古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: 世界経済

 古村治彦です。

 ロシアのウクライナ侵攻に対して、欧米を含む西側諸国は経済制裁を発動している。世界金融からの締め出しということになるが、これは制裁を科す西側諸国の国民生活にも大きな影響を与える。簡単に予想がつくのは、エネルギー価格の高騰だ。西ヨーロッパ諸国は、ロシアからの石油や天然ガスに依存してきた。従って、今回の制裁でもエネルギー分野に関しては例外措置とされている。ロシアからのエネルギー供給が減少すれば、困るのはヨーロッパ諸国だ。ロシアからのエネルギー供給が減ることになれば、西ヨーロッパ諸国は代替の輸入先を探すことになる。そうなればどうしても他の国々との競争になり、価格は上昇するだろう。日本もこのエネルギー獲得競争に巻き込まれる。日本国内のガソリン価格や電気料金の値上げは避けられない状況だ。

 エネルギー価格の上昇は他の製品や商品の価格高騰にもつながる。以下の論稿にもあるように、意外なところでは、アメリカはロシアから安価な肥料を輸入しており、それが途絶すると、農業生産にもかかわってくる。アメリカ国内の農業従事者たちは既に減産を視野に入れて計画を立てているということだ。そうなれば世界規模で食料不足ということになる。

 日本でも物価高が進行している中で、更に追い打ちをかけるような事態になるだろう。ロシアに対しての経済制裁はロシア経済にダメージを与えることになる。しかし、よく見ると、エネルギー部門が例外措置にしてあるなど、西側諸国、特にヨーロッパ諸国への影響が少しでも小さくなるように設計されている。フランスの経済担当大臣が「経済戦争でロシア経済を破壊する(フランスの経済規模なんて小さい癖に)」と言いながら、フランスのエネルギー巨大企業と樽はロシアからの撤退を行わない方針だ。良い意味でも悪い意味でも、フランスは狡猾で二枚腰だ。こういう点は見習うべきだ。しかし、彼らの口先だけの威勢のよさと実際の行動の差には唖然としてしまう。こういうことをやって恬として恥じるということがないというのも、戦争に明け暮れ、植民地獲得競争に奔走した野蛮極まりないヨーロッパという土地がなせる業なのか。

 これから私たちはインフレーションの進行に備え生活を防衛していかねばならない。インフレーションが進行すれば生活は苦しくなるし、政府は利上げと増税で私たちの生活を更に苦しめるだろう。大企業群はロシアのウクライナ侵攻を奇貨として、製品やサーヴィスの値上げを躊躇なく進めるだろう。この点に関しては、各企業がどれほどの利益を上げるかを注意深く監視して、不当な利益を上げるようならば、それもまた、対ロシアと同じく厳しく糾弾しなければならない。何とも嫌な春になりそうだ。

(貼り付けはじめ)

ロシアのウクライナ侵攻がアメリカ経済に与える影響に関する5つのポイント(Five ways the Russian invasion of Ukraine could impact the US economy

サラクシ・ライ、シルヴァン・レイン筆

2022年2月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/596203-five-ways-the-russian-invasion-of-ukraine-could-impact-americans

ロシアのウクライナ侵攻と、それに対する米国と西側同盟諸国による前例のない制裁措置は、世界経済と金融市場を動揺させている。

また、世界的にインフレーションが進行する中で、重要な食料、エネルギー、工業製品のサプライチェインが混乱し、海外旅行ができなくなり、株式市場が乱高下している。

ロシアのウクライナがアメリカ国民に与える影響の5つについてこれから見ていく。

(1)エネルギー価格と石油価格の上昇(Energy and oil prices rise

ロシアのウクライナ侵攻は5日目を迎え、アメリカとヨーロッパ連合は制裁を強化し続けている中、月曜日の原油価格は急騰し、ブレント原油は1バレル100ドルを突破した。

米国エネルギー情報局によると、2020年の単年度だけでも、ロシアはアメリカにとって3番目に大きな外国産石油の供給国であり、輸入石油の7%を占めていた。また、ロシアは2019年に130億ドルの鉱物性燃料をアメリカに輸出しており、アメリカに送られるロシアからの輸出の半分以上を占めていた。

注目すべきは、ロシアに科された制裁措置が今のところエネルギー部門を除外しているにもかかわらず価格が上昇していることだ。バイデン大統領は、この措置について「アメリカ国民がガソリン売り場で感じている痛みを抑えるため」の決定であると述べている。

しかし、フランスのパリ政治学院(Sciences Po Paris)教授でガソリン分野のアナリストであるティエリー・ブロスは、『ウォールストリート・ジャーナル』紙に、石油価格は「極めて不安定」な状態が続くだろうと語った。ブロスは「ウラジミール・プーティンはいつでも供給削減を決定できるのだ」と述べた。

今週月曜日、全米のガソリン価格は平均で1ガロン(約3.78リットル)3.62ドルとなった。アメリカ自動車協会によると、ガソリン価格は「原油価格が上昇を続けているため、今後も上昇し続けるだろう」と述べている。アメリカの平均ガソリン価格は、1年前には約2,71ドルだったが、この上昇はロシアがウクライナとの国境に軍隊を集結させる前から始まっていた。

アメリカ自動車協会の広報担当のアンドリュー・グロスは声明の中で「ロシアの侵攻とそれに伴うアメリカと同盟諸国による一連の金融制裁のエスカレートは、世界の石油市場に動揺を与えている」と述べている。

グロスは更に「アメリカの株式市場と同様に、石油市場も乱高下(volatility)に対応しにくい。爆発的な状況であり、地球の裏側での出来事がアメリカの消費者に波及することがあるのだということを痛感させられている」と述べた。

ウォールストリート・ジャーナルは、アメリカをはじめとする主要な石油消費国が、原油価格の上昇を受けて、7000万バレルの緊急備蓄(emergency stockpiles)を放出することを検討していると報じた。

(2)農業従事者のためのサプライチェインにかかわる諸問題で食料品価格は上昇する(Supply chain issues for farmers could drive higher food prices

アメリカ国内の農業従事者たちは、紛争前に過去最高値を記録していた肥料価格の高騰に備えているところだった。

『ブルームバーグ』誌によると、低コストで大量の肥料を生産するロシアは、カナダに次いで世界第2位のカリの生産国である。カリは主要な商品作物や農産物に使われる重要な栄養分である。

