古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

カテゴリ: 世界経済

古村治彦です。

以下は、読売新聞オンラインの記事で、その内容は高級ブランド品が高値で取引されているという内容だ。その代表例として、エルメスのバーキンバッグが最初に紹介されている。バーキンバッグは、今年7月に76歳で亡くなったモデル・映画女優・歌手として活躍したジェーン・バーキンの名前からとられている。ジェーン・バーキンの偉大さについては、副島隆彦先生の重たい掲示板の文章を是非読んでください。
janebirkinbirkinbag001
※「[3564]ジェーン・バーキンの死(76歳)から思うこと。投稿者:副島隆彦 投稿日:2023-07-23 20:14:35」↓

http://www.snsi.jp/bbs/page/1/

 バーキンが亡くなったということも理由としてあるだろうが、バーキンバッグの中古品の値段が高騰しているということだ。以下に貼り付ける読売新聞の記事によると、中古品で新品の定価(約150万円)の倍の340万円になっているということだ。凄まじいのは、人気のタイプのバーキンバッグは新品の定価が約500万なのに、その6倍の3000万円になって、それが売れたということだ。購入したのは、中国人夫婦だったということだが、この夫婦はいつも出物、掘り出し物を探していて、色々な店に連絡をつけて、お目当ての品物が出たらすぐに買うということをしているのだろうと私は考える。高々と書くと失礼だが、バッグ1つが3000万円というのは想像を絶する世界だ。今、金価格が1グラム9800円だから、約1万円と考えると、3000グラム、3キロと同等、金の延べ棒(1キロ)3本分と考えると何なんだということになる。

 「プレミアム価格」という値段が付く高級ブランド品の存在については、これらがお金に換えられるという点が重要なのだろう。高級時計のロレックスや希少価値の高いナイキのスニーカーも含めて、これらは実物資産ということになる。高級ワインや絵画もそうだ。芸能人、特に急に売れたお笑い芸人が高級時計や高級車を先輩から買うようにアドヴァイスをされて、その理由を質問したところ、「お前が売れなくなったら、それを売って金に換えて当座を凌ぐんだよ」と言われたと話していた。芸能人は見栄の世界と言われ、皆が高級な洋服や装飾品をつけて、高級車を乗り回しているが、これは顕示欲もあるだろうが、浮き草稼業で将来はどうなるか分からないということに備えての防衛の面もあるのだろうと納得した話だった。高級ブランド品はそれくらいの価値があるものなのだ。

 「高級ブランド品なんて金持ちの道楽で、貧乏人に見せつけるための飾りなんだろう」と私は思っていたが、実は実物資産としての価値があるという面を気づかせてくれる記事だった。

(貼り付けはじめ)

〇「バーキン中古バッグ、定価6倍の3200万円…高級品「プレ値」でも引く手あまた」

8/10() 5:02配信

読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/c4667a938ffd3b936efbdaff742c690accbb2a19?page=1

[値段の真相 シン中古市場]<3>

 中古市場では、新品での販売価格を大幅に上回る値段を「プレミアム価格」や「プレ値」と呼ぶ。その代表格が高級ブランドの中古品だ。

rolexdaytonapricechangesgraph001
【図】一目でわかる…ロレックスの人気モデル「デイトナ」の価格、このように推移している

hermesbirkinhighestprices001
一時、3200万円で売られていた「バーキン」の希少価値が高いモデル(東京・銀座で)=小林泰明撮影

 中古ブランド品流通大手、コメ兵銀座店では、200万円台後半から300万円台のエルメスの人気バッグ「バーキン」が2日に1個のペースで売れる。バーキンの定番モデルの定価は約150万円だが、今年4月の平均価格は340万円近くに達した。担当者は「プレミアム価格でも欲しいという顧客はたくさんいる」と言う。

 バーキンの中でも希少価値が高い限定モデルに至っては一時、定価(約490万円)の6倍を超える3200万円の値札がついた。その後、3000万円弱に価格が変更されたが、今月4日に中国人夫婦が購入したという。

 新品より中古の方がはるかに高い価格の逆転現象は、なぜ起きるのか。

 バーキンはもともと生産数が少ないことで知られる。人気のある色やサイズを正規店で購入するのは極めて難しいとされ、中古品でも欲しがる人は多くいる。そもそも需要と供給のバランスがとれていない。

hermesbirkinbagpricechangesgraph001

(写真:読売新聞)

 2020年以降はコロナ禍も重なった。生産が滞って新品の供給が不安定になる一方、市場で数少ないバーキンに多くの購入希望者が群がった。国内外の富裕層が旅行に行けなくなった分、高額品にお金を使うようになったことも、値上がりに拍車をかけた。

 中古市場に詳しい専門紙・リサイクル通信の瀬川淳司編集長は中古品の価格が高騰する条件について、「希少性、話題性、国際性」の3点を挙げる。

 価格は需要と供給で決まる。そのため市場に出回る数が限られる場合、必然的に「希少性」が高まり、需要に応じて値上がりする。

 SNSで高い発信力を持つインフルエンサーらが商品を使うことで「話題性」を集めれば集めるほど、需要が高まり、価格が上昇する。

 商品が海外も含めて売買されると、海外の富裕層が高い価格で買う機会も増える。商品の市場に「国際性」があれば価格はつり上がりやすい。バーキンは3条件を満たした代表的な「プレ値」商品と言える。

 ここでは価格が上がれば需要が減るという一般的な法則は、働かない。

●ロレックス、投資マネーの行き先にも

 投資マネーの行き先になっている高級ブランド品もある。

 ロレックスの高級腕時計は世界的に人気が高いが、流通量は少ない。人気モデルを定価で手に入れるには、複数の正規販売店に長期間、通い続ける必要があるという。マラソンのように店を巡ることから、ファンの間では「ロレックスマラソン」という言葉まである。

 新品どころか、中古品でも高値で取引され、さらに値上がりも見込める。ロレックスの一部のモデルは利用目的というより、売買によってもうけようとする投資家をひきつける。

 コメ兵によると、ロレックスの人気モデル「デイトナ」は、コロナ禍を受けて生産が減り、供給不足から値上がりするとみた投資家の購入が広がり、中古価格が高騰。定価約180万円のモデルの平均価格は22年春に590万円を超えた。

 その後、ロシアのウクライナ侵略で世界経済の先行きに不透明感が高まると、より安全な資産と目される金に資金を振り向ける動きが強まった。デイトナの価格は下落し、500万円を割り込んだ。

 投資対象と化したロレックスの相場は、世界情勢に合わせて揺れ動く。

nikesneakershighestprice001
ナイキ中古スニーカー50万円(写真:読売新聞)

●「プレ値」がつくのは、高級ブランドに限った話ではない。

 都内のスニーカー専門店は2017年に約2万円で限定販売されたナイキの中古スニーカーを50万円で売る=写真=。「日本国内では1店舗でしか販売されず、非常に希少性が高い」(関係者)ことが高値の理由という。

 スニーカーはもともと愛好家の間で高値で取引されていたが、近年は値上がりに拍車がかかっている。中古スニーカーを簡単に売買できる海外のアプリが普及し、市場が世界に広がり、高値で買う人を見つけやすくなったことが大きいと言われる。

 「プレ値」の波は、世界規模で押し寄せ、中古市場の価格変動の振幅もまた大きくなっている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 連休前半、ファースト・リパブリック・バンクの経営破綻のニューズと共に流れたのが、米国債務上限問題のニューズだった。ジャネット・イエレン財務長官が債務上限を引き上げて借り入れを行わないと、連邦政府の資金が61日までに枯渇してしまい、最悪の場合には債務不履行(デフォルト)に陥ると発表した。デフォルトになれば、アメリカ国債の償還や利払いができなくなることで、そうなればアメリカ国債の信用、アメリカ・ドルの信用が傷つき、世界経済が大きく動揺するということになる。そのような事態(国際決済通貨としてのドルの信用急落)に備えて、新興諸国(西洋以外の国々[the Rest])の中央銀行は金(きん)を備蓄している。

risingcountriescentralbanksgoldreserves001

 アメリカ政府は所得税の税収が予想よりも低かったために、やりくりをしながらも、予想よりも早く、資金が枯渇し、新たに米国債を発行しなければ、資金が手に入らないために、予算執行や国債の償還や利払いができない状態になるということだ。アメリカ政府の債務上限引き上げ問題は日本でもここ数年で数回報道されてきたので、お馴染みの言葉になっている。

usnationaldebtaggregation19662023graph001 
アメリカ国債の総計

 財政支出が削減され、国家財政のために増税がなされるということが起きると、景気が悪くなることが懸念される。バラク・オバマ政権時代にこのような事態が予想され、それが「財政の崖(fiscal cliff)」と呼ばれた。「崖から真っ逆さまに落ちる」ということからこう呼ばれた。連邦準備制度理事会(FRB)により政策金利引き上げもあり、現状が続けば、アメリカの景気後退が起きるという懸念が出ている。
us10yearsnationaldebtrates201320123graph001
jpn10yearsnationaldebtsrates20212023graph001


 アメリカ連邦議会では、何の条件も付けないで債務上限引き上げを行いたい民主党(ホワイトハウスを含む)と、歳出削減を上限に債務上限引き上げを認めるとする共和党が対立している。共和党が過半数を握る連邦下院では「クリーン」債務上限引き上げ法案が可決され、連邦上院に送られている。この法案は、連邦政府の歳出削減をすることを条件にしての債務上限引き上げを認める法案だ。民主党が過半数を握る連邦上院ではこの法案に反対も多い。 

