古村治彦の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、以下のアドレスをご覧ください。http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/goaisatsu.html 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。よろしくお願いします。

カテゴリ: 世界政治

 古村治彦です。

 

 アメリカのネオコンの拠点の1つである、戦略国際問題研究所(CSIS)が毎年発表しているグローバル予測の最新版から、所長のジョン・ハムレとジャパン・ハンドラーズの1人マイケル・グリーンの論稿をそれぞれ紹介します。ネオコン派がどのように考えているかが分かるものとなっています。

 

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2016年グローバル予測(2016 GLOBAL FORECAST

 

クレイグ・コーエン(CRAIG COHEN)、メリッサ・G・ダルトン(MELISSA G. DALTON)編

 

戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS

http://csis.org/files/publication/151116_Cohen_GlobalForecast2016_Web.pdf

 

 

アジアへの再接続(Reconnecting of Asia

 

ジョン・J・ハムレ(JOHN J. HAMRE)筆

 

400年前、人類史上初めての純粋に国際的な国家間システムが出現した。この時以前、中国の各王朝と近隣諸王国との相互交流のような地域的な地政学システムはいくつか存在した。しかし、純粋に国際菜的な国家間システムは存在しなかった。国民国家が出現した際のウェストファリア体制は極めて斬新なものを生み出した。個人の忠誠心は王に対する忠節から国民としての意識と国家への同一化へと変化した。この時期、制限責任企業のような組織に関する新しい概念が生まれた。制限責任企業は幅広く資本を集め、対象となる商業的な冒険的試みに大量の資本を投入できるようになった。

 

 これらのヨーロッパの国民国家は、大都市の発展を支えた大富豪を生み出すための世界規模の帝国を創設しようとして相争った。ヨーロッパを中心とする国際的な地政学的システムが生み出された。このシステムは、操作法則として力の均衡(balance of power)を基礎とし、商業主義的な諸原理によって動くものであった。

 

 しかし、この発展には副作用も伴った。ヨーロッパの各帝国は世界各地に商業拠点を獲得しようと躍起になった。この世界システムの経済的ダイナミズムによって、アジアとアフリカの沿岸部にヨーロッパから企業家精神に溢れた人々が押し寄せるようになった。海上輸送が世界的な商業の基礎となった。アジア各地の沿岸部と主要航路沿いに巨大な都市が次々と誕生した。それから400年間、アジアにおいて地政学的に重要であったのは沿岸部であった。

 

 それ以前、アジアにおける商業と地政学の点で重要であったのはユーラシア大陸内陸部であった。国家間の商業活動は、いわゆる「シルクルート(silk routes、シルクロード)」に沿って行われていた。

 

 400年間にわたりアジアにおいては沿岸部に地政学的な中心が置かれてきたが、その状況は変化しつつある。巨大なユーラシア大陸が内陸部で再接続されつつある。ロシアは、極東とヨーロッパを結ぶ鉄道ネットワークを構築するという野心的な計画を明らかにしている。中国は「一帯一路(One Belt, One RoadOBOR)」構想に基づいて様々なもっと野心的な計画を発表している。この計画は、中央アジアと西アジアを貫く形で輸送ネットワークを劇的に拡大するというものだ。中国はその他にもアジアインフラ投資銀行(AIIB)やシルクルート基金のようなより衝撃的で野心的な計画を実行しようとしている。数十の社会資本建設・整備計画が既に発表され、この計画の方向性はすでに示されている。

 

 一帯一路構想は、様々な議論を引き起こした。懐疑論を唱える専門家たちは、この計画は成長が遅れている中国内陸部の開発を促進するための試みだと述べている。また、個の計画は中国国内で建設ラッシュが一段落している建設業者たちに機会を与えるための経済刺激策だと主張する人たちもいる。更には、中央アジア諸国の中国に対する忠誠心を獲得し、属国関係として固定化するための地政学的な設計図に基づいて行われていると主張する専門家たちもいる。

 

一帯一路構想はアメリカにとってどのような意味があるものなのだろうか?これからの数十年間、中国はこの計画にエネルギーを使い、結果として東南アジアに対する圧力が弱まることになるのだろうか?それとも、巨大なアジア大陸全体に中国の覇権を及ぼすという究極的な目標を反映したものなのだろうか?一帯一路構想はアメリカにとって良いものなのだろうか、それともアメリカの国益にとって脅威となるのだろうか?

