦シーズンで、アメリカ国民は家族や友人に対しての贈り物を購入するし、パーティーの準備をする。これが一年の中で最も重要な行事とも言えるだろう。テレビドラマにもなって日本でも長く放映されたローラ・インガルス・ワイルダーの『大草原の小さな家』でもクリスマスの楽しそうな様子が描かれている。アメリカ人にとっては楽しい気分でクリスマスを迎えることが何よりも重要なことだ。

 今年に入って米中貿易戦争のせいでアメリカ経済は減速し、夏ごろは大変なことになると思われていた。しかし、米中両国が歩み寄る姿勢を見せていることで、なんとなく落ち着いた感じがある。そうした中で株価が上昇し、景況感も改善し、人々の財布のひもも緩むということになる。そしてトランプ大統領への支持率が回復するということになる。

 しかし、選挙まではまだ1年もある。その間に不測の事態で景気に大きな影響を与えることも考えられる。下の記事にもあるように、2020年のアメリカのGDP成長率の予測で1.9%が出ている。これは2018年の2.9%、2019年の2.3%に比べても大きな落ち込みだ。トランプ大統領の公約であるGDP成長率3%に届かない数字だ。

 選挙まであと1年を切り、トランプ大統領としては何とか景況感が改善したままでいて欲しいということになる。再選のためにはアメリカ国内の景気が何よりも重要ということになる。外国から見ればこの点がトランプ大統領のアキレス腱となる。中国にとっては大きな交渉材料ともなるし、攻撃材料ともなる。

(貼り付けはじめ)

景気後退の恐怖感が薄らぎトランプ大統領の支持率が上昇(Recession fears recede in boost to Trump

ニヴ・エリス筆

2019年11月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/472078-recession-fears-recede-in-boost-to-trump

夏の景気後退を経て、消費者の消費額が年末の商戦シーズンを前にして復活しつつある。2020年の大統領選挙や連邦議員、各州知事の選挙まで1年を切って、株価も上昇し、景気後退に陥る恐怖感が薄らいでいる。

景況が改善することはトランプ大統領にとっての追い風となる。トランプ大統領の再選にとって経済は中心的な主張となっている。

最新の経済データは数か月前のデータと全く対照的なものとなっている。数か月前、経済学者たちは、製造業と投資が不振に陥ったので、次は消費者消費額に不振に陥るだろうと懸念を持っていた。

価格変動が大きかった株式市場、中国との貿易をめぐる緊張関係、債券市場が発する警告のために今年の夏は人々の動揺を引き起こした。こうしたことから2020年の初めには不景気に陥ることになるだろうと人々が考えるようになった。

秋が深まるにつれて、アナリストたちはハロウィーンの時期には消費販売が横ばいもしくは減少すると予測していた。そして消費者の信頼感がさらに悪化することになると見ていた。

しかし、休暇シーズン・商戦シーズンの消費販売データは予測を覆すものだった。

全国小売業協会会長兼CEOマシュー・シェイは「消費者は良い財政状態にある。そして、今年の休暇シーズンで特別大切にしている人々への贈り物により多く支出したいと考えている」と語っている。

「モーニング・コンサルト」社が毎日実施している調査によると、消費者の信頼も戻ってきつつある。

調査によると、消費者の信頼はここ4週間連続で上昇しており、アメリカ国民は現在の経済状況とこれからの先行きについて良い感情を持っている。

モーニング・コンサルト社は調査データの分析の中で、「消費者は、継続的かつ穏やかな賃金上昇と堅調な雇用創出が物価上昇を抑えており、その結果として1年前に比べて自分たちは財政的に良い状態にある、と考えている」と書いている。

ウォール街の専門家たちは経済の別の部門で楽観主義を示す兆候を見つけている。スタンダート・アンド・プアーズ・グローバル社の景気後退予測モデルは来年の景気後退の確率予測を低く発表している。

スタンダート・アンド・プアーズ・グローバル社のアメリカ国内経済専門チーフエコノミストのベス・アン・ボヴィノは次のように述べている。「今年11月中旬までの複数の重要な財政市場指数を基礎にした私たちの景気後退予測モデルが示しているのは、これから12カ月間にアメリカ国内で景気後退が起きる可能性は30パーセントにまで低下したということだ。8月の段階では35%だった」。

こうした経済をめぐるニュースはトランプ大統領にとって好材料となるだろう。中国との貿易戦争が続き、2017年に発効した減税法がもたらしたコスト高と不平等な利益についてトランプ大統領に対する批判は強まっている。しかし、好況感によってトランプ大統領に対する支持率は回復しつつある。トランプ大統領もこのことに気付いている。

株価の更なる上昇を受けて、月曜日、トランプ大統領は「株式市場の最高株価記録がまた更新された。皆さんにこの恩恵を受けて欲しい!」とツイートした。

しかし、経済のあらゆる分野や部門が上昇している訳ではない。経済学者たちは2019年全体の経済成長率は最終的には鈍化するものであると予測している。「カンファレンス・ボード」の予測では、今年2019年のGDPの伸び率は2.3%で、これが来年2020年には1.9%になるというものだ。昨年2018年の伸び率は2.9%だった。トランプ大統領はこれまで3%の経済成長率を約束してきたが、これらの数字はそれらの約束を全て下回っている。

トランプ大統領は中国との貿易戦争を鎮静化させるための予備交渉も妥結させてはいない。米中貿易戦争の第2回戦が起きるかもしれないという疑念もまだ残っている。

失業率の低下と賃金上昇が経済成長を示すものとなっており、消費者の信頼度は好転している。そうしたなかで、経済状況は2020年の大統領選挙に向けてトランプ大統領の背中を押す追い風になっている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の有力候補者カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が選挙戦からの撤退を発表した。支持率が低迷し、政治献金も集まらない中で、資金がなくなって選挙戦が続けられないと発表した。
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 支持率ではトップ3に入る時期もあったが、7月以降は支持率下落が止まらず、第4位の位置をインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジに完全に奪われてしまっていた。挽回は不可能と判断し、早めに撤退ということになった。これで民主党の金城湯池であるカリフォルニア州から民主党所属の大統領が生まれる機会は失われた。民主党はアメリカ東西両海岸地区を支持基盤としているが、ロッキー山脈から西の各州の出身者が大統領になったことはない。共和党で言えばリチャード・ニクソン、ロナルド・レーガンがいるのに、民主党ではいないのだ。
2019morningconsult20191124006