来年には大統領選挙と連邦上院(約3分の1)、連邦下院(全議席)、各州知事などの選挙が全国レヴェルで実施される。歳出削減を行えば、民主党が行いたい政策の予算執行ができなくなる、そうなれば選挙も厳しくなるので、民主党側は必死だ。共和党としては、無責任な民主党というイメージを植え付けたいということもあるし、民主党の支持を切り崩したいということもある。

 しかし、どちらにしても債務不履行などと言うことは民主、共和両党どちらも避けたいので、チキンゲームの様相となり、結局、債務上限引き上げは認められる。条件闘争でどちらがどれだけの痛みを引き受けるか、痛み分けで済ませるかということになる。ケヴィン・マッカーシー連邦下院議長(カリフォルニア州選出、共和党)はドナルド・トランプ前大統領との関係も悪くないが、エスタブリッシュメント派とも話ができる。マッカーシー議長がどのように差配をして、連邦上院で否決されるであろうクリーン債務上限引き上げ法案を修正可決するかが注目される。共和党所属の強行派の連邦下院議員たちの反対があるので、民主党所属の一部議員たちと妥協をするということになるだろうが、そうなれば、共和党内部からの突き上げもあり、マッカーシー議長の立場も厳しくなる。

 バイデン大統領はこれから連邦議会側と話し合いや説得をしなければならない。そうなれば、のんきにG7会合のために日本に来るのも大変だ。G7各国の首脳たち(日本を除く)も、「アメリカ国債がデフォルトになると大変だし、その問題をやっておいてくれよ(まぁデフォルトにはならないだろうけど)」という心境だろう。バイデン大統領とアメリカ政府としては、広島に行くとなればどうしても原爆投下について何か触れねばならない(謝罪などはとんでもないが)。債務上限引き上げ問題があるということになれば、広島に行かずに済むかもしれないということであれば、これを利用しようと考えるかもしれない。

 債務上限引き上げ問題は茶番であるがそれを利用するということはいろいろとあるだろう。

(貼り付けはじめ)

●「イエレン米財務長官「6月1日にも資金枯渇」と議会に警告、デフォルトの恐れも」

2023/05/02 10:03 読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230502-OYT1T50083/

 【ワシントン=田中宏幸】米国のイエレン財務長官は1日、米連邦政府の借入金の限度を定めた「債務上限」について、米議会指導部に書簡を送った。上限の引き上げを行わなければ6月1日にも財政資金が枯渇すると警告し、議会に対応を急ぐよう求めた。

 政府債務は今年1月、上限の約31兆4000億ドル(約4300兆円)に到達し、米財務省が6月初旬までの特別措置で資金繰り策を実施している。新たな借り入れができなくなれば、債務不履行(デフォルト)に陥る恐れがある。

 イエレン氏は書簡で「議会が債務上限を引き上げたり、(上限の)適用を停止したりしなければ、早ければ6月1日にも措置が行き詰まる可能性がある」とし、「米国の家庭に深刻な苦難をもたらし、世界的なリーダーシップを失う」とクギを刺した。

 債務上限を巡っては、無条件の引き上げを求めるバイデン米政権に対し、共和党は歳出削減を求めて下院で独自法案を可決しており、与野党の対立は長期化の様相を呈している。

====

イエレンは債務上限の最終締め切り日は6月1日と発言(Yellen says drop-dead date for debt ceiling is June 1

スティーヴン・ニューカム、アリス・フォーリー、アル・ウィーヴァー筆

2023年5月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/3982225-yellen-says-drop-dead-date-for-debt-ceiling-is-june-1/

ジャネット・イエレン財務長官は月曜日、連邦議会民主・共和両党指導者たちに宛てた書簡の中で、連邦議員たちは6月1日までにアメリカの債務上限(debt ceiling)を引き上げなければならないと述べた。

イエレン財務長官は、61日までにアメリカが全ての債務を支払えなくなるとの見通しを示し、連邦議会とホワイトハウスが合意に達するよう圧力を強めた。

イエレン長官は当初、連邦政府が6月上旬までに支払いを継続するためのいわゆる臨時措置を使い果たす可能性は低いと連邦議員たちに語っていた。しかし現在、最近の税収を基にして、期限が予想より早く来る見込みであると述べた。

連邦議会の超党派の予算管理責任者である議会予算局(Congressional Budget OfficeCBO)も月曜日、4月の税収が予想を下回ったことを理由に、「6月上旬に財務省が資金不足に陥るリスクが著しく高まっている」と警告を発した。

CBOのフィリップ・スウェーゲル局長は月曜日、「4月に処理された所得税の受取額が、最新の基本予算予測で予想したよりも少なかったことが分かった。更に、内国歳入庁(Internal Revenue ServiceIRS)は、コロナウイルスの感染拡大による数年間の混乱を経て、昨年よりも迅速に納税の処理を終えると予想している」と述べた。

スウェーゲル局長は続けて次のように述べた。「その結果、IRS新型コロナウイルス感染拡大前の年のように、5月の追加支払いを比較的少なく処理すると予想している。このことは、4月までの受取額が予想を下回ることと相まって、財務省の特別措置が以前の予測よりも早く枯渇することを意味する」。

この予定表は、連邦議員たちが取引の仕組みを理解するための貴重な時間を与え、議員たちは時間を無駄にすることなく、相手側を非難することになった。

「時間の無駄だ。このことを理解しよう」。ジョン・テスター連邦上院議員(モンタナ州選出、民主党)は、このニュースが流れた直後の月曜日、記者団にこう語った。

ジョー・バイデン大統領と民主党は、連邦下院共和党が「クリーン」な法案の一部として債務上限を引き上げることを要求している。一方、共和党は債務限度額の引き上げを支出削減と結びつけて行うことを望んでいる。

連邦下院予算委員会の民主党側のトップであるブレンダン・ボイル議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)は月曜日に発表した声明の中で、この展開について「ケヴィン・マッカーシー連邦下院議長に対する警鐘とならねばならない」と述べ、共和党が先週可決した債務上限引き上げの党派案を標的にしていると述べた。

一方、共和党はその責任をバイデンに押し付けた。

ジョン・コーニン連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)は次のように述べている。「私たちはそれが来ることは分かっていた。ただ、それがいつなのか、正確には分からなかった。これはバイデン大統領がソファから降りてマッカーシー議長と話し、何かを解決するための情報をもう少し提供するものだ」。

シェリー・ムーア・キャピト連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、共和党)は、この予定表に驚きを隠せなかった。しかし、この進展は、マッカーシーと交渉のテーブルに着くようホワイトハウスに圧力をかけるものだと述べた。

キャピト議員は「大統領は我が国の指導者だ。彼は事態にきちんと関与する必要がある。私はイエレンが大統領の意向に対して忠実に働いている(carrying his water)と考えている」と述べている。

連邦下院共和党の法案は、1.5兆ドルの債務上限を引き上げるか、来年3月末までのどちらか早い方と引き換えに、民主党が断固として反対している政府支出の削減に関する共和党の幅広い提案と引き換えにするものだ。

その中には、年次歳出プロセスの一環として、連邦議員らによって捻出された政府資金を2022会計年度の水準に制限する一方、今後10年間の歳出の伸びを毎年1%に制限するという提案も含まれている。

法案に盛り込まれた他の提案は、メディケイドや補足栄養支援プログラム(SNAP)などのプログラムに対してより厳しい労働条件を課し、バイデン政権下で実施された人気の学生ローン政策に終止符を打つ内容となっている。

共和党はまた、両党が後追いで行った、連邦上院を含む連邦議会で審議中の「クリーンな」債務上限措置が実施される可能性に疑問を投げかけた。

コーニン議員は「連邦下院も通過しないし、連邦上院も通過しないだろう」と述べた。

ブライアン・シャッツ連邦上院議員(ハワイ州選出、民主党)は、民主党側に対し、共和党が提案するクリーンな債務上限引き上げに反対する姿勢を貫くよう呼びかけ、「ここで合意すべき取引ではない」と述べた。

シャッツ議員は「ここでの前提は、デフォルトを防ぐ代わりに政策面で譲歩することであってはならない。どの政党も自分たちの政策を実現するためにアメリカ経済を崩壊させると脅すことは決してあってはならないということだ」と彼は言った。

「これは異常であるばかりでなく、無謀でもある。アメリカ経済を人質に取ることは許されない。歳出削減の代わりに債務上限を引き上げることを交渉しないことより怖いのは、これを主張する人々と交渉することだ。その理由は、彼らはアメリカ人とアメリカ経済を人質に取ることを決して止めないだろう、ということだ」と付け加えて述べた。

=====

●「イエレン氏、債務上限で議会に行動要求-修正条項発動は危機招く」

Christopher Condon

202358 1:43 JST 更新日時 202358 7:20 JST ブルームバーグ通信

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-07/RUAJO9DWX2PS01

・議会が上限を引き上げる以外に「良い選択肢はない」

・米憲法修正第14条発動なら憲法上の危機-ABCの番組で発言

イエレン米財務長官は膠着(こうちゃく)状態に陥っている債務上限問題を解決する上では、議会が上限を引き上げる以外に「良い選択肢はない」と述べた。また、この件で米憲法修正第14条を発動すれば憲法上の危機を招くと警告した。

 イエレン長官は米ABCの番組で7日、議会が債務上限を引き上げることなく「大統領が債券を発行し続けることが可能かどうかを、われわれが検討する必要が生じる段階に進むべきではない」と発言。「こうしたことは憲法上の危機を招くだろう」と語った。

 修正第14条には公的債務の有効性は「問われてはならない」との記述があり、政権が債券発行を継続できるかを巡って憲法学者やエコノミストの間で解釈が分かれている。

 イエレン氏は同番組内で、バイデン大統領がこの選択肢を使う可能性を何度か問われたが、議会が上限を引き上げるべきだと繰り返し主張するにとどまり「私が言いたいのはそれは議会の仕事だということだけだ」と述べ、直接の返答は避けた。