 

 新しいシルクルートという話はこれまで長い間流布されてきたものだ。インターネットで、「シルクロード」というキーワードを入れて調べてみると、ヒットするものの半数以上はトルコ発のもので、トルコの商業に関するものである。一帯一路構想が地政学的な側面を持っていることは疑いようのないところだが、その根底にある商業的な大きな動きを見逃すと、分析を間違うことになる。アジアの製造業をヨーロッパの市場に結び付けるための最も効率の良い方法は、海上輸送であると思われてきた。しかし、長距離鉄道網を使えば輸送時間を2倍から3倍も短縮することはたやすい。輸送時間を劇的に短縮することで、投資する資本が何も生み出さない時間を減少させることによって、必要な資本を減らすことが出来るのだ。

 

 アメリカ政府はこの巨大な展開を評価するための能力に欠けている。官僚たちは世界を分割してそれぞれ担当しているが、それによってより明確なビジョンを掴むことが出来ないようになっている。米国務省は世界を4つの地域に分けてそれぞれに、東アジア・太平洋担当、ヨーロッパ・ユーラシア担当、近東担当、南アジア・中央アジア担当という担当部局を置いている。国防総省は太平洋司令部を置いており、中国はそこの担当になっている。しかし、その他のアジアは、中央司令部とヨーロッパ司令部の担当になっている。

 

 官僚主義的な機関は創造的な思考には不向きだ。世界を4つに分割し、それぞれの中で見ていれば、この巨大な流れを見逃すことになる。新しい大きな流れの特徴を古い歴史的なフィルターを通じてみてしまうことになる。

 

 ユーラシアの再接続の重要性を見過ごすことは大きな過ちとなる。そして、この動きをアメリカの脅威としてしまうことは危険なことでもある。この巨大な展開においてアメリカの果たすことが出来る役割は限られている。しかし、それは私たち自身がそのようにしてしまっているためなのだ。私たちはこの大きな新しい流れを客観的に評価し、判断しなくてはならず、それには時間が必要だ。一帯一路構想に対処することは次の大統領の政策課題ということになるだろう。

 

(終わり)

 

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私たちが生きる現代にとって正しい戦略を追い求めて(Seeking the Right Strategy for Our Time

 

マイケル・J・グリーン(MICHAEL J. GREEN)筆

 

 アメリカは現在世界のいたるところで守勢に回っているように見える。中国は南シナ海において侵略的な土地埋め立てと島の要塞化計画を進めている。また、アメリカの同盟諸国への影響力を強めることになる、新しいユーラシア秩序の構築を求めている。ロシアはウクライナとシリアに軍隊を派遣することでNATOを侮蔑している。イランはアメリカとの間で内容の乏しい核開発合意を締結したが、中東各地の代理となる諸勢力に武器を与え、衰えることの野心を見せ、宗教的な統一という目標のために動いている。イスラミック・ステイトは暴力的で抑圧的なカリフ制度を求めて活動している。その活動力は落ちているが、規模を縮小させるまでには至っていない。更には、気候変動に関する国際的な協力は、2015年12月にパリで開催されたCOP21の開催前に既に失敗していた。これは、オバマ政権の成立当初からの目的の達成失敗ということになる。

 

 アメリカにとっての大戦略が必要な時期はこれまでほとんどなかったが、今はまさにそのタイミングだ。しかし、現在のアメリカが大戦略を構築し、それを実行することは可能だろうか?大戦略には様々な脅威と障害についての明確な定義が必要だ。努力を向ける目的の優先順位をつけることと、目的の達成のために外交、情報、軍事、経済といった分野の力を統合することが必要である。トクヴィルが明らかにしたように、アメリカの民主政治制度は、そのような意思決定と権威を一つの政府機関に集権化することを阻害するように設計されている。

 

 民主政治体制は、様々な障害が存在するが、何とかして、重要な事業の詳細を規制し、固定化された設計を保ち、その実行を行っている。民主政治体制では秘密で様々な手段を実行することはできないし、長い時間、忍耐を持って結果を待つこともできない。

 

 それにもかかわらず、アメリカは、共和国としての歴史の中で、これまで何度も大戦略を成功させてきた。アメリカ建国の父たちはヨーロッパ型の機構と策謀に大きな疑念を持ちそれをアメリカのシステムに反映させたが、それでも大戦略が成功したことがたびたびあった。アメリカ政府は、19世紀末までに西半球において自分たちに都合の良い国境を策定することができた。19世紀から20世紀に移行する次期、アメリカは太平洋における主要な大国としての地位を獲得した。第二次世界大戦後、ヨーロッパとアジアの民主諸国家との間で同盟関係を固めることができた。そして、25年前にソヴィエト主導の共産主義体制を流血の惨事を引き起こすことなく打ち倒すことが出来た。これらの大戦略が一人の人物によって実行されたことは少ない。それでもセオドア・ルーズヴェルトとヘンリー・キッシンジャーはそれに成功した。しかし、たいていの場合、アメリカの大戦略は、「目的と手段を効率的ではなく、効果的に結びつける巨大なプロセス」から生み出されたのである。ジョン・アイケンベリーが述べているように、戦後に海外で成功したアメリカの戦略は、アメリカ国内における公開性と諸政治機関の競争性によって生み出された。それらによってアメリカ主導の国際秩序において利害関係を持つ参加者たちの力を増大させ、安心感を与えることが出来たのだ。トクヴィルが致命的な弱点だと考えたものが、実際には大きな長所となった。

 