 カマラ・ハリスは最初から有力候補として捉えられていたが、自分の立場を明確にできなかったことが選挙戦撤退にまでつながってしまった。検察官、カリフォルニア州司法長官、連邦上院議員としての経歴、非白人のマイノリティとして生まれたが刻苦勉励で這い上がってきた努力と根性、才能といった点が強みとなるはずであった。

 しかし、ハリスはリベラル左派なのか、穏健中道派なのかが最後まではっきりしなかった。手をこまねいているうちに、他の候補者たちが独自の立場を確立していったが、ハリスは最後までどっちつかずの印象を与えるだけだった。

 ハリスはしかしながら、副大統領候補の有力候補となる。特にジョー・バイデン前副大統領とは親しい関係にあり、バイデンが大統領選挙の民主党指名候補になれば、バイデンから指名を受ける可能性がある。バイデンとならば考えを合わせてコンビとしてやっていけるだろう。私は以前から、ハリスがバイデンに副大統領候補になるだろうと書いている。私は、リベラル左派のエリザベス・ウォーレンとバーニー・サンダースが組み、一方、バイデンとハリスが組むという形になると考える。ハリスはまた大票田のカリフォルニア州を地盤としているので、彼女の動向、具体的には誰を推薦支持するかで、予備選挙の動きは大きく決まるように思う。そういった点で、ハリスは良い時期に選挙戦から撤退したと思う。ただ次があるかというとそれはないのではあるが、傷が浅いうちに撤退できたと思う。

 ハリスは他の撤退した候補者たちとは違い、これからも動向が注視される人物だ。選挙戦撤退してからの方が注目が集まるという変なことが起きるだろう。

(貼り付けはじめ)

カマラ・ハリスが大統領選挙から撤退(Kamala Harris drops out of presidential race

リード・ウィルソン、ジョナサン・イーズリー筆

2019年12月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/472820-kamala-harris-drops-out-of-presidential-race-reports

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は火曜日、民主党予備選挙の選挙運動を停止すると発表した。ハリスはひとたびライジングスターであったが、ここ数カ月は選挙戦の状況はどん底になっていた。彼女は政治的才能を維持可能な選挙運動に転換することができなかった。

ハリスが選挙戦に出馬した当初、有力候補と考えられていた。人々の関心を集める生い立ち、演説会など人々の前に姿を現す際の存在感、アメリカ国内最大でかつ最も豊かな州であるカリフォルニア州におけるしっかりした政治献金基盤といった点で有力候補だと考えられた。彼女は出身地のカリフォルニア州オークランドで出馬宣言を行うために集会を開いたがその時には数千人の人々が集まった。しかし、それから11か月後、ハリスは記者団に対して強力な選挙運動を続けるための財政力がなくなってしまったと語ることになった。

ハリスは声明の中で次のように書いている。「私は選挙運動について詳細に評価し、全ての角度から見るように努めた。そして、私の人生において最も厳しい決断を下すことにした。大統領選挙を続けるために必要な財政上の資源がなくなってしまった。私は大富豪ではない。私は自己資金で選挙運動を続けることはできない。選挙戦を続けていく中で、選挙資金集めがどんどん困難になっていった」。

ハリスは続けて「誠実であろうとするならば、私は自分ではできないと考えているのに、それを続けることができると私の支持者やヴォランティアの方々に言うことはできない」と書いている。

これまでの11カ月の選挙戦の中で、ハリスには、当時のバラク・オバマ連邦上院議員(イリノイ州選出、民主党)の辿ったコースである、州レヴェルの公職から連邦上院議員、そしてホワイトハウスへという道のりをたどるだろうと考えられる機会が何度かあった。彼女は若者とアフリカ系アメリカ人有権者が作ったオバマ連合(Obama’s coalition)を再び結集させたいと望んだ。ハリスは今回の予備選挙の候補者たちの中でも傑出した討論をリードする能力を持っていた。

ハリスは堅実な選挙運動を展開した。カリフォルニア州に住むヴェテランのストラティジストを集めたブレイントラスを作った。ストラティジストたちはハリスのこれまでのキャリアで助言を与えてきた人々だった。また、カマラ・ハリスの妹マヤもこのブレイントラストに参加した。彼女は民主党系の政策専門家として実績を積んできた人物だ。ハリスはアイオワ州の活動家の中でも重要な人物たちからの推薦支持を得たし、全米で最初に党員集会が実施される重要なアイオワ州に多くのオーガナイザーを投入した。

民主党系のストラティジストであるが今回の大統領選挙には関与していないダグ・ソーネルは「ハリスは本当に素晴らしい選対を組んでいた。彼女のティームには本当に優秀で、才能あふれる人たちが揃っていた。彼女は本当に素晴らしいスタートを切った。しかし、それが彼女の選挙運動に対して常に高い基準を設定することにもなってしまった」。

しかし、ハリスは初期の熱狂を安定した支持に転換させることに苦闘した。他の候補者たちはイデオロギーな立場を明確にさせ、民主党予備選挙に参加予定の有権者たちにとっての重要な諸問題に対処するための計画を発表することで有権者の支持を集めようとしてきた。その中でハリスは自身の立場をはっきりさせず、選挙戦でのテーマと戦略を色々とつまみ食いしているように思われた。

他の候補者たちはアメリカの医療システムをどのように劇的に改善するかについて自身の立場を選択した。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)が連邦上院に「メディケア・フォ・オール」法案を提出した際、ハリスは共同提出者となったが、その後、共同提出を取り下げた。討論会の席上、ハリスは民主党内部の分裂線となっている医療システムについての自身の考えを明確にかつ簡潔に示すことができなかった。