 下院金融委員会のマクヘンリー委員長(共和)は、短期の債務上限引き上げに向けた取引は一つの選択肢だと示唆した。これはヤング行政管理予算局(OMB)局長の4日の発言と同様の内容だ。

 マクヘンリー氏は7日、CBSの番組「フェース・ザ・ネーション」で、「現時点では全てがテーブルの上にある」とした上で「この難題で考慮が必要な重要なことは、短期および長期で財政に対処することだ」と発言。「財政に対処しなければならないという事実以外にレッドラインはない」と語った。

 バイデン氏は5日、MSNBCとのインタビューで修正第14条を発動する用意があるかと質問された際、「まだそこに至っていない」と述べ、発動の可能性を完全には排除しなかった。 

=====

●「米債務上限引き上げ間に合わなければ大統領は決断迫られる-財務長官」

Viktoria DendrinouChristopher Condon

202359 8:52 JST ブルームバーグ通信

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-08/RUCYLBDWRGG001

・債務上限という「銃」を突き付けられた状態では交渉に応じず-長官

・議会が債務上限で行動しなければ、世界のドルの利用に「悪影響」

イエレン米財務長官は8日、議会が連邦債務上限の引き上げに間に合わない場合、バイデン政権は今後の対応について「決断」を迫られることになると述べた。

 イエレン長官はCNBCとのインタビューで、唯一の「良い」選択肢は議会による上限引き上げだとの主張を繰り返した上で、それが実現しない場合、政府は「今ある資源で何をするか」を考える必要があると述べた。

 さらに、財務省が早ければ6月1日に債務上限未満に抑える余地がなくなる危険性があるとの警告を繰り返した。

 共和党議員などは、財務省が債券の支払いを続けながら他の支出を遅らせる優先順位付けの案を持ち出しているが、イエレン長官や前任者らは同省の制度はそうした態勢が整っていないと述べている。また、米国債の信頼性に関する憲法修正第14条の条項を発動し、単に借り入れを続けるという極端な選択肢も打ち出されている。

 イエレン長官は「さまざまな異なる選択肢があるが、良い選択肢はなく、どの選択肢も悪い選択肢だ。私はそれらの議論やランク付けはしたくない」と語った。

 その上で、共和党が債務上限引き上げの条件として歳出削減を提案していることを批判し、バイデン政権が既に「財政的に責任ある提案」を示していると指摘。共和党が打ち出した「極めて厳しい」歳出削減案はバイデン大統領の提案とは明らかに大きな隔たりがあるとも述べ、政権は協議にオープンな姿勢だが、債務上限という「銃」を頭に突き付けられた状態では交渉に応じないと語った。

 さらに、議会が債務上限を引き上げられなかった場合、世界中のドルの利用に「悪影響」を及ぼすとし、経済的に大打撃を与え国家にとって「大惨事」となると警告した。

======

米政府 債務上限問題 バイデン氏と議会指導部が協議 平行線に終わる

5/10() 7:57配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/f4c8dd555036052065710d8119f2aaf627f979e0

アメリカのバイデン大統領は、連邦政府が借入できる債務残高の上限引き上げを巡り、議会指導部と協議しましたが、進展はありませんでした。

 アメリカでは連邦政府が借り入れできる債務残高がすでに上限に達していて、早ければ61日にも資金繰りが行き詰り、債務不履行に陥る可能性が指摘されています。

 最悪の事態を回避するためバイデン大統領は9日、野党共和党のマッカーシー下院議長ら議会指導部との協議に臨みましたが平行線をたどりました。

 共和党・マッカーシー下院議長:「今回の協議では、誰もが自分の置かれている立場を繰り返しただけで新たな動きは見られなかった」

 共和党は債務上限を引き上げる代わりに社会保障費などの削減を条件とする案を改めて提示しましたが、無条件の引き上げを求めるバイデン大統領との隔たりは埋まらず、12日に改めて協議の場が設けられる見通しです。

=====

●「バイデン米大統領、G7欠席も 債務上限問題「進展なし」」

5/10() 8:14配信 時事通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/c814a5b0c73254ae8ce2ba6922708449059f38d7

 【ワシントン時事】バイデン米大統領は9日、ホワイトハウスで上下両院の与野党幹部と会い、連邦政府の借入限度額である「債務上限」の引き上げを巡り協議した。

 バイデン氏はこの後、記者団に「(債務上限問題が)解決するまでここにとどまる」と述べ、1921日に広島で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)を欠席する可能性を示唆した。

 マッカーシー下院議長(野党共和党)は会談後、記者団に「進展はなかった」と述べ、債務不履行(デフォルト)回避に向けた前進に至らなかったことを明らかにした。バイデン氏と議会幹部の協議は2月以来。今月12日に再度会談する。 

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 日本の大型連休前半の5月1日の月曜日、アメリカのカリフォルニア州を基盤としていたファースト・リパブリック・バンク(FRB)が経営破綻し、JPモルガン・チェースが預金や資産を買い取ると発表された。アメリカの地方銀行破綻は連続しており、「次はどこか?」という不安が出ている。預金減少率というデータもある訳で、このデータに出てくる銀行に関して厳しい見方が出ているだろう。

usbanksdepositdecrease001 
usmajorbanksdepositaggregationgraph001

ファースト・リパブリック・バンクは今年3月からのアメリカの地方銀行連続破綻の影響をもろに受けて、預金が10兆円程度急激に減少し、それが破綻につながった。預金減少に軌を一にして、株価も急落した。2023年3月中旬までは120ドル台をキープしていたのに、それから真っ逆さまに急落し、最後は3ドル台になっている。
firstrepublicbankfailure001
firstrepublicbankfailurestockprices002

 ファースト・リパブリック・バンクの資産や預金がJPモルガン・チェースに買収されたことで、一応の安心は得た。しかし、これからも連鎖的に銀行破綻が続くのではないかという不安を拭い去ることはできない。預金者としては「安心安全な銀行に預金を移す」という行動を取ることになり、大手銀行に預金が集中するということになるだろう。そうなれば、中小の銀行はさらに厳しくなる。
usfailedbanks2023
usbanksdepositaggregations2022001

 アメリカの中央銀行である連準備制度(Federal Reserve System)理事会(Federal Reserve BoardFRB)は政策金利(FFレート)を引き上げ、5%に達すると見られている。アメリカ国内の物価高、インフレに対処するための利上げであるが、銀行にとっては厳しい環境になる。新規融資は減少する、住宅ローンの返済が厳しい借り手が増えてくる、預金者は増えていくが利子をつけなければならない、こうした状況で、銀行の経営は厳しくなる。銀行が保有する米国債にしても、金利が上昇すれば価格(資産価値)が下がる。日本のように、預金者(資金の貸し手)に利子をつけないということはアメリカではできない状況になっている。

usfdicpolicyratesconsumerpriceindexgraph001
usjapanpolicyratescomparisiongraph20082003001

 アメリカは利上げもあって、不況に突入していく。そうなればさらに銀行が破綻することになる。しかし、アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会は5%までは金利を上げて、物価を下げることを優先しようとしている。2023年は厳しい状況が続くことになる。現在の物価高は、エネルギー価格や食料価格の上昇が原因であり、その根本原因はウクライナ戦争である。ウクライナ戦争が終わらねば、物価高の状況は終わらない。しかし、戦争は終わりそうにない。終わらせないという勢力がいる。世界中の人々の苦しみは続く。

(貼り付けはじめ)

ファースト・リパブリック・バンク破綻は銀行システムとより広範な経済についての恐怖感を醸成している(First Republic Bank collapse spurs fears for banking system, broader economy

カール・エヴァース・ヒルストロム筆
2023年5月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/business/banking-financial-institutions/3982011-first-republic-bank-collapse-spurs-fears-for-banking-system-broader-economy/

ファースト・リパブリック・バンク(FRB)の破綻は、アメリカの銀行システムとそれに依存する広範な経済の強さについて疑問を投げかけるものだ。

ファースト・リパブリック・バンクの資産規模は先月2300億ドル近くに達しており、月曜日に発表されたファースト・リパブリック・バンクの経営破綻は、シリコンヴァレー銀行(SVB)の破綻を上回る、アメリカで2番目に大きな銀行破綻となった。アメリカ史上最大の銀行破綻4件のうち3件が、この2ヶ月の間に起きている。

連邦預金保険公社(Federal Deposit Insurance CorporationFDIC)は月曜日、サンフランシスコに拠点を置く地方銀行ファースト・リパブリック・バンクの経営権を取得し、JPモルガン・チェースへの売却を仲介した。この取引により、預金者たちの預金は保護され、株主は一掃され、アメリカ最大の銀行であるJPモルガン・チェースが更に大きくなる可能性が高い。

ファースト・リパブリック・バンクの運命は、SVBの破綻によって富裕層の顧客がパニックに陥った後、同銀行が1千億ドルの預金を失ったことを明らかにした時に決まった。ファースト・リパブリック・バンクの株価は先週、75%急落した。

ファースト・リパブリック・バンクが最近の銀行危機の最後のドミノになるかは不明だ。それは、預金者が他の金融機関から資金を引き揚げるかどうかにかかっているからだ。

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは月曜日、「危機のこの部分は終わった」と述べ、金融システムは強固だと信じているが、より小さな銀行が破綻する可能性はあると続けて述べた。

●より多くの銀行が破綻するのか?(Will more banks go under?