 しかしながら、現在では、アメリカの民主政治体制の政治過程が、同盟諸国やパートナーに対して、安心感ではなく、より厳しいものとなり、警戒感を与えることになっている。また、アメリカの政治指導者たちが、「アメリカは国際的な諸問題で世界を指導できる能力を持っているのか」という疑念を起こさせている。第一次世界大戦とヴェトナム戦争の後、アメリカは大きく傷ついた。アメリカ国民はこれらの時期、世界に対してアメリカが関与していくことを基礎とする地政学を求める指導者を選んだ。イラク戦争後、アメリカの全体的なムードも同じような流れになった。アメリカの外交政策戦略の主要なテーマが「アメリカの世界的な評価を回復する」ということになった。アメリカ政府は地政学ではなく、国際的な脅威に関心を払うようになった。「戦争」か「関与」かの単純な二者択一で政策を行うようになっている。また、「バカなことはやらない」という考えに基づいて受け身的な事なかれ主義になっている。

 

 イラク戦争後のこうした流れによって、伝統的な国民国家、勢力均衡、アジア、東欧、中東に出現しつつある地域的な秩序に関する競争の重要性は減退した。中国、ロシア、イランは、アメリカの影響力を小さくし、アメリカの同盟諸国の力を小さくするための強制的な戦略を用いることで、戦争と関与との間にある「グレーゾーン」を埋めている。同じようなことは南米についても言える。しかし、南米で現在の国際システムに異議を唱えている国々の国際的な秩序に与える脅威はより小さいものと言える。アメリカとの間で相互利益がある地域における ロシア、中国、イランの関与はそれぞれの国益にかなうものであるが、この関与を「大戦略」と呼んでしまうと、オバマ政権が「これまでの国際秩序を作り変えようとする諸大国に地域的な秩序作りを任せてしまっている」という印象を世界中に与えることになってしまっている。一方、これらの大国に対して純粋に競争的な戦略を採用すべきと主張しているリアリストたちは、アメリカの同盟諸国やパートナーの置かれている複雑な立場を分かっていない。これらの国々のほとんどは、特にロシアと中国に対して、冷戦期のような立場をはっきりさせるような戦略を採れないような状況にある。アメリカの大戦略は国家間関係の根本的な理解のために地政学を復活させねばならない。しかし、同時に国際社会で指導的な立場に立つには、信頼されるに足るだけの外交的、経済的、軍事的、価値観に基づいた選択肢を提供する必要があることもアメリカは認識しなければならない。世界の国々に近隣の新興大国、既存の国際システムに異議を唱える大国関係を持たないようにさせようとしても無駄である。

 

 言うまでもないことだが、海外で指導的な役割を果たすためには、国内での経済成長を維持することは欠かせない。しかし、それがアメリカの縮小のための言い訳になってはいけない。アメリカは、これから数年の間、競争が激しい世界秩序から撤退し、世界がボロボロになった後に戻ってくる、などということをやってはいけない。実際、多くの国際協定が締結間近であるが、これらは海外におけるアメリカの影響力を強化するだろうが、アメリカの国内経済を大きく動かすことにもなる。環太平洋経済協力協定(TPP)と環大西洋貿易投資協定(TTIP)によって、アメリカの貿易を促進され、ヨーロッパと太平洋地域をアメリカとより緊密に結びつけることになる新しいルールを構築されることになる。より良い統治の促進、女性の地位向上、法の支配、市民社会が強調されることで、諸外国ではより正義に基づいた、安定した、そして繁栄した社会が生み出されることになる。消費は促進され、知的財産権はしっかり保護されることになる。違法行為を終わらせ、保障関係のパートナーシップを強化することで、各企業はよりまともな戦略を立てることが出来、同盟諸国やパートナー諸国との間で新しいシステムと技術に関してより生産的な発展を進めることが出来る。多くの国々がアメリカとの間の更なる経済的、軍事的な協力関係を望んでいるのだ。実際のところ、近現代史を通じて、現在ほどアメリカとの協力が求められている時期はないのだ。ここで大きな問題となるのは、アメリカ政府は、この新しい流れを利用して、経済、規範、軍事の関与に関するあらゆる手段に優先順位をつけ、それらを統合することが出来るのかどうか、ということである。

 

 この問題に関しては、アメリカ国民の考え方ひとつだ。この問題に関して、歴史は大きな示唆を与えてくれる。1920年代初めに行われたギャロップ社の世論調査では、アメリカ国民の大多数が、第一次世界大戦に参戦したことは間違いであったと答えた。1930年代、連邦議会は国防予算を減額し、保護主義的な関税を導入した。1930年代末、日本とドイツがヨーロッパと太平洋の既存の秩序に脅威を与えるようになった。この時期、ギャロップ社の調査で、数字が逆転し、大多数のアメリカ国民が第一次世界大戦にアメリカが参戦したことは正しかったと答えた。フランクリン・デラノ・ルーズヴェルト大統領は、互恵通商法を成立させ、海軍の再増強に乗り出した。1970年代半ば、アメリカ国民はヴェトナム戦争に反対するようになった。この時、連邦議会は防衛予算を減らし、大統領の外交政策遂行に制限を加えた。それから10年もしないうちに、ソ連が第三世界に対してそれまでにない拡張主義で臨むようになると、アメリカ国民は国防予算を増額し、ソ連の進出を阻止し、冷戦の終結につながる動きを促進する政策を支持した。

 