ハリスは自分が持つ最善の2つの資産を利用する方法を見つけることができなかった。2つの資産とは、2020年の民主党全国大会に最大数の代議員を送り込む地盤としているカリフォルニア州と厳格な検察官だったという経歴だ。検察官としての経歴は討論会での激しいパフォーマンスと存在感に資するものだ。

討論会の席上、トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)はハリスのカリフォルニア州司法長官としての記録を激しく批判した。ギャバードはマイノリティと麻薬関連の微罪を犯した人々を過剰に収監したと批判した。ハリスはカリフォルニア州での世論調査で7月に1回だけトップに立った。

ハリスは自身の立場をどのように取るかについて議論を続けたが、他の候補者たちはハリスの周囲の堀を埋めていった。ハリスが取るべき立場を他の候補者たちが取るようになっていったのだ。ジョー・バイデン前副大統領は自分自身を、トランプ大統領を倒せる可能性が最も高い人物と位置付けた。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は進歩主義派の代表として、諸政策を次々と発表している。インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジは選挙戦の初期の段階で人々の支持を集めることが出来た時期を利用して自分自身を中道派の候補と位置付けた。

ハリスはこうした位置づけを試み、失敗した。

ソーネルは次のように述べている。「ハリスは彼女の選挙運動において自分自身の明確な性格付けをすることができなかった。他の候補者たちは自分の立場や立候補の理由を次々と変えていった。選挙戦当初からハリスは検察官としての経歴をどのようにして自分の強みとして利用するかということが分かっていないようだった」。

ハリスは選挙運動において上昇局面をつかむことに苦戦した。ハリスの最大の上昇局面は1回目の民主党討論会にバイデンと対峙した時だった。その後、ハリスは短期間ではあったが政治献金額を伸ばし、世論調査での支持率を上昇させた。しかし、そうした勢いを安定した支持に転換することに失敗した。

ハリスの世論調査での支持率の数字は第1回目の討論会の後に最高を記録した。しかし、その後は継続的に下落していった。8月になって全国規模とアイオワ州での世論調査で支持率が10%を割り、それ以降は回復しなかった。

ハリス選対はボルティモアに本部を置いていたが、選対内部で緊張関係が高まっていった。カマラ・ハリスの妹であり民主党系の政策専門家であるマヤ・ハリスが選対責任者フアン・ロドリゲスとスタッフの人事、支出、政策決定に関して衝突した。有力な支持者たちはカマラ・ハリスに対してロドリゲスを解雇し、コンサルタント・ティームの力を取り上げるように公の場で進言した。

ここ数週間、政治献金の集まりがスローダウンしたことを受けて、ハリスはアイオワ州に持てる力を注ぐと発表し、その他の早期に予備選挙が実施される各州の選挙スタッフを解雇していた。

ハリスは12月の民主党候補者討論会の2週間前に選挙戦を止めたということになる。候補者討論会は2019年12月19日にロサンゼルスで実施予定だ。ハリスは既に参加条件をクリアしていたし、スーパーPACはアイオワ州の各テレビ局の放送時間の購入を始めたばかりだった。

スーパーPACは火曜日、放送時間の購入と保持のキャンセルを開始した。

ライヴァルや支持者たちはハリスが選挙戦からの撤退を発表した後で、彼女に賛辞を贈った。

アイオワ州メイソンシティでの選挙集会に参加直後、バイデンは「彼女は一流の知識人であり、一流の候補者であり、本物の闘士だった。私は彼女の選挙戦撤退について複雑な感情になっている。そのような感情になっているのは彼女が首尾一貫した人物であり、才能に溢れた人物だからだ」と語った。

ハリスは選挙戦から撤退したが、国政レヴェルでの存在感がなくなるということではない。彼女は副大統領候補の有力候補と見られている。スーパーチューズデーの時にカリフォルニア州で予備選挙が実施されるが、それまでにハリスの支持を得たいとどの候補者も望むことだろう。

民主党全国委員会の委員でカリフォルニア州出身のボブ・マルホランドは次のように述べた。「カリフォルニア州民はハリス上院議員を誇りに思うだろう。他の候補者たちにとってカリフォルニア州で支持を伸ばすことは難しい。ハリス議員にとって全国規模で支持を伸ばすことは難しかったが彼女はよく戦った。今回はうまくいかなかったということだ」。マルホランドはハリスの党指名獲得への支持を表明していた。

ハリスはトップ集団の候補者としては初めての脱落者となった。また今週になって3人目の脱落者ともなった。今週はモンタナ州知事スティーヴ・ブロック(民主党)とジョー・セスタク元連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)が選挙戦からの撤退を表明している。ハリスの連邦上院議員の任期は2022年までとなっている。

火曜日、ハリスが選挙戦撤退を発表した直後、カリフォルニア大学バークリー校政治研究所が『ロサンゼルス・タイムズ』紙に発表した世論調査の結果では、カリフォルニア州在住の民主党支持の有権者の61%がハリスは選挙運動を止めるべきだと答えた。

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ハリスの選挙戦からの撤退を受けてのギャバードの発言:「私は彼女のアメリカ国民に奉仕したいという真摯な思いを尊敬します」(Gabbard on Harris leaving race: 'I respect her sincere desire to serve the American people'

レイチェル・フラジン筆

2019年12月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/472847-tulsi-gabbard-responds-to-kamala-harris-leaving-race-i-respect-her-sincere

大統領選挙民主党予備選挙候補者トゥルシー・ギャバード連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)が、カマラ・ハリス連邦上院議員が火曜日に大統領選挙からの撤退を発表したことを受け、「ハリスのアメリカ国民に奉仕したいという真摯な思い」を尊敬すると述べた。

ギャバードとハリスは選挙戦でやり合っていた。ギャバードはツイッター上で「選挙戦を懸命に戦ったカマラ・ハリス、彼女のご家族、支持者に心からの敬意を表します」と書いた。