ロシアとウクライナの危機が最高潮に達する前から、『アイオワ・キャピタル・ディスパッチ』紙は、アメリカの農業従事者たちは来年の栽培シーズンに向けて、高騰する肥料価格と供給不足のため、トウモロコシの作付けと畑での窒素肥料(nitrogen fertilizer)の使用を控える可能性が高いと報じていた。

トム・ヴィルサック農務長官は木曜日、ロシアのウクライナ侵攻が米国農業に及ぼす直接的な影響について、最大の懸念は肥料会社による価格つり上げであり、「我々はそれを注視していく意向であると明確にしておく」と述べた。

サードブリッジ社のシニアアナリスト、パトリック・ドネリーは、「我が社の専門家たちによると、カリや肥料の生産業者は必要に応じて生産を増やす能力を持っているということだ。問題は、サプライチェインを通じて小売店や農家に供給される量がどの程度増加させることができるかだ」と語った。

ドネリーは更に「最も直接的な影響は、農産物価格の更なるインフレーション、ひいては食品価格の上昇となることだ。アメリカ国民はこの先、食料品代がもっと高くなると予想される」と付け加えた。

(3)旅行の制限と工区運賃の上昇(Travel restrictions and rising airfare costs

ウクライナは領空を閉鎖し、ロシア発着のフライトをキャンセルする航空会社が増えている。EUだけでなく、多くの国々がロシアの航空会社に対して領空を閉鎖している。

スコッツ・チープ・フライツのウィリス・オーランドは本誌の取材に対して次のように述べている。「領空閉鎖という点で、イギリスとロシアの間で報復合戦の状態になっており、FAAはウクライナ、ベラルーシ、ロシア西部の一部で民間航空機の飛行を制限している。こうした規制が継続または拡大した場合、中東、アフリカ、アジアへの航空運賃が高くなる可能性がある」と述べた。

紛争地域から遠く離れた場所での旅行も影響を受ける可能性がある。

オーランドは「この危機は、既に高騰している原油価格の上昇に拍車をかけるに違いない。ジェット燃料は航空会社にとって最大の経費の一つであり、燃料費の高止まりは運賃の上昇に反映される可能性がある」と述べた。

しかし、運賃に反映される燃料費高騰の影響は、「現在のような非常に競争の激しい運賃環境では緩和されるはずだ」とオーランド氏は付け加えた。

However, the effect of higher fuel costs on which fares are available is bound to be “tempered by the extremely competitive fare environment we're currently in,” Orlando added.

「航空会社は、ここ数週間、平均運賃が上昇しているにもかかわらず、新たな航空需要を取り込もうと絶えず努力しており、その結果、運賃のセールが頻繁に行われている」と述べた。

Airlines are grappling constantly to capture renewed demand for flights, which is resulting in frequent fare sales, even as average fares have crept higher in recent weeks,” he said.

(4)株式市場の乱高下(Stock market volatility

ロシアがウクライナとの国境に軍隊を集結させ、市場が大規模な紛争に備える中、株価は1年を通して着実に下落し続けた。戦争の到来とロシアに科せられた前例のない制裁措置により、金融セクターは未知の領域に向かい、今後も乱高下が続く可能性がある。

2022年に入ってから、ダウ平均は7%以上、S&P500指数は9%以上、ナスダック総合株価指数は約13%下落しており、投資の専門家たちは数年にわたる猛烈な上昇の後、さらなる減速に警戒感を強めている。

アリー社のチーフ・マーケット・アンド・マネー・ストラテジストであるリンゼイ・ベルは「リスク管理は優れた投資計画の鍵だが、地政学的リスクは計画的に備えることが難しい」と、アリーのチーフ・マーケット・アンド・マネー・ストラテジスト、リンゼイ・ベル氏は書いている。

「ロシアとウクライナの地政学的危機が続いていることが、今の株価を圧迫しているかもしれないが、歴史的に見れば、こうしたディップは長期投資家にとって良い買い場となり得る。この状況で考慮すべきは地政学的リスクだけではないが、いつの間にかFRBが心配の壁のトップに戻っていることは十分にあり得ることだ。"

The ongoing Russia-Ukraine geopolitical crisis may be pressuring stocks right now, but history suggests these dips could be good buying opportunities for long-term investors. While there is more than just geopolitical risk to consider in this situation, it’s quite possible that before you know it, the Fed will be back at the top of our wall of worry.”

(5)連邦準備制度によるより迅速な利上げ(Faster Fed rate hikes

エネルギー価格と食料品価格の更なる高騰とサプライチェインのボトルネックはインフレーション圧力を生み出し、連邦準備制度に対して、今停止している一連の利上げを促すことになるだろう。

インフレーション率が連邦準備制度の予想を大きく上回る水準まで上昇したため、FRBは既に来月から年内で数回の利上げを実施する姿勢を示している。FRBがインフレーションの指標として推奨している個人消費支出(personal consumption expendituresPCE)価格指数によると、今年1月までの12カ月間で物価は6.1%上昇した。

経済活動の低下によってインフレーションが緩和される可能性はある。一方で、専門家たちは、好調なアメリカ経済と深刻な供給の混乱の可能性が組み合わさることで、FRBがより早く利上げに踏み切る可能性があると見ている。

ゴールドマン・サックスのエコノミストであるデービッド・メリクルは金曜日に発表したリサーチ・ノートの中で、「2022年に非常に高いインフレーション経路をたどると、残り7回のFRB会合全てにおいて着実に利上げを行うことが容易になるはずだ」と述べている。

メリクルは、食品とエネルギー価格を除いた年間インフレ率は2022年末に3.7%と、前回予想の3.1%から上昇すると予想している。FRBは平均して年間2%のインフレを目指している。

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前例のない西側諸国の制裁はロシア経済の首を絞める(Unprecedented Western sanctions strangling Russian economy

シルヴァン・レイン、アレックス・ガンギターノ筆

2022年2月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/596144-unprecedented-western-sanctions-strangling-russian-economy

アメリカと西側の同盟諸国による金融制裁がロシア経済の首を絞めている。

ロシア大統領ウラジミール・プーティンがウクライナに対する戦争を仕掛けている最中、バイデン政権、イギリス、ヨーロッパ連合、その他の主要な経済プレーヤーたちからの前例のない罰則の重みで、彼の国ロシアの経済は崩壊し始めている。