 最近の世論調査の結果は、アメリカ人の中に国際主義が再び復活しつつあることを示している。国家安全保障は共和党支持者たちにとって最も重要な問題となっている。一方、ピュー・リサーチセンターの世論調査では、大多数のアメリカ国民がTPPを支持している。問題解決は指導者の力量にかかっている。民主、共和両党の大統領候補者予備選挙の始まりの段階では、むちゃくちゃなポピュリズムの旋風が起きている。それでも、国際的な関与を主張する候補者が最終邸には勝利を得られるだろうと考えるだけの理由は存在するのだ。

 

(終わり)

メルトダウン 金融溶解
トーマス・ウッズ
成甲書房
2009-07-31




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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12

 

 リアリストであれば、オバマ大統領に対して、「アサドは権力の座から退かねばならない」とか化学兵器使用について「レッドライン」をひく、などと言わないように助言するだろう。それはバシャール・アル・アサドが擁護されるべき存在であるからでも化学兵器が戦時における正当な武器であるからでもなく、アメリカの重要な国益に関わらないし、何よりもアサドと彼の側近たちはとにかく権力を掌握し続けたいともがいているとことは明らかであったからだ。最重要なことは、人命をできるだけ損なうことなく内戦を速やかに終結させることであり、そのために必要とあれば、暴力的な独裁者とでも取引をするということであった。数年前にオバマ大統領がリアリストの意見に耳を傾けていたら、シリア内戦は多くの人命が失われ、国土が荒廃する前に集結していた可能性は高い。これはあくまで可能性が高いとしか言えないことではある。

 

 言い換えると、リアリストが過去20年のアメリカの外交政策の舵取りをしていれば、アメリカの国力を無駄に使うことになった失敗の数々を避け、成功を収めることが出来たはずだ。こうした主張に疑問を持つ人もいるだろう。しかし、「アメリカは世界の全ての重要な問題に対処する権利、責任、知恵を持っている」と主張した人々や、現在は馬鹿げたことであったとばれてしまっている、アメリカ政府の介入を執拗に主張した人々に比べて、リアリストは外交政策でより良い、まっとうなことを主張してきたことは記録が証明している。

 

 ここで疑問が出てくる。それは「リアリズムの助言は過去25年にわたり、ライヴァルの助言よりも好成績をあげているのに、リアリストの文章は主要なメディアには登場しない。それはどうしてか?」というものだ。

 

 『ニューヨーク・タイムズ』紙、『ワシントン・ポスト』紙、そして『ウォールストリート・ジャーナル』紙の論説ページに定期的に寄稿しているコラムニストについて考えてみる。この3紙はアメリカにおいて最も重要な紙媒体である。この3紙の記事と論説は他のメディアの論調を決定するくらいの力を持っている。それぞれの新聞のコラムニストは、講演を行ったり、他のメディアに出たりしている。そして、政策決定において影響力を行使している。この3紙はリアリストを登場させることはなく、『ワシントン・ポスト』紙と『ウォールストリート・ジャーナル』紙は、国際政治とアメリカの外交政策についてのリアリズム的な考えに対して敵意を持っている。

 

 『ニューヨーク・タイムズ』紙の場合、外交問題に関して定期的に寄稿しているコラムニストのリストを見てみると、ネオコン1名(デイヴィッド・ブルックス)と有名なリベラル介入派(トーマス・フリードマン、ニコラス・クリストフ、ロジャー・コーエン)が存在する。ロス・ドウサットは伝統的保守派に分類される。しかし、彼が国際問題について書くことはほとんどなく、世界各地へのアメリカの介入政策を様々な理由を挙げて声高に擁護している。『ワシントン・ポスト』紙は、4名の強硬なネオコン、論説ページの編集者フレッド・ハイアット、チャールズ・クラウトハマー、ロバート・ケーガン、ジャクソン・ディールを起用している。過去にはウィリアム・クリストルを起用していたこともある。定期的に寄稿しているコラムニストには、ジョージ・W・ブッシュ前政権のスピーチライターだったマーク・ティエッセンとマイケル・ガーソン、極右のブロガーであるジェニファー・ルービン、中道のデイヴィッド・イグナティウスと論争好きのリチャード・コーエンがいる。言うまでもないことだが、この中にリアリストはいないし、彼ら全員が積極的なアメリカの外交政策を支持している。昨年に『ザ・ナショナル・インタレスト』誌に掲載されたある記事の中でジェイムズ・カーデンとジェイコブ・ハイルブランが書いているように、ハイアットは「『ワシントン・ポスト』紙を頭の凝り固まった戦う知識人たちのマイク」に変えてしまい、「アメリカ国内で最もひどい内容の論説ページ」を作っている。

 

 ここで明確にしたいのは、こうしたコラムニストたちに執筆の機会を与えることは正しいことだし、私が名前を挙げた人々の多くの書く内容は一読に値するものである、ということだ。私が間違っていると考えているのは、現在の世界政治に関してより明確なリアリス的な考えを発表する人間が起用されていないということだ。ごくたまにではあるが、3紙も不定期にリアリストに論説ページに記事を書かせている。しかし、リアリスト的なアプローチを持っている人々で定期的に論説を書いて3紙から報酬を得ている人はいない。読者の皆さんは、ほんの数名のリアリストがフォックス、CNN,MSNBCのようなテレビの他に、この『フォーリン・ポリシー』誌や『ナショナル・インタレスト』誌のような特別なメディアに出ていることはご存じだと思う。それ以外の主流のメディアには出られないのだ。