ギャバードは続けて「私たちはいくつかの問題で同意できなかったのですが、私を含む多くの人々は彼女のアメリカ国民に奉仕したいという真摯な思いを尊敬することでは一致しています。私は、アメリカが直面する諸問題について対処するために共に働くことを希望しています」と書いた。

ハリスは火曜日、多くの人物が立候補している大統領選挙民主党予備選挙からの撤退を発表した。ここ最近、ハリスは世論調査の支持率の数字と政治献金額の減少に直面していた。

ハリスは声明の中で「選挙運動を続けるために飛鳥な財政的資源がなくなってしまった」と書いている。

ハリスとギャバードはお互いを批判し合っていた。ギャバードは今年初め、「ハリスにはアメリカ軍の最高司令官の資格はない。彼女には外交政策分野での経験がなく、激しい気性で大統領に向かない」と述べた。

ギャバードはハリスのカリフォルニア州司法長官としての記録を批判した。

一方、ハリスはギャバードがフォックスニュースに出演したことを攻撃し、トランプの元首席戦略官のステイ―ヴ・バノンと仲が良いことを非難した。

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙はバイデンのリードは変わらない状況だ。しかし、トップ3名による接戦となっており、サンダースとウォーレンの動き次第ではバイデンがトップから落ちるということも考えられる。全体的に支持率が伸びやなんでいる中で、ピート・ブティジェッジとマイケル・ブルームバーグが支持率を伸ばしている。しかし、バイデン、サンダース、ウォーレンのトップ3にははるかに及ばない。
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 マイケル・ブルームバーグはこれから莫大な資金を投入して宣伝活動を行うようだが、これが果たしてどれほど効果があるのかは疑問だ。「金持ちのリベラル」というのは「偽善者」と同じ意味と捉え、また、民主党から共和党、また民主党へ戻ってきたという動き方を嫌う有権者もいる。トップ3の中に入っていくことは難しい。

2019morningconsultpoll20191124003

 ブルームバーグが支持を伸ばすと割を食うのは穏健中道派のバイデンであって、そうなれば相対的にサンダースとウォーレンに有利に働くことになる。最終的にサンダースとウォーレンのどちらかが選挙戦を諦めてどちらかの支持に回るということになればリベラル左派の一本化となり、単純計算ではバイデンを上回ることになる。

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 民主党内部の分裂傾向は2016年の大統領選挙から継続中であり、党内をまとめて大統領選挙で勝利を収めるだけの人材がいない。また、名前が挙がる人々が軒並み70代ということで、どうしても健康不安が取り沙汰されるし、フレッシュさを感じないということになる。

 こうなれば、ドナルド・トランプ大統領の再選可能性はぐっと高まる。民主党内部でつぶし合って疲弊してくれればそれでよい、それを見物している(時々油をかけて勢いをつけさせる)、ということになる。2008年、2012年の大統領選挙で、バラク・オバマに負けた共和党もそういう状況だった。

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世論調査:バイデンは全国規模の世論調査でサンダースに9ポイントをリードしている(Poll: Biden holds 9-point lead over Sanders nationally

マーティン・ジョンソン筆

2019年11月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/472082-poll-biden-holds-9-point-lead-over-sanders-nationally

毎週発表される「モーニング・コンサルト」社の世論調査で、ジョー・バイデン前副大統領は全国規模でバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)に対して9ポイントをリードしている。

バイデンの支持率は30%、サンダースは21%、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は15%となった。

トップ3名以外に支持率2桁を獲得した候補者はいなかった。

前回のモーニング・コンサルト社の世論調査では、バイデンの支持率は32%、サンダースは20%、ウォーレンは17%だった。

ウォーレンの支持率は最近になって伸びが鈍化している。10月20日のモーニング・コンサルト社の世論調査でウォーレンはバイデンに続く第2位となり支持率は21%だった。

世論調査には早期に予備選挙と党員集会が実施されるアイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、ネヴァダ州の各州のデータも含まれている。各州の世論調査の結果では予備選挙は接戦になっており、バイデンの支持率は26%、サンダースは23%、ウォーレンは18%だった。

今回の世論調査は2019年11月21日から24日にかけて8102名の登録済有権者を対象に実施された。早期に予備選挙が実施される各州の対象者はより少ない372名だった。全国規模の世論調査の誤差は1ポイント、早期に予備選挙が実施される各州の世論調査の誤差は5ポイントだ。

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 古村治彦です。
presidentialdemocraticprimary2019toprunners001

 民主党予備選挙は、左派のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が目立っている。一方、トップを走っているジョー・バイデン前副大統領は中道穏健派であり、アイオワ州でトップに立っているインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジもまた中道穏健派に分類されている。

 今回の大統領選挙民主党予備選挙で左派と中道穏健派の争点となっているのは、メディケア・フォ・オールだ。簡単に言うと、国民皆保険制度のために政府がすべてを取り仕切るようにすべきだという左派と、それはあまりにもアメリカの現実から外れているという中道派の争いだ。また、中道派は大学の学費無償化についても懐疑的だ。ブティジエッジは、大学に行かない人も多くいるのに無償化するのは不公平だと述べている。

 「民主党が全体的に左に寄り過ぎだ」「社会主義的すぎる」という批判は根強い。左派・進歩主義派のウォーレンとサンダースの支持率を合わせると35%から40%となる。左派や進歩主義派が過半数を占めている訳ではないが、かなりの支持を集めている。

 「しかしこれでは共和党支持者は仕方がないにしても、支持政党を持たない有権者にとってアピールしない、あまりにも急進的だ。そうなれば現職のトランプ大統領には勝てない」と批判が出ることになる。

トランプ大統領が共和党にしては過激なそして急進的な主張で接戦ながら当選したという事実(保護貿易や国債を発行してでもインフラ整備をやるというのは伝統的な主流派共和党勢力とは相いれない)は忘れられている。トランプ大統領は国内政策の面で左に寄せた。それで民主党を支持していた白人労働者たちの支持を得て当選できた。それならば民主党が大統領選挙で勝利するためには、その人たちからの支持を取り返さなければならない。