ノートルダム大学キョウ国際問題大学院の経済制裁の専門家ジョージ・ロペスは、「経済界、銀行界の誰もが、私たちが新しい領域にいることを知っている。それは、銀行部門の中心を最も強力な矢として、一国の経済を組織的に停止させることだ」と述べている。

アメリカと同盟諸国が、ロシア中央銀行が保有する約6000億ドルの準備金からロシア政府を切り離し、ロシアの国際金融システムとの関係を更に断つ措置を取ったことで、月曜日のルーブルの価値は急落した。

西側諸国は、ロシア中央銀行、ロシア財務省、ロシアの外国投資ファンドとのほとんどの取引を禁止し、プーティンが制裁の衝撃を緩和するために何年も蓄えてきた資金を封じ込めた。この制裁は、世界的な混乱の中でドルの価値が上昇する中、世界金融システムの主要基軸通貨であるドルへのロシアのアクセスを遮断するものでもある。

アメリカとEUはまた、ロシアの特定の銀行に対し、銀行が取引を行う際に使用するメッセージング・システムである国際銀行間金融通信協会(Society for Worldwide Interbank Financial TelecommunicationSWIFT)へのアクセスも禁止した。

ロシアの準備金のうち約3000億ドルは、現在、アメリカ、ヨーロッパ、その他の同盟諸国にあり、現在はプーティンから切り離されている。ロシアはまだ数十億ドル相当の金を国内に保有しているが、複数の専門家によれば、モスクワは自国の銀行が厳しい制裁を受けているため、ロシアの銀行と進んで取引する人はほとんどいないだろうと述べている。

調査会社マネタリー・ポリシー・アナリティクス社の共同設立者でエコノミストのデレク・タンは、「問題は、他の人々が喜んで取引しない場合、彼らはそれを有用なものに変換することができないということだ」と述べている。

タンは「ロシアの銀行は資産を保有しているが、使うことができない」と発言した。

外貨準備を利用できないロシア政府は、経済と金融セクターを浮揚させるために必死の手段に打って出た。ロシア中央銀行は基準金利を20%に引き上げ、ルーブルが更に暴落するのを防ぐために外国人が保有する有価証券の売却を禁止した。

ロシアは海外の金融機関にSWIFTの代替手段に参加するよう促したが、欧米の路線に従わない国には制裁が待っているため、賛同者はほとんどいないようだ。

ロシアは最終的に、銀行の経営破綻、インフレーションの進行、長期にわたる深刻な経済的ダメージを防ぐことはできないかもしれない。アメリカとEUはロシアへのダメージを限定的にするためにいくつかの例外を設けたが、専門家たちは、欧米による経済制裁の影響は世界市場に波及する可能性があると分析している。

アメリカはこれまでにも、ヴェネズエラ、北朝鮮、イランの各中央銀行を制裁の対象としてきた。しかし、ロシアのような経済規模を持つ国に対して、これほど多くの国の支持を受けて、これほど厳しい制裁を科したことはない。スイスがロシアに制裁を加えることは、モスクワにとっても大きな痛手であり、金融市場で大きな存在感を示す歴史的に独自の多胎場を保ってきた国ロシアにとって大きな転機となると見られる。

クロウェル・アンド・モーリング社の国際貿易プラクティスグループで、アメリカの経済制裁分析を専門とする役員デイヴィッド・ウルフは次のように述べた。「今回の欧米諸国の対ロア経済制裁は前例のないことだ。これほど早く、これほどのレヴェルで各国が協調して行動したことを私はこれまで見たことがなかった」。

2020年のロシアの国内総生産(gross domestic product)は約1兆5000億ドルで、ニューヨーク州よりもわずかであるが小規模の経済だ。しかし、ロシアは石油、天然ガス、小麦、特定の金属の世界供給のかなりの割合を産出しており、敵対する西側諸国に対して重要な影響力を保持している。

前出のタンは「アメリカにとってそれほど関係はないのだが、ヨーロッパにとっては極めて深刻な事態になると思う」と発言した。ロシアとの経済関係が深い東欧・中欧諸国にとって、今回の制裁は「極めて破壊的(extremely disruptive)」なものになる可能性があるとタンは述べた。

ヨーロッパはロシアの石油や天然ガスの輸出に特に大きく依存しており、そのためヨーロッパの指導者たちはロシアに対する厳しい経済制裁について警戒している。もしプーティンがロシアからのエネルギーや食糧のヨーロッパへの輸出制限を決めれば、物価上昇を更に強めながら、需要は急増するという、プーティンにとっては有利な状況になる。

アメリカはエネルギーの純輸出国であるが、アメリカの石油と天然ガスに対する需要が急増すれば、過去12カ月で40%上昇したアメリカ国内のガソリン価格も上昇する可能性がある。ガソリン価格の高騰は、インフレーションの進行で急落したバイデン大統領の支持率を更に低下させる可能性がある。

アメリカと同盟諸国は、これまでに発表された対ロシア経済制裁のうち、エネルギー関連の支払いについては例外とするということで、経済制裁による反動・吹き戻し(blowback)を抑えようとしている。このような例外措置は、西側諸国をエネルギー価格の上昇から守るだけでなく、西側による制裁(かなり厳しい罰則を設けている)の経済的な影響力をある程度維持することになる。

トランプ前大統領の下で文民安全保障・民主政治体制・人権担当国務次官を務めたエリック・ユーランドは「ロシアの経済規模は私たちよりはるかに小さいが、ロシアは欧米諸国の製品やサーヴィスを輸入禁止にするなど、確報復する可能性を持っている。つまり、西側諸国や西側企業からのロシアへの製品輸出禁止に直面する可能性が突如としてできたということになる」と、述べた。

ユーランドは、西側諸国の制裁がすぐに影響を与える分野がある一方で、完全な影響を与えるのに数カ月かかる分野もあると述べた。

ユーランドは更に「これらの影響のいくつかは、より中規模である。そのため、私たちはエネルギー生産とその事業に関するロシアの取引能力を中断するようにしなければならない。短期的な価格の影響に関しては、この制裁の効果が明らかになる3から6ヶ月の期間で見るようにすべきで、即座に顕著な変化はないと思われる」と発言した。

しかし、ロシアには、制裁による経済的な締め付けを緩和するための選択肢や協力者がほとんど存在しない。中国とロシアは経済的に密接な関係を築いているが、中国の銀行の中にはロシアの石油会社向けの取引処理に難色を示すところも既に出ているとタンは指摘している。