 

 これら3つの主要な大新聞がリアリスト的な観点を恐れているのはどうしてなのだろう?リアリストはいくつかの極めて重要な問題に対してほぼ正しい見方を提供してきた。一方、これらのメディアで発表の機会を得てきたコラムニストたちの意見はほぼ間違っていた。私にはこんなことがどうして起きたのかその理由は分からない。しかし、現役の外交政策専門家は、アメリカをより豊かにそしてより安全にするにはどの政策がいちばんよいのかということを必死になって考えるよりも、空疎な希望や理想を語りたがっているのではないかと私は考えている。そして、アメリカは既に強力で安全なので、アメリカは繰り返し繰り返し非現実的な目的を追求し、素晴らしい意図のためにそのために何も悪くない人々を犠牲者になって苦しむことになってしまっているのだ。

 

私は、メディア大企業を経営しているルパート・マードック、ジェフ・ベソス、サルツバーガー一族に訴えたい。リアリストを雇ってみてはどうか?国際問題について評論や提案をする人々を探しているのなら、ポール・ピラー、チャス・フリーマン・ジュニア、ロバート・ブラックウェル、スティーヴ・クレモンス、マイケル・デシュ、スティーヴ・チャップマン、ジョン・ミアシャイマー、バリー・ポーゼン、アンドリュー・バセヴィッチ、ダニエル・ラリソンを検討してみてはどうか?こうした人々に週一回のコラムを書かせてみてはどうか。そうすることで、読者の人々に対して、国際的な問題について包括的なそしてバランスのとれた意見を提供することができる。私が言いたいことは、「あんたたちはいったい何を怖がっているんだい?」ということだ。

 

(終わり)

野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23






メルトダウン 金融溶解
トーマス・ウッズ
成甲書房
2009-07-31


 
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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12

 

 もしビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、そしてバラク・オバマがリアリズムの諸原理を採用していたら、1993年以降のアメリカの外交政策はどれほど違ったものになったのだろうか?

 

 第一にそして最も明らかなことは、ブッシュがブレント・スコウクロフト、コリン・パウエル、その他のリアリストたちの意見を聞いていれば、2003年にイラクに侵攻することはなかっただろう。ブッシュは、イラクで泥沼にはまるのではなく、アルカイーダの殲滅に集中したことであろう。数千のアメリカ兵たちが戦死したり、戦傷を受けたりすることもなかったことだろう。数十万のイラク国民が亡くなることもなく、今でも生きていたことだろう。イランの影響力は今よりもだいぶ小さいものだっただろうし、イスラミック・ステイトが生まれることもなかっただろう。リアリストによる正しい助言を拒絶することで、アメリカの納税者のお金を数兆ドルも無駄にした。そして、多くの人々の声明が失われ、地政学的に見て混乱が発生することにもなってしまった。

 

 第二に、アメリカの指導者たちがリアリズムの知恵をきちんと理解していれば、アメリカは1990年代にNATOを拡大させることはなかっただろう。NATOの範囲をポーランド、ハンガリー、チェコまでとしただろう。リアリストは、大国というものは自国に接する外側世界の力の構成に特に神経を尖らせるものだということを理解している。ジョージ・ケナンはNATOの拡大はロシアとの関係を悪化させるという警告を発していた。NATOの拡大は同盟関係を強化することにはつながらなかった。NATOの拡大によって、アメリカは一群の弱小なそしてアメリカから遠く離れてはいるが米軍が防衛しづらい国々を防衛する責務を負うことになってしまった。そうした国々はロシアと国境を接している。読者の皆さん、NATOの拡大は、傲慢さと地政学の間違った応用の結果なのだ、と私は申し上げたい。

 

 より良い選択肢だったのは、ロシアを含むワルシャワ条約機構に加盟していた国々と建設的な安全保障に関するつながりを求める「パートナーシップ・フォ・ピース」を構築することであった。残念なことに、注意深いアプローチは、NATO拡大を急がせる理想主義を掲げる動きを前にして放棄されてしまった。この決定は、リベラルの掲げる希望に基づいて行われた。彼らはNATOの拡大で安全保障が強化されると考えていたが、そんなことは起きなかった。

 

 リアリストは、グルジアとウクライナを「西側」陣営に引き込もうとすることで、ロシア政府から厳しい反応を引き起こすこと、ロシアはそうした試みを台無しにするだけの能力を持っていることを理解していた。リアリストがアメリカの外交政策を担当していたら、ウクライナ情勢は不安定なままであっただろうがクリミア半島はウクライナの一部であっただろう。そして、2014年から続いているウクライナ東部での戦闘は恐らく起きなかっただろう。クリントン、ブッシュ、オバマがリアリストの助言に耳を傾けていたら、ロシアとの関係は今よりもだいぶ良いものであっただろうし、東欧の状況はより安定したものとなっただろう。