そこで民主党中道派であり主流派を代表するバイデンが出たところで勝てるのだろうか、ということになる。民主党内の声ではバイデンは当選可能性(electability)が高いということになる。しかし、彼が人口グループで言えば白人労働者、地域で言えば中西部の各州を取り返すだけのアピール力とパワーがあるのかというと、年齢や失言のことを考えると期待できないということなる。

そこで37歳のピート・ブティジェッジだということになる。ブティジエッジは性的少数者ということもありリベラルな装いができるが、本質は中道穏健派だ。オバマ前大統領も期待の若手ということで支持率を伸ばしつつある。しかし、国政レヴェルでの経験もなく、これからいろいろと批判に晒されていくことになる。そうしたことを乗り越えて、これから民主党の有力政治家となっていくだろうが、今回の大統領選挙には間に合わない。

民主党がホワイトハウスを奪還するのはしばらく先ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

メモ:中道穏健派が民主党予備選挙のトーンを変化させる(The Memo: Centrists change tone of Democratic race

ニオール・スタンジ筆

2019年11月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/471010-the-memo-centrists-change-tone-of-democratic-race

中道左派がアメリカ大統領選挙民主党予備選挙で反撃しつつあるのだろうか?

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジはアイオワ州で支持率を伸ばしている。元マサチューセッツ州知事ディヴァル・パトリックが選挙戦に出馬し、大富豪で元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグが出馬を検討中だ。バラク・オバマ前大統領も民主党に対してアメリカの有権者が全面的な変化を求めているという過大な判断をしないようにと警告を発している。

こうした動きは連続して起きており、予備選挙の雰囲気を変えつつある。予備選挙はこれまで進歩主義派のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の台頭が大きな話題となっており、またジョー・バイデン前副大統領が主張する中道派の諸政策は民主党の支持基盤の考えから外れているのではないかという疑問を多くの人々が持っていた。

金曜日、ワシントンを訪問したオバマ前大統領は次のように語った。「アメリカはこれまでと同様、革命などよりも改善により関心を抱く国だ。平均的なアメリカ国民は、私たちは現在のシステムを完全に破壊し、作り直す必要があるなどとは考えない」。

オバマ前大統領の介入は直接的なものではなかった。オバマは彼の行った改革が十分ではなく、もっとやれたのではないかと主張する人々には反対しなかったが、ウォーレンやバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)のような進歩主義派が主張する急進主義よりも漸進主義を支持する発言を行った。

予備選挙の情勢が流動的で、中道派が盛り返しているということを示しているのは、ウォーレンがメディケア・フォ・オール政策の実現を大統領就任後すぐに実行しないということを明確にしたことだ。ウォーレンは大統領に選ばれたら、メディケア・フォ・オールを就任3年目の終わりまでに成立させるつもりだと金曜日に発言した。

専門家たちの多くは、ウォーレンの動きは、「ウォーレンは一般選挙の有権者にとっては急進すぎる立場に立っている」と主張する人々に対する妥協だと思われている。急進的な立場に立っていることは大きな弱点となり、民主党員や支持者は予備選挙で有力なウォーレンがこれでは来年11月にトランプを倒せないと絶望的になっていると考える人たちも多い。

民主党系ストラティジストのジュリー・ロジンスキーは次のように語っている。「国民皆保険よりも自分の現在の医療保険を維持したいという人々が一定数いるということから、ウォーレンの国民皆保険制度の主張で有権者の支持を失うのではないかという懸念を持っている人々を宥めるための一つの方策としてすぐには導入しないと明言したのだと思う」。

ウォーレンとサンダースが、アイオワ州でのブティジェッジの台頭に懸念を持っていることは間違いない。アイオワ州ではリベラル派の活動家たちが党員集会をリードする州である。最近の2回の党員集会は共に激戦となり、2016年の時には最終的に党の指名候補となったヒラリー・クリントンに対してサンダースは肉薄し、2008年の時には当時連邦上院議員だったオバマがヒラリーを倒した。ヒラリーは3位に沈んだ。

『デモイン・レジスター』紙とCNNの共同世論調査の結果が土曜日に発表された。アイオワ州の党員集会参加予定者の25%がブティジェッジを大統領の代位市選択肢として挙げた。ブティジェッジから少し差があって第2位にウォーレンが入り16%、サンダースとバイデンは15%だった。

更に言うと、世論調査の結果からは、党員集会参加予定者たちはウォーレンやサンダースよりもブティジェッジとバイデンをより支持していることが分かる。

有権者の63%がブティジェッジの政治観は「大体正しい」と答え、バイデンに関しては55%がそのように答えた。ウォーレンとサンダースの数字はより低い。それぞれ48%と37%だった。

党員集会参加者の過半数にあたる53%がサンダースの政治観は「リベラルすぎる」と考え、ウォーレンについては38%がそのように考えている。

ブティジェッジはリアルクリアポリティックスが出しているアイオワ州での世論調査の平均でリードしている。

本紙の取材に応じた複数の民主党系ストラティジストは最新の世論調査の結果にとらわれ過ぎてはいけないと懸念を表明している。彼らは予備選挙の情勢が流動的だとしている。また、ブティジェッジはアイオワ州で重点的にテレビCMを放映していると指摘する人たちもいる。

ブティジェッジの台頭に疑念を持つ人々はまた、ブティジェッジはニューハンプシャー州の世論調査で支持率を上昇させているが、それでもトップ3の候補者たちから遠く置いて行かれている状態だと述べている。こうしたことは、民主党内において全国規模で親中道派の流れが起きているという考えに反していることを示している。

匿名のある民主党系ストラティジストは露骨に「アイオワ州でブティジェッジが大量リードしていると言うけど、彼の支持率はたったの25%だ!それで大量リードだなんだというのはジョークでしかないということになる」と述べた。

このストラティジストはまた次のように述べた。「民主党は進歩主義的な政党のままだと私は思う。また党は左側に動いている。しかし、左派に与しないというのならば、自分の主張を擁護できるようにならねばならない」。