ファースト・リパブリック・バンクは、富裕層の顧客への依存度が高く、預金の3分の2以上がFDICの保険上限額である25万ドルを超えている。この比率はシリコンヴァレーバンクよりは低いものの、他の地方銀行よりは高く、預金者は損失を恐れて資金を引き揚げることになった。

また、米連邦準備制度(Federal Reserve)の利上げで価値が急落した長期国債の含み損が大きく、預金流出をカヴァーするための資金調達に支障をきたしていたことも、シリコンヴァレーバンクが抱えていた大きな問題だった。

他の銀行にはそれほど多くの無保険預金はなく、規制当局が全ての無保険預金者を保護するための措置をとった後に流出が鈍化したが、銀行部門は投資に関する同じ種類の含み損で溢れている。

FDICによると、アメリカの銀行は2022年末時点で6200億ドルの有価証券の含み損を抱えている。ニューヨーク大学とペンシルヴァニア大学ウォートン経営大学院の教授たちによる3月の研究では、全ての貸付金と証券を考慮すると、その含み損は1兆7000億ドルに近いと推定されている。

ゴールドマン・サックスのアナリストによると、この部門は約3兆1000億ドルの商業用住宅ローンを保有しており、中小銀行や地方銀行がその80%を占めているという。リモートワークの普及に伴い、オフィスビルの価値が下がり、債務不履行の可能性が高まっている。 

銀行は通常、銀行の経営破綻や市場の暴落に直面することがない限り、こうした損失を食い止めることができる。

ファースト・リパブリック・バンクのような地方銀行の上場投資信託は、月曜日に2.4%下落した。このファンドは3月上旬以来、約30%下落している。JPモルガンの株価は月曜日に2.3%上昇した。

アメリカ銀行協会のロブ・ニコルズCEOは、月曜日のファースト・リパブリック・バンクの資産売却は「国の銀行システムに対する信頼を強化する」と述べた。

アメリカ独立コミュニティバンク経営者協会のCEOであるレベッカ・ロメロ・レイニーは月曜日、政策立案者たちに対して、地域銀行と保険外預金に依存しない小規模なコミュニティバンクを区別するよう促した。

●減速する経済に対するもう1つの脅威(Another threat to a slowing economy

各金融機関のチーフエコノミストの多くは、今年いくつかの大手銀行が破綻する前に、アメリカが2023年に不況に陥ると見ていた。何年にもわたる高インフレと、商品やサーヴィスに対する需要を鈍らせることを目的とした利上げの結果、個人消費は落ち込んでいる。

大手銀行がバランスシートのリスクを減らすために融資を控えている今、予測はさらに暗くなっている。信用へのアクセスが減少すると、新規事業の成長が鈍化し、雇用主が自社に投資して労働者を増やす能力が損なわれると、専門家たちは述べている。

eToroの投資アナリストを務めるカリー・コックスは、電子メールの中で「銀行システムは、私たち自身のお金から、私たちを雇用する企業のお金、そしてそれらの企業の経済的安定性まで、私たちの生活の多くの領域に関連している」と述べている。

コックスは更に「小さな問題が、あっという間に大きな問題になることがある。これが中央集権的な金融システムの弊害だ」と述べている。

●バイデンは銀行に対して自信を示す(Biden expresses confidence in banks

ジョー・バイデン大統領は月曜日、連邦規制当局の行動により、アメリカの金融システムは「安全かつ健全(safe and sound)」であると述べた。また、連邦議会に対し、銀行経営者たちの責任を追及するよう求め、規制当局には大手銀行に対する規制を強化するよう促した。

「皆さん、私たちは再びこのような状況に陥らないようにしなければならない。私たちはその保証をするための道を順調に進んでいると考えている」とバイデンは述べた。

3月の銀行破綻の原因を検証する金曜日の報告書で、連邦準備制度(FR)当局者たちは、資産1000億ドル以上2500億ドル未満の銀行に対する資本要件とストレステストを緩めた2018年の法律の存在を指摘した。連邦準備制度は、法律に基づく権限の一環として、より厳しいルールを検討している。

金融委員会の共和党幹部は月曜日、アメリカの銀行システムは強固な足場を築いていると主張し、FDICがファースト・リパブリック・バンクの民間での買い手を見つけたことを称賛した。シリコンヴァレーバンクの破綻の際には見つけることができなかった。

連邦下院金融サーヴィス委員会のパトリック・マクヘンリー委員長(ノースカロライナ州選出、共和党)は声明の中で、「アメリカ人は、アメリカの銀行に預けている預金の安全性に自信を持ち続けるべきだ」と述べた。

FDIC決議が反発を招く(FDIC resolution sparks backlash

FDICが月曜日、JPモルガン・チェースが大手銀行の資産を政府補助の割引価格で購入することを事実上許可した。そのことで反発に晒された。

批判者たちは、規制当局は銀行の破綻を解決するための効果的で公正なガイドラインを策定する必要があるとし、FDICはファースト・リパブリック・バンクの破綻に十分な備えをしていなかったと主張した。

FDICの共和党側理事であるジョナサン・マクカーナンは、月曜日の生命の中で、「私たちは、利益を私物化し、損失を社会化する我が国の救済文化を最終的に終わらせる最善の策として、強力な資本要件と有効な解決枠組みに焦点を当てて、銀行破綻に対処する計画を立てるべきだ」と述べている。

政策研究会社フェデラル・フィナンシャル・アナリティックスのマネージング・パートナーであるカレン・ペトロウは、FDICが「利己的な経営、手のかからない取締役会、不十分な監督、システム上のリスクを可能にするモラルハザード」を助長しているとメモを発表した。

ファースト・リパブリック・バンクの預金者たちを保護するため、FDICは銀行への手数料で賄われている預金保険基金から推定130億ドルを使用している。

他の専門家たちは、この合意によって、「大きすぎて潰せない(too big to fail)」銀行だけが安全だという考えが定着し、小規模な金融機関の預金が脅かされる可能性があると主張している。

コーネル大学法科大学院のロバート・ホケット教授(法律・金融)は電子メールの中で、連邦議会はFDIC保険の上限を撤廃するか、「金融化したウォール街の銀行が全てを手に入れる」ことを許す(allowing “financialized Wall Street banks to take all”)リスクを冒すべきだと述べた。

(貼り付け終わり)
(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 ロシアのウクライナ侵攻に対して、欧米を含む西側諸国は経済制裁を発動している。世界金融からの締め出しということになるが、これは制裁を科す西側諸国の国民生活にも大きな影響を与える。簡単に予想がつくのは、エネルギー価格の高騰だ。西ヨーロッパ諸国は、ロシアからの石油や天然ガスに依存してきた。従って、今回の制裁でもエネルギー分野に関しては例外措置とされている。ロシアからのエネルギー供給が減少すれば、困るのはヨーロッパ諸国だ。ロシアからのエネルギー供給が減ることになれば、西ヨーロッパ諸国は代替の輸入先を探すことになる。そうなればどうしても他の国々との競争になり、価格は上昇するだろう。日本もこのエネルギー獲得競争に巻き込まれる。日本国内のガソリン価格や電気料金の値上げは避けられない状況だ。

 エネルギー価格の上昇は他の製品や商品の価格高騰にもつながる。以下の論稿にもあるように、意外なところでは、アメリカはロシアから安価な肥料を輸入しており、それが途絶すると、農業生産にもかかわってくる。アメリカ国内の農業従事者たちは既に減産を視野に入れて計画を立てているということだ。そうなれば世界規模で食料不足ということになる。

 日本でも物価高が進行している中で、更に追い打ちをかけるような事態になるだろう。ロシアに対しての経済制裁はロシア経済にダメージを与えることになる。しかし、よく見ると、エネルギー部門が例外措置にしてあるなど、西側諸国、特にヨーロッパ諸国への影響が少しでも小さくなるように設計されている。フランスの経済担当大臣が「経済戦争でロシア経済を破壊する(フランスの経済規模なんて小さい癖に)」と言いながら、フランスのエネルギー巨大企業と樽はロシアからの撤退を行わない方針だ。良い意味でも悪い意味でも、フランスは狡猾で二枚腰だ。こういう点は見習うべきだ。しかし、彼らの口先だけの威勢のよさと実際の行動の差には唖然としてしまう。こういうことをやって恬として恥じるということがないというのも、戦争に明け暮れ、植民地獲得競争に奔走した野蛮極まりないヨーロッパという土地がなせる業なのか。

 これから私たちはインフレーションの進行に備え生活を防衛していかねばならない。インフレーションが進行すれば生活は苦しくなるし、政府は利上げと増税で私たちの生活を更に苦しめるだろう。大企業群はロシアのウクライナ侵攻を奇貨として、製品やサーヴィスの値上げを躊躇なく進めるだろう。この点に関しては、各企業がどれほどの利益を上げるかを注意深く監視して、不当な利益を上げるようならば、それもまた、対ロシアと同じく厳しく糾弾しなければならない。何とも嫌な春になりそうだ。

(貼り付けはじめ)

ロシアのウクライナ侵攻がアメリカ経済に与える影響に関する5つのポイント(Five ways the Russian invasion of Ukraine could impact the US economy

サラクシ・ライ、シルヴァン・レイン筆

2022年2月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/596203-five-ways-the-russian-invasion-of-ukraine-could-impact-americans

ロシアのウクライナ侵攻と、それに対する米国と西側同盟諸国による前例のない制裁措置は、世界経済と金融市場を動揺させている。

また、世界的にインフレーションが進行する中で、重要な食料、エネルギー、工業製品のサプライチェインが混乱し、海外旅行ができなくなり、株式市場が乱高下している。

ロシアのウクライナがアメリカ国民に与える影響の5つについてこれから見ていく。

(1)エネルギー価格と石油価格の上昇(Energy and oil prices rise

ロシアのウクライナ侵攻は5日目を迎え、アメリカとヨーロッパ連合は制裁を強化し続けている中、月曜日の原油価格は急騰し、ブレント原油は1バレル100ドルを突破した。

米国エネルギー情報局によると、2020年の単年度だけでも、ロシアはアメリカにとって3番目に大きな外国産石油の供給国であり、輸入石油の7%を占めていた。また、ロシアは2019年に130億ドルの鉱物性燃料をアメリカに輸出しており、アメリカに送られるロシアからの輸出の半分以上を占めていた。