タンは「中国の銀行は伝統的に、アメリカの制裁に抵触することを非常に警戒する」と述べた。

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多くの多国籍企業がモスクワを罰するためにロシアから撤退(Multinationals flee Russia, punishing Moscow

カール・エヴァース=ヒルストロム筆

2022年2月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/business-a-lobbying/business-a-lobbying/596200-multinational-us-companies-flee-russia-amid-invasion

ロシアによるウクライナへの残虐な侵攻を受け、国際社会の多くのアクターたちがロシアを孤立させようとしている。多くの巨大多国籍企業もその動きに同調し、ロシアからの撤退を進めている。

石油・ガス分野の巨大多国籍企業のBPとシェルは、ロシアで数十億ドル相当の投資を何十年も行ってきたが、ロシアから撤退すると発表した。複数のアメリカの多国籍企業はロシアへの出荷を完全に停止している。

ロシアのウラジミール・プーティン大統領と取引することによる評判の悪化や財務上のリスクを考慮する企業が増えるにつれ、ロシアからの脱出(exodus)は続くと予想される。複数の専門家は、エネルギー企業が巨額の損失を甘受してロシアから撤退する決定を下すことで、失うものが少ない産業分野の企業も即座にエネルギー企業に同調するだろうと分析している。

戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)の国際ビジネス担当部長ビル・ラインシュ「各企業の最高幹部クラスが、政治的なリスクを考慮するだけでなく、ロシアの行動に対して純粋に怒りを感じているのだと私は考えている」と発言した。更には「企業がこれほど早くロシアからの撤退を決断したことに驚いている」とも述べた。

こうした決断の背景には、ロシア政府との関係を断つよう求める世論の大きな圧力がある。また、アメリカとその同盟諸国が発動した大規模な制裁により、各企業がロシア企業とビジネスを行うことが著しく困難になっていることも理由として挙げられる。

シェルは月曜日、約30億ドル相当のロシア国有のエネルギー・プロジェクトへの出資を断念すると発表した。シェルは更に、この措置が資産価値を低下させ、「減損処理(impairments)につながる」と強調した。

シェルの最高経営責任者(CEO)であるベン・ヴァン・バーデンは、「私たちは、ヨーロッパの安全保障を脅かす無意味な軍事侵略行為によって、ウクライナで人命が失われたことに衝撃を受けており、これを遺憾に思う」と声明の中で述べた。

ヴァン・バーデンの声明発表は、長年プーティン大統領を擁護してきたBPが、ロシア国営エネルギー企業ロスネフチの株式20%を売却すると発表した後に行われた。厳しい制裁下で売却は困難であるため、BPがこの投資を償却することになれば、250億ドルもの損失が発生する可能性がある。

BPのヘルゲ・ランド社長は声明の中で、「ロシアのウクライナへの攻撃は、地域全体に悲劇的な結果をもたらしている侵略行為である」と述べた。「BPは30年以上にわたってロシアで事業を行い、優秀なロシア人の同僚たちと協力してきた。しかし、今回の軍事行動は根本的な変化を意味する」と述べた。"

ロシアがウクライナへの攻撃を激化させる中、世界からの孤立も同時に進んでいる。アメリカの運送会社フェデックスとUPSは、ロシアとウクライナ両国への全ての出荷を一時的に停止すると発表した。ドイツのDHLは、安全上の懸念を理由にロシアとウクライナへのサーヴィスを一部停止すると発表した。

海上輸送企業マースクは月曜日、ロシアとの間の輸送を停止する可能性があると発表した。この動きは、ロシアを国際貿易から更に切り離すことになる。デンマークの巨大海運会社マースクは、ウクライナの治安状況を注視し、「ロシアに対して科された、常に変化する制裁と制限に従う準備をしている」と述べた。

ロシアから撤退していない企業は、複雑な制裁をどのように乗り切るかを分析し、ロシアとのビジネスを継続することが制裁による規制上の課題に適合するかどうかを探っていると思われる。

クレムリンのウクライナ侵攻に対応して、アメリカと同盟諸国は、海外に保有するロシア中央銀行の資産約6300億ドルを凍結し、ロシア国有企業の資金調達を阻止し、ロシアの銀行の一部を国際決済システム「SWIFT」から切り離した。アメリカはロシアの国有銀行が米ドルにアクセスできないようにし、ロシアがコンピューターチップやその他の技術を入手できないようにする輸出規制を課した。

わずか数日の間に、この制裁によってロシア経済は崩壊寸前にまで追い込まれた。月曜日の午後、ロシア・ルーブルの価値は1セント以下となり、企業がこの国から撤退する理由がまた一つ増えた。

ヨーロッパ域内の各企業、特に銀行やエネルギー企業は、2014年にクリミア半島を併合したことでアメリカがロシアに制裁を発動した後、一般的にロシアへの投資を制限しようとしたアメリカ企業よりもはるかにロシアへの関与の度合いが高くなっている。

アメリカ通商代表部によると、ロシアはアメリカに輸入される石油の約7%を占めているが、全製品の輸入国としては全体で20位、アメリカ製品の輸出市場としては40位に過ぎない。

ロシアから切り離される場合、アメリカ企業で困難に直面することになるのは少数だ。ボーイングは航空機の製造にロシア製のチタンを長年使用してきたが、他の国から材料を調達できると主張している。ペプシコとマクドナルドはともに、売上の4%前後をロシアとウクライナから得ている。

しかし、他の企業は既に行動を起こしている。デル・テクノロジーズはロシアへのコンピューター販売を凍結すると発表し、デルタ航空はロシアの航空会社アエロフロートとのチケット購入の提携を停止した。アエロフロートはヨーロッパのほぼ全域で飛行を禁止されている。

前出のラインシュは「エネルギー分野を除けば、ロシアは経済の舞台で大きな役割を担っていない。ロシアとの貿易を停止するのは、消費者としても政治的にも賢い行動であり、企業のコストもそれほどかからないだろう」と述べた。