進歩主義派の有権者は、メディアがブティジェッジに関心を持つこと、ブルームバーグとパトリックに出馬に関して報道をすることは、やり過ぎだと感じているようだ。

サンダースを支持している民主党系ストラティジストであるジョナサン・タシニは、白人が大多数を占めるアイオワ州での各種世論調査の結果は全国規模の民主党の流れを示しているという考えには「全く動揺しない」と述べている。

そして、タシニは続けて次のように述べた。「アイオワ州におけるこれまでの大統領選挙を振り返ってみれば、エネルギーを投入して世論調査の数字を上げる人々が出てくるのが通例だ。しかし、党員集会の人までにその勢いを維持できるかは分からない」。

また、タシニは左派の候補者たちに対する怒りの力を過小評価しないことが重要だとも述べている。

タシニは「政治献金者、専従党員、議員たちが属している中道穏健派のエスタブリッシュメントは進歩主義派の人々が民主党を指導して欲しくないと思っていることは間違いない。それは、進歩主義派がリードするようになると、エスタブリッシュメントの地位と立場、権力が脅かされると考えているからだ」と述べた。

他のストラティジストと同じくロジンスキーは、結論を出すには早すぎると述べている。

ロジンスキーは、民主党支持の有権者たちがたった一つの最重要の基準に合う候補者を探している、その基準とはトランプを倒せる能力だ、と述べている。

ロジンスキーは中道派の候補者たちを支持するのにイデオロギー上の理由は存在しないと述べた。

彼女は「中道派の支持にはイデオロギーではなく、当選可能性が基礎となっている」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 11月下旬となるとスポーツの話題としてプロ野球選手の契約更改が良く取り上げられる。ストーブリーグとも呼ばれ、活躍した選手は大幅アップ、そうでもなかった選手は減俸となり、中には減俸額を抑えようと何度も交渉をするような選手も出てくる。プロ野球選手が活躍すれば年俸は大幅アップとなる。新聞紙上には倍増だ、3倍だ、4倍だ、という言葉が躍るし、昔イチロー選手が彗星のように登場した時には10倍ということもあった。何とも景気が良い話だ。

 アメリカのトランプ政権が日本政府に対して、日本に駐留する米軍に対する費用(host nation’s support、ホスト・ネイションズ・サポートと言う)を4倍にしろ、現在の約2200億円(年間)を約8800億円にしろと要求しているという報道が出た。プロ野球選手の年俸ではあるまいし、国家予算に関わることで気軽に4倍などという数字を言い出すトランプ政権には驚くばかりだ。

 もっともこれはトランプ流の交渉術なのだろう。高く吹っ掛けておいてそれから金額を下げていく。2倍で合意できれば御の字というところだろう。それ以上で合意できれば儲けもの、4倍を日本側が呑んだら、「あいつらはバカだ」と言って大喜びだろう(トランプは酒もたばこもやらないのでシャンパンで乾杯、とはいかないだろうが)。

 ちなみにホスト・ネイションズ・サポートを「受け入れ国からの支援」ではなく、「思いやり予算」と訳したのは金丸信だ。金丸は、ワーテルローの戦いでナポレオンを破った、初代ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーの言葉「偉大なる将軍はただ良いだけではなく、兵士の靴のことまで思いやるものだ」から思いやり予算という言葉を思いついたという話が残っている。日本はウェリントン公爵の立場ではなく、思いやられる方の兵士の立場だと思うが、それを目くらましするための金丸流の言葉遊びと実態隠しの表現が「思いやり予算」だ。実態は米軍が贅沢するためのショバ代、カツアゲ代である。

 日本の防衛予算は対GDP比1%以内を堅持してきた。大体5兆円以内に収まってきたが、第二次安倍政権下では大幅な伸びを示し、5兆円を突破している。GDPが伸びれば防衛予算も伸びるのだが、これから縮小し続ける日本ではGDPも減っていくので、1%以内という数字を堅持すると、防衛予算も減っていかざるを得ない。防衛予算を維持もしくは増加させるには対GDP1%を突破しなければならない。トランプ政権としては日本には、ヨーロッパ先進諸国並みの2%から3%の間にまで増額させたいと考えている。そうなると、アジアの周辺諸国やロシアは日本を警戒するようになる。

 日本の防衛予算と思いやり予算を増額させて、アメリカの軍事産業からの買い付けを増加させて、日本の対米貿易黒字を減らしたいというのがアメリカ政府、そしてトランプ政権の考えだ。日本は防衛装備の9割以上をアメリカら購入している大口の大得意客だ。防衛予算が増額され、思いやり予算が増額となれば、アメリカに貢ぐ金は軽く防衛装備購入と思いやり予算で軽く1兆円を超える規模になるだろう。アメリカ軍にしてみれば死んでも手放したくない夢の国、打ち出の小槌、日本となる。アメリカ軍が外国に駐留して経費の一部でも負担してもらえれば(負担させてやれば)、米軍がアメリカ国内にとどまるよりも安上がりということにもなるようだ。自分の国で養えない軍隊を外国の金で維持するというのは何とも本末転倒であり、ローマ帝国の衰亡でも分かるように、亡国の第一歩と言わざるを得ない。

 韓国も日本と同じく駐留米軍に思いやり予算を支出している。トランプ政権は韓国に対して思いやり予算の5倍増を要求している。米韓は毎年思いやり予算などについて話し合いを持つが、来年度分に関しては交渉が決裂したという報道が出た。韓国政府は何と立派な態度であろうか。米韓同盟は朝鮮戦争で共に共産主義と戦ったということで、対等とまではいかないが、完全に従属的な日米安保体制とは異なるものだ。だから韓国側は言うべきことは言う、という態度に出ることができる。日本側には不可能な態度の取り方だ。

 また、韓国は中国との関係を良好に保つことで、北朝鮮との関係をうまくマネイジメントしている。韓国にとっては北朝鮮に攻撃されないということが重要であるが、その目的のために中国とアメリカをうまく利用している。韓国の経済力は世界トップ10に入るほどのものであり、韓国が北朝鮮から攻撃を受けて経済がダメージを受ければ困るのは米中であり、ロシアということになり、北朝鮮にとっては中露から頭を押さえつけられている格好になる。