注目すべきは、ロシアに科された制裁措置が今のところエネルギー部門を除外しているにもかかわらず価格が上昇していることだ。バイデン大統領は、この措置について「アメリカ国民がガソリン売り場で感じている痛みを抑えるため」の決定であると述べている。

しかし、フランスのパリ政治学院(Sciences Po Paris)教授でガソリン分野のアナリストであるティエリー・ブロスは、『ウォールストリート・ジャーナル』紙に、石油価格は「極めて不安定」な状態が続くだろうと語った。ブロスは「ウラジミール・プーティンはいつでも供給削減を決定できるのだ」と述べた。

今週月曜日、全米のガソリン価格は平均で1ガロン(約3.78リットル)3.62ドルとなった。アメリカ自動車協会によると、ガソリン価格は「原油価格が上昇を続けているため、今後も上昇し続けるだろう」と述べている。アメリカの平均ガソリン価格は、1年前には約2,71ドルだったが、この上昇はロシアがウクライナとの国境に軍隊を集結させる前から始まっていた。

アメリカ自動車協会の広報担当のアンドリュー・グロスは声明の中で「ロシアの侵攻とそれに伴うアメリカと同盟諸国による一連の金融制裁のエスカレートは、世界の石油市場に動揺を与えている」と述べている。

グロスは更に「アメリカの株式市場と同様に、石油市場も乱高下(volatility)に対応しにくい。爆発的な状況であり、地球の裏側での出来事がアメリカの消費者に波及することがあるのだということを痛感させられている」と述べた。

ウォールストリート・ジャーナルは、アメリカをはじめとする主要な石油消費国が、原油価格の上昇を受けて、7000万バレルの緊急備蓄(emergency stockpiles)を放出することを検討していると報じた。

(2)農業従事者のためのサプライチェインにかかわる諸問題で食料品価格は上昇する(Supply chain issues for farmers could drive higher food prices

アメリカ国内の農業従事者たちは、紛争前に過去最高値を記録していた肥料価格の高騰に備えているところだった。

『ブルームバーグ』誌によると、低コストで大量の肥料を生産するロシアは、カナダに次いで世界第2位のカリの生産国である。カリは主要な商品作物や農産物に使われる重要な栄養分である。

ロシアとウクライナの危機が最高潮に達する前から、『アイオワ・キャピタル・ディスパッチ』紙は、アメリカの農業従事者たちは来年の栽培シーズンに向けて、高騰する肥料価格と供給不足のため、トウモロコシの作付けと畑での窒素肥料(nitrogen fertilizer)の使用を控える可能性が高いと報じていた。

トム・ヴィルサック農務長官は木曜日、ロシアのウクライナ侵攻が米国農業に及ぼす直接的な影響について、最大の懸念は肥料会社による価格つり上げであり、「我々はそれを注視していく意向であると明確にしておく」と述べた。

サードブリッジ社のシニアアナリスト、パトリック・ドネリーは、「我が社の専門家たちによると、カリや肥料の生産業者は必要に応じて生産を増やす能力を持っているということだ。問題は、サプライチェインを通じて小売店や農家に供給される量がどの程度増加させることができるかだ」と語った。

ドネリーは更に「最も直接的な影響は、農産物価格の更なるインフレーション、ひいては食品価格の上昇となることだ。アメリカ国民はこの先、食料品代がもっと高くなると予想される」と付け加えた。

(3)旅行の制限と工区運賃の上昇(Travel restrictions and rising airfare costs

ウクライナは領空を閉鎖し、ロシア発着のフライトをキャンセルする航空会社が増えている。EUだけでなく、多くの国々がロシアの航空会社に対して領空を閉鎖している。

スコッツ・チープ・フライツのウィリス・オーランドは本誌の取材に対して次のように述べている。「領空閉鎖という点で、イギリスとロシアの間で報復合戦の状態になっており、FAAはウクライナ、ベラルーシ、ロシア西部の一部で民間航空機の飛行を制限している。こうした規制が継続または拡大した場合、中東、アフリカ、アジアへの航空運賃が高くなる可能性がある」と述べた。

紛争地域から遠く離れた場所での旅行も影響を受ける可能性がある。

オーランドは「この危機は、既に高騰している原油価格の上昇に拍車をかけるに違いない。ジェット燃料は航空会社にとって最大の経費の一つであり、燃料費の高止まりは運賃の上昇に反映される可能性がある」と述べた。

しかし、運賃に反映される燃料費高騰の影響は、「現在のような非常に競争の激しい運賃環境では緩和されるはずだ」とオーランド氏は付け加えた。

However, the effect of higher fuel costs on which fares are available is bound to be “tempered by the extremely competitive fare environment we're currently in,” Orlando added.

「航空会社は、ここ数週間、平均運賃が上昇しているにもかかわらず、新たな航空需要を取り込もうと絶えず努力しており、その結果、運賃のセールが頻繁に行われている」と述べた。

Airlines are grappling constantly to capture renewed demand for flights, which is resulting in frequent fare sales, even as average fares have crept higher in recent weeks,” he said.

(4)株式市場の乱高下(Stock market volatility

ロシアがウクライナとの国境に軍隊を集結させ、市場が大規模な紛争に備える中、株価は1年を通して着実に下落し続けた。戦争の到来とロシアに科せられた前例のない制裁措置により、金融セクターは未知の領域に向かい、今後も乱高下が続く可能性がある。

2022年に入ってから、ダウ平均は7%以上、S&P500指数は9%以上、ナスダック総合株価指数は約13%下落しており、投資の専門家たちは数年にわたる猛烈な上昇の後、さらなる減速に警戒感を強めている。

アリー社のチーフ・マーケット・アンド・マネー・ストラテジストであるリンゼイ・ベルは「リスク管理は優れた投資計画の鍵だが、地政学的リスクは計画的に備えることが難しい」と、アリーのチーフ・マーケット・アンド・マネー・ストラテジスト、リンゼイ・ベル氏は書いている。

「ロシアとウクライナの地政学的危機が続いていることが、今の株価を圧迫しているかもしれないが、歴史的に見れば、こうしたディップは長期投資家にとって良い買い場となり得る。この状況で考慮すべきは地政学的リスクだけではないが、いつの間にかFRBが心配の壁のトップに戻っていることは十分にあり得ることだ。"

The ongoing Russia-Ukraine geopolitical crisis may be pressuring stocks right now, but history suggests these dips could be good buying opportunities for long-term investors. While there is more than just geopolitical risk to consider in this situation, it’s quite possible that before you know it, the Fed will be back at the top of our wall of worry.”

(5)連邦準備制度によるより迅速な利上げ(Faster Fed rate hikes

エネルギー価格と食料品価格の更なる高騰とサプライチェインのボトルネックはインフレーション圧力を生み出し、連邦準備制度に対して、今停止している一連の利上げを促すことになるだろう。

インフレーション率が連邦準備制度の予想を大きく上回る水準まで上昇したため、FRBは既に来月から年内で数回の利上げを実施する姿勢を示している。FRBがインフレーションの指標として推奨している個人消費支出(personal consumption expendituresPCE)価格指数によると、今年1月までの12カ月間で物価は6.1%上昇した。

経済活動の低下によってインフレーションが緩和される可能性はある。一方で、専門家たちは、好調なアメリカ経済と深刻な供給の混乱の可能性が組み合わさることで、FRBがより早く利上げに踏み切る可能性があると見ている。

ゴールドマン・サックスのエコノミストであるデービッド・メリクルは金曜日に発表したリサーチ・ノートの中で、「2022年に非常に高いインフレーション経路をたどると、残り7回のFRB会合全てにおいて着実に利上げを行うことが容易になるはずだ」と述べている。

メリクルは、食品とエネルギー価格を除いた年間インフレ率は2022年末に3.7%と、前回予想の3.1%から上昇すると予想している。FRBは平均して年間2%のインフレを目指している。

=====

前例のない西側諸国の制裁はロシア経済の首を絞める(Unprecedented Western sanctions strangling Russian economy

シルヴァン・レイン、アレックス・ガンギターノ筆

2022年2月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/596144-unprecedented-western-sanctions-strangling-russian-economy

アメリカと西側の同盟諸国による金融制裁がロシア経済の首を絞めている。

ロシア大統領ウラジミール・プーティンがウクライナに対する戦争を仕掛けている最中、バイデン政権、イギリス、ヨーロッパ連合、その他の主要な経済プレーヤーたちからの前例のない罰則の重みで、彼の国ロシアの経済は崩壊し始めている。

ノートルダム大学キョウ国際問題大学院の経済制裁の専門家ジョージ・ロペスは、「経済界、銀行界の誰もが、私たちが新しい領域にいることを知っている。それは、銀行部門の中心を最も強力な矢として、一国の経済を組織的に停止させることだ」と述べている。

アメリカと同盟諸国が、ロシア中央銀行が保有する約6000億ドルの準備金からロシア政府を切り離し、ロシアの国際金融システムとの関係を更に断つ措置を取ったことで、月曜日のルーブルの価値は急落した。