ロシアの攻撃から逃れるウクライナ国民に対して、他のアメリカ企業も積極的に支援している。エアー・B・アンド・Bは10万人のウクライナ人難民に無料で短期間の住居を提供すると発表し、グーグル、メタ、ツイッターは複数のロシア国営企業がウクライナでコンテンツを宣伝することを禁止している。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 アメリカのインフレーション率は高いままだ。2021年10月で6.2%を記録したが、11月では6.8%を記録している。人々の給料が10%くらい上がらないと、このインフレーションの状態では生活は苦しくなるばかりだが、簡単に給料が10%も上がる人は少ないし、もともと低賃金の仕事で10%も上げてくれることはない。嫌なら辞めろということになる。それで人手不足ということになるが、低賃金の仕事にしか就けない非熟練労働者は多く、結局仕事は埋まってしまう。日本の規制改革、構造改革を進めた竹中平蔵一派(小泉純一郎からの)は、このような構造を日本に作り上げ、巨大な格差社会を構築することに成功した。私は以前に「日本に低賃金で働く人たちの“国”を作りたいのだろう」と書いたがまさにそうなった。
inflationrates20172021503

usinflationrate2021503
 アメリカ国民は現状に不満と不安を持っている。インフレーション、物価高を何とかしてくれということになっている。インフレーションを抑えるには市場で流通している貨幣量を減らすということになる。金融政策で言えば利上げをすること、財政政策で言えば緊縮財政にして、増税をするということになる。しかし、新型コロナウイルス感染拡大のために疲弊した経済状態で、利上げをすること、増税をすることは難しい。バイデン政権は大型公共支出をして経済を刺激しようとしているが、それがインフレーションを亢進させてしまう危険性もある。民主党の連邦上院議員ジョー・マンチン(ウエストヴァージニア州選出)は、インフレーションへの懸念からバイデンが進める大型支出に反対することを表明した。

 今が調整局面で、デマンドプル型インフレーションなのだという解釈であれば、その内に落ち着く。しかし、コストプッシュ型インフレーションであれば、外的な要因ということもあって厳しい。具体的には中国の経済回復のために、資源の取り合いになって資源の価格が高騰するということになれば、アメリカのインフレーション、物価高は続く。輸入品の価格を下げるためにはドル高にしなければならない。そうなれば日本は円安となり、日本にコストプッシュ型のインフレーション、物価高を「輸出」「押し付け」することになる。日本のインフレーション率はそこまで高くなく、アメリカ並みのインフレーション率にまで上がることは考えにくいが、給料が上がらない中で物価高が続くことは人々の生活を直撃することになる。

 2022年もしばらくは厳しい状態が続くことになるだろう。

(貼り付けはじめ)

最新の世論調査によるとアメリカ国民の3分の2が世帯支出は上昇していると回答Two-thirds of Americans in new poll report higher household expenses

キャロライン・ヴァキル筆

2021年12月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/585141-two-thirds-of-americans-in-new-poll-report-higher-household-expenses

アメリカ国民の約3分の2が2020年3月の段階に比べて世帯支出(household expenses)がより高くなっていると報告している。これは賃金上昇がありながらも、インフレーションがアメリカ国民に直撃しているということを示唆している。火曜日に発表された最新の世論調査の結果、明らかになった。

今月、アソシエイティッド・プレスとNORCセンター・フォ・パブリック・アフェアーズ・リサーチの共同世論調査が実施された。アメリカ国民の67%が、世帯支出は2020年3月1日時点よりもより多くなっていると答えている。26%は横ばいだと答えた。

2020年3月1日時点よりも世帯支出が低くなったと答えたのは6%だった。

アメリカ国民の過半数がここ数カ月、物価が通常よりも高くなっていることを経験していると答えた。日用品については85%、ガソリンについては85%、電気料金については57%、休日のプレゼントについては58%、サーヴィス全体については62%が、価格が高くなっていると答えた。

家電製品の場合、ここ数ヶ月でそれらの製品の価格が通常より高くなったと回答した人は37%にとどまり、51%がそれらの製品を購入しなかったと回答している。

世帯収入について、世論調査を行ったアメリカ国民の50%が「2020年3月1日とほぼ同じだ」と答えたのに対し、「その時点より高くなった」と答えたのは24%だった。

今回の世論調査では、26%が2020年3月の時点よりも世帯収入が減少したと答えた。

水曜日に発表された労働省のデータによると、10月の賃金上昇は年率5%だった。労働者需要が最高潮に達し、同月に企業によって1100万件の求人広告が出され。

バイデン大統領の世論調査の数字が低いのはインフレーションが一因となった。こうした状況下で、労働省からデータが発表された。10月のインフレーション率は30年ぶりの高水準に達した。

消費者物価指数(CPI)は、主要な財・サーヴィスのインフレーション率を示すもので、10月だけで0.9%、同月までの12ヵ月間では6.2%の上昇となった。

APNORC社の共同世論調査では、アメリカ国民の57%がバイデンの経済への対応に不賛成であるのに対し、賛成は41%であった。

APNORC社の共同世論調査は、2021年12月2日から7日にかけて、1089名を対象に実施された。誤差は4.1ポイントで、信頼水準は95%だ。

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世論調査:アメリカ国民の69%がバイデンのインフレーション対応を不支持(Sixty-nine percent of Americans disapprove of Biden's handling of inflation: poll

ジョセフ・チョイ筆

2021年12月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/585486-sixty-nine-percent-of-americans-disapprove-of-bidens-handling-of

日曜日にABCニュースとイプソス社共同世論調査の最新結果が発表され、アメリカ国民の約70%がバイデン大統領のインフレーション対応に不支持と答えた。

世論調査の結果によると、アメリカ国民の69%がバイデン大統領のインフレーション対策を不支持と答えた。一方、28%が支持と答えた。支持政党別で見ると、共和党支持者の94%が不支持と答え、民主党支持者の54%が不支持と答えた。無党派の有権者の場合は、71%が不支持と答えた。

経済回復については、57%がバイデンの仕事ぶりを評価しないと答えた。

ABCニュースの世論調査の結果では、犯罪と銃犯罪に関してはバイデンの支持率は下がっている。それについて36%と32%が支持すると答えたが

しかし、バイデンはある分野に関しては大統領としての仕事ぶりで過半数を少し超える支持を維持している。それは新型コロナウイルス感染拡大対策だ。ABC・イプソス共同世論調査によると、53%がバイデンの新型コロナウイルス感染拡大対策を支持した。

ABCニュース・イプソス共同世論調査は2021年12月10、11日に実施された。ランダムに選ばれた524名の成人が対象となった。調査結果の誤差は5ポイントだ。

これらの支持率の数字はインフレーション率が急上昇し続けている中で発表された。今年11月までの1年間で消費者物価は6.8%も上昇した。これは1982年以降で最高の年間のインフレーション率だ。