 日本は大変守りにくい国だ。昔は海に囲まれており、それが天然の要害ということになったが、戦艦の時代、航空機の時代、ミサイルの時代となっていき、防衛しにくい国になった。防衛予算をいくら増額しても完璧に守り切るということは難しい。それであれば米中韓露の間をうまくマネイジメントして物理的な防衛力に頼らない、経済力と外交力を混合した形で国を守る方策を採らねばならない。

 しかし、にほんがやっていること、やらされていることはアメリカ軍の下請けとなるということだ。アメリカから武器を買わされ、アメリカで訓練を受け、アメリカ軍と共同の司令部を持つ(実態はアメリカ軍の指揮の下に入る)というのは、アメリカ小久保総省が進めるinteroperability(相互運用性)を高めるということであり、2015年の安保法制で自衛隊は世界各地に進出できるようになったことで、アメリカ軍と共に戦うことになる。完全にアメリカ一択の、アメリカの完全な従属国になるという安倍政権の選択は、しかし世界の情勢を見れば何とも馬鹿げた選択だ。リスクヘッジという考え方がゼロなのだ。アメリカと一緒に沈んでいくことを選んでいる。アメリカが沈んでいきつつある証拠は、駐留米軍にかかる経費負担に耐えることができずに、同盟諸国に支払うように求めている態度でも明らかだ。昔は景気が良かったお金持ちが凋落して金をせびって回っているようなものだ。

「沈む船から逃げ出すネズミ」という言葉には肯定的、否定的両方の評価があるが、国際社会で生き抜いていくためには道徳的にはどうであろうと常に逃げ出す準備をしておかねばならない。その準備さえしていないとなると、ネズミ以下の存在ということになる。

(貼り付けはじめ)

トランプ大統領がアメリカ駐屯米軍将兵のための支払いを4倍に増額するように要求(Trump Asks Tokyo to Quadruple Payments for U.S. Troops in Japan

―この動きはトランプ政権のアジア地域の同盟諸国に対して防衛に関して更に予算を割くようにさせようという動きの一環である。韓国に対しても更に支払いをするように求める

ララ・セリグマン、ロビー・グラマー筆

2019年11月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2019/11/15/trump-asks-tokyo-quadruple-payments-us-troops-japan/

アメリカ政府は北朝鮮政府との非核化交渉を刷新しようとしている中で、ドナルド・トランプ大統領は、北東アジア地域の安定に関して依存してきた長年の同盟国日本政府に対して、日本に駐屯するアメリカ軍にかかるコストを補填するために予算を劇的に増額するように要求している。

トランプ政権は日本政府に対して日本に駐屯する5万人以上の米軍将兵の駐屯にかかるコストを相殺するためにこれまでの4倍を支払うように要求している。この問題について詳しい現役と元のアメリカ政府高官たちは本紙の取材に対して一様に語った。最近まで国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたジョン・ボルトンとこちらも最近まで国家安全保障会議アジア担当部長を務めたマット・ポッティンガーが7月の北東アジア訪問時に日本政府高官たちに予算の4倍増額を要求したとアメリカ政府高官たちは述べている。

アメリカ政府がアメリカ軍の駐屯の継続のためにさらに予算を増額するようにアメリカ政府が求めているのは日本だけではない。他のアジア地域の同盟国にも増額を求めている。アメリカ政府高官たちは、7月の訪問の際に、ボルトンとポッティンガーが同様の要求を韓国に対しても行ったことを認めた。韓国には2万8500名の米軍将兵が駐屯しているが、両者は韓国政府に対して予算の5倍増額を求めた。CNNとロイター通信は以前にもトランプ大統領が韓国政府に対して更なる貢献、予算提供を求めたと報じた。

アジア諸国に対して北東アジア地域の米軍の存在を継続するために必要な予算を出すようにトランプ政権が圧力をかけているが、これはアメリカとアジア地域の同盟諸国との間の緊張を高め、中国や北朝鮮のようなライヴァル陣営にアジア諸国を走らせることになると専門家の中には懸念を表明している人たちもいる。

シンクタンクのヘリテージ財団研究員でCIAの分析官を務めた経験を持つブルース・クリングナーは次のように述べている。「このようなアメリカ政府からの要求は金額が過大過ぎるだけではなく、要求の方法のせいもあり、反米主義を引き起こす可能性が高い。もし同盟関係が弱体化し、抑止力と在留米軍の削減ということになったら、北朝鮮、中国、ロシアにとっての利益となる。これらの国々はこうした状況をアメリカの影響力とアメリカらの同盟諸国への支援の減少につながると考える」。

ある現役の政府高官は更に明確に述べている。「アメリカからの過大な要求は同盟関係の価値を全く分かっていないことが原因であり、ロシアと中国とのいわゆる大国間競争にアメリカが集中するためにこれまでのやり方を変更するというトランプ政権の戦略にとって逆効果になる」。

アメリカ政府が日本政府と韓国政府に圧力をかけているというニュースは、トランプ政権が進めている、同盟諸国に対して圧力をかけて防衛のために更なる予算を支出させる動きの一環である。トランプ大統領は長年にわたりヨーロッパ地域の同盟諸国に対して軍事予算を十分に支出していないとして批判してきた。トランプ大統領の努力は実を結びつつある。来年末までにNATO加盟のヨーロッパ諸国とカナダは2016年に比べて1000億ドル以上も軍事予算を増額することになっている。

現在、トランプ大統領は中国の軍事力増強と北朝鮮からの脅威の中での太平洋地域の情勢に関心を向けていると考えられる。日本と韓国は数万名規模の米軍将兵の駐屯にかかるコストのために数億ドル規模の予算を支出している。両国はそれぞれアメリカとの二国間の特別措置協定に基づいて支出をしている。これらの協定はこれまで5年おきに交渉がもたれ内容が決定されてきた。