西側諸国は、ロシア中央銀行、ロシア財務省、ロシアの外国投資ファンドとのほとんどの取引を禁止し、プーティンが制裁の衝撃を緩和するために何年も蓄えてきた資金を封じ込めた。この制裁は、世界的な混乱の中でドルの価値が上昇する中、世界金融システムの主要基軸通貨であるドルへのロシアのアクセスを遮断するものでもある。

アメリカとEUはまた、ロシアの特定の銀行に対し、銀行が取引を行う際に使用するメッセージング・システムである国際銀行間金融通信協会(Society for Worldwide Interbank Financial TelecommunicationSWIFT)へのアクセスも禁止した。

ロシアの準備金のうち約3000億ドルは、現在、アメリカ、ヨーロッパ、その他の同盟諸国にあり、現在はプーティンから切り離されている。ロシアはまだ数十億ドル相当の金を国内に保有しているが、複数の専門家によれば、モスクワは自国の銀行が厳しい制裁を受けているため、ロシアの銀行と進んで取引する人はほとんどいないだろうと述べている。

調査会社マネタリー・ポリシー・アナリティクス社の共同設立者でエコノミストのデレク・タンは、「問題は、他の人々が喜んで取引しない場合、彼らはそれを有用なものに変換することができないということだ」と述べている。

タンは「ロシアの銀行は資産を保有しているが、使うことができない」と発言した。

外貨準備を利用できないロシア政府は、経済と金融セクターを浮揚させるために必死の手段に打って出た。ロシア中央銀行は基準金利を20%に引き上げ、ルーブルが更に暴落するのを防ぐために外国人が保有する有価証券の売却を禁止した。

ロシアは海外の金融機関にSWIFTの代替手段に参加するよう促したが、欧米の路線に従わない国には制裁が待っているため、賛同者はほとんどいないようだ。

ロシアは最終的に、銀行の経営破綻、インフレーションの進行、長期にわたる深刻な経済的ダメージを防ぐことはできないかもしれない。アメリカとEUはロシアへのダメージを限定的にするためにいくつかの例外を設けたが、専門家たちは、欧米による経済制裁の影響は世界市場に波及する可能性があると分析している。

アメリカはこれまでにも、ヴェネズエラ、北朝鮮、イランの各中央銀行を制裁の対象としてきた。しかし、ロシアのような経済規模を持つ国に対して、これほど多くの国の支持を受けて、これほど厳しい制裁を科したことはない。スイスがロシアに制裁を加えることは、モスクワにとっても大きな痛手であり、金融市場で大きな存在感を示す歴史的に独自の多胎場を保ってきた国ロシアにとって大きな転機となると見られる。

クロウェル・アンド・モーリング社の国際貿易プラクティスグループで、アメリカの経済制裁分析を専門とする役員デイヴィッド・ウルフは次のように述べた。「今回の欧米諸国の対ロア経済制裁は前例のないことだ。これほど早く、これほどのレヴェルで各国が協調して行動したことを私はこれまで見たことがなかった」。

2020年のロシアの国内総生産(gross domestic product)は約1兆5000億ドルで、ニューヨーク州よりもわずかであるが小規模の経済だ。しかし、ロシアは石油、天然ガス、小麦、特定の金属の世界供給のかなりの割合を産出しており、敵対する西側諸国に対して重要な影響力を保持している。

前出のタンは「アメリカにとってそれほど関係はないのだが、ヨーロッパにとっては極めて深刻な事態になると思う」と発言した。ロシアとの経済関係が深い東欧・中欧諸国にとって、今回の制裁は「極めて破壊的(extremely disruptive)」なものになる可能性があるとタンは述べた。

ヨーロッパはロシアの石油や天然ガスの輸出に特に大きく依存しており、そのためヨーロッパの指導者たちはロシアに対する厳しい経済制裁について警戒している。もしプーティンがロシアからのエネルギーや食糧のヨーロッパへの輸出制限を決めれば、物価上昇を更に強めながら、需要は急増するという、プーティンにとっては有利な状況になる。

アメリカはエネルギーの純輸出国であるが、アメリカの石油と天然ガスに対する需要が急増すれば、過去12カ月で40%上昇したアメリカ国内のガソリン価格も上昇する可能性がある。ガソリン価格の高騰は、インフレーションの進行で急落したバイデン大統領の支持率を更に低下させる可能性がある。

アメリカと同盟諸国は、これまでに発表された対ロシア経済制裁のうち、エネルギー関連の支払いについては例外とするということで、経済制裁による反動・吹き戻し(blowback)を抑えようとしている。このような例外措置は、西側諸国をエネルギー価格の上昇から守るだけでなく、西側による制裁(かなり厳しい罰則を設けている)の経済的な影響力をある程度維持することになる。

トランプ前大統領の下で文民安全保障・民主政治体制・人権担当国務次官を務めたエリック・ユーランドは「ロシアの経済規模は私たちよりはるかに小さいが、ロシアは欧米諸国の製品やサーヴィスを輸入禁止にするなど、確報復する可能性を持っている。つまり、西側諸国や西側企業からのロシアへの製品輸出禁止に直面する可能性が突如としてできたということになる」と、述べた。

ユーランドは、西側諸国の制裁がすぐに影響を与える分野がある一方で、完全な影響を与えるのに数カ月かかる分野もあると述べた。

ユーランドは更に「これらの影響のいくつかは、より中規模である。そのため、私たちはエネルギー生産とその事業に関するロシアの取引能力を中断するようにしなければならない。短期的な価格の影響に関しては、この制裁の効果が明らかになる3から6ヶ月の期間で見るようにすべきで、即座に顕著な変化はないと思われる」と発言した。

しかし、ロシアには、制裁による経済的な締め付けを緩和するための選択肢や協力者がほとんど存在しない。中国とロシアは経済的に密接な関係を築いているが、中国の銀行の中にはロシアの石油会社向けの取引処理に難色を示すところも既に出ているとタンは指摘している。

タンは「中国の銀行は伝統的に、アメリカの制裁に抵触することを非常に警戒する」と述べた。

=====

多くの多国籍企業がモスクワを罰するためにロシアから撤退(Multinationals flee Russia, punishing Moscow

カール・エヴァース=ヒルストロム筆

2022年2月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/business-a-lobbying/business-a-lobbying/596200-multinational-us-companies-flee-russia-amid-invasion

ロシアによるウクライナへの残虐な侵攻を受け、国際社会の多くのアクターたちがロシアを孤立させようとしている。多くの巨大多国籍企業もその動きに同調し、ロシアからの撤退を進めている。

石油・ガス分野の巨大多国籍企業のBPとシェルは、ロシアで数十億ドル相当の投資を何十年も行ってきたが、ロシアから撤退すると発表した。複数のアメリカの多国籍企業はロシアへの出荷を完全に停止している。

ロシアのウラジミール・プーティン大統領と取引することによる評判の悪化や財務上のリスクを考慮する企業が増えるにつれ、ロシアからの脱出(exodus)は続くと予想される。複数の専門家は、エネルギー企業が巨額の損失を甘受してロシアから撤退する決定を下すことで、失うものが少ない産業分野の企業も即座にエネルギー企業に同調するだろうと分析している。

戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)の国際ビジネス担当部長ビル・ラインシュ「各企業の最高幹部クラスが、政治的なリスクを考慮するだけでなく、ロシアの行動に対して純粋に怒りを感じているのだと私は考えている」と発言した。更には「企業がこれほど早くロシアからの撤退を決断したことに驚いている」とも述べた。

こうした決断の背景には、ロシア政府との関係を断つよう求める世論の大きな圧力がある。また、アメリカとその同盟諸国が発動した大規模な制裁により、各企業がロシア企業とビジネスを行うことが著しく困難になっていることも理由として挙げられる。

シェルは月曜日、約30億ドル相当のロシア国有のエネルギー・プロジェクトへの出資を断念すると発表した。シェルは更に、この措置が資産価値を低下させ、「減損処理(impairments)につながる」と強調した。

シェルの最高経営責任者(CEO)であるベン・ヴァン・バーデンは、「私たちは、ヨーロッパの安全保障を脅かす無意味な軍事侵略行為によって、ウクライナで人命が失われたことに衝撃を受けており、これを遺憾に思う」と声明の中で述べた。

ヴァン・バーデンの声明発表は、長年プーティン大統領を擁護してきたBPが、ロシア国営エネルギー企業ロスネフチの株式20%を売却すると発表した後に行われた。厳しい制裁下で売却は困難であるため、BPがこの投資を償却することになれば、250億ドルもの損失が発生する可能性がある。

BPのヘルゲ・ランド社長は声明の中で、「ロシアのウクライナへの攻撃は、地域全体に悲劇的な結果をもたらしている侵略行為である」と述べた。「BPは30年以上にわたってロシアで事業を行い、優秀なロシア人の同僚たちと協力してきた。しかし、今回の軍事行動は根本的な変化を意味する」と述べた。"

ロシアがウクライナへの攻撃を激化させる中、世界からの孤立も同時に進んでいる。アメリカの運送会社フェデックスとUPSは、ロシアとウクライナ両国への全ての出荷を一時的に停止すると発表した。ドイツのDHLは、安全上の懸念を理由にロシアとウクライナへのサーヴィスを一部停止すると発表した。

海上輸送企業マースクは月曜日、ロシアとの間の輸送を停止する可能性があると発表した。この動きは、ロシアを国際貿易から更に切り離すことになる。デンマークの巨大海運会社マースクは、ウクライナの治安状況を注視し、「ロシアに対して科された、常に変化する制裁と制限に従う準備をしている」と述べた。

ロシアから撤退していない企業は、複雑な制裁をどのように乗り切るかを分析し、ロシアとのビジネスを継続することが制裁による規制上の課題に適合するかどうかを探っていると思われる。