先週、バイデンは、「アメリカは現在インフォメーション危機の“最高潮”の中にあるが、連邦上院で自分の最優先政策である“ビルド・バック・ベター”法案が可決すればインフレーションは下がるだろう」と述べた。

バイデンはCNNのカイトラン・コリンズに対して次のように語った。「これは実生活に置いての大きな問題です。日用品店に入って、何を買うにしても、より多くのお金を払うことになれば、家族に影響が出ます。これが問題です」。

バイデンは続けて次のように述べた。「ガソリン代が高くなることは、人々にとって重要なことです。いくつかの州では、1ガロン3ドルを切る価格まで下がりましたが、重要なのは、まだ十分に早く下がっていないことです。しかし、私はそうなると思っています」。

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民主党の政治家たちはインフレーションに打ち勝とうと苦闘している(Democrats race to get ahead of inflation

シルヴァン・レイン筆

2021年12月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/584618-democrats-race-to-get-ahead-of-inflation?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

民主党の政治家たちは、物価の上昇がそれまでの好調な景気回復に水を差すことになるため、高インフレーションに打ち勝とうと苦闘している。

アメリカ経済は、新型コロナウイルス感染拡大で大きな被害を受けた他の全ての国に先駆けて、新たな感染拡大や感染拡大対策関連の制約を乗り越えて、急成長を遂げている。

2021年11月の失業率は4.2%にまで下落し、これは2020年2月以来の低水準である。先月、労働力は拡大し、賃金は年率で5%の上昇を記録した。個人消費と小売売上高も新型コロナウイルス感染拡大より前の最高水準を超えて急上昇しており、企業収益の上昇により株式市場は再び記録的な上昇を見せている。

しかし、景気回復のスピードが速いこともあり、インフレ率が着実に上昇しているため、民主党は景気回復をアピールすることが難しくなっている。

シェリ・ブストス連邦下院議員(イリノイ州選出)は木曜日、連邦議事堂で本紙の取材に応じ次のように述べた。ブストスはこの任期を最後にして議員を引退すると発表している。また、彼女の選挙区は民主、共和両党が激しく取り合う選挙区だ。彼女は「様々な経済指標を見れば、どれも素晴らしい数字を記録していることが分かる」と述べた。

彼女は続けて次のように述べた。「しかし、人々の生活問題について言うと、車を満タンにすれば前よりもお金がかかっている。日用品店に行ってベーコン1ポンドを買えば前よりもお金がかかる。人々はこのことを認識している」。

労働省が発表した消費者物価指数(CPI)によると、10月の消費者物価は、主に食品とエネルギー価格の高騰によって、前年同月比で6.2%上昇した。エコノミストたちは、金曜日に発表される11月の消費者物価指数のデータは、先月の消費者物価の年間上昇率がさらに大きく、6.7%になると予想している。

消費者物価の継続的な上昇は、資金繰りに苦しむ家計を圧迫し、中間選挙まで1年を切ったバイデン大統領と民主党に対する政治的圧力が高まっている。共和党は繰り返しコストの上昇を指摘し、バイデンや民主党が3月に民主党の票だけで可決した19000億ドル規模の「アメリカン・レスキュー・プラン」景気刺激策で経済を過熱させたと非難している。それでも回復の遅れた他の富裕国もインフレで苦しんでいるのが現状だ。

連邦下院財政委員会共和党側最高責任者パトリック・マクヘンリー連邦下院議員(ノースカロライナ州)は木曜日連邦議事堂において、「財政がインフレーションを増進させている。これは深刻な懸念となっている」と発言した。

マクヘンリー議員は「既に物価に関して問題が起きているのに、連邦議会は経済にジェット燃料を加えているようなものだ」と述べた。

アメリカン・レスキュー・プランがアメリカの景気回復に貢献した一方で、それが促進した支出の多くは、過負荷状態にある商品部門に殺到している。新型コロナウイルス感染拡大によって被害を受けた工場、サプライヤー、運送会社、小売業者が急増する需要に追いつくのに苦労しているので、様々な消費財の価格が急騰している。夏にはデルタ型ウイルスが出現し、サプライチェインの混乱はさらに深まり、新型コロナウイルス感染拡大前の状態に戻りつつあるサーヴィス産業からより多くの支出が流出することになった。

バイデン氏がサプライチェインの問題解決に奔走する中、大統領とホワイトハウス関係者は、インフレーションが国民の経済への支持やメディアの報道に与える悪影響について苦言を呈している。しかし、過激な進歩主義者から穏健派まで、様々な議員が、労働者階級が直面している物価の上昇を軽視してはならないと警告している。

木曜日、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は連邦議事堂で本紙の取材に対して、次のように述べた。「私たちが持っている疑問は、“インフレーションは問題なのか、そうではないのか?”というものではない。その答えは既に持っている。疑問に思っているのは、“私たちは本気になって解決しようとしているのか、それともただお喋りの材料にしているのか?”ということだ」。

オカシオ=コルテスや多くの民主党議員は、バイデンの「ビルド・バック・ベター」計画を、特に育児や処方薬など家族のコストを下げるための重要なステップであると評価している。彼女は木曜日に、1兆7500億ドルの社会サーヴィスおよび気候変動法案は、介護責任のためにパンデミックの発症中に去った数千人を含む、より多くの女性を労働力にするのにも役立つと述べた。

オカシオ=コルテスは、「物理的なサプライチェインには、港湾や海運の問題だけでなく、労働力不足という具体的な圧力要因がある。これらの分野に投資することで、ボトルネックを解消することができると考えている」と述べた。

ほとんどのエコノミストは、「ビルド・バック・ベター」計画は短期的には価格上昇にほとんど寄与しないと言っており、デフレーションの影響は数年どころか数ヶ月は発生しないと警告を発している。また、デルタウィルス変種の持続、オミクロン変種の出現、冬の到来なども、来年インフレーションが緩和し始める前に供給ラインを圧迫しそうだと、多くのアナリストは警告している。

オックスフォード大学経済学部のアメリカ経済専門家オレン・クラチキンは月曜日に発表した分析の中で次のように述べている。「バイデン政権は、サプライチェインの問題に取り組むためにビジネスリーダーと協力しているが、構造的なトラックドライヴァー不足と、基本的にフル稼働している倉庫という状況の中で、短期的にどれだけの進展が見られるかは不明だ」。

クラチキンは、港湾のボトルネック、重なり合う海外渡航制限による「頑強な物流課題」、数年来のトラックドライヴァー不足が重なり、価格への圧力がかかり続けていると指摘している。