 

 第三に、リアリズムの諸原理に大統領が従っていれば、ペルシア湾岸地域に対して、「二重の封じ込め」戦略を取らなかったであろう。イランとイラクを同時に封じ込めようとする代わりに、両国間のライヴァル関係を利用して、お互いを牽制させて均衡させようとしただろう。二重の封じ込め政策によって、アメリカはイラン、イラク両国を利用することが出来なくなり、サウジアラビアとペルシア湾岸地域に大規模な地上軍と空軍を駐留させ続けることになってしまった。長期にわたる米軍のサウジアラビア駐留は、オサマ・ビンラディンの怒りの理由となり、それが2001年9月11日に発生したアメリカに対する攻撃につながったのだ。ペルシア湾岸地域に対してリアリストが考える政策を行っていれば、アメリカに対する攻撃を根絶することはできなくても、少なくすることはできただろう。

 

 第四に、リアリストは、イラクに侵攻して、タリバンのネットワークの再構築を許してしまった時点で、アフガニスタンで「国家建設」をしようとすることは愚か者の先走りだと警告を発していた。そして、2009年にオバマ大統領が行った「増派」は全く役に立たなかった。オバマ大統領がリアリストたちの意見を聞いていたら、アメリカはアフガニスタンでの消耗をかなり早い段階で止めることが出来ただろう。結果としては失敗であってもその程度はだいぶ軽くで済んだはずだ。多くの命と莫大なお金が失われずに済み、アメリカは現在よりもより強力な戦略的立場に立てていたはずだ。

 

 第五に、イランとの核開発を巡る合意は、アメリカが現実的なそして柔軟的な外交を展開すれば成功を収めることが出来ることを示した。しかし、ブッシュかオバマがリアリストの助言を受け入れていれば、アメリカ政府はより良い条件で合意を結ぶことが出来ただろう。イランの核開発施設が小さい段階で合意を結ぶことが出来ただろう。リアリストは、繰り返し「イランはウラン濃縮技術を放棄することはないだろう、そしてイラン政府と軍部は核兵器開発を進めるだろう」と警告を発した。アメリカが、リアリストの助言通りにもっと早い時期に柔軟性を見せていたら、イランの核開発をより低いレヴェルの段階で止めることが出来たはずだ。アメリカの外交がより巧妙であったなら、2005年にムアマド・アフマディネジャドが大統領に当選することを阻止し、二国間の関係をより建設的な方向に進めることが出来たはずだ。たとえそこまでなくても、アメリカはそこまで悪い状況に追い込まれることはなかっただろう。

 

 第六に、様々な考えを持つリアリストたちは、アメリカとイスラエルとの間の「特殊な関係」に疑問を持ち、この特殊な関係が両国に害をもたらしていると警告を発している。イスラエルの熱心な擁護者たちの中にはリアリストに対して中傷を行っている。しかし、リアリストがアメリカとイスラエルの関係を批判しているのは、イスラエルの存在に対して敵意を持っているからではない。また、アメリカとイスラエル両国の国益が一致している場合にはアメリカとイスラエルは協力すべきだという考えに反対しているからではない。リアリストは、「イスラエルに対するアメリカからの無条件の支援は、世界におけるアメリカのイメージを悪く、テロリズム問題を悪化させ、パレスチナ人の犠牲の上に“大イスラエル”を建設しようとするイスラエル政府の自滅的な努力を続けさせている」という考えから、批判をしている。リアリストは、イスラエルとパレスチナの平和共存を進めるためには、アメリカが「イスラエルの弁護士」としてではなく、双方に圧力をかけるべきだと主張している。こうした考え以外のアプローチが繰り返し失敗している状況で、この考えの正しさに疑問を持つことができるだろうか?

 

 最後に、オバマがロバート・ゲイツのようなリアリストの助言を聞いていたら、リビアのムアンマール・カダフィを権力の座から追い落とすようなこともなかっただろう。そして、リビアが破綻国家の仲間入りをすることもなかっただろう。カダフィは独裁的な支配者であったが、人道主義的介入を主張する人々は、「大量虐殺」のリスクを誇張し、カダフィの独裁政治の崩壊の後に起きた無秩序と暴力を過小評価した。

 

(つづく)

野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23







 
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  古村治彦です。

 

 今年1月11日付の『ニューヨーク・タイズム』紙に以下のような記事が出ました。タイトルは「ある本によると、コーク兄弟の父親はナチス・ドイツの石油精製施設建設に協力した」となります。内容は、共和党や保守的なグループに多額の献金を行っているアメリカの超富豪たちは元々後ろ黒いやり方で金儲けを行ったと主張する本が出て、その中で、コーク一族が取り上げられており、コーク兄弟の父親フレッドがナチスに協力した、というものです。

 

 記事が取り上げている本は、ジェイン・メイヤーというジャーナリストの『ダーク・マネー』という本で、2016年1月19日にアメリカで発売になります。ジェイン・メイヤーは、『ニューヨーカー』誌の記者で、コーク兄弟についての詳しい記事を全米初めて書いた人物です。