クレムリンのウクライナ侵攻に対応して、アメリカと同盟諸国は、海外に保有するロシア中央銀行の資産約6300億ドルを凍結し、ロシア国有企業の資金調達を阻止し、ロシアの銀行の一部を国際決済システム「SWIFT」から切り離した。アメリカはロシアの国有銀行が米ドルにアクセスできないようにし、ロシアがコンピューターチップやその他の技術を入手できないようにする輸出規制を課した。

わずか数日の間に、この制裁によってロシア経済は崩壊寸前にまで追い込まれた。月曜日の午後、ロシア・ルーブルの価値は1セント以下となり、企業がこの国から撤退する理由がまた一つ増えた。

ヨーロッパ域内の各企業、特に銀行やエネルギー企業は、2014年にクリミア半島を併合したことでアメリカがロシアに制裁を発動した後、一般的にロシアへの投資を制限しようとしたアメリカ企業よりもはるかにロシアへの関与の度合いが高くなっている。

アメリカ通商代表部によると、ロシアはアメリカに輸入される石油の約7%を占めているが、全製品の輸入国としては全体で20位、アメリカ製品の輸出市場としては40位に過ぎない。

ロシアから切り離される場合、アメリカ企業で困難に直面することになるのは少数だ。ボーイングは航空機の製造にロシア製のチタンを長年使用してきたが、他の国から材料を調達できると主張している。ペプシコとマクドナルドはともに、売上の4%前後をロシアとウクライナから得ている。

しかし、他の企業は既に行動を起こしている。デル・テクノロジーズはロシアへのコンピューター販売を凍結すると発表し、デルタ航空はロシアの航空会社アエロフロートとのチケット購入の提携を停止した。アエロフロートはヨーロッパのほぼ全域で飛行を禁止されている。

前出のラインシュは「エネルギー分野を除けば、ロシアは経済の舞台で大きな役割を担っていない。ロシアとの貿易を停止するのは、消費者としても政治的にも賢い行動であり、企業のコストもそれほどかからないだろう」と述べた。

ロシアの攻撃から逃れるウクライナ国民に対して、他のアメリカ企業も積極的に支援している。エアー・B・アンド・Bは10万人のウクライナ人難民に無料で短期間の住居を提供すると発表し、グーグル、メタ、ツイッターは複数のロシア国営企業がウクライナでコンテンツを宣伝することを禁止している。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 アメリカのインフレーション率は高いままだ。2021年10月で6.2%を記録したが、11月では6.8%を記録している。人々の給料が10%くらい上がらないと、このインフレーションの状態では生活は苦しくなるばかりだが、簡単に給料が10%も上がる人は少ないし、もともと低賃金の仕事で10%も上げてくれることはない。嫌なら辞めろということになる。それで人手不足ということになるが、低賃金の仕事にしか就けない非熟練労働者は多く、結局仕事は埋まってしまう。日本の規制改革、構造改革を進めた竹中平蔵一派(小泉純一郎からの)は、このような構造を日本に作り上げ、巨大な格差社会を構築することに成功した。私は以前に「日本に低賃金で働く人たちの“国”を作りたいのだろう」と書いたがまさにそうなった。
inflationrates20172021503

usinflationrate2021503
 アメリカ国民は現状に不満と不安を持っている。インフレーション、物価高を何とかしてくれということになっている。インフレーションを抑えるには市場で流通している貨幣量を減らすということになる。金融政策で言えば利上げをすること、財政政策で言えば緊縮財政にして、増税をするということになる。しかし、新型コロナウイルス感染拡大のために疲弊した経済状態で、利上げをすること、増税をすることは難しい。バイデン政権は大型公共支出をして経済を刺激しようとしているが、それがインフレーションを亢進させてしまう危険性もある。民主党の連邦上院議員ジョー・マンチン(ウエストヴァージニア州選出)は、インフレーションへの懸念からバイデンが進める大型支出に反対することを表明した。

 今が調整局面で、デマンドプル型インフレーションなのだという解釈であれば、その内に落ち着く。しかし、コストプッシュ型インフレーションであれば、外的な要因ということもあって厳しい。具体的には中国の経済回復のために、資源の取り合いになって資源の価格が高騰するということになれば、アメリカのインフレーション、物価高は続く。輸入品の価格を下げるためにはドル高にしなければならない。そうなれば日本は円安となり、日本にコストプッシュ型のインフレーション、物価高を「輸出」「押し付け」することになる。日本のインフレーション率はそこまで高くなく、アメリカ並みのインフレーション率にまで上がることは考えにくいが、給料が上がらない中で物価高が続くことは人々の生活を直撃することになる。

 2022年もしばらくは厳しい状態が続くことになるだろう。

(貼り付けはじめ)

最新の世論調査によるとアメリカ国民の3分の2が世帯支出は上昇していると回答Two-thirds of Americans in new poll report higher household expenses

キャロライン・ヴァキル筆

2021年12月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/585141-two-thirds-of-americans-in-new-poll-report-higher-household-expenses

アメリカ国民の約3分の2が2020年3月の段階に比べて世帯支出(household expenses)がより高くなっていると報告している。これは賃金上昇がありながらも、インフレーションがアメリカ国民に直撃しているということを示唆している。火曜日に発表された最新の世論調査の結果、明らかになった。

今月、アソシエイティッド・プレスとNORCセンター・フォ・パブリック・アフェアーズ・リサーチの共同世論調査が実施された。アメリカ国民の67%が、世帯支出は2020年3月1日時点よりもより多くなっていると答えている。26%は横ばいだと答えた。

2020年3月1日時点よりも世帯支出が低くなったと答えたのは6%だった。

アメリカ国民の過半数がここ数カ月、物価が通常よりも高くなっていることを経験していると答えた。日用品については85%、ガソリンについては85%、電気料金については57%、休日のプレゼントについては58%、サーヴィス全体については62%が、価格が高くなっていると答えた。

家電製品の場合、ここ数ヶ月でそれらの製品の価格が通常より高くなったと回答した人は37%にとどまり、51%がそれらの製品を購入しなかったと回答している。

世帯収入について、世論調査を行ったアメリカ国民の50%が「2020年3月1日とほぼ同じだ」と答えたのに対し、「その時点より高くなった」と答えたのは24%だった。

今回の世論調査では、26%が2020年3月の時点よりも世帯収入が減少したと答えた。

水曜日に発表された労働省のデータによると、10月の賃金上昇は年率5%だった。労働者需要が最高潮に達し、同月に企業によって1100万件の求人広告が出され。

バイデン大統領の世論調査の数字が低いのはインフレーションが一因となった。こうした状況下で、労働省からデータが発表された。10月のインフレーション率は30年ぶりの高水準に達した。

消費者物価指数(CPI)は、主要な財・サーヴィスのインフレーション率を示すもので、10月だけで0.9%、同月までの12ヵ月間では6.2%の上昇となった。

APNORC社の共同世論調査では、アメリカ国民の57%がバイデンの経済への対応に不賛成であるのに対し、賛成は41%であった。

APNORC社の共同世論調査は、2021年12月2日から7日にかけて、1089名を対象に実施された。誤差は4.1ポイントで、信頼水準は95%だ。

=====

世論調査:アメリカ国民の69%がバイデンのインフレーション対応を不支持(Sixty-nine percent of Americans disapprove of Biden's handling of inflation: poll

ジョセフ・チョイ筆

2021年12月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/585486-sixty-nine-percent-of-americans-disapprove-of-bidens-handling-of

日曜日にABCニュースとイプソス社共同世論調査の最新結果が発表され、アメリカ国民の約70%がバイデン大統領のインフレーション対応に不支持と答えた。

世論調査の結果によると、アメリカ国民の69%がバイデン大統領のインフレーション対策を不支持と答えた。一方、28%が支持と答えた。支持政党別で見ると、共和党支持者の94%が不支持と答え、民主党支持者の54%が不支持と答えた。無党派の有権者の場合は、71%が不支持と答えた。

経済回復については、57%がバイデンの仕事ぶりを評価しないと答えた。

ABCニュースの世論調査の結果では、犯罪と銃犯罪に関してはバイデンの支持率は下がっている。それについて36%と32%が支持すると答えたが

しかし、バイデンはある分野に関しては大統領としての仕事ぶりで過半数を少し超える支持を維持している。それは新型コロナウイルス感染拡大対策だ。ABC・イプソス共同世論調査によると、53%がバイデンの新型コロナウイルス感染拡大対策を支持した。

ABCニュース・イプソス共同世論調査は2021年12月10、11日に実施された。ランダムに選ばれた524名の成人が対象となった。調査結果の誤差は5ポイントだ。

これらの支持率の数字はインフレーション率が急上昇し続けている中で発表された。今年11月までの1年間で消費者物価は6.8%も上昇した。これは1982年以降で最高の年間のインフレーション率だ。

先週、バイデンは、「アメリカは現在インフォメーション危機の“最高潮”の中にあるが、連邦上院で自分の最優先政策である“ビルド・バック・ベター”法案が可決すればインフレーションは下がるだろう」と述べた。

バイデンはCNNのカイトラン・コリンズに対して次のように語った。「これは実生活に置いての大きな問題です。日用品店に入って、何を買うにしても、より多くのお金を払うことになれば、家族に影響が出ます。これが問題です」。

バイデンは続けて次のように述べた。「ガソリン代が高くなることは、人々にとって重要なことです。いくつかの州では、1ガロン3ドルを切る価格まで下がりましたが、重要なのは、まだ十分に早く下がっていないことです。しかし、私はそうなると思っています」。

=====

民主党の政治家たちはインフレーションに打ち勝とうと苦闘している(Democrats race to get ahead of inflation

シルヴァン・レイン筆

2021年12月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/584618-democrats-race-to-get-ahead-of-inflation?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