クラチキンは「オミクロン株の発生によって、サプライチェインの問題解決スピードを低下させ、これまでの成果を台無しにする危険性がある」と書いている。

サプライチェインのより深刻な問題、特に自動車や家電製品から食品やエネルギーに至るまで価格上昇が広がれば、資金繰りに苦しむ家計やその支持を必要とする民主党候補者にとっての課題となる可能性がある。住宅価格や株価の急上昇は、物価上昇を乗り切ることができる裕福なアメリカ人にとっては恩恵だが、市場に資金がない人や、使える現金が十分にない人にとっては、どちらも冷たい慰めにしかならない。

ドン・ベイヤー連邦下院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は木曜日、連邦議事堂で本紙の取材に対して次のように語った。「私たちの相手である共和党側にとっては幸先の良いメッセージということになる。特にガソリン価格や食料価格の点で、価格が上昇すれば人々はその上昇を、自分たちの手持ちのお金を数えながら実感することになる」。

ベイヤーは「私が希望しているのは今年の春の終わりまでにこれらの物価上昇の圧力が極力小さくなることだ。10月までに収束させることができれば選挙に間に合うなどとは考えていない」と述べた。

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民主党がバイデンの支出法案成立に邁進する中、マンチンはインフレーションに警告を発する(Manchin warns about inflation as Democrats pursue Biden spending bill

ジョーディン・カーニー筆

2021年12月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/584830-manchin-warns-about-inflation-as-democrats-pursue-biden-spending-bill?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)は火曜日、インフレーションに懸念を持っており、バイデン大統領の最重要政策である気候変動と社会に関する支出パッケージに前のめりになっている民主党に対して警告を発した。

マンチンは、『ウォールストリート・ジャーナル』紙CEO会議サミットにおいて、社会支出法案に対してまだ賛否を決めておらず、インフレーションンリスクに対して危険信号を出していると示唆した。

ウエストヴァージニア州選出の連邦上院議員であるマンチンは、インフレーションについて言及しながら、「今日我々が直面している未知の問題は、・・・この支出法案よりもはるかに大きい」と述べた。

マンチンは「私たちは、これを確実に実行しなければならない。このまま市場に資金を氾濫させ続けるわけにはいかない」と述べた。

連邦上院多数党(民主党)院内総務(Senate Majority Leader)のチャールズ・シューマー連邦議員(ニューヨーク州選出、民主党)がクリスマス前に歳出法案を通すという期限を守ろうとして民主党所属議員たちに圧力をかけている中で、マンチンは発言を行った。バイデン政権は、この法案がインフレーション下でのコスト上昇に対抗するのに役立つと主張している。

民主党は、法案が予算規則に適合しているかどうかを提示しているマンチンとの交渉、更には所属議員同士の交渉が続いている。マンチンに加え、カーステン・サイネマ連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)も法案を支持するかどうか明言しておらず、他の民主党所属議員も州・地方税(SALT)控除の上限など法案の特定の部分について懸念を表明している。

マンチンは、クリスマスまでの期限について、スケジュールをコントロールすることはできないとし、言及を避けた。しかし、彼は今年初めに、『ウォールストリート・ジャーナル』紙の論説で、戦略的な一時停止を呼びかけたことがある。

「その時、私は懸念を持っていた。そこで戦略的に一時停止しようと言った。今でもそのことを強く感じている」とマンチンは語った。

民主党は、気候変動と社会支出に関する合意を成立させるために予算調停を行うため、50人の民主党会派所属議員全員の完全な結束が必要である。また、歳出法案の審議を開始するためには、完全な結束と、ハリス副大統領による賛成が必要である。

マンチンは、法案に有給休暇を含めることに反対し、企業のクリーンエネルギーへの移行を奨励するためのエネルギー条項を計画から削除させ、メタン排出料と労働組合に所属ずる労働者によって製造された自動車に多く適用される電気自動車税額控除について反発している。

マンチン議員は、両党が自党の最大の優先課題を可決させるために、予算プロセスを利用していることを非難した。

マンチンは「予算プロセスはそのような重大な政策変更のために使われるとは想定されていない」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 新型コロナウイルス感染拡大による経済不安のために、金(きん)価格が高騰している。下の記事にあるように、金の地金を扱う田中貴金属、徳力、石福金属興業、三菱マテリアル、日本マテリアルは緊急事態宣言を受けて、店頭での近似崖の売買を停止した。電話での購入注文は受け付けてきた。田中貴金属では、5月18日からは店頭での買取を再開している。しかし、売渡は行われないようだ。

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直近1カ月間の金価格の動き 

tanakapreciousmetalgoldpricegraph002
直近5年間の金価格の動き

 貼り付けてあるグラフが示しているように、金(きん)価格は上がっている。金を資産として保有している、準備が良くできている人たちは、生活資金や事業資金のために金の売却ができる。それで一息つける人も多く出るだろう。「備えあれば患いなし(有備無患)」という言葉は漢文の授業で最初に習う言葉であるが、まさにこの言葉の通りだ。

 金の先物を買っている金融業者は、地金の引き取りを要求し、それに応えられない業者は、金融業者に先物で購入した分の資金に現金をプラスして支払っているということだ。金の先物取引とは、たとえば、「半年後に金1グラム4000円で買う(売る)」という取引だ。現在では金価格が上昇していることもあり、金地金が足りない、準備ができないと実物を渡せないので、差金決済でしか応じないということが起きているそうだ。買金地金が足りないということもあって、日本の金地金商でも、客からの買取を先に行い、売渡は後ということになる。実物を持っていることが強い、ということになる。

 新型コロナウイルス感染拡大の経済への悪影響はこれからも続く。不況、デフレということになる。こういう時には現金と現金に換えられる実物を持っていることが何よりも強いということになる。

(貼り付けはじめ)

●「金などの店頭売買、相次ぎ停止 田中貴金属など地金商 コロナ禍対応で 機動的な売買できず」

日本経済新聞 2020/4/20 17:25

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58267330Q0A420C2QM8000/

国内地金商最大手の田中貴金属工業は20日、全国の直営店と特約店の店頭で金など貴金属商品の取引を停止すると発表した。新型コロナウイルスの感染防止と従業員の安全の確保が狙い。他の地金商も既に店舗での対面売買をやめており、一時的に貴金属の機動的な売買ができなくなる。