 

 私が翻訳しました『アメリカの真の支配者 コーク一族』でも、メイヤーの話が出てきます。しかし、メイヤーの本に出てくる、フレッド・コークがナチスの協力者であったという話は出てきません。メイヤーは何か新発見の文書などの証拠を見つけて書いたものと思われます。
 


 また、アメリカの富豪たちがナチスに協力した過去を持っているという話ですが、こちらは、私が翻訳しました『BIS国際決済銀行 隠された歴史』にはたくさん出てきます。フォード・モータースやスタンダード石油などの製造業や銀行がナチスの戦争遂行に協力しました。詳しい内容は是非本を手に取ってお読みいただければと思います。

 


 ジェイン・メイヤーの本がこの時期に出るというのは、アメリカ大統領選挙とも関係があると言えます。彼女がターゲットにしているコーク兄弟はこれまで共和党の政治家たちを応援してきました。彼らは父親から会社を受け継いで、それを自分たちの力で大きくしたのですが、その大本である父の会社がナチスに協力したということになると、法的には何もないにしても、道義的な責任を問われます。そして、そうした人たちからお金を受け取っていたとなると、批判や攻撃の対象になります。

 

 コーク兄弟と関係を持たなかった共和党系の政治家はほぼいないと言って良いでしょう。現在の大統領選挙で言えば、自己資金でやっているドナルド・トランプ以外は何かしらの関係があります。そうなると、これは大きな痛手となります。

 

 ここからは妄想になりますが、これはヒラリーを勝たせるための援護射撃ということになります。ドナルド・トランプ以外の政治家たちに打撃となると、共和党の大統領選挙候補者がトランプになる可能性が高まります。しかし、「さすがにトランプを大統領にできない」ということになると、ヒラリーに投票が流れるということになります。

 

 ジェイン・メイヤーが『ニューヨーカー』誌の記者であることを考えると、ニューヨークを拠点としている勢力がバックアップしているのではないかということも考えられます。

 

(貼り付けはじめ)

 

 

POLITICS

 

Father of Koch Brothers Helped Build Nazi Oil Refinery, Book Says

 

By NICHOLAS CONFESSOREJAN. 11, 2016

http://www.nytimes.com/2016/01/12/us/politics/father-of-koch-brothers-helped-build-nazi-oil-refinery-book-says.html?_r=1

 

The father of the billionaires Charles G. and David H. Koch helped construct a major oil refinery in Nazi Germany that was personally approved by Adolf Hitler, according to a new history of the Kochs and other wealthy families.

 

The book, “Dark Money,” by Jane Mayer, traces the rise of the modern conservative movement through the activism and money of a handful of rich donors: among them Richard Mellon Scaife, an heir to the Mellon banking fortune, and Harry and Lynde Bradley, brothers who became wealthy in part from military contracts but poured millions into anti-government philanthropy.

 

But the book is largely focused on the Koch family, stretching back to its involvement in the far-right John Birch Society and the political and business activities of the father, Fred C. Koch, who found some of his earliest business success overseas in the years leading up to World War II. One venture was a partnership with the American Nazi sympathizer William Rhodes Davis, who, according to Ms. Mayer, hired Mr. Koch to help build the third-largest oil refinery in the Third Reich, a critical industrial cog in Hitler’s war machine.

 

David H. Koch, left, and Charles G. Koch. Credit Paul Vernon/Associated Press; Bo Rader/The Wichita Eagle, via Associated Press

The episode is not mentioned in an online history published by Koch Industries, the company that Mr. Koch later founded and passed on to his sons.

 

Ken Spain, a spokesman for Koch Industries, said company officials had declined to participate in Ms. Mayer’s book and had not yet read it.

 

If the content of the book is reflective of Ms. Mayer’s previous reporting of the Koch family, Koch Industries or Charles’s and David’s political involvement, then we expect to have deep disagreements and strong objections to her interpretation of the facts and their sourcing,” Mr. Spain said.

 

Ms. Mayer, a staff writer at The New Yorker, presents the Kochs and other families as the hidden and self-interested hands behind the rise and growth of the modern conservative movement. Philanthropists and political donors who poured hundreds of millions of dollars into think tanks, political organizations and scholarships, they helped win acceptance for anti-government and anti-tax policies that would protect their businesses and personal fortunes, she writes, all under the guise of promoting the public interest.

 

The Kochs, the Scaifes, the Bradleys and the DeVos family of Michigan “were among a small, rarefied group of hugely wealthy, archconservative families that for decades poured money, often with little public disclosure, into influencing how the Americans thought and voted,” the book says.

 

Many of the families owned businesses that clashed with environmental or workplace regulators, come under federal or state investigation, or waged battles over their tax bills with the Internal Revenue Service, Ms. Mayer reports. The Kochs’ vast political network, a major force in Republican politics today, was “originally designed as a means of off-loading the costs of the Koch Industries environmental and regulatory fights onto others” by persuading other rich business owners to contribute to Koch-controlled political groups, Ms. Mayer writes, citing an associate of the two brothers.