アジア太平洋政策担当国防次官補ランドール・シュライヴァーはマーク・エスパー国防長官のアジア地域訪問に先立つ今週、「トランプ大統領が世界各地で強調してきたように、同盟諸国はさらなる負担を進んで負わねばならない。これは韓国にだけ限ったことではない」と発言した。

2021年3月に期限を迎える現在の日本との特別措置協定の下では、日本政府は54000名の米軍将兵の駐屯にかかるコストを相殺するために約20億ドルを支出している。日本駐屯の米軍将兵の約半数は沖縄にある米空軍基地に駐屯している。3名の国防総省高官経験者たちは、期限を迎える前に、トランプ大統領は予算の増額、300%増額となるおよそ80億ドルの支出を要求していると認めた。

トランプ大統領は韓国政府に対しても同様の予算増額を求めている。しかし、韓国政府との交渉期限は日本政府とよりも早くやってくる。昨年、韓国との5年の特別措置協定が期限を迎えた際に、トランプ大統領は韓国政府に対して50%の増額を求めた。これまでの特別措置協定に基づき、韓国政府は駐留する2万8500人にかかる経費を相殺するために年間約10億ドルを支出している。その後の拡大交渉で、米韓両政府は、韓国側が前年よりも8%増額した額を支出するが、毎年支出額について交渉するということで合意に達した。

元国防総省関係者の1人は、今年中に韓国との協定が期限を迎えることになるが、トランプ大統領は約50億ドルの予算増額を求めており、これは400%増額となることを認めた。

あるトランプ政権幹部は「トランプ大統領は日本や韓国を含む世界中の同盟諸国が更に貢献することができるし、そうすべきだということを明確に期待している」と述べている。

トランプ政権の高官は続けて次のように述べている。「日韓以外の同盟諸国も近い将来に両国に対するのと同じ要求に直面する可能性が高い。

この幹部は「韓国に対する要求は同盟諸国に対するアメリカの要求に関する新たな型板の第一歩ということになる。最初に韓国に適用され、次に日本、そしてアメリカ軍が駐留するほかの同盟諸国に適用されるだろう」と述べている。

日本政府は軍事協定に関する交渉のために韓国政府よりも多くの時間を持つ。そのため日本政府は韓国政府の動向を注視している。アメリカ政府と韓国政府との間の合意の形が、日本政府とアメリカ政府との交渉の形のひな型となると日本政府は考えているだろう。国防総省の元高官は「日本政府は韓国政府よりも少しは有利な立場に立っている。日本政府は“韓国さん、お先にどうぞ。私はあなたと同じ合意を結ぶようにしますからね”と言うだろう」と語っている。

今年9月の貿易協定の合意文書に署名する中で、日本側は影響力を失うことになった。トランプ大統領と日本の安倍晋三首相が9月25日に署名した合意文書で、日本政府はアメリカ産農産物への関税を引き下げることに合意した。

アメリカ政府が同盟諸国に対して防衛支出の増額を要求し続けている中、日本政府は「負担の分担について創造的な考え」をしようとしている。元国防総省高官によると、その具体例としては、日本にある米軍基地内の新しい施設への予算支出や新たにアメリカの地上配備ミサイルを国内に受け入れるといったことになる。

専門家や元政府高官が指摘しているように、次期特別措置協定に関するアメリカ側との予備交渉において、日本側は防衛予算の大幅増額を強調している。日本政府高官たちは、高額なアメリカ製の軍事装備を購入する決定を下したと述べている。その中にはF-35戦闘機やV-22オスプレイ、ティルトローターが含まれている。また、沖縄の米軍基地再編についてスピードアップを図るために更なる予算支出も決めたとも述べている。

元アメリカ政府高官たちは、日本からの米軍撤退は長期的に見てアメリカにとって大きな財政負担を強いることになると指摘している。もちろん特別措置協定に合意がなされなくてもすぐに米軍撤退ということにはならない。

元外交官で現在は日米関係を専門とする非営利組織の笹川平和財団の非常勤研究員を務めるジェイムズ・ズムワルトは次のように述べている。「アメリカ政府が米軍を日本から撤退させ、アメリカ本国に帰還させたならば、アメリカ国民は更なる税金負担を追うことになるだろう。現在、日本政府は米軍基地勤務の軍属2万40000人の給料と米軍将兵家族の光熱費などを支出しているが、それをアメリカ政府が支払わねばならなくなる」。

日本政府と韓国政府は北東アジア地域におけるアメリカ軍の軍事プロジェクトに多額の予算を支出している。連邦議会調査部の2018年の報告書によると、日本政府は第二次世界大戦後におけるアメリカ軍の海外基地建設に関し、最大規模となる3つの基地建設のコストの50%以上を支払っている。それらは、沖縄の普天間基地の代替基地(辺野古、日本政府は121億ドルの経費の100%を支出)、岩国の海兵隊航空基地(日本政府は48億ドルの経費の94%にあたる45億ドルを支出)、グアムの沖縄から4800人の海兵隊員が移動するための施設(日本政府は経費の36%にあたる31億ドルを支出)だ。

韓国政府はハンフリーズ基地の増設費用の93%にあたる100億ドルを支出する。

日本政府も防衛装備の90%以上をアメリカ企業から購入する。連邦議会調査部の資料によると、日本政府はロッキード・マーティン社のF-35戦闘機とボーイング社のKC-46タンカーを購入する。

国防総省元高官は「これは日韓両政府にとって計算の合わない、過大な支出ということにはならない」と述べた。

同盟諸国から駐留米軍のコストを相殺するために更なる予算を分捕ろうというトランプ政権の計画に沿った動きは今回が初めてのことではない。今年3月、トランプ政権は同盟諸国に対して駐留米軍の経費全額を支出することを望んでいるという報道が出て、その後は更に50%をプラスした支出を望んでいるという報道が出た。当時の国防長官代理パトリック・シャナハンは連邦議員たちに対して、トランプ政権は「コスト・プラス・50」計画を進めることはなく、こうした報道は誤ったものだと述べた。

(貼り付け終わり)

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