民主党の政治家たちは、物価の上昇がそれまでの好調な景気回復に水を差すことになるため、高インフレーションに打ち勝とうと苦闘している。

アメリカ経済は、新型コロナウイルス感染拡大で大きな被害を受けた他の全ての国に先駆けて、新たな感染拡大や感染拡大対策関連の制約を乗り越えて、急成長を遂げている。

2021年11月の失業率は4.2%にまで下落し、これは2020年2月以来の低水準である。先月、労働力は拡大し、賃金は年率で5%の上昇を記録した。個人消費と小売売上高も新型コロナウイルス感染拡大より前の最高水準を超えて急上昇しており、企業収益の上昇により株式市場は再び記録的な上昇を見せている。

しかし、景気回復のスピードが速いこともあり、インフレ率が着実に上昇しているため、民主党は景気回復をアピールすることが難しくなっている。

シェリ・ブストス連邦下院議員(イリノイ州選出)は木曜日、連邦議事堂で本紙の取材に応じ次のように述べた。ブストスはこの任期を最後にして議員を引退すると発表している。また、彼女の選挙区は民主、共和両党が激しく取り合う選挙区だ。彼女は「様々な経済指標を見れば、どれも素晴らしい数字を記録していることが分かる」と述べた。

彼女は続けて次のように述べた。「しかし、人々の生活問題について言うと、車を満タンにすれば前よりもお金がかかっている。日用品店に行ってベーコン1ポンドを買えば前よりもお金がかかる。人々はこのことを認識している」。

労働省が発表した消費者物価指数(CPI)によると、10月の消費者物価は、主に食品とエネルギー価格の高騰によって、前年同月比で6.2%上昇した。エコノミストたちは、金曜日に発表される11月の消費者物価指数のデータは、先月の消費者物価の年間上昇率がさらに大きく、6.7%になると予想している。

消費者物価の継続的な上昇は、資金繰りに苦しむ家計を圧迫し、中間選挙まで1年を切ったバイデン大統領と民主党に対する政治的圧力が高まっている。共和党は繰り返しコストの上昇を指摘し、バイデンや民主党が3月に民主党の票だけで可決した19000億ドル規模の「アメリカン・レスキュー・プラン」景気刺激策で経済を過熱させたと非難している。それでも回復の遅れた他の富裕国もインフレで苦しんでいるのが現状だ。

連邦下院財政委員会共和党側最高責任者パトリック・マクヘンリー連邦下院議員(ノースカロライナ州)は木曜日連邦議事堂において、「財政がインフレーションを増進させている。これは深刻な懸念となっている」と発言した。

マクヘンリー議員は「既に物価に関して問題が起きているのに、連邦議会は経済にジェット燃料を加えているようなものだ」と述べた。

アメリカン・レスキュー・プランがアメリカの景気回復に貢献した一方で、それが促進した支出の多くは、過負荷状態にある商品部門に殺到している。新型コロナウイルス感染拡大によって被害を受けた工場、サプライヤー、運送会社、小売業者が急増する需要に追いつくのに苦労しているので、様々な消費財の価格が急騰している。夏にはデルタ型ウイルスが出現し、サプライチェインの混乱はさらに深まり、新型コロナウイルス感染拡大前の状態に戻りつつあるサーヴィス産業からより多くの支出が流出することになった。

バイデン氏がサプライチェインの問題解決に奔走する中、大統領とホワイトハウス関係者は、インフレーションが国民の経済への支持やメディアの報道に与える悪影響について苦言を呈している。しかし、過激な進歩主義者から穏健派まで、様々な議員が、労働者階級が直面している物価の上昇を軽視してはならないと警告している。

木曜日、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は連邦議事堂で本紙の取材に対して、次のように述べた。「私たちが持っている疑問は、“インフレーションは問題なのか、そうではないのか?”というものではない。その答えは既に持っている。疑問に思っているのは、“私たちは本気になって解決しようとしているのか、それともただお喋りの材料にしているのか?”ということだ」。

オカシオ=コルテスや多くの民主党議員は、バイデンの「ビルド・バック・ベター」計画を、特に育児や処方薬など家族のコストを下げるための重要なステップであると評価している。彼女は木曜日に、1兆7500億ドルの社会サーヴィスおよび気候変動法案は、介護責任のためにパンデミックの発症中に去った数千人を含む、より多くの女性を労働力にするのにも役立つと述べた。

オカシオ=コルテスは、「物理的なサプライチェインには、港湾や海運の問題だけでなく、労働力不足という具体的な圧力要因がある。これらの分野に投資することで、ボトルネックを解消することができると考えている」と述べた。

ほとんどのエコノミストは、「ビルド・バック・ベター」計画は短期的には価格上昇にほとんど寄与しないと言っており、デフレーションの影響は数年どころか数ヶ月は発生しないと警告を発している。また、デルタウィルス変種の持続、オミクロン変種の出現、冬の到来なども、来年インフレーションが緩和し始める前に供給ラインを圧迫しそうだと、多くのアナリストは警告している。

オックスフォード大学経済学部のアメリカ経済専門家オレン・クラチキンは月曜日に発表した分析の中で次のように述べている。「バイデン政権は、サプライチェインの問題に取り組むためにビジネスリーダーと協力しているが、構造的なトラックドライヴァー不足と、基本的にフル稼働している倉庫という状況の中で、短期的にどれだけの進展が見られるかは不明だ」。

クラチキンは、港湾のボトルネック、重なり合う海外渡航制限による「頑強な物流課題」、数年来のトラックドライヴァー不足が重なり、価格への圧力がかかり続けていると指摘している。

クラチキンは「オミクロン株の発生によって、サプライチェインの問題解決スピードを低下させ、これまでの成果を台無しにする危険性がある」と書いている。

サプライチェインのより深刻な問題、特に自動車や家電製品から食品やエネルギーに至るまで価格上昇が広がれば、資金繰りに苦しむ家計やその支持を必要とする民主党候補者にとっての課題となる可能性がある。住宅価格や株価の急上昇は、物価上昇を乗り切ることができる裕福なアメリカ人にとっては恩恵だが、市場に資金がない人や、使える現金が十分にない人にとっては、どちらも冷たい慰めにしかならない。

ドン・ベイヤー連邦下院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は木曜日、連邦議事堂で本紙の取材に対して次のように語った。「私たちの相手である共和党側にとっては幸先の良いメッセージということになる。特にガソリン価格や食料価格の点で、価格が上昇すれば人々はその上昇を、自分たちの手持ちのお金を数えながら実感することになる」。

ベイヤーは「私が希望しているのは今年の春の終わりまでにこれらの物価上昇の圧力が極力小さくなることだ。10月までに収束させることができれば選挙に間に合うなどとは考えていない」と述べた。

=====

民主党がバイデンの支出法案成立に邁進する中、マンチンはインフレーションに警告を発する(Manchin warns about inflation as Democrats pursue Biden spending bill

ジョーディン・カーニー筆

2021年12月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/584830-manchin-warns-about-inflation-as-democrats-pursue-biden-spending-bill?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

ジョー・マンチン連邦上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)は火曜日、インフレーションに懸念を持っており、バイデン大統領の最重要政策である気候変動と社会に関する支出パッケージに前のめりになっている民主党に対して警告を発した。

マンチンは、『ウォールストリート・ジャーナル』紙CEO会議サミットにおいて、社会支出法案に対してまだ賛否を決めておらず、インフレーションンリスクに対して危険信号を出していると示唆した。

ウエストヴァージニア州選出の連邦上院議員であるマンチンは、インフレーションについて言及しながら、「今日我々が直面している未知の問題は、・・・この支出法案よりもはるかに大きい」と述べた。

マンチンは「私たちは、これを確実に実行しなければならない。このまま市場に資金を氾濫させ続けるわけにはいかない」と述べた。

連邦上院多数党(民主党)院内総務(Senate Majority Leader)のチャールズ・シューマー連邦議員(ニューヨーク州選出、民主党)がクリスマス前に歳出法案を通すという期限を守ろうとして民主党所属議員たちに圧力をかけている中で、マンチンは発言を行った。バイデン政権は、この法案がインフレーション下でのコスト上昇に対抗するのに役立つと主張している。

民主党は、法案が予算規則に適合しているかどうかを提示しているマンチンとの交渉、更には所属議員同士の交渉が続いている。マンチンに加え、カーステン・サイネマ連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)も法案を支持するかどうか明言しておらず、他の民主党所属議員も州・地方税(SALT)控除の上限など法案の特定の部分について懸念を表明している。

マンチンは、クリスマスまでの期限について、スケジュールをコントロールすることはできないとし、言及を避けた。しかし、彼は今年初めに、『ウォールストリート・ジャーナル』紙の論説で、戦略的な一時停止を呼びかけたことがある。

「その時、私は懸念を持っていた。そこで戦略的に一時停止しようと言った。今でもそのことを強く感じている」とマンチンは語った。

民主党は、気候変動と社会支出に関する合意を成立させるために予算調停を行うため、50人の民主党会派所属議員全員の完全な結束が必要である。また、歳出法案の審議を開始するためには、完全な結束と、ハリス副大統領による賛成が必要である。

マンチンは、法案に有給休暇を含めることに反対し、企業のクリーンエネルギーへの移行を奨励するためのエネルギー条項を計画から削除させ、メタン排出料と労働組合に所属ずる労働者によって製造された自動車に多く適用される電気自動車税額控除について反発している。

マンチン議員は、両党が自党の最大の優先課題を可決させるために、予算プロセスを利用していることを非難した。

マンチンは「予算プロセスはそのような重大な政策変更のために使われるとは想定されていない」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