 

Mr. Scaife, who died in 2014, donated upward of a billion dollars to conservative causes, according to “Dark Money,” which cites his own unpublished memoirs. Mr. Scaife was driven in part, Ms. Mayer writes, by a tax loophole that granted him his inheritance tax free through a trust, so long as the trust donated its net income to charity for 20 years. “Isn’t it grand how tax law gets written?” Mr. Scaife wrote.

 

In Ms. Mayer’s telling, the Kochs helped bankroll — through a skein of nonprofit organizations with minimal public disclosure — decades of victories in state capitals and in Washington, often leaving no fingerprints. She credits groups financed by the Kochs and their allies with providing support for the Tea Party movement, along with the public relations strategies used to shrink public support for the Affordable Care Act and for President Obama’s proposals to mitigate climate change.

 

The Koch network also provided funding to fine-tune budget proposals from Representative Paul D. Ryan, such as cuts to Social Security, so they would be more palatable to voters, according to the book. The Kochs were so influential among conservative lawmakers, Ms. Mayer reports, that in 2011, Representative John A. Boehner, then the House speaker, visited David Koch to ask for his help in resolving a debt ceiling stalemate.

 

Dark Money” also contains revelations from a private history of the Kochs commissioned by David’s twin brother, William, during a lengthy legal battle with Charles and David over control of Koch Industries.

 

Ms. Mayer describes a sealed 1982 deposition in which William Koch recalled participating in an attempt by Charles and David to blackmail their fourth and eldest brother, Frederick, into relinquishing any claim to the family business by threatening to tell their father that he was gay.

 

David Koch has since described himself as socially liberal and as a supporter of same-sex marriage.

 

Correction: January 12, 2016

An earlier version of a capsule summary for this article misspelled the surname of the author of a new book about the history of the Koch family. She is Jane Mayer, not Meyer.

 

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 古村治彦です。

 今回は、世界各国の宗教と政治に関する短い論稿をご紹介します。


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世界各国の国家元首に必須の宗教に関する条件を解説する(Religious Requirements on Heads of State Around the World

 

トニー・パポウセク筆

2014年7月24日

フォーリン・ポリシー(Foreign Policy)誌

http://blog.foreignpolicy.com/posts/2014/07/24/interactive_map_religious_requirements_on_heads_of_state_around_the_world?utm_content=buffer1c0ec&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

 現在、ガザではイスラエルによる軍事作戦が展開され、シリアでは悲惨な内戦が続いている。イラクはイスラム原理主義者たちと戦っている。こうした状況下で、レバノンの政治の停滞に関するニュースが新聞の一面に掲載されないというのは理解できることだ。しかし、2014年7月23日、レバノンの国会議員たちは大統領の選出に失敗したのだが、これが8回目という体たらくだ。レバノンにおいては多くの宗教グループの間で複雑な勢力均衡を保たねばならず、大統領はマロン派キリスト教徒が就任するという決まりになっている。このような国家元首就任に宗教に関する条件が必要になるというのはそこまで一般的ではないという訳ではない。


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 ピュー・リサーチセンターの最新の分析によると、30カ国で国家元首は特定の宗教の信者でなければならないという条件を設けているということだ。そのうち17カ国で、国家元首はイスラム教徒でなければならない。2カ国では仏教徒ということだ。インドネシアの場合は、国家元首はパンカシラを信じていなければならない。パンカシラとは国家創設のイデオロギーである。その中には神の存在を信じるということも含まれている。8カ国で聖職者が国家を支配する地位に就くことを禁止している。

 

 ピュー・リサーチセンターの調査では、他の19カ国が別のカテゴリーに入れられている。それは、それらの国々が王制であるからだ。こうした国々でも執政は特定の宗教の信者である必要がある。しかし、この数字は少しずつだが増えている。それは、このうちの16カ国が英連邦・コモンウェルス(Commonwealth of Nations)のメンバーであり、国家元首は、イギリス国教会の形式上の最高指導者エリザベス二世となるのだ。エリザベス二世が持つ様々な肩書の中には、「信仰の守護者」というものがある。これは彼女の宗教上の特別な役割を示すものだ。その他の三つの王国であるスウェーデン、デンマーク、ノルウェーは特定のキリスト教の宗派の信者が王位に就かねばならないとしている。

 

パンカシラ(Pancasila)はインドネシアの最高指導者が持たねばならない指導哲学である。このパンカシラは、社会、宗教、統治などに関する5つの原理から成り立っている。レバノンに関して言えば、政府の役割は様々な宗教グループに分割されている。レバノンの最高指導者は大統領だ。大統領はマロン派キリスト教徒でなければならない。行政府の長である総理大臣はスンニ派イスラム教徒でなければならない。国会議長はシーア派イスラム教徒でなければならない。国会の副議長と行政府の副首相はギリシア正教徒でなければならない。更に言えば、参謀総長はドゥルーズ教徒でなければならない。国会議員の割合はキリスト教徒とイスラム教徒の割合が6対5と決められている。

 

 世界の残りの国々は、政治家の宗教上の資格を必須としていないか、宗教上のテストを行うことを非合法化している。

 

(終わり)







 
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