田中貴金属は、地金やコインといった資産用の貴金属商品の売買や貴金属製品の買い取りサービスなどを56日まで停止する。停止期間中は直営店全店を休業するが、電話での地金・コインの購入注文は受け付ける。

徳力本店や石福金属興業など大手地金商も既に56日まで店舗での対面売買を中止。三菱マテリアルや日本マテリアル(東京・千代田)も同様の対応をしている。

換金などの速やかな売買ができなくなり、現物市場の流動性が落ちる見込み。マーケット・ストラテジィ・インスティチュートの亀井幸一郎代表は「事態が長期化すれば、業界として流動性を確保するための対応策が必要になる」と指摘する。

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●「金先物価格が6,000円台に、新型コロナ終息でも安心できない世界経済」

小菅努 | マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

5/18() 9:37

https://news.yahoo.co.jp/byline/kosugetsutomu/20200518-00179032/

金価格の上昇が続いている。東京商品取引所(TOCOM)の金先物価格は、518日の取引で1グラム=6,000円台に乗せ、取引開始以来の高値を更新した。年初の5,303円に対して、新型コロナウイルスの感染拡大で投資環境が極端に不安定化した3月には一時4,876円まで下落していたが、その後はほぼ一本調子で値位置を切り上げる展開になっている。

新型コロナウイルスの感染被害に関しては、世界的に終息傾向にあり、経済活動の正常化が打診される環境になっている。中国や韓国などで感染被害の第2波も観測されているが、日本も含めた各国で外出・移動規制の緩和・撤廃が進んでおり、経済活動は最悪の状態を脱した可能性が高くなっている。このため、株価や資源価格には下げ一服感がみられるが、こうした環境下で安全資産である金価格が急伸し始めている。

■金融政策と財政政策がフル稼働に

背景にあるのは、景気低迷が長期化するのではないかとの警戒感だ。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は513日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、米経済は「長期」にわたって成長が低迷する可能性を指摘した。4月の米雇用統計では非農業部門就業者数が前月から2,050万人減少し、失業率が前月の4.4%から14.7%まで跳ね上がったが、過去最大規模の経済的ショックによって、回復が勢いづくまでは一定の時間が掛かる可能性を指摘している。

特に公衆衛生上のリスクが長引く事態に強い警戒感を示しているが、新型コロナウイルスの感染抑制に向けた取り組みと同時に、政府と中央銀行の積極的な対応の必要性について言及している。

FRBに関しては、既にゼロ金利政策の導入と無制限の量的緩和政策を実施しており、過去最大規模の金融策を展開している。トランプ米大統領の主張するマイナス金利導入に金融当局は慎重だが、現行政策の縮小・停止を議論できる状況にはなく、追加緩和策の導入を迫られるのではないかとの警戒感が強い。

一方、米議会は既に第14弾の新型コロナウイルス対策法案を成立させ、総額3兆ドルという異例の規模の財政政策を展開している。米国内総生産(GDP)の15%に近い規模だが、議会では民主党が更に3兆ドル規模の追加対策を要請するなど、第5弾、更には第6弾の対策法案の議論も始まっている。

■ドルと米国債に対する信認にリスク

金市場の視点では、FRBの積極的な金融緩和策は、金利低下を通じて金の保有コスト軽減につながることになる。金は原則として金利や配当を発生させることがないため、金利低下局面で買われる一方、金利上昇局面では売られる傾向にある。また、FRBが国債や社債などのリスク性のある資産を購入し続けることで、国際基軸通貨ドルの信認問題も浮上している。ジャンク債と言われる高利回り債も購入しているが、仮に企業のデフォルトなどが大量発生すると、FRBのバランスシートが毀損されることになり、それは必然的にドルの信認に傷を付けることになる。

一方、国債の信頼は財政政策に強く依存するが、当初は1兆ドル規模と予想されていた2020会計年度の財政赤字は、議会予算局の推計では3.4兆ドル規模に膨れ上がる見通しになっている。財政環境の持続性については、ここ数年は「財政の崖」といった形で金市場の関心事になったが、新型コロナウイルス対策で過去に経験したこのない財政出動を迫られる中、財政赤字は一気に拡大し、公的部門の累積債務も急増することになる。財政収支と金価格との間には逆相関関係が認められているが、膨張する財政赤字に対する警戒感も、金価格を強く刺激している。

これらの問題は、直ちにドルや米国債が急落することを意味するものではない。しかし、新型コロナウイルス対策で財政拡張が進み、民間部門で吸収しきれない国債をFRBが積極的に購入する仕組みに対しては、不安を感じる投資家も多い。仮にパウエルFRB議長の認識が正しければ、こうした有事対応は数か月ではなく数年単位の議論になる見通しであり、投資家の不安心理の受け皿として金が再注目されている。

あくまでも一時的な有事対応との見方もある。しかし、前回の世界同時金融危機の際にもこれに近い政策が採用されたが、その後に累積債務の大規模な削減が始まった訳でも、FRBの保有資産売却が本格化した訳ではない。仮にこの政策を正常化しようとすれば、2013年の「バーナンキ・ショック」以上のテーパー・タントラム(量的緩和縮小の示唆に伴う市場の動揺)に見舞われる可能性も高い。

■米中関係の緊迫化も

しかも、この最悪のタイミングで米中関係が再び緊迫化している。トランプ政権内では、新型コロナウイルスへの対応、更には米中通商合意の履行状態について、対中批判の声が強くなっている。トランプ大統領も14日に中国との「断交」断交の可能性を検討しており、中国の習近平・国家主席と現在は会いたくないと発言している。

この流れの中で、米商務省は17日、中国のファーウェイに対する半導体輸出規制の措置を発表し、中国商務省はアップルなど米ハイテク企業に対する報復の可能性を警告している。トランプ大統領の発言一つによって、米中関係が一気に緊迫化する可能性があり、新型コロナウイルスによるダメージからの立ち直りを打診する世界経済が、米中対立のショックを乗り切ることができるのか、高まる不安心理が金相場を押し上げている。

世界経済の低迷、大規模な財政出動と金融緩和政策、米中対立の激化と、新型コロナウイルスは感染被害が終息した後も、投資環境に大きなリスクをもたらすことになる。金価格が改めて上昇傾向を強めていることは、新型コロナウイルスによって生じたショックの後処理には、課題が山積しているとの危機感を反映したものと言えよう。世界同時金融危機後の値動きをみても、金価格の高騰はこれから年単位で展開される可能性が高まっている